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2017年5月 1日 (月)

日々信頼を失い続けていると言う自覚はあるらしい人々の弁

昨今テレビなどで活動されていると言う池上彰氏が先日、インタビューに答えてこんなことを言っています。

信頼失う新聞・テレビは滅ぶのか 池上彰さんが「楽観できない」と語る理由(2017年4月15日BuzzFeed Japan)

メディアの信頼性が下がり続けている。フェイクニュース(偽ニュース)や不正確な情報が、インターネットで急拡散する時代。私たちは何を信じ、どう対応すべきか。池上彰さんに聞いた。【BuzzFeed Japan / 古田大輔】
(略)
従来のメディアが信頼を失っているからこそ、フェイクが本当のニュースよりも広がる。池上さんは「アメリカで起こっていることは、日本でも起こる」と警鐘を鳴らす。
(略)
そもそもなぜ、メディアは信頼性を失っているのか。池上さんは、報道は本質的に危うさを抱えているものだという点から、話を始めた。
(略)
視聴者が見たいものを報じることが、業績を伸ばす近道。歴史的に見たメディアの現実であり、危うさだ。「ただし」と池上さんは付け加える。
ニュースに関しては、知りたくないことでも、伝えなければいけないことは伝えるという風にやってきた。そこが信用された」
その信頼性が、ネットの登場によって崩れたと見る。
ネットには新聞やテレビで報じられていないことが出る。『大新聞やテレビ局が報じない真実』という、昔の週刊誌のような見出しで。『ネットにしか出ていない。本当はこうだったんだ。新聞やテレビは隠している』という誤解が広がり、ネットの方が信頼できると感じる人が増える
週刊誌の影響力はそれを読んだ人に止まる。しかし、ネットでは「新聞やテレビは隠している」という記事に共感した人が、その思いをネット上に書き込み、不信感がシェアされる。他にも同じような不信感を抱いている人がいる、と可視化され、不信感は増幅していく
(略)
輪転機や販売店、電波などの情報の流通手段をメディアが独占し、何の情報を流すかを選別する「ゲートキーパー」の役割を果たすことは難しくなった
「まさに私も悩んでいます。自分で確認していないのに、ネットに情報を流す人がいる。それを見て『新聞やテレビが伝えないことをネットがいち早く伝えている』と捉える人がいる
ネットでスピードを競う。しかも、競争相手はかつてのようにメディア業界内だけではなく、ネットで発信するあらゆる組織や個人にまで広がった。
裏を取らずに書いてしまう危うさ。ウェブファースト、とにかくウェブを第一に急いで出せというのが背景にあるのではないかと思います」

もちろん、ネットは報道やメディアにとってマイナス作用しか持たない訳ではない。ごく限られたマスメディアだけではなく、あらゆる個人が情報発信できるようになったことで、マスメディアの情報を相対化し、検証もできる。「情報の民主化」とも言える。
問題は、それらの情報の中に不正確なものや嘘が大量に混じっていることだ。
(略)
「私たちのように常にニュースに接している人間であれば、これはおかしいとわかる。でも、みんながメディアリテラシーを持っている訳ではないところに恐ろしさがある。では、誰が対策を取るべきか。政府や公的機関が『これはフェイクニュースです』と言い出したら、これほど恐ろしいことはない」
そう、それは検閲の始まりを意味する。
(略)
報道の課題はファクト(事実)のチェックだけではない。論調にもあるという。元外交官で作家の佐藤優さんとの共著「僕らが毎日やっている最強の読み方」の中で、二人は新聞=客観報道の前提が崩れている、と指摘する。

“佐藤 顕著な例ではここ2~3年、慰安婦問題、歴史認識問題、集団的自衛権や安保法制の問題、憲法改正問題、原発問題、沖縄の問題などは、新聞ごとに報道のスタンスが大きく異なります。取り上げるニュースの切り口や論評が異なるだけでなく、「A新聞では大きく扱っている出来事を、B新聞は掲載すらしていない」というケースも珍しくありません。“

ネットはこの傾向に拍車をかけるのではないか、と池上さんは懸念する。ネットでは検索やリンクなどから、自分が見たい記事ばかりを見てしまうからだ。
(略)
「リベラルかコンサバティブか。自分の考えに近い論調の方を読んでいると快適です。それがずっと続くと、どんどんそっちに行ってしまう」
近年、注目を集めている現象だが、実は、新聞にも似たような作用があるのではないか。
「新聞は民間企業が自由に出せるから、いろんな新聞があっても悪いことではない。でも、一紙だけど読むと、結果的に、その考え方にどんどん進んでしまうという党派性がでますね」
「集団的自衛権を認めるかどうかというときに、読売だけ読んでいると反対運動があることがわからない。昔は、いろんな新聞がいろんな主張をすることは良いと思っていたけれど、結果的に世論が分断され、中身のある議論を交わすことが難しくなった。悲しい現実になっています」
(略)
分断された人々に対話をもたらし、社会課題の解決方法を共に考える。それが池上さんの考えるメディア、報道機関のあり方だという。
「アメリカのローカル紙の廃刊が続いています。なくなって初めて、読者は民主主義のインフラだったと気づく。そういうメディアがあるから、選挙報道があり、投票に行く。なくなってからでは遅い。民主主義を支えるインフラとわかってもらうだけの仕事をしないといけない」
(略)

引用部分には色々とキーワードがちりばめられていますが、結局のところ既存メディアが市民の支持を得られなくなったのはやはりその提供する情報の選別や記事の内容があまりに恣意的になっていること、より厳密に言えば元々極めて恣意的であったことは昔から変わらないのですが、それが恣意的であると言うことに多くの一般人が気付き始めたことが大きな理由であると感じています。
ただこの点に関しては池上氏らメディアリテラシーを持っている方々に限らず、普段から図書館などで複数紙に目を通す習慣を持っている人であれば誰でも知っていたことであり、むしろここ最近になってそんな当たり前の「偏向」がどうこうと大騒ぎし始めている人が増えたと言うことには何を今さらと言った感じではないでしょうか。
池上氏はネットニュースについては独自ソースを流すものを中心に考えているようですが、氏が考えているようなメディアリテラシーの欠けているライトユーザーこそ大手ニュースサイトで既存各メディアの報じるニュースを流し読みすると言う旧来の方法論に近いやり方をしているとも言え、この点ではむしろ既存メディアの発信するニュースが低レベル化しハッタリや騙しが効かなくなっていることを業界人は懸念すべきでしょうかね。
この点で既存メディアの中の人を見ていて感じるのが、どうも彼らは自分達は正しい報道を行っているのに世間から誤解されているのだと信じているのではないか?と言うことなのですが、この辺り池上氏のコメントを見てもどうも問題点の所在について認識がずれているのではないかと言う気がします。

そもそも池上氏にもその傾向があるようですが、既存メディアの中の人がしばしば口にするネット情報は検証が甘くいい加減であると言うのも典型的な誤解あるいは偏見で、もともとは専門知識もない既存メディアの記者が誤解と偏見に基づいていい加減な報道を繰り返している、その現実に憤りを感じた各界の専門家達がネットと言う手段を得て市民に直接事実を語りかけるようになったと言う側面も根強いわけです。
20世紀末頃から21世紀初め頃には特にその傾向が顕著となり、各種メディアから一斉にバッシングを受けた某業界なども自己防衛のために立ち上がった結果、既存メディアの報道が如何に現場の現実からかけ離れたフィクションそのものであるかと言うことを多くの市民に知らせる結果になったのは記憶に新しいところですよね(無論、ネットソースだから全て正しい、などと言う話ではありませんが)。
最近沖縄で唯一の保守系ローカル紙が本島に進出したことが報じられていて、それに対して二大地元紙と言われるリベラル系メディアが販売店に配達禁止を迫る通達を出していた、などと言うびっくりするようなニュースが出ていましたけれども、本質的なポイントとはそれが事実かフェイクかではなく、そんなことがあっても全くおかしくないとメディアリテラリーのある人々皆からも認識されてしまう状況の方ではないでしょうか?
そう考えると既存メディアが自主的に報道内容を検証するべきだと言う池上氏の考えも理念としてはいいのでしょうが、現状を考えると世間からは町の反社会的勢力に警察の役目をさせようとでも言うような斜め上のアイデアにしか見えていないのではないか、と言う気もするところでしょうかね。

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コメント

 最近はバランスをとらなきゃいけないっていう意識がやや強くなったように感じます。新聞が異なる意見を載せ、多角的な情報を提供するのはとても大事。
でも、紙面でバランスを取る必要はないですよ。

 ただ、マスコミに対して「特権階級が偉そうに」っていう反感もあるでしょう。
私の時代のマスコミはまだ、大学で成績が悪かったり、学生運動をやっていたりした人が流れ着く場という面がありました。
それが80年代のバブル景気の頃から、就職先としてマスコミがもてはやされるようになった。
読者の気持ちと離れていないでしょうか。

http://www.asahi.com/articles/ASK4T66YLK4TPTIL028.html

投稿: | 2017年5月 1日 (月) 07時59分

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