« 労基法無視の状態が続く医療の世界に外圧が介入 | トップページ | 意外と安泰だった日本の病院 »

2017年5月17日 (水)

100%病気を治せるわけではないのは当然として

今どきそのレベルの認識はいささかどうよ?と、先日ちょっとした話題になっていたのがこちらのニュースです。

くわばたりえが猛批判した医師の発言「100%病気を治せるわけではない」(2017年5月9日トピックニュース)

8日放送の「好きか嫌いか言う時間」(TBS系)で、お笑いコンビ・クワバタオハラのくわばたりえが、医師の「病院は100%治せるわけではない」という発言を、猛烈に批判した。

番組では、客からのクレームに翻弄される病院関係者がスタジオで激論を交わした。その中で「(病気が)治らないなら治療費を返せ」といった、患者からのクレームが紹介される。
これに、スタジオゲストで医師の大竹真一郎氏は、医師と患者の契約は「必ず(病気を)良くするものではない」とし「最善を尽くして診療に当たる」というのが契約だと、お互いの立場を明確にした。

この発言を受け、くわばたは、病院は100%病気を治せるわけではないといった大竹氏の言葉に噛み付いたのだ。くわばたは「それを病院が言ったらアカンちゃうの?って思うんですけどね」と非難を込めて怒りを露わにした。
しかし、大竹氏は「違います。人間の体の病気っていうのは、絶対に誰でも治せるものではない」「そんな傲慢な(ことを言う)医者の方がダメです」と反論してみせる。

坂上忍やほかの出演者が大竹氏の主張に与すると、くわばたは負けじと「ないかもしれへんけど!」と語気を強めて「『一生懸命頑張ります』みたいな(ことを医者が言ってもいい)」と、患者は専門家の診断をしっかりと仰ぎたいのだと訴えていた。
なお、大竹氏は「100%尽くします」は約束できるが「100%治します」と、結果を問われるのは無理だと補足説明している。

考え方は人それぞれではありますし、各人の言うこともそれなりにもっともではあると思うのですが、基本的に今の時代何の商売であれ絶対だとか100%だとか言い切ってしまうと、万一にもそうでなかった場合責任問題になりかねないと言う現実はありますから、むしろ事実そうであるなら決して100%ではあり得ないと言うことは言わなければならないと言うのが正しいのでしょう。
特に医療の世界ですと人の命がかかっているだけに、安易に気持ちだけで安請け合いをしてしまうと後で大変なことになってしまいますし、JBM(判例に基づいた医療)的にも100%云々などと現実的にあり得ない口約束はしてはならないと考えるべきですが、そうは言ってもこの合併症の確立は○%でなどと味気ない話ばかりでもかえって余計なトラブルを招く可能性もあります。
この辺りのさじ加減は臨床医であれば自然に経験から身につけていくしかないのでしょうが、様々な事情を抜きにしてもひとたび約束をしたことを違えてしまうと大きなトラブルの元になると言う。こんな卑近の事例が報じられていました。

“スーパードクター”の執刀かなわず死亡、遺族が埼玉医大を提訴へ(2017年5月15日産経新聞)

 「心臓手術のスーパードクター」としてマスコミにたびたび取り上げられている埼玉医科大の心臓外科医、新浪博士(本名新浪博)教授に手術を依頼したのに別の医師が執刀したとして、手術から半月後の2014年5月に死亡した埼玉県の女性=当時(64)=の遺族が16日、大学と新浪教授らに総額1億円の損害賠償を求め、さいたま地裁川越支部に提訴することが15日、分かった。

 訴状によると、女性はかかりつけ医から大動脈弁の石灰化が進んでいる可能性があると診断され新浪教授を紹介された。

 新浪教授からは「手術が必要だが簡単な部類に入る。私が執刀する」と説明され、14年4月に入院。手術直前になり、別の医師から教授の指示を受けながら自分が執刀することになったと言われ、5月1日に手術を受けたが、同16日に心筋梗塞で死亡した。教授は手術に立ち会わなかった

 埼玉医科大は「大学も新浪教授もコメントはしない」としている。

情報にも乏しく心臓外科の世界にも疎いので臨床経過については何とも申し上げられないところですが、この新浪教授は年間300例もの手術を手がけ日本でトップクラスの実績を誇っているのだそうで、何事であれそれだけの数をこなせば人並み以上には上達することだろうなとは思いますし、実のお兄さんも有名企業のトップを歴任するなど経営の方面では有名人なのだそうですね。
全くの想像だけで言うならば弁置換術の類だったのかと思うのですが、手術から半月後に亡くなったのが手術と関係があるのかどうかははっきりしないものの、患者からすれば簡単な部類の手術を受けた直後に死んでしまったとなるとやはり良い気持ちはしないでしょう。
まして記事から見ますと患者は新浪教授に手術をしてもらいたいと言う強い希望があったことは推定できますし、それに対して実際に教授から自分が執刀すると説明を受けたとなると、直前に別の医師から自分が執刀することになったと言われても納得し難いでしょうから、こうした感情的なもつれがその後の紛争化に大きいな影響を与えていると想像出来ます。
一方の当事者のコメントもない以上本当の事実関係は判らないとしかいいようがないものの、そう考えてみるるとここでは手術がどうであったのかと言うことが問題なのではなく、自分がやると請け負った仕事を人任せにしてしまったと言うことが一番の問題であったとも思えるのですが、仮にそうだったとしても執刀医交代などもきちんと説明し了承を得ていただとか、術後の経過が良ければ問題なかった可能性も高そうですよね。
生身の人間を相手にすることですから100%治せるとは決して言えないことですし、特定の医師と特定の患者と言う関係においては結果的に最善すら尽くせなかったと言うことも起こり得るわけで、あらかじめそうした想定はした上で説明をし同意を得ておくと言うのは今の時代の必然だとも思うのですが、一人の医師がそこまでやっていると年間300例もの手術はこなせないと言うことなのでしょうか。

|

« 労基法無視の状態が続く医療の世界に外圧が介入 | トップページ | 意外と安泰だった日本の病院 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

お笑いコンビというのがよくわかりませんが、昔でいう漫才師でしょうか。
ステージで「私は100%のお客様を笑わせられます」という発言でもしてみたら少しはウケルでしょうか。
自虐的なネタとして少しウケルか、冷ややかな空気が流れるかどちらかでしょう。

投稿: 嫌われクン | 2017年5月17日 (水) 07時48分

「台本だろw?」とのご意見がネット上には散見されますね。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2017年5月17日 (水) 09時38分

寒いわ

投稿: | 2017年5月17日 (水) 11時05分

台本かどうかは何とも言えませんが、最近はこういうキャラ作りで売っていらっしゃるのだそうです。

投稿: 管理人nobu | 2017年5月17日 (水) 13時18分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/65288069

この記事へのトラックバック一覧です: 100%病気を治せるわけではないのは当然として:

« 労基法無視の状態が続く医療の世界に外圧が介入 | トップページ | 意外と安泰だった日本の病院 »