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2017年4月19日 (水)

医療はどこで受けても同じではないらしいと言う現実

結論はともかく現象として興味深い話として、先日こんな記事が出ていました。

医療費の地域差是正が重要課題、経済財政諮会議(2017年4月12日医療維新)

 塩崎恭久厚労相は4月12日の経済財政諮問会議で、「地域の予防・健康・医療・介護の司令塔」として、都道府県のガバナンスの強化を進める方針を表明した。個人、保険者、医療機関等の「自発的な行動変容」を促すことを目指し、制度(権限)、予算(財政)、人材、情報(データ)の面で強化し、都道府県の役割を明確化する。
 その重要課題の一つと想定されるのが、医療費の地域差是正だ。塩崎厚労相は「全国統一の審査」を進める方針を掲げたほか、同会議では胃瘻造設術や人工透析などのレセプトにおける出現頻度に関するデータも提出されており、「地域差是正」が今年6月頃にまとまる予定の「骨太の方針2017」、ひいては2018年度診療報酬改定の柱になる可能性が高まってきた(資料は、内閣府のホームページ)。
(略)
 胃瘻造設術、都道府県で2.7倍の差

 会議後に会見した石原伸晃・内閣府特命担当大臣(経済財政政策)は、会議での主要な意見を紹介。民間議員からは、「一人当たりの医療費が高い地域は、介護費も高くなる傾向にあり、健康増進や予防の推進とともに、医療と介護を一体的に改革していくべき」との指摘があった。塩崎厚労相は、「データの利活用やインセンティブ改革を通じて、保険者機能や都道府県のガバナンスを抜本的に強化する」旨の発言があり、これらを受け、安倍首相は、塩崎厚労相に対して、「この3月までに全都道府県において策定された地域医療構想の具体化に向けて、実効的な施策をスピード感を持って実施するよう指示があった」と紹介。
 医療費の地域差については、民間議員から、「胃瘻造設術や人工透析など、地域差のデータを使いながら、厚労省が都道府県に対して、ガバナンスを効かせていくべき」「医療費の地域差が非常に大きい。都道府県で関係者の協議の場を設けて、行動変化を促していく必要がある」などの指摘が上がった。「医療費の都道府県の差が顕著にある。『トップランナーの方に合わせていくことが重要』という提言も民間議員からあり、その対応についても塩崎厚労相から、『しっかりやっていく』という話があった」(内閣府事務局)。
 地域差のデータを“見える化”をしたのは、経済・財政一体改革推進委員会の評価・分析ワーキング・グループ。NDBを活用し、都道府県の人口の性・年齢構成の違いを調整し、レセプトの出現比(SCR)として指数化したデータを作成した。例えば、胃瘻造設術の場合、全国平均を100とした場合、SCRが最も高いのは沖縄県で185、最低の静岡県は69で、約2.7倍の開きがある(資料は、内閣府のホームページ)。

 厚労省が都道府県のガバナンス強化策の一つとして掲げるのが、「保険者努力支援制度」を活用したインセンティブの付与だ。国民健康保険(国保)は、財政基盤を強化するため、2018年度から運営主体を市町村から都道府県に移管する。同時に創設されるのが「保険者努力支援制度」であり、何らかの「アウトカム」を出した場合には予算上の措置を優遇するなどして、「医療費適正化の実効的推進」を図る方針。そのほか、保険者だけでなく、市町村、医療関係者、企業などが参加する「協議体」なども新設する。
(略)
 保険者機能の強化は、健保組合に対しては、後期高齢者支援金の加減算率を用いて、自発的な取り組みを促すのが柱。加減算率を法律の上限(±10%)まで引き上げる方針。目標の達成状況(特定健診・保健指導の実施率など)を指標に、実績を上げている保険者に対しては、後期高齢者医療制度に保険者が支出する支援金を減算(インセンティブ、現状は▲0.048%)、実績が上がっていない保険者に対しては、支援金を加算(ペナルティ、現状は0.23%)する。
(略)

この地域による医療費の差と言うものは以前からしばしば言われているところですが、例えば寒冷地方では冬期には「越冬入院」などと言われる習慣があり、雪に閉じ込められて身動きが取れなくなる前に高齢者を入院させておくと言うことで、こうした行為は社会的入院として次第にやりにくくなっているのは知られている通りです。
「一人当たりの医療費が高い地域は、介護費も高くなる傾向」と言う話も同様の文脈で理解出来るように思うのですが、要するに国としては過剰な医療介入はやめて適正な医療を行いましょうと言っている、そして今後はそのための手段を用意していく心づもりがあると言うことですよね。
特に高齢者の医療・介護に関しては今後レセプト審査なども次第に厳しくなっていくのではないかと思うのですが、これまでも有名なEPO訴訟などにおいてレセプト審査の是非が問われてきたところだけに、各都道府県間で統一した基準で行うとは余計な突っ込まれ処を減らすと言う意味もあるのかも知れません。

こうした国の方針の是非はまた別の話として、ここで興味深く感じたのが全国統一の皆保険制度で行われているにも関わらず地域によって医療のあり方が相当に異なっていると言う現実なのですが、先年発足した医療事故調への報告件数についても都道府県間で最大10倍の差があったと報じられていたように、医療においては地域性も確かに存在すると言えます。
個人レベルにおいてもガイドラインがこれだけ整備された時代にあっても、医師それぞれでかなり異なった治療方針がとられると言うことは珍しくないことですが、先日アメリカから出た報告では検査や処置をより多く行っても再入院率や死亡率には差がなかったと言い、DPC時代にあって余計な検査・処置を多く行うほど藪医者であると言う評価がますます固まりかねない話ですよね。
もちろん指示を出す医師にしてもそれが必要があると思うからやるのであって、必要がないと判断するのはそれがなくても大丈夫だと言う自信があるとも言えますが、患者の側からするとともすれば色々な検査や処置をして欲しいと言う欲求もあるもので、今後国策に従ってレセプト上の締め付けが強化されると診療現場でまた余計な摩擦も増えてくるのではないかと言う予感もします。

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コメント

たしかに県境超えたらレセプト切られたり切られなかったりってあるよね

投稿: | 2017年4月19日 (水) 07時49分

前は出来てたことをダメって言われて患者が納得してくれればいいんですが。

投稿: ぽん太 | 2017年4月19日 (水) 08時42分

>前は出来てたことをダメって言われて患者が納得してくれればいいんですが。
ウチが決めたんじゃない保険者が決めた事だからどうしようもない
納得行かないなら保険者に電話してくれって言ったらホントにしてました。
で、悔しそうな顔して帰ってった患者さんがいたなあ。

投稿: | 2017年4月19日 (水) 09時47分

本来的にはまさにそうした部分こそ、保険者にやってもらうべき仕事なのだろうと思います。

投稿: 管理人nobu | 2017年4月19日 (水) 12時56分

>ホントにしてました。

草www

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2017年4月19日 (水) 15時41分

できないって言っててもできたりすることがよくあるからだろw

投稿: | 2017年4月20日 (木) 13時36分

そこは患者をみての対応で

投稿: | 2017年4月20日 (木) 15時01分

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