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2017年4月 7日 (金)

地域医療構想の全国集計、入院ベッドが大幅削減

都道府県が主体となって地域の医療提供体制を決める地域医療構想について、先日全国の地域医療構想が集計された結果意外とも当然とも言える結果になったようです。

入院ベッド15万床削減 25年、医療費減へ在宅移行(2017年4月1日朝日新聞)

 2025年の医療の提供体制を示す「地域医療構想」が各都道府県でまとまり、全国で計15万床以上の入院ベッドを減らす計画となった。医療費を減らすため入院患者を在宅医療に移す流れを受けたものだが、全国で1割以上の削減が必要だ。入院に代わる受け皿づくりが急務となる。

 各都道府県がまとめた地域医療構想では、団塊の世代がすべて75歳以上になって高齢化がピークを迎える25年時点で必要となる入院ベッド数を示した。その結果を集計したところ、計約119万床だった。ただ、13年の約135万床に比べ、15万6千床余り少ない。15年に内閣官房が示した削減の目安は16万~20万床で、ほぼ近い数字になった。

 入院ベッド数が増えるのは、特に高齢者が急増する首都圏と大阪、沖縄の6都府県のみ。残る41道府県は減らす計画で、削減率は鹿児島県(34・9%減)など8県が3割を超えた

25年見通し 入院ベッド1割減 在宅推進、リハビリ利用増へ(2017年4月5日毎日新聞)

 各都道府県が医療提供体制の将来像を示す「地域医療構想」で、2025年に必要な病院のベッド(病床)数は、13年時点の134万床余りから約15万6000床、11・6%減少する見通しとなることが分かった。構想の策定に伴い47都道府県が推計した結果を、共同通信が集計した。41道府県で病床が過剰とされ、鹿児島など8県は削減率が30%を超す。
 地域医療構想は、25年に団塊の世代が全員75歳以上になるのを控え、効率的な提供体制をつくるのが目的。政府は手術や救急など高度医療に偏った病床の機能を再編すると同時に、慢性疾患を抱える高齢患者は家や施設で療養する方が望ましいとして在宅医療を推進する考えだ。医療費抑制につなげることも狙う。
(略)
 病床は機能別に(1)救急や集中治療などを担う「高度急性期」と「急性期」(2)リハビリなどに取り組む「回復期」(3)長期療養の「慢性期」--に分かれるが、急性期と慢性期を減らし、回復期を増やすとする地域が多い。
 入院が減る分、在宅医療を受ける患者は大幅に増え、約177万人に。13年より60万人ほど多くなる。

厚労省アメとムチ 地元反発も

 都道府県ごとの「地域医療構想」が出そろった。
 病床削減など経営見直しを迫られる各地の病院からは反発や懸念の声が上がる一方、国の出方を様子見するムードも。厚生労働省は資金と制度の両面でアメとムチを使い分け、超高齢社会に合わせて医療提供体制の再編を図る考えだ。
(略)
 厚労省はさまざまな仕掛けを用意した。
 資金面では、急性期からリハビリ対応の回復期に転換する場合に、費用を補助する基金を都道府県に創設。来年4月には、医療機関の収入源で生命線といえる診療報酬の改定がある。厚労省の審議会では今年1月下旬、担当課長が改定の方向性に関し「地域医療構想に寄り添う」と発言。病院団体幹部は「報酬改定で大きく誘導するのだろう。どのタイミングでどう動くか、病院はみな様子見している」と話す。
 ただ、厚労省は議論を急がせたい考えだ。個々の病院の病床削減や機能転換について、具体策を来年3月までに決めるよう都道府県に求める。

 都道府県知事の命令や勧告権限という「ムチ」も新たにつくった。例えば、稼働していない病床がある場合、知事は公的病院には削減を命令、民間病院にも削減を要請でき、従わない病院には名称公表などのペナルティーを科すことができる。
 もっとも、こうした強硬手段は地元医師会との衝突につながりかねず、大半の都道府県は消極的だ。それを見越し、厚労省幹部は1月に全国の担当者を集めた会議で、状況に応じ知事権限を行使するよう要請。プレッシャーをちらつかせた。
(略)

国としては当然ながら金のかかる急性期を減らしたい、そして入院が長期化する慢性期も削減し施設や在宅に送り返したいと言うことなのですが、今回国がそれを直接やるのではなく都道府県の権限でやらせると言うことにしたのがうまい手だったと言うことなのでしょうね。
もちろん都道府県毎の実情に応じて自由に医療提供体制を調節して下さいと言う建前なのですが、実際にはかなり強力な削減の圧力がかかっていたことは記事からもうかがわれるところであり、国としては自治体トップの責任でこうした嫌われ役を果たしていただけるなら(あくまで国にとっては、ですが)ノーリスクで医療費削減が成立すると言う計算なのでしょう。
これに加えてこのところ言われているような地域毎の医療費比較に何らかのペナルティなり目標(と言う名のノルマ)なりが加わってくるようなら一気に医療の再編が進む計算ですが、団塊世代が医療費のかかる年代に入ってくる前に医療コストを構造的に削減しておきたいと言う意味で国としても急いでいるのだろうと思います。

ただコストもマンパワーも多くを要する病院から施設へと言う流れはいいのですが、それがさらに在宅へとなれば誰が面倒を見るのかと言う問題が出てくるところで、特にかつてのように数世代同居と言うことが決して当たり前ではなくなった時代にあって、地域で老人を見守りましょうなどと言ったところで無理があろうと言うものですよね。
当然ながら病院から施設へ、さらに在宅へと言う流れの基本として、患者の状況に応じて提供する医療や介護にある程度上限を設定していくと言う考え方があるように思うのですが、人の命は地球よりも重いだとか、命は何ものにも代えがたいと言った価値観を維持するために要する社会的コストを考えると、どこかで意識の転換を図らなければならないのは理解できます。
理屈の上では高齢者医療制度と言うものが存在する以上、高齢者向けの診療報酬体系をどんどん改めることで高齢者医療のあり方も誘導できる理屈ですが、今のところこうした手法に関しては進歩的な方々を中心に反発も根強いようで、むしろ制度によらず国民や医療現場の認識の転換の方が徐々に進んできているようにも感じられるでしょうか。
いずれにしても地域内での病床数が削減されれば医療機関が受け入れられる患者数に上限が出る以上、終末期高齢者の受け入れ先探しなどは今以上に難しいものになってくるはずで、今のうちからいざその時にはどのような亡くなり方をするのかと言う想定の下に十分な手配は進めておいた方がいいかも知れませんね。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

計画はあくまで計画だって言い訳が聞こえてきそう。

投稿: ぽん太 | 2017年4月 7日 (金) 08時24分

医療関係者も入院適応に関して、今まで以上の意識改革が必要になりそうです。
この面でアメリカの経験が外来診療を是とするエヴィデンスとして使えるかも知れませんね。

投稿: 管理人nobu | 2017年4月 7日 (金) 14時55分

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