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2017年4月17日 (月)

医師偏在対策と言う名目で日医が考える未来図

本日まずは少し前の話ですが、日本医師会(日医)代議員会でこんな話が出たらしいと言うことを紹介してみましょう。

「医師偏在解消、強制的な仕組み極力排除」、釜萢常任理事(2017年3月28日医療維新)

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、医師の地域・診療科偏在について、「国は、開業制限、外来受診時制限など、より厳しい規制を強制的に行ったり、医師以外の職種へのタスクシフティングを導入する可能性がある」との懸念を表明、日医としては、医師の自発的な意思を尊重し、強制的な仕組みを極力排除しながら、医師偏在が解消する着地点を探っていく方針であるとした。3月36日の第139回日医臨時代議員会で説明した。

 釜萢常任理事は、日医では「医師の団体の在り方検討委員会」で議論を深めており、同時に厚生労働省の「医師需給分科会」における医師偏在解消の議論が最優先されるべきと主張。横倉義武会長も同日の代議員会で、同分科会の早急な再開を求めていた(『「医師需給分科会、早急に再開を」、横倉会長』を参照)。厚労省は「医師需給分科会」の議論を2016年10月にストップ、代わりに同じく10月に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」を立ち上げて議論を進めており、近く最終報告をまとめる予定。

 医師偏在対策、日医執行部で見解の違い?

 「日医執行部の考える医師偏在対策についての明確な回答」を求めたのは、奈良県代議員の大澤英一氏。質問の背景として、2016年9月20日の第1回都道府県医師会長協議会で、常任理事の羽鳥裕氏が、経済財政諮問会議で塩崎恭久厚労相による「診療所等の管理者要件として、特定地域・診療科での診療を義務付ける」との発言について、「2015年12月の日医・全国医学部長病院長会議の合同提案の一つ」と回答、2016年11月15日の第2回都道府県医師会長協議会で、常任理事の釜萢敏氏もその方針を大筋で認めるとしたものの、中川俊男氏と今村聡氏の両副会長は、「あくまで本人の意思を優先し、国の強制ではない」と答え、執行部の意見統一が図られていないことを指摘した。
(略)
 2016年11月の都道府県医師会長協議会では、国の医師偏在対策についての議論の中で、医療計画においてデータに基づく医師不足地域を設定し、医師確保目標を設定、対策の策定を行い、その上で医師不足地域での勤務経験を、保険医登録の条件としてではなく、管理者要件にする案が出されていたことから、「合同緊急提言を踏まえて、大筋認めている」と説明したとし、理解を求めた。
 その上で、釜萢常任理事は、「国は開業制限、外来受診時制限など、より厳しい規制を強制的に行ったり、医師以外の職種へのタスクシフティングを導入する可能性がある。医学部定員についても、適正な水準への修正が延期される恐れがあることから、日医は医師自ら偏在対策についての具体策を提言する必要がある」との認識から、「医師の団体の在り方検討委員会」を設置、議論を深めていると説明。
(略)

医療関係者以外からはかねて医師偏在対策の必要性が提言されていて、それを受けてと言うわけでもないのでしょうが国が医師偏在対策を検討していると言う、それに対して日医としては強制的な医師偏在対策には反対の立場であると、一見すると珍しく真っ当な主張をしているように感じられるのですが、よく見ると何やら非常に微妙な温度差も感じられる話ですよね。
特に記事にあるように国が行う偏在対策として「開業制限、外来受診制限など」をより厳しく行おうとしていて、それに対しては日医は強力に反対していくとも読める話なのですが、では例えば基幹病院勤務医を一定期間僻地送りにすることに関してはどうなのかと言われると、何やら隔靴掻痒な感のある回答であるとも言えそうです。
そしてここで注目いただきたいのが日医としては「医師の団体の在り方検討委員会」でこの問題を議論しているとされている点なのですが、その検討委員会の考え方が先日出された報告で明らかになってきています。

本庶氏、「法的根拠ある全員加盟の医師団体を」日医「医師の団体の在り方検討委員会」の報告(2017年4月13日医療維新)

 京都大名誉教授の本庶佑氏は4月12日、日本医師会の定例記者会見で、委員長を務めた日本医師会「医師の団体の在り方検討委員会」報告を説明、医師の偏在解消などを実現するため、 「行政からも独立した、医師全員が加盟する団体が必要である」と提言した。本庶氏は個人的見解として、「法律に基づいて全員加盟となっている日本弁護士会をイメージしている。日医が今のままでそのようになるのか、別の仕組みを作るかはこれからの議論」との考えを示した(資料は、日医のホームページ)。
(略)
 報告では、「行政からも独立した、医師全員が加盟する団体が必要である」と提言する一方、具体的な在り方については「委員会としてはそこまで煮詰まっていない」(本庶氏)。個人的見解として、日本弁護士会のような法律に基づいた全員加盟の組織が望ましいと説明した。
 日医と全員加盟の組織の関係については「日医が今のままでそのようになるのか、別の仕組みを作るかはこれからの議論」、現時点での日医への評価や組織の在り方については「それについては現時点でコメントできない。日医の活動は非常に幅広く、今回私が関与したのはごく一部」と述べるにとどめた。
 4項目の提言のうち、3項目が医師の偏在対策の重要性を指摘している。本庶氏は「偏在対策だけではないが、そういう問題を解決するためには全員加盟で、意思統一をして行うことが重要ではないか」と説明した。
(略)
4項目の提言
(1)職業選択の自由の下、医師が自由に診療科や診療場所を選べることは尊重されるべきであるが、公的医療保険制度においては、医師は職責の重さを自覚したうえで、自主的・自律的に何らかの適切な仕組みをつくり、医師の偏在の解消を実現していくことが必要である。
(2)(1)の仕組みをつくり、運営していくため、また、国民の医療に対する期待に応えていくためにも、行政から独立した、医師全員が加盟する団体が必要である。
(3)医師の地域偏在解消にあたっては、地域の医療事情に応じた対応が求められる。医師の団体が、大学などの関係機関との協働や行政との連携、さらには国民や若い世代の医師等も含めた討議を通じて、全国的な視野に立ちつつ、都道府県を単位とする仕組みの構築を推進していくことが重要である。
(4)現在、進められている新たな専門医の仕組みは、医師の診療科の偏在の問題に重大な影響を与える。日本医師会は、診療科偏在解消に向けて、日本専門医機構が長期ビジョンに基づく適切な専門医制度を運営するよう、さらなる関与を努めていくことが必要である。

そもそも20数万人の医師の立場が一つに統一できるなど到底考えられないと言う点は置くとして、話を素直に受け取るならば国に変わって医師全員強制加入の団体による自発的な(苦笑)医師強制配置が望ましいとしている、そしてこれは敢えて言葉を濁していますがその組織とは日医を発展的に解消し再構築される組織を考えていると言うことなのでしょう。
しかしよりにもよって今さら弁護士会のようなトンデモ組織を作るのかと、正直本庶先生の正気を疑うべきなのか年齢的な問題として捉えるべきなのか微妙な話だと感じるのですが、こういうのを大政翼賛体制とでも称するべきなのでしょうか、進歩的な方々からは何たる時代錯誤な発想かとお叱りを受けかねない暴論ですね(棒
ちなみに先の記事と併せて興味深い話として、このところ医師自身に対する調査で開業医の6割が医師は足りていると考えているだとか、開業医の7割は地域の外来診療が供給過剰だと答えていると言う調査結果もあって、こうした話を素直に解釈すれば医師偏在対策としてはまさしく国の言う「開業制限、外来受診制限など」をより厳しく行なっていくことが望ましいと言う結論になります。
日医も全員強制加入の医師団体などと夢見がちな空想に浸る前に、まずはこうした現場の声に素直に耳を傾けてみると言う姿勢が必要なのだと思うのですが、相変わらず現場の現実からは目を背け耳を塞いで我が道を行くと言うことになれば、そんな方々に誰が現場に対する強大な権限など握らせたいと考えるでしょうか。

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