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2017年3月17日 (金)

「舌をしびれさせるのは、多量の化学調味料ですよ」は正しいのかも知れませんが

お食事会系を自称する当「ぐり研」としては以前から漠然と気になりながらも特に深く追及することなく放置していたのですが、先日こんなニュースが出ていたことで改めて真偽が気になったのがこちらの話題です。

化学調味料が「頭痛の原因」になるという都市伝説(2017年3月15日MAG2ニュース)

健康を損なうものとして第一に槍玉にあげられるのが、食品添加物。「味の素が頭痛の原因になる」などという都市伝説めいた話を聞かれたことがある方も多いかと思いますが、信憑性はあるのでしょうか。無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』の著者で科学者のくられさんは、偏頭痛のメカニズムを紹介しつつ、「添加物と頭痛の関係」の真実を記しています。

味の素が頭痛の原因になるという伝説
(略)
ともあれ、味の素が頭痛の原因になるという話は、味の素のグルタミン酸が原因というより、塩分のほうが原因だとも言われています。頭痛自体のメカニズムが複雑なので、どれがどうしてこういう頭痛が起きるということが正確に判明していないところで、これこれの成分は頭痛を引き起こす毒であるということもハッキリ言えないわけです。そういうハッキリしないのが頭痛の話なので、さも中華料理症候群を添加物の害悪の典型例みたいに紹介してる人は、だいたいトンチキなインチキだと思っていいでしょう。

もちろん食品による頭痛というのは日本頭痛学会の発表する資料にもあり、代表的なのはチラミンを含むチーズや、赤ワインや、ザワークラウトなどの発酵食品のヒスタミン、柑橘類の皮に多く含まれるシネフェリンのようなフェネチルアミン系の化合物などなど、血管を一時的に収縮と拡張と影響を与えることで、偏頭痛の引き金となるとされています。その中にグルタミン酸ナトリウムという記述があるのですが、どちらかというと、ナトリウム過剰による血管の収縮(浸透圧の変化)のほうが大きい気がします。またハムやソーセージに含まれる亜硝酸塩は、亜硝酸ですから血管拡張能力が微量でもけっこうあるので、それが引き金で頭痛を起こすこともあるようです。ただハムやソーセージも同様に塩の含有量が多いので、具体的にどちらが犯人かはなんともいえません。

ようするに些細なことで頭痛を起こすような人は、塩分の濃い食事をあまり取らない方がいいでしょう。

そしてなにより食品由来の頭痛は「気にしなくて良い」と毒性はそれ以外は無いと明言されているということです。故に頭痛を起こすような毒だから体に悪いなんていうロジックは存在しないわけです。頭痛が起きる量を自分で知っておき、起こるようならそれを避けるようにしようね…という話です。
(略)
頭痛が続くようであれば、その原因を発見し、治療していくことが大事なので、少しでもおかしいなと思ったら医師の診断を受けて、そのために健康管理をするのが当たり前で、食品添加物ごときを悪者にしたところで解決する問題ではないのです。無意味なスケープゴートで満足して病気の本体を取り逃がすようなことにもなりえません。故にただのフードホラーといっても、立派なニセ化学なわけです。

この化学調味料の過剰摂取が頭痛等の症状につながる説、もともとは1960年代のアメリカ発祥であったようで、ちょうど1950年代からアメリカでもグルタミン酸ナトリウムが大々的に流通するようになったこともあって化学調味料との関連が示唆され、特にその使用量が多いと言うことで「中華料理店症候群(Chinese Restaurant Syndrome:CRS)」などと言う呼称が知られていますよね。
特に日本ではひと頃大いに(そして後に別な意味でも)話題になった某グルメ漫画でこの言葉が登場して注目を集めた経緯もありますが、同漫画の原作者は化学調味料アレルギーを公言していて、外出先でもずいぶんと食べるものに苦労しているのだそうですが、風の噂に寄れば同氏が「無化調」と大絶賛したお店も実は(少ない量なのでしょうが)化学調味料は使っているのだそうですね。
ただ疫学的調査によればCRS経験者のうち中華料理店と関係がありそうだと言う人の比率は1割程度で、メキシコ料理やイタリア料理よりも少なかったと言いますから何とも奇妙な呼称にも思えるのですが、各種調査でも終始グルタミン酸過剰摂取と発症との関連は否定的であり、結局のところグルタミン酸大量投与によってもCRSを発症させることは出来ないのだそうです。
グルタミン酸と言うよりも含有されているナトリウム過剰がCRSの各種症状の原因になると言う説もある一方、単純に化学調味料の味が過剰な料理がまずいせいで気分が悪くなった人もいるのではないかと思うのですが、この点でグルタミン酸系のうまみに普段あまり慣れていなかっただろうアメリカで日本などアジア諸国に先駆けてこうした症状が認められたと言うのは、何かしら味覚との関連もありそうな気がします。

ちなみに最近では化学調味料と言う言葉を使わずうまみ調味料と言う言葉を使うようですが、これに対して蛋白加水分解物と言うものも良く目にする言葉で、一体何が何やら判らないと言う方も多いのではないかと思うのですが、前者は微生物を用いて大量生産したうまみ成分を結晶化して精製したものであるのに対して、後者は蛋白質を分解して作ると言う違いがあります。
当然ながら単一成分である前者に比べて後者の方が多種多様なアミノ酸を含有するだけ複雑な味になると言うことで、単一のうまみが突出して尖った味になると言うことがなく不自然さが薄らぐと言う評価もある一方で、天然だしと比べると独特の後味の悪さを感じる人も少なくないようですから、いずれにしてもこれらだけで出汁の代用とするのは無理があり、出汁の味を補完する程度の使い方がいいのだと思いますね。
料理のたびに出汁を取るのは面倒だと言う人もいるかも知れませんが、市販の出汁パックを材料を入れた鍋に放り込んでおくだけでも簡単にそれなりの味に仕上がりますし、料理によってはお好み焼きなどに使う鰹節粉などを仕上げに加えても簡単ですので、天然出汁の使い方にも色々と工夫をしてみていただければと思いますね。

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コメント

でも無化調の中華ってまずいよね

投稿: | 2017年3月17日 (金) 08時35分

化学調味料の添加で塩味も加わるので、添加の有無で出汁(スープ)だけでなく他の調味料の加減もしないと味もうまみも薄く感じられることになるでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2017年3月17日 (金) 17時07分

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