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2017年3月21日 (火)

必要のない薬を患者に大量投与した理由とは

医療機関で不正行為が行われると言うことは残念ながらしばしばあることですが、先日それなりに珍しい形での不正が発覚したと報じられていました。

在庫処理で薬を投与…患者6人に、通常の8倍も(2017年3月17日読売新聞)

 精神科治療を行う、広島県福山市の福山友愛病院(361床)が昨年11~12月、統合失調症などの患者6人に本来は必要のないパーキンソン病の治療薬を投与していたことがわかった。

 病院を運営する医療法人「紘友(こうゆう)会」の末丸紘三会長の指示による投薬で、病院側は取材に「使用期限の迫った薬の在庫処理がきっかけの一つ」と説明。患者の一人は投与後、嘔吐(おうと)し、体調不良となっていた。

 病院によると、末丸会長は病院で精神科医としても勤務しており、昨年11月28日~12月6日、主治医に相談せず、パーキンソン病の治療薬「レキップ」の錠剤(2ミリ・グラム)を統合失調症などの患者6人に投与するよう看護師に指示し、複数回、飲ませた。また末丸会長は、通常の8倍の投与量を指示していた。

 レキップは統合失調症を悪化させる恐れがあり、昨年12月の院内の医局会では、一部の医師がレキップ投与を批判。末丸会長は「在庫はどうするんじゃ。病院経営も考えろ」などと言って、聞き入れなかったという。

 当時、病院では使用期限(昨年11月末)の迫ったレキップが70錠残り、うち62錠が6人の患者に投与された。投与後、1人は体調を崩し、残り5人に体調不良は起きなかったという。

 末丸会長は今月、読売新聞の取材に「薬は経験則で使った」と話し、在庫処理については否定。病院は調査委員会を設置、行政側への報告などを検討している。

小売業界全般でこの賞味期限切れ間近な商品への対応をどうするかと言う議論はあり、特にスーパーやコンビニなどから大量の廃棄食品が出ることはしばしば話題になっていて、コンビニ本部との契約内容がその原因になっている、コンビニ各店舗でスーパーのような期限切れ間近な商品の値引き販売が出来ないのは本部からの圧力が理由だと言った報道も出たのは記憶にあるところです。
ただいずれにしてもこうした問題の大前提として、少々期限が切れようが別にすぐ体に悪いと言うわけでもないよね?と言うコンセンサスがあるはずで、実際に賞味期限の類はあまりに余裕を持って設定され過ぎていて、これが廃棄食品増加の一因であると言う声も根強くあります。
医療における不正請求などの問題も様々なものがありますが、例えば受診していない患者を受診したように見せかけ請求すると言った行為でも患者に特に実害があるわけでもないので、今回明らかに患者に実害が出る形での不正行為が行われたと言う点が医療人として批判される大きな理由とはなりそうですね。
記事にもある通り事件は同病院の会長による指示で行われていたのだと言い、風の噂に聞くところでは同院と言いますか同会長は以前からこんな調子であるのだそうで、別に意外性のある話ではないと言う声も聞くのですが、いわば従業員である他の医師からも批判されていたと言うくらいですから、余程に目に余る行為ではあったのでしょう。

この種の期限切れ問題はどこの病院でも起こり得る話で、通常は期限が切れてしまえば仕方ないよねと廃棄するしかない話ではあるのですが、特に稀にしか使わないが使用時には緊急性があり、そしてそれなりに高価であると言った薬の期限切れが迫ってくると、院内でも何とか使い切れないものかと工夫することはあるでしょうし、この辺りは飲食店などでその日使いたい食材からメニューを考えると言った話と似た感じなのでしょうか。
病院などによって使う薬の差はあるはずですから、病院間でうまく在庫のやり繰りが出来れば廃棄率は下がるのでしょうが、残念なことに現状でこうした行為は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で禁止されていて、大規模震災時などに例外的に許可が出る程度であると言うことです。
ただ院外薬局では自前で在庫のない薬を他の薬局から融通してもらうと言うことは認められているので、この辺り卸会社なり薬局なりが仲立ちをしてうまくやり繰り出来るような抜け道が出来ないものかですが、そもそも法律を改正して正当な行為として認めていただければそんな面倒もないのでしょうけれどもね。

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コメント

通常の8倍というのがレキップを初回から2mg錠を投与したという意味なら、控えめに言ってかなりユニークな使い方で(というか保険審査で切られて在庫処理の意味がないんじゃないかなぁ)、そういう使い方をする医者とは一緒に働きたくないですな。
こういう経営者の元からは、批判する暇があったら、とばっちり喰う前に逃げ出したほうがよいな。

投稿: JSJ | 2017年3月21日 (火) 08時54分

消費期限の近い薬を優先して使うというのはよくある話ではあります。今回のは露骨過ぎますけれど。
単科の精神病院でレキップ2mg錠ってのはあまり仕入れたいとは思いませんけれども、
仕入れざるを得ない状況があったのかもしれませんね・・・

投稿: クマ | 2017年3月21日 (火) 10時52分

医学的にも組織としても非常に問題は大きい事件で、勤務医以下スタッフがこうした場合どうすべきかと言う問題提起にはなりそうです。

投稿: 管理人nobu | 2017年3月21日 (火) 12時48分

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