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2017年2月24日 (金)

倉敷中央病院が都市伝説を真面目に検証

非常に興味深くもあり馬鹿馬鹿しいようでもあると言う話なのですが、先日こんなニュースが出ていたことをご存知でしょうか。

救急「引かないといいね」の裏目効果は(2017年2月20日国際医学短信)

 主治医が救急外来の研修医に対し「今日は引かないといいね(Hope you have a quiet day)」というねぎらいの声掛けにより、普段より多忙度が増したり、対応困難な症例に遭遇したりする機会が増えるのかを検討した初のランダム化比較試験(RCT)の成績が明らかになった(PLoS One. 2016; 11: e0167480)。この検討を行ったのは、倉敷中央病院総合診療科の副医長の栗山明氏らのグループ。

 論文では、「13日の金曜日」や「満月の夜」には患者が増えるといった、救急医療にまつわる都市伝説を紹介。他にも「今日は引かないといいね」と、救急担当医の激務をねぎらう言葉を発した途端に来院患者や入院が増えたりするといったジンクスもあると述べている。

 良かれと思った医療者の言動が、救急医療の現場では本当に裏目に出てしまうのか―栗山氏らは6人の救急専門医と25人の研修医を対象に平日の救急部門における救急外来来院例と搬送例に関する「今日は引かないといいね」の影響を単施設・評価者盲検によるRCTで検討した。前者はJinxes or Peps from Attendings〔J(^o^)PAN-1 Trial〕、後者はJ(^o^)PAN-2 Trialと名付けられ、それぞれ主治医が研修医に「今日は引かないといいね」と声掛けをした(介入)群81例と対照群88例の比較、介入群85例と93例の比較を実施。

 解析の結果、J(^o^)PAN-1 Trialにおける両群の当直中の外来患者数(介入群 vs. 対照群:5.5人 vs. 5.7人、P=0.48)、当直中の忙しさ(各群の5-point Likert scaleスコア:2.8 vs. 2.8、P=0.58)、シフト中の対応困難(各群の同スコア:3.1 vs. 3.1、P=0.94)に差はなかった。J(^o^)PAN-2 Trialでも同様に忙しさや対応困難の程度に両群の差はなかったが、介入群ではシフト中に対応した搬送患者の数が有意に増加していた(4.4人 vs. 3.9人、P=0.01)。論文では「主治医から研修医へのねぎらいの声掛けが裏目に出る効果(jinxing effect)は最小限と考えられた」と結論付けている。

ちなみにその元論文はこちらだと言うのですが、しかしこの明らかに遊んでいる風な顔文字入りネーミングのインパクトだけでも相当なものがありますけれども、そもそもこれを研究として成立させてしまったと言うのも面白い話だなと思いますね。
当然のことながら救急患者がどれほど来るか、重症か軽症かと言うことは病院の外での要因だけで決まってくる話であり、病院の中での医師同士の会話がそこに関与する余地はないはずで、有意差はなかったと言うのは当然と言えば当然の結果なのだろうと思います。
ただ一方でこうした都市伝説が成立してしまう背景と言うものが何なのかで、当然ながら同じような患者層を相手にしていても主観的な評価は異なってくるはずであり、今日は忙しくなるかも知れないと言う刷り込みがあればたまたま多忙だったに過ぎない場合でも、やはりあのひと言があったから忙しかったと強く印象づけられてしまうと言うことはありそうですよね。

山道で「この先事故多発」などと書かれた看板が立っている急カーブがあって実際に事故が多発している、憂慮した地元民が警告の効果が足りなかったのかと考えてさらに目立つ看板を立てたところ、ますます事故が多発するようになったと言う話もあるのだそうです。
種明かしをすれば目立つ看板に目を奪われ思わずよそ見した結果事故が起こっていたのだと言うことなのですが、○○の日は重大な医療事故が起こりやすいなどと言う都市伝説があったとして、それを意識しすぎた結果普段にはない対応をしてしまい、実際に医療事故を起こしてしまうと言うこともあり得るのかも知れませんね。
そう考えると都市伝説への最善の対策は何も知らない、何も気にしないと言う無知と無関心最強と言うことにもなりそうなのですが、人間心理として急患の殺到などと言う普段にないことが起こった場合、その戦犯捜しをしてしまうと言うのは避けられないことなのかも知れずで、都市伝説があるから何かが起こると言うより何かが起こった結果都市伝説が生まれていると考えた方がよさそうにも思います。

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コメント

井沢元彦あたりが聞いたら「言霊信者がココにも…」と頭を抱えそうな記事ですねえ。
もしこんな研究で本気で優位差が出ると予想していたなら、いっそ倉中の総合内科の先生方は
医療なんかやめて御幣を担いでる方がお似合いだと言うことになりますね。

投稿: | 2017年2月28日 (火) 15時47分

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