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2017年1月14日 (土)

サッカー試合中の負傷に賠償金判決

先日こんな記事が出ていたことが話題になっています。

サッカーで接触の相手が重傷、賠償命令に賛否(2017年1月13日読売新聞)

 社会人サッカーの試合で30歳代の男性選手の足を骨折させたとして、東京地裁(池田幸司裁判官)が昨年12月、相手選手に約247万円の賠償を命じた判決が波紋を呼んでいる。
 男性は、足に着けていた防具が割れ、左すねが折れ曲がる重傷だったが、選手同士が接触するスポーツにけがはつきものともいえる。「危険なプレーなら仕方ない」「選手が萎縮してしまう」。判決に対する現場の賛否は割れている

 「今も痛みがあり、小学生から続けてきたサッカーができなくなった。あのプレーが認められれば、子供に勧められる競技でなくなってしまう。危険なプレーを減らしたい思いだった」。今月7日、東京都内で取材に応じた男性は、訴訟に踏み切った理由をそう語った。
 判決によると、男性は2012年6月、千葉市で行われた東京都社会人4部リーグの試合に出場。センターライン付近でボールを右ももで受け、左足で蹴ろうとしたところ、走り込んできた相手の左足が男性の左足すね付近にぶつかった。
 審判はファウルをとらなかったが、男性が倒れ込み、試合は一時中断。男性は左すねの手術などで計約1か月間入院し、15年5月、「スパイクの裏側で故意に蹴られた」などとして、相手選手らに計約689万円の支払いを求めて提訴した。
 訴訟で相手選手側は「男性の足元から離れたボールに向けて左足を伸ばした。けがは予見できなかった」などと主張した。しかし、判決は「勢いを維持しながら左足の裏側を突き出しており、男性の負傷を十分予見できた」と指摘。「故意」は否定したが、「退場処分が科され得る行為だった」として過失責任を認定した。
 相手選手側は既に控訴。相手選手と代理人弁護士はいずれも「裁判中なので答えられない」としている。

 今回の判決は、現場や専門家の間でも注目されており、賛否両論が出ている。「選手生命を絶つほどのプレーなら仕方がない」(サッカー少年団の20歳代男性コーチ)、「サッカーは接触が当たり前。賠償を恐れれば、レベルが下がりかねない」(社会人チーム代表の40歳代男性)。
 判例などでは、賠償責任が生じるか否かは、〈1〉プレーがルールや常識の範囲内か〈2〉重大なけがの発生を予見し、回避できたか〈3〉競技者の「危険の受け入れ度合い」を上回ったか――などがポイントとなる。
 第一東京弁護士会のスポーツ法研究部会の部会長を務める合田雄治郎弁護士は「最近はスポーツを楽しむ権利が重視されてきたことを背景に、ルールの範囲内でも、注意義務違反があれば賠償責任を認める傾向にある。今回は、こうした流れに沿った判断だろう」と指摘。これに対し、スポーツを巡る訴訟に詳しい片岡理恵子弁護士は「賠償責任の認定は特に危険な行為に限定されるべきで、今回がそこまでの行為だったのか疑問だ。判決は負傷の程度を意識し過ぎたのではないか」と話している。

サッカーと言えば大きな怪我がつきものとは言え、時に相手にダメージを与えることそのものを目的にしているのではないかとしか思えない危険なプレイが見られるのも事実で、日本でもシドニーオリンピック予選での小野伸二選手が靱帯断裂の重症を負う原因となったタックルが未だに話題になったりもしますよね。
当の小野選手自身も後に「僕の中では、僕のサッカーを一番変えた一瞬」「今でも、『あれがなかったらなあ、どうだったんだろうなあ』と思うことは思います」と語っている通り、まさに人間一人の運命を変えた瞬間であったのかも知れませんが、このタックルにしても状況的に疑いが濃厚であったと言われることはあっても明確に故意であったと認定されたわけではありません。
今回の裁判にまでなったプレイも故意ではなかった裁判所が認めたと言うことですが、審判もファウルを取らなかったと言うことで実際に偶然による事故に過ぎなかったのか、それとも審判の目を欺くほどの頭脳的な悪質プレイだったのかは何とも言いがたいとしても、これが仮に故意による危険プレイであったと認定されていたならばここまで議論が盛り上がらなかったかも知れませんね。

許容される危険行為とはどこまでが含まれるものなのかと言う議論は競技のあり方そのものとも直結するものですが、サッカーなどはそれでも本来相手に物理的危害を加えてはならない競技ですからまだしもで、これがもともと相手を打ちのめすことを目的としている格闘技などになるとより話は複雑なものになりそうです。
結果が重大であったから問題なのか、危険と目される行為を行うこと自体が問題なのか、あるいは故意が疑われる行為であることが問題なのか、競技の性質によっても微妙に主眼点は変わってくるのだと思いますが、実際に規制として導入された実例に挙げられるプロ野球における危険球なども、導入当初は賛否両論あったものの最近はあまり議論になっていないようにも見えます。
その意味でこうした事例への対策によって競技そのもののあり方が変わったとしても、慣れてくれば案外普通に受け入れられるものなのかなとも思うのですが、しかしアマチュアサッカーでもこれだけの損害賠償が認められるとなれば、高給を取る有名プロサッカー選手であれば世間も反応せざるを得ないほどの巨額賠償金が命じられることになるのでしょうか。

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コメント

>賠償を恐れれば、レベルが下がりかねない

下がってどうぞ。どう考えたって玉蹴り遊びなんかより安全のが大事だろ?これだから筋肉莫迦は…。

>偶然による事故に過ぎなかったのか、それとも審判の目を欺くほどの頭脳的な悪質プレイだったのか

私は玉蹴り遊びで恩恵を被った事はなくそれどころか若干の害すら蒙ってますが、自動車には釣りその他でとてもお世話になってます。よって、世の中にとって、自動車のが玉蹴り遊びなんぞより遥かに重要なのは自明なわけですが、その自動車による交通事故だと「偶然による事故」でもそれなりに賠償金が課せられますし「悪質プレイ」ならムショにぶち込まれます。つーこって世の中にまったく必要がない玉蹴り遊びなんぞ一律死刑で結構w

萎縮する?レベルが下がる??そのくらいで萎縮したりレベルが下がったりするってことはオマエラの玉蹴り遊びに対する情熱とか世間の必要性はその程度ってことだろ消滅してよし!!!!!
…つか保険とかってないんですかね?

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2017年1月14日 (土) 09時45分

サッカーってのは建前としてはコーチの指示に従ってやるスポーツなので、チームに賠償を命じるのならともかく個人に賠償を命じるのはやや違和感を感じます。

・・・個人に賠償を命じたのはチームが保険にはいっておらず加害者?が保険に入っていたからなのかもしれませんが。

投稿: クマ | 2017年1月14日 (土) 11時44分

足の裏でいってる時点でアウト

投稿: | 2017年1月14日 (土) 11時57分

サッカーのレベル? チームで保険? 足の裏? 
個人が這い上がことができるために公認された見世物興行でしょ。
野球も相撲もプロレスも 謂わせてもらえば五輪もパラリンピックも同じこと。
人生を賭けるのなら保険でも掛けてやってくれ、としか言いようがない。
ルールすら訴訟で白黒つける時代だ。さぞかし弁護士先生のよい漁場になることだろう。
自分も政府やNHKに強制的に徴収された金をこんなものの「育成」に使われるのは嫌なんだが、見たいと思ってる奴も税金を出してんだから仕方がない、
せいぜい視界に置いておきたいと思っている。

投稿: | 2017年1月14日 (土) 12時43分

サッカーについては詳しくは存じ上げないのですが、別な競技では参加者の保険やドクター待機なども当たり前に行われていますので、相応のリスクがあることは皆承知の上なのではないかと言う気がします。

投稿: 管理人nobu | 2017年1月16日 (月) 19時22分

パワハラ企業に入社するのに精神障害の保険かけてない奴が悪い、とか
医者になるのに過労死の保険かけてない奴が悪い、とかそういう感じ?

投稿: | 2017年1月17日 (火) 09時05分

そういや医師の生命保険の勧誘は医師会から来るなあ

投稿: | 2017年1月17日 (火) 10時34分

この程度の判決で委縮する程度の人間ならサッカーなどやめてしまえばいい。

投稿: | 2017年1月21日 (土) 01時05分

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