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2017年1月30日 (月)

機械も間違えると言う当たり前だが困った事実

日本では移植用臓器は臓器移植ネットワークを介して公平公正に分配されると言うことになっていますが、先日その公平性を揺るがしかねないこんな事件が続いていると報じられていました。

臓器移植でまた斡旋ミス 患者2人、1000日以上移植受けられず 臓器ネット「システムに不備」(2017年1月27日産経新聞)

 日本臓器移植ネットワークは27日、昨年10月に導入した新しい移植希望者検索システムに不備があり、3例の脳死心臓移植で患者の選定ミスがあったと発表した。本来なら提供を受けられるはずの患者2人が移植を受けられず、2人は1千日以上にわたり移植を待機している。心臓移植での斡旋(あっせん)ミスは初めて。

 臓器ネットによると、26日午後、臓器提供の申し出を受けて、心臓移植の優先順位1、2位の患者がいる大阪大学病院に臓器ネットが移植希望の意思を確認したところ、「1位と2位が逆ではないか」と指摘を受けた。臓器ネットが調べた結果、NECネクサソリューションズが開発した選定プログラムにミスがあり、患者の情報が修正された場合の待機日数の再計算が正しく行われていなかった

 臓器ネットは平成26年、27年にも斡旋ミスをしており、門田守人理事長は「ミスを受けて導入した新システムで新たな誤りが発生した。患者や関係者におわび申し上げます」と謝罪した。


心臓移植3例誤選定 あっせん順位ミス計5例(2017年1月27日毎日新聞)

 日本臓器移植ネットワークは27日、昨年10月から今月19日までに行われた脳死臓器移植20例のうち3例で、心臓移植のあっせんを受ける患者の選定を誤り、本来優先すべき患者とは別の患者に移植していたと発表した。移植を受けられなかったのは2人で、1人は2度飛ばされたという。あっせん順位を誤るミスは2014年、15年の腎移植各1例に続き、計5例となった。
(略)
 昨年10月に導入し、移植を待つ待機患者の情報を入力したコンピューターシステムで、待機日数を計算するプログラムに誤りがあったのが原因とみられるという。他の臓器でも誤りがあったのかは不明。厚生労働省は移植ネットに対し、このシステムであっせんした事例の検証や再発防止策などをまとめるまでシステムの使用を中止し、原則手作業で選定するよう、臓器移植法に基づき指示した。

 心臓の移植患者(レシピエント)を選択する際の優先順位は(1)親族間(2)病状の程度(3)年齢(4)血液型の適合--で決まる。条件が同じ場合は待機日数が長い患者が優先される。

 移植ネットによると、今月26日に新たな移植患者候補を大阪大病院(大阪府吹田市)に打診した際、同病院が入院中の患者2人について「第1候補と第2候補の順番が逆ではないか」と指摘し、誤りが発覚した。移植ネットが待機日数を再計算したところ、病状の悪化などで患者情報を修正する際に、日数が二重計算されるプログラムミスが見つかった。門田理事長は「一刻も早く正常化し、信頼を回復したい」と陳謝した。【五十嵐和大】
(略)
 臓器のあっせんを巡っては、2014年11月、優先的に腎移植のあっせんを受けるべき患者に対し、提供を受けるか意思確認しないミスが発生。15年3月にも、コンピューター端末の操作を誤り、腎移植の優先順位が高い患者を飛ばすミスが生じている。
(略)
 今回の原因について、移植ネットはプログラムミスとみているが、システムは15年に起きた人為的なミスを反省して導入したもの。より慎重な扱いが求められるはずで、システムの運用に当たる移植コーディネーターがなぜミスに気づかなかったのか疑問だ。移植ネットの関順一郎専務理事は「人為的なミスの可能性も含めて検証する」と話している。【五十嵐和大】

しかし条件を見る限り移植の優先度とはそこまで複雑なシステムがなければ判断がつかないものなのかですし、ひと目見てミスだと判る程度の不具合なら事前にチェック出来たのではないかと言う気もするのですが、記事から見る限りでは非常に初歩的なプログラムのミスと言う気がします。
臓器ネットでは2014年、2015年にもやはり同様の選定ミスがあったのだそうで、それに対する対策を講じたはずがまた新たにシステムに由来するミスが発生したと言うことですから、これは責任問題にもなりかねない話ですが、ではこの場合開発したNECネクサソリューションズが頭を下げればいいのかと言う話でもなさそうです。
聞くところでは2015年の選定ミスにおいても今回とほぼ同様のデータが反映されないことからの順位付けの間違いであったそうで、その理由としてデータを入力したあとプログラムを立ち上げ治さなければデータが反映されない仕組みであったからだと言うのですが、素人目にも何故そんなプログラムでよしとしていたのか、改良するにあたって何故肝心の部分を改善しなかったのかと疑問が残る話ですよね。

今回の報道でメディアの皆さんは移植ネットの人為ミスだ、移植医療の信頼性を揺るがせる大事件だと盛んに報じられていますが、元を正せば人間の起こす人為ミスのリスクを引き下げるためのシステムにこうまで初歩的な誤りがあったことが問題だと言う気がします。
医療ミスと言うものは多くが人為的ミスとして発生するもので、特に人間にありがちな思い違いやうっかりがしばしば重大な結果を招くと言うことについては機械による自動チェックが相応に有効なはずですが、当然ながらそのシステムの立ち上げに際しては念入りなチェックが必要であるはずですね。
もちろんプログラムに不備があったとしても人間の目で確認していれば、今回のように明らかにおかしいと判るケースもあるのでしょうが、そもそもきちんとデータを入力すれば正しい結果が出ると言う大前提があってのプログラムであって、その部分が怪しくて信用出来ないから人力に頼ると言うのは本末転倒である気がします。
それなりにお金も使って開発されただろうシステムでこうまで単純なミスが起こると言うのもお金を出す側にとってはやっていられないと言う話でしょうが、さてこうしたケースの再発防止策として何がいいのか、お金と人手が存分に使えるのであれば複数のシステムを同時並行で稼働させてダブルチェックと言ったことも考えられるのでしょうけれどもね。

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コメント

今回の件も含めて、日本臓器移植ネットワークでこのようなミスが続くのは
「担当者が空欄や適合度を確認しなかった」のではなく「担当者に確認できるだけの知識・能力がなかった」のではないかと心配しています。

余談ですが、私の勤務する病院の電子カルテも頻繁に端末の再起動を要しますので、そういうプログラムはよくある話なのかもしれません。

投稿: クマ | 2017年1月30日 (月) 09時20分

スタンドアロンの時代と違って色々と難しいのだろうとは思いますが、こういうところに一番気を使っていただきたいと思います。

投稿: 管理人nobu | 2017年1月30日 (月) 12時30分

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