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2017年1月23日 (月)

必ずしも下手な人の証明にはならない気もしますが

医療現場において日常的に行われていることでありながら、あまり深く考えてこられなかったあの行為について先日こんな記事が出ていました。

もう怖くない痛くない! 「採血がヘタな人」を一発で見分ける3つのポイント(2017年1月19日livedoorニュース)

できれば上手な人に採血して欲しいと思いませんか? 採血が下手な人が一発でわかる方法を麻酔科医がご紹介します。
採血は、痛い医療行為です。嫌だけど採血しなければならない場合、できれば上手な人に採血して欲しいと思いませんか? 2万例の臨床麻酔実績を持つ筆者が考える、採血が下手な人が一発でわかる方法をご紹介します。

採血が下手な人の3つの特徴
1.駆血帯(くけつたい:腕をしばるゴム)をきつくしばる人
2.針を刺す部位を、手でパチパチたたく人
3.いったんアルコール綿で消毒したにもかかわらず、針を刺す直前にもう一度、指先で触って血管を確認する人

次に、なぜこの3つのポイントで採血が下手かどうかわかるのか、ご説明します。

●1.駆血帯(くけつたい:腕をしばるゴム)をきつくしばる人
駆血帯をきつくしばると、静脈だけではなく動脈血まで血流を落としてしまい、うまく血管が盛り上がってきません。採血に自信がないから、駆血帯をきつくしばって血を逃さないようにしているつもりでしょうが、動脈まで圧を落としては、本末転倒です。

●2.針を刺す部位を、手でパチパチたたく人
腕は駆血帯でしばられているので、酸素が細胞に十分行き渡っていない状態です。ところが、酸欠の状態で針を刺す部位を手でパチパチたたくと、血管をたたく刺激によって血管内にブラジキニンなどの血管収縮物質が放出されます。採血は血管を太く保ったほうが成功しやすいので、手でたたく行為は自分で失敗する可能性を上げています。

●3.いったんアルコール綿で消毒したにもかかわらず、針を刺す直前にもう一度、指先で触って血管を確認する人
ほとんど、これはクセです。せっかく消毒しても、自分の指先のばい菌で不潔にして穿刺する行為に気づいていない人がとにかく多いです。自分が針を刺す直前まで血管の走行を確認したい気持ちはわかりますが、これではアルコール消毒の意味がありません。

麻酔科医が考える採血の成功法則
麻酔科医の最も重要な仕事の1つに、血管確保があります。血管確保とは、体内に薬や水分が送り込まれる点滴などを確保する医療行為です。たとえそれが400gの赤ちゃんで極細の血管しかなかろうが、大量出血のショック状態で血管がぺっちゃんこになった方であろうが、点滴ルートを正確に確保するのが麻酔科医の仕事です。麻酔科医が血管確保できないことは、命の敗北を意味します。そんな麻酔科医である筆者が考える採血ポイントは、たった1つです。

「採血行為の前に、最高の血管を捜すことに最大の注意を払う

どの血管を選ぶかで、採血の成功率は大幅に変わります。1回目には、その方の最高に採血しやすいと考えられる血管を選んで針を刺しているはずなのですから、失敗したら最初の血管より採血成功率は下がっていきます。最初の1発で採血に成功するために、腕の表、裏をくまなく調べ、刺す前に一番いい状態の血管を探すことが最大のポイントです。
(略)

ちなみに管理人の中の人はなかなか血管が当たりにくいのだそうで、右、左、右…と交互に刺された経験もあるようですが、たまのことならまだしも年中採血をされている患者さんにとっては死活問題で、出来ることなら下手な人には当たりたくないと言うのも本音ですよね。
記事で言っていることはそれぞれに正論で、特に「最高の血管を捜すことに最大の注意を払う」とは全く同意なのですけれども、しかしこれらをやっているから採血が下手なのかは必ずしも相関関係が明らかではない部分もありますし、後々のことを考えて敢えて最高の血管は温存しておきたくなることもあるだけに難しいものです。
ただそれ以前に記事を読んでいて気になった点としていずれも日常的によく見かける行為であるにも関わらず、理屈の上では間違っているとも言える行為が今日に至るまで蔓延していることを誰もおかしいと思わないのか?と言うことで、何事もエヴィデンスが第一と言う今の時代にあって何とも奇妙な話に聞こえますよね。

例えば血管を叩くと言う行為は血管を怒張させると言うよりも見えやすくする効果があると言う説があるそうですが客観的根拠に乏しく、記事にもあるようにむしろ逆効果であるだけでなく組織障害によってカリウムなどの検査値も変わる可能性があると指摘されていて、少なくとも現代医療の考え方ではこれは否定されるべき行為となるはずです。
エヴィデンスが乏しい、あるいは科学的に好ましくない行為は止めましょうと言うのは今の医学では当たり前の考え方で、当然そうした知識のアップデートは日常的に求められているにもかかわらずそれが未だに行われている、しかも大ベテランの看護師に限らず若手においても行われていると言うのは、経験主義や個々の努力に未だ依存している看護教育の問題点とも言えるかと思いますね。
この辺りは昨今よく使われる採血練習用のダミーでは身につくはずもないことで、現場で身近な先輩の行為をみて覚えていくことなのだと思いますが、もちろん手技的なことに関しては座学的知識だけで身にはつかず経験的要素も色濃いとは言え、やはり最低限やるべきではない行為はやらないと言う教育は必要でしょう。
採血などは相手もいる行為だけに、隣で口を出し手を出して手取り足取り指導しながら覚えさせると言うのも現実的に難しいと思いますが、この辺り日頃から看護研究に専念されている大学病院のエライ看護師の皆様方が、きちんと実臨床の現場でも役立つ実用的な形で今日的な教育方法をまとめていただければと思うのですけれどもね。

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