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2017年1月27日 (金)

医療の未来はAIが変える?

本日の本題に入る前に、先日こんな興味深いニュースが出ていました。

人工知能が人工知能をプログラムする時代がやってきた(2017年1月20日テッククランチ)

プログラムをプログラムするのは誰か? 近々、人間ではなく別の人工知能プログラムが高度な人工知能プログラムを書けるようになるという。MITのレポートによれば、Google Brain始め機械学習ソフトを開発している多くの組織でこのことが確認された。人工知能によって作成された人工知能プログラムの性能が人間が開発したプロダクトと同等であるか、場合によっては上回わっていたという。

すると機械学習プログラムを書けるデベロッパーでさえ失業の危険にさらされるのだろうか? 早まってはならないが、そういうことではない。まず現状では人工知能に人間に役立つ機械学習プログラムを書かせるためには膨大なコンピューター処理能力を必要とする。Google Brainにおける「人間以上のプログラム」を書かせる実験では人工知能に画像認識プログラムを書かせるために画像処理能力があるプロセッサを―なんと!―800台も協調作動させる必要があったという。これは安くつく話ではない。

しかしこうした手法の優位な点もはっきりしている。必要なコンピューター・リソースを減少させるための開発も進んでいる。機械学習の開発を機械まかせにできるとなれば、この分野における人的資源の不足という問題を根本的に解決できるだろう。現在スタートアップや大学は少しでも機械学習分野の知識がある人材を獲得しようと激しく争っている。また膨大なデータをコンピューターに読み込ませてパラメーターを調整して機械学習システムを訓練するという退屈な仕事をコンピューター自身に任せることができるなら、研究者は人間にとってもっと役立つ、あるいはもっと重要な分野に集中できる

AIが別のAIをチューニングすることには別のメリットもある。現在のAIシステムの学習曲線はかなり急だ。つまり意味のある結果を得るためには最初に大量のデータを必要とする。AIによる機械学習の改良が実用化されれば、当初必要とされるデータ量を大きく減少させることができるかもしれない。自動運転システムにも影響が大きいだろう。自動運転車の開発の場合、プロトタイプで延べ100万キロも走り回ってやっと実用化の入り口にたどり着いたかどうかというのが現状だ。

MITのメディアラボでは他の機械学習ソフトを利用できるソフトの開発をオープンソースで公開している。将来はあらゆる産業分野でコンピューターによって人工知能をプログラミングすることが主流となっていくはずだ。

AIの専門家は機械学習システムの構築には人間の努力が大量に必要であることを指摘するだろう。それは正しいが、同時にそうした努力の一部分であれ、機械に肩代わりさせることができれば影響は大きい。機械学習システムの開発のハードルが大きく下がるはずだ。自動運転システムを含め、数多くの分野でAIを利用したプロダクトが市場に出るだろう。しかし同時にAIの普及が人間の努力を不要にするとかあらゆる分野で失業を増やすといった不安が根拠のないものであることも明らかだ。

人それぞれに色々と感じるとことはあるニュースだと思いますが、技術的にそれが可能であると判っていることは技術的進歩によって早晩容易に行えるようになるのが一般的ですから、現時点ですでにリソースさえつぎ込めば可能であると言うことであれば近い将来スマホやタブレットレベルの道具でも容易に可能になるのではないかと言う気がします。
古来様々な議論のある生命の定義と言うものに関して、再生産が可能である(遺伝と生殖)と言うことはかなり一般に認められた主要な条件の一つではないかと思うのですが、人間の作り出した人工知能もまた再生産が可能になっているばかりか、進化すらも出来るようになってきたと言うことでしょうか。
いずれにせよ条件を限定した環境においてすでに人工知能の能力は人間を上回ることは明白になったと言える時代ですが、では医療と言う極めて不確実性に富んだ世界においてそれがどの程度のレベルに達しているのか、先日こんな記事が出ていました。

人工知能に「患者がいつ死ぬのか」を予測させることが可能に(2017年01月18日Gigazine)

さまざまな分野で活躍するようになってきた人工知能(AI)関連技術は、医療分野でもそのポテンシャルを示しており、Googleが開発したディープラーニング技術が糖尿病にともなう眼疾患の早期発見において専門医を上回る成果をみせるなど、早くも人間を超える成果を示しています。そんな中、AIに患者のデータを機械学習させることで心疾患で死亡する確率を予測させる研究が行われており、大きな注目が集まっています。

イギリス国立医学研究所の研究チームが、AIに血液検査の結果と心拍数を分析させることで「患者の器官に悪化の兆候がないか」を調べるという取り組みを行っています。同研究は放射線医学の学術誌であるRadiologyで公表されており、研究チームは「この技術により、患者の積極的治療を行うべき場所を早期発見することが可能になり、これが患者の命を救うことにつながるかもしれません」と語っています。

MRC London Institute of Medical Sciencesの研究者が肺高血圧症の患者について調査をしていたところ、肺高血圧により心臓の一部を損傷した患者のおよそ3分の1が5年以内に死亡していたことが明らかになりました。この症状に対する治療方法は薬の投与や肺移植などいくつかあるのですが、医者は患者の症状を正確に把握して治療方法を選ぶ必要があります。

そんな時に目を付けられたのがAIと機械学習でした。AIに256人分の患者の心臓のMRIスキャンデータと血液検査結果をインプット。それぞれの心臓の鼓動を約3万箇所から測定し、さらに患者の8年分の健康状態を入力することで、AIは患者の異常を予測し「患者がいつ死ぬか」をはじき出しました。このAIは5年後までの症状を予測でき、1年後に誰が生きているかは80%の精度で正確に予測可能です。なお、同じ予測を医者に行わせた場合、その精度は約60%とのことで、部分的にではあるものの既にAIの方が正確に患者の未来を予測できる模様。

同研究に携わった人物のひとりであるデクランン・オリーガン博士はBBC Newsに対して、「AIは個人個人の治療を細かく調整可能にします。多数の異なるテストの結果を取ることで、個々の患者に起こるであろう未来の症状を正確に予測可能となります。そして、患者は体に負担の少ない最も適した治療方法を選べるようになるわけです」と語っています。なお、研究チームは現在異なる病院の異なる患者を対象にAIの精度を検証する計画を立てており、また、心筋症のような他の心臓病でもAIを用いた予測が有効なのではないかと考えているそうです。

イギリス心臓病支援基金のマイク・ナプトン博士は「今回のようなAIの使用方法は、将来的に医者が患者に正しい治療方法を適用するための手助けになる」と評価。さらに、「次のステップはこの技術をより多くの病院でテストすることです」と現場への投入を期待するコメントをしています。

タイトルにあるように人間の寿命を正確に予測出来たところでそれが何だ?と思われるかも知れませんが、寿命を知ることが出来ると言うことは条件を変えながらより長く生きる道を比較検討出来ると言うことであって、すなわち最も効果的な治療法を見いだすことが出来るとも言えるかと思います。
まさにこうした行為は囲碁や将棋の世界で行われている先読みと全く同じことだと言えそうですが、この点で興味深く思われるのは囲碁や将棋でAIとプロ棋士が対戦した場合、しばしばAI側が一見自らが不利になるだけの悪手とも言える手を打ったり、それにどんな意味があるのかが判らない手を打ったりする、ところが最終的にはAI側が圧勝していると言うケースが見られることです。
一流のプロが集まって検討しても一体何がどうなっているのか判らないと言う場合もあるそうですが、医療においても人間が考えも付かなかったようなやり方で意外な効果を発揮する治療法が見つかると言ったことがあるのかどうか、またそれを一般化していく過程で人間にとっての新たなエヴィデンスが見いだせるのか等々、様々な応用も期待出来そうだと言うことでしょうね。

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コメント

>しばしばAI側が一見自らが不利になるだけの悪手とも言える手を打ったり、それにどんな意味があるのかが判らない手を打ったりする、ところが最終的にはAI側が圧勝していると言うケースが見られることです。

これまでの創作ものだと、逆パターンで人間が機械を出し抜くってのが定番というかお約束だった筈ですが…ねえw?

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2017年1月27日 (金) 11時39分

機械の側からすると人間の行動が読めないという事ですので、自動運転などでは思いがけないトラブルにつながるのかも知れませんね。

投稿: 管理人nobu | 2017年1月27日 (金) 12時45分

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