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2016年12月26日 (月)

開業産科医のみに留まらない、訴訟沙汰にもなりかねないトラブルへの対策

医療訴訟と言えば昨今全く珍しくはありませんが、こちら民事ではなく刑事での訴訟になる可能性があるとして話題になっていたニュースです。

ガーゼ放置疑い書類送検へ 北九州の院長、福岡県警(2016年12月20日共同通信)

 北九州市小倉南区の産婦人科医院で、帝王切開で出産した女性(34)の体内にガーゼを放置して腹部を炎症させたとして、福岡県警が業務上過失傷害の疑いで、院長の男性(63)を来年1月にも書類送検する方針を固めたことが19日、分かった。院長は容疑を認めており、共同通信の取材にも「確認を怠ってガーゼを体内に残してしまい、申し訳ない」と話した。

 捜査関係者によると、院長は2012年4月、帝王切開手術で次男を出産した女性の体内にガーゼ1枚を放置、再び開腹手術をしなければいけない状態にした疑いが持たれている。

 女性は帝王切開手術の約2週間後、腹部の痛みを訴え、搬送されたy別の病院でガーゼを取り出した。ガーゼは約25センチ四方で、手術の際に止血に使われたものとみられる。

 女性は今年2月、福岡地検小倉支部に告訴状を提出したが、その後取り下げ、あらためて県警に被害届を出した。院長に損害賠償を求める訴訟も福岡地裁小倉支部に起こしている。

一般に告訴は必ず受理すると言う決まりですが被害届は捜査にかかるかどうか何とも言えないもので、順序として告訴状を取り下げ被害届を出すと言うことに何か理由があるのかですが、実際には告訴するには証拠等かなり整った状態でなければ受け付けてくれないのだそうです。
起訴と書類送検とでは全く話が違うと言うことには注意する必要がありますが、いよいよ過失が刑事罰に問われる時代が来るのかと不安視する声が多数挙がっている一方で、ガーゼの取り残しと言う未だにしばしば起こる事故が対象であると言うことが気になった方も多いようです。
ちなみに確認を怠ったと言うことがどの程度の過失に相当するのかが問題ですが、今の時代ガーゼカウントは当然で場合によってはレントゲンによる確認も普通に行われている時代ですから、ごく当たり前のことをやっていなかったと言うことであれば昨今の医療訴訟の傾向として問題視される可能性はありますよね。
他方では一般的な注意を払っていなかったと言うだけで通常告訴状までは出ないのではないかと言う指摘ももっともなのですが、事実そうであれば民事訴訟で十分勝てそうであるにも関わらず4年前の事故で今も民事で係争中であり、それにも関わらす゛今になって刑事にも訴えると言うことが鍵ではないかと言う声もあるようです。

刑事民事を問わず訴訟沙汰にならないに越したことはありませんが、先日は愛媛で同じ開業産科医が短期間に周産期の死亡トラブルを繰り返していたと報じられていて、地元医師会は医療ミスではなかったと言う認識を示す一方で、産婦人科医会がこうした事例は今後直接個別の指導に乗り出すとも報じられていました。
具体的には単に助言や指導をするに留まらず、技量不足の医師には母体救命処置などの研修を促していくと言うなかなかに直接的なものであるらしいのですが、そもそも開業したりで医師として独り立ちしてしまえば基本的にはその技量や知識を客観的にチェックされる機会はないもので、技量不足はもちろんのこと何十年も前の知識のまま医療を行っている先生もいらっしゃるかも知れません。
もちろん誰しも自分の専門分野に関しては知識のアップデートくらいは行っていそうですが、医師が患者を選べない以上いつ何時専門外の患者を診ることになるか判らないのは当然ですが、このところ専門医資格の取得や維持が厳格化されると言うことばかり注目されていると言うのは、言ってみれば専門医資格が欲しければ○○しろ式の誘導を行っているとも言えます。
他方で専門医資格に興味のないその他大勢の医師は何らルールもなく放置されているとも言えますが、むしろ世間的には全ての医師が最低レベルの知識や技量を持っていると言う担保の方が必要性を感じられているのかも知れずで、専門医の取得や維持をあきらめる医師が増えてくるだろう時代に今後制度的にどういったものが望ましいのかですよね。

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コメント

ガーゼカウントは単なるルーチンワークでしょ。
うっかり忘れちゃったは通用しないかと。

投稿: ぽん太 | 2016年12月26日 (月) 08時41分

予定外の手術で緊急にスタッフを呼び出して行うといった場合、どこまでルーチンワークが完璧にこなせるかは基幹病院でも難しい部分はあるかと思います。

投稿: 管理人nobu | 2016年12月26日 (月) 13時49分

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