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2016年12月15日 (木)

衝撃!?多くの高齢者は自分の運転を安全だと考えている

高齢ドライバーの運転が危ない、とは必ずしも言えないのかも知れませんが、自己認識についてはかなり危ない様子であると言うこんな記事が出ていました。

認知症ドライバー事故で「家族は崩壊」 ヒヤリもハッともしない夫…免許返納を断固拒否(2016年12月11日産経ビズ)

(略)
 長年、在宅介護のケアマネージャーを務めているMさんは、かなり昔から高齢ドライバーによる事故が増えることを危惧していたと言います。
 「私が担当する利用者さんのなかには、認知症のような症状が出ているにもかかわらずクルマの運転を続けている方が数名います。身体機能や言動を見ると、ハンドルを握るのは危険だと思わざるを得ません。で、ご家族に注意を促したり、ご本人にも『そろそろクルマの運転は卒業されたらどうですか?』と気分を害さないように気を遣いながら言ったりするのですが、聞いてくれないんですよね。幸い、その方たちは今のところ重大な事故は起こしていませんが、そんな現実を見ていると正直言って怖い。私自身、クルマを運転する時や道を歩く時は、そうしたドライバーがいることを想定して注意を払うようにしています」

 Mさんによれば、認知症の兆候が出ていても、それを自覚していない人がほとんどだそうです。最初に異変に気づくのは身近にいる家族。心配になって専門医に受診を勧めても、ほとんどの場合は拒否され、激怒されたという話を聞くことが多いそうです。
 厚生労働省の発表によれば、65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症患者とのこと。しかし、これは医師から認知症と診断された人の数であって、認知症の疑いがあっても受診を拒否している人を含めれば、その割合はもっと多くなるはずです。そういう人たちの多くがハンドルを握っていることになります。

 Mさんは、要支援1の認定を受けたにもかかわらず運転を続けているある男性高齢者の奥さんから、次のような相談を受けたことがあるといいます。
 「その方(男性高齢者の妻)はご自分でも運転をされるのでわかるそうなのですが、ご主人が運転する車の助手席にいると、以前はほとんどなかった“ヒヤリ・ハット”が最近増えてきたというんです。普通はそういう事故寸前のミスがあると、気を引き締めますよね。ところが、ご主人はヒヤリもハッともしている様子はない。それが怖いと。そんなこともあって運転免許の返納を提案したのだが、聞く耳を持たないそうなんです」
(略)
「自主返納者の多くは、今の自分と向き合い、衰えを感じる部分があれば謙虚に受け入れることができる人、そしてクルマの便利さや楽しさだけでなく、その一方にある事故のリスクも考え、どちらをとるべきか冷静に判断できる人だと思うんです」(Mさん)
 つまり……、周囲が今すぐにも免許を返納してもらいたいと思っている肝心の認知症ドライバーは、ほとんど含まれていないのではないか、とMさんは言うのです。
 「私が見てきた認知症の疑いがあるドライバーは例外なく自分を客観視できず“オレは大丈夫だ”と思い込んでいました。また、プライドが高く、弱みを見せられない、人の指図は受けないという意識が強い。だから、何の逡巡もなくクルマの運転を続けるわけです」(Mさん)
(略)
 また、取り調べで認知症が判明すると、家族が監督責任を問われることがありますし、被害者に対する負い目や賠償の問題が重くのしかかることになります。頼みの綱の自動車保険も認知症が判明すると保険金が全額出ない可能性があるそうです。
(略)

このヒヤリもハッともしないと言うのはなかなか言い得て妙な表現だと思ったのですが、確かに高齢ドライバーの運転を見ていると危機認識能力に大きな問題があり予測が不十分であると言うこともさることながら、現に発生している危機的状況を把握していないのではないかと思われるケースが多いように感じられますね。
唐突に割り込みめいた状況で他の車の前に飛び込んだ結果、後続車両が急ブレーキを踏むような状態であっても全くそしらぬ顔で走っている軽トラックなどはちょっと田舎にいけばいくらでもいるものですが、単純に周囲への観察力や状況判断力が劣っていると言うだけでなく、こうした行為が危険なものであると言う認識自体欠けているのかも知れません。
これらは年齢による脳力の劣化の結果なのか、それともこの年代の方々に共通するものの考え方のせいなのかは何とも言えませんが、高齢者の自己客観視脳力の欠如を示す、こんな興味深く空恐ろしいようなデータもあるようです。

なぜ?自信過剰の高齢ドライバー 衝撃データ…老いるほど強気「自分は大丈夫」(2016年12月9日産経新聞)

 自らの老いを認めたくないのか、それとも、本当に腕に自信があるのか-。高齢ドライバーによる事故が相次ぎ、社会問題となる中で、「自分は大丈夫だ」と自信を持つ高齢者が、年を重ねるごとに増えるとする衝撃のデータがあるのをご存じだろうか。60代、70代で5割、80代では6割を超える。一方で家族は運転能力の衰えを懸念し、意識の「ギャップ」は鮮明になっている。公共交通機関が手薄な地域では、生活の足として車が欠かせない現実も存在する。高齢ドライバーの対策は待ったなしだ。(細田裕也)

 岩手県立大の元田良孝名誉教授(交通工学)らは平成20年、盛岡市に住む65歳以上の高齢ドライバーとその家族約1千人を対象に、安全意識などについてアンケートした。
 《安全運転に自信はありますか》 この問いかけに対し、全体の55・4%が「ある」と回答。だが、年代別で区切ると、不可解な“逆転現象”が浮き彫りになった。それによると、「自信あり」と答えたのは、60代では53%だったが、70代で55・7%と微増し、最高齢の80代以上では63・2%に増加した。加齢による認知機能をはじめとした身体能力の低下は、科学的にも明らかになっている。にもかかわらず、老いれば老いるほど、自らの運転に自信を持つという傾向があるという結果が出たのだ。
 一方で同居家族の不安は尽きない。調査では、80代以上のドライバーがいる家族の20%が「(運転が)とても不安」と回答。年代が上がるほど、家族の不安は大きくなっていた。こうした意識のギャップはなぜ生じるのか。元田氏は「運転に自信のない高齢者が免許を返納するため、自信のある高齢者しか残らないから数値が増えるとの説もあるが、私は違うと思う」と指摘。「やはり、自らの衰えを認めたくないから、強気な回答をするということだろう。私も65歳になり、高齢者の仲間入りをしたのでその気持ちはよく分かる」と語る。8年前の調査だが、傾向は今も変わらない。「各種の意識調査でも同様の結果が出ている」(元田氏)という。
(略)
 「『これまでの習慣を変えたくない』『バスや電車に頼る不便な生活はいやだ』との理由から、何歳になっても運転にこだわる高齢者は必ずいる。運転が生きがいになっている人もいるはずだ」と元田氏。しかし、そうした高齢者の運転を危険視する声は社会に根強く、「どこかで折り合いをつける必要があった」と指摘する。自動運転技術であれば、「自分のペースで運転したい」という高齢者の思いをかなえるだけでなく、安全面での課題もクリアできるはずだ。元田氏は「現行のオートマチック車限定免許のように、高齢者向けに、自動運転車限定の免許をつくるなどの対策も必要ではないか。悲惨な事故を防ぐためにも技術開発が急がれる」と話している。

高齢になるほど自分の運転に自信が出てくると言うのは経験値の蓄積が自信につながっていると受け取れなくもない話ですが、もちろん客観的な判断で80代の運転の6割が安全などとはとても思えない話ですから、やはり自己客観視の能力が年齢を重ねるにつれて衰えていくとも解釈出来そうな話だと思えます。
ただ一応の解釈を加えてみますと、高齢者の免許自主返納は確実に増えているのだそうで、多少なりとも不安を感じている人は免許を返納するなり車に乗ることをやめるなり自主的に対策も進めているでしょうから、今現在も車を運転している高齢者はそうした認識が乏しく自信過剰であるから運転を続けていると言う意味では、そもそも調査にバイアスがかかっている可能性はありますよね。
とは言えこうした高齢ドライバーがどんどん増えてくれば世の中不安が増していくのも確かですから、どこかで何とかしなければならないと言うのが現在の社会で次第に共通認識になってきているのだと言えますが、免許の自主返納や運転禁止などの対策にも限界があると考えると、ひとまず優先的に普及を急ぎたいのが自動運転や運転補助の技術であると言えそうです。
この辺りは高齢者自身にとっても利便性を向上させる技術でもありますから、導入コストの問題さえクリアできれば何ら問題なく普及していくと思えるのですが、国や自治体も金銭的な面でのサポート充実はもちろんのこと、視力異常などと同様に条件を限定した免許の導入などは確かにあってもいいのではないかと言う気がします。

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コメント

高齢者は免許更新に実技も入れるべき

投稿: | 2016年12月15日 (木) 10時01分

本来高齢者が一番door-to-doorの交通手段の必要があるだけに、規制強化をするならそれ以上の利益供与も必要なのでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2016年12月15日 (木) 12時25分

>高齢者は免許更新に実技も入れるべき

免許取得以来数十年ペーパードライバーだった後期高齢者の親父が更新時運転させられて冷えた、っつってましたから既に導入されてるっぽいですね。
*なおなんなくクリアーした模様。すなわち限りなくザルw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2016年12月16日 (金) 10時49分

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