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2016年12月27日 (火)

事件に巻き込まれた遺体が病院まで運ばれて来た結果

先日報じられていたのがこちらの事件なのですが、まずは記事から紹介してみましょう。

病院に運び込まれた暴力団関係者?死亡 数人の男ら立ち去る 神奈川(2016年12月20日産経新聞)

 20日午前3時10分ごろ、神奈川県伊勢原市田中の「伊勢原協同病院」で、当直の職員から「数人の男らが病院に運んできた男性が心肺停止状態だ」と県警伊勢原署に通報があった。男性の顔には殴られたような痕があり、間もなく死亡が確認された

 男性は40代とみられ、ジャンパーにスエットを着用していた。所持品などから暴力団関係者とみられる。男らはそのまま立ち去っており、県警は男性の身元の特定を急ぐとともに、男らが何らかの事情を知っているとみて行方を追っている。

 同署などによると、男らのうち1人が病院の受付を訪れ「けんかした人を連れてきた」と当直職員に伝えた。職員が男に連れられ病院入り口付近へ向かうと、外に車が止められており、車内で倒れている男性を発見。車内には複数の人物がいたが、職員が院内からストレッチャーを持って戻ると、男性は入り口付近に横たえられており、男らの姿はなかったという。

「倒れて動けない」病院訪れ、駐車場に男性放置(2016年12月21日読売新聞)

 20日午前3時10分頃、神奈川県伊勢原市田中の伊勢原協同病院の駐車場で、指定暴力団稲川会系3次団体の無職池永信也組長(58)が死亡しているのを病院職員が発見した。

 棒状のもので顔を何度も殴られた傷があり、県警が傷害致死事件として捜査している。

 発表によると、同日午前3時頃、男が「人が倒れて動けない」と病院を訪れ、職員が車の中で倒れている池永組長を発見。搬送のためいったん病院に戻る間に、男は車ごといなくなり、池永組長が放置されていたという。指定暴力団住吉会系組員とトラブルになっていたとの情報もあり、県警は男が何らかの事情を知っているとみて行方を追っている。
(略)

顔負傷の稲川会系組長死亡、伊勢原の病院に置き去り(2016年12月20日日刊スポーツ)

 20日午前3時ごろ、神奈川県伊勢原市の伊勢原協同病院で、男が「けんかをした人を運んできた」と受付に届け、車で走り去った。顔を負傷した指定暴力団稲川会系傘下組織の池永信也組長(58=横浜市保土ケ谷区)が玄関前に放置されており、間もなく死亡した。

 県警は、暴力団同士のトラブルの可能性があるとみて、傷害致死事件として調べている。

 一方、20日午後1時ごろには東京都新宿区のビル1階に入る運送会社の事務所シャッターに、拳銃で撃たれた痕が3カ所あるのを警視庁新宿署員が確認。警視庁は銃刀法違反容疑で捜査を始めた。このビルには指定暴力団住吉会系の組事務所が入居しており、警視庁と神奈川県警は伊勢原市の事件との関連を調べている。

 県警によると、池永組長は顔などに棒で殴られたような傷があった。同県茅ケ崎市で池永組長の車が見つかり、車内と路上に血痕が残っていた。男は病院の職員が担架を取りに行った間にいなくなっていた。(共同)

記事毎に微妙に表現が異なっていることに留意いただきたいと思いますが、いつどこで誰が死亡を確認したのかと言うことがポイントになりそうですね。
病院の表にいきなり患者を放置され、しかもすでに亡くなっていた、しかも調べて見ればどうやら暴力団同士の抗争が関係している事件だったらしいと言う、もはやどこから突っ込んでいいものやら判らないような話なのですが、しかしわざわざ病院の軒先まで運んできたと言うのはちょっとした優しさだったのか、何かしら意味があることだったのでしょうか。
この場合明らかに外表面に異常があるわけですから、医師法21条に言うところの異状死として警察に届け出なければならないのは当然なのですが、日常的にDOAの患者を多数受け入れているような施設の場合明らかに死後硬直を来していたり等々、それはDOAではなく検死案件だろうと思われるようなものまで運び込まれ時々トラブルになっていることがありますよね。
一般的に検死の場合は警察から地元の医師に検案の依頼が行くものだと思いますが、地域や時間帯によって依頼すべき医師がつかまりにくい等々の事情がある場合、病院で死亡確認してもらえば面倒が減ると言う考えもあるのかも知れずで、時に病院に入れる、入れないで救急搬入口の外側で揉めていると言った場合もあるようです。

ただ今回のニュースを見ていて思ったことに、こうした異状死の場合病院内で死亡確認をした場合には医師法21条による届け出を行うことになり相応の手間がかかりますし、こうして新聞テレビに病院の名前も出てしまうと言うことに抵抗感を感じる先生や施設もいるのかも知れずで、場合によってはすでに亡くなっていたと言うことにした方がいいと言う考え方もあるのかも知れません。
全国的にどのような処理が一般的なのかは判りませんし、最終的にこうした犯罪が絡んでいそうなことが明白、かつすでに亡くなっていることも明らかと言う場合、そこからさらに救命救急処置を行って遺体を損壊するよりは、そのまま検死懸案に回した方が警察的にもメリットがありそうにも思えますがどうなんでしょうね。
もちろん実際には明確なルールと言うものはなく、おそらく日頃からの地元警察や消防救急等との関係性も絡んで臨機応変に処理されているのだと思いますが、今回下手に病院まで運んできていただいた結果現場ではそれなりに難しい判断もあったのかなと、思わぬトラブルに巻き込まれた伊勢原協同病院に同情申し上げた次第です。

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