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2016年12月14日 (水)

国がとうとう歯科医過剰を認め対策を検討

と言うことなのですが、こちらの記事から紹介してみましょう。

歯科医、2029年には1万4千人過剰…合格基準引き上げも検討(2016年12月13日読売新聞)

 歯科医師が2029年に約1万4000人過剰となるという推計を厚生労働省がまとめた。厚労省は文部科学省と連携し、歯学部定員の削減や国家試験の合格基準引き上げを検討する。

 歯科医師は14年で約10万人おり、20年間で約2万人増えた。開業する歯科医師も多く、診療所数は約6万9000で、「(5万店超の)コンビニエンスストアより多い」と指摘される。競争激化から診療所の経営が厳しさを増す中、不必要な診療が行われたり治療が長引いたりする懸念がある。

 厚労省は、将来の歯科医師の過不足を把握するため需給見通しを試算した。現行の歯科医師数や国家試験の合格者数から、将来の歯科医師数を推計。少子高齢化を踏まえた推定患者数や歯科医師が1日に診る患者数などから、必要となる歯科医師数を算定した。

 1日に診る患者数を厚労省や日本歯科医師会の調査を基に3段階で想定すると、17年は3100人不足~1万5600人過剰、29年は600~1万8100人過剰と幅が出た。厚労省の有識者検討会が、中間的な想定が精緻で妥当と結論づけたため、最終的な推計値は17年で1万1300人、29年で1万4100人過剰になるとされた。

今さらな話題とも言うべきこの歯科医師過剰問題に関しては以前から何度か当「ぐり研」でも取り上げて来た話ですけれども、興味深いのは末端臨床の現場ではずっと以前から歯科医が過剰だ過剰だと騒がれていたにも関わらず、歯科医教育や歯科行政に関わるような大学の偉い先生方はまだまだ増やせと増員を唱えてきたと言う点でしょう。
ちなみに医師とは異なる歯科医独特の構図として、およそ10万人の歯科医師のうち実に9万人が診療所に勤務していると言う事実があって、競合する歯科医の増加は経営に直ちにに影響を及ぼすと言う、極めて切実な死活問題であると言う特徴がありますが、当然ながら大学病院等で毎月幾らの給料をもらっているエライセンセイには関係のない話ですよね。
この辺りは何かと言えばOECD平均ガーと言って医師増員一辺倒などこかの基幹病院のエライ幹部センセイを思い出させるものがありますが、自分の給料には影響がないことであれば手下として使える若手が安く豊富に供給される方がうれしいのは当然ですから、人間地位や立場によって目的とするところが違うと言うだけの話であるとも言えます。
実際に歯科医師会が「国民の側にすれば歯科医師の不足は困るが、多いのはむしろ歓迎すべきことであり、大学も経営の観点からは是であり、行政も設計のミスという批判を受けるかもしれないが、医療経済的にはゼロサムゆえにそれ程の圧迫感を覚えることもなしということ」だと看破している通りと言えるわけで、むしろ国がこの時点で歯科医供給を絞ることにどんな利点を感じているのかです。

この点で医科と異なる歯科特有の構造として保険外の診療が日常的に行われていると言うことが挙げられるかと思いますが、国としては幾ら歯科医が不正紛いのぼったくり診療を行おうが、過剰な保険診療で公費を使い潰すことがないなら気にしないのかも知れませんが、医科の場合原則保険診療ばかりですから儲け主義で過剰診療に走られると困る度合いがむしろ歯科より高いと言えそうです。
これについて今までは生かさず殺さずの絶妙な診療報酬設定で調節をしてきたと言えますが、今後医科においてもより保険財政に負担を与えない診療を心がけた医師や施設を優遇すると言う意味で、定額払いの拡大など何らかの過剰診療対策が講じられてくるのかも知れません。
また医師の場合はサラリーマンである勤務医が多いと言うことと、現段階で医師不足が未だ喧伝されていると言うことでも歯科医とはいささか事情が異なるとも言えるかと思いますが、注目すべきは先日紹介しましたように勤務医の2/3は医師が足りていないと答えた一方で、開業医の6割は医師は足りていると答えたと報じられていたように、これまた立場によって大きく意見が異なると言うことでしょうか。
もちろん現時点で直ちに医学部定員を縮小しろ、医師国試の難易度を引き上げろと主張する人間は開業医においても少数派だそうですが、しかし同様に国によって大々的な増員政策が採られてきた国家資格職である弁護士や歯科医が相次いで供給過剰から相場が破綻し、大学(院)の定員は埋まらないわ資格を取得してもワープア化必須だわと言う状況を前にすると、医師の将来像を予想することはある意味で容易な気はしますね。

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コメント

田舎じゃまだ多すぎるってほどでもないような>歯科医

投稿: | 2016年12月14日 (水) 10時34分

評判のい歯医者はほんと予約がとれない
見栄えのしないそのへんの歯医者でもそれなりに予約は詰まってる印象なんだけど

投稿: | 2016年12月14日 (水) 10時50分

そもそもコンビニと数を比べることに意味があるのかどうか?
内科を標榜している診療所もコンビニより多いのではないかと思いますがそういう論調はあまり聞かないですし。

投稿: クマ | 2016年12月14日 (水) 11時15分

>見栄えのしないそのへんの歯医者でもそれなりに予約は詰まってる印象

医科なら、私ですら1日200人近く診療した事がありますが、歯科はそんなわけにはいきませんからねえ…。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2016年12月14日 (水) 12時38分

保険診療の制約内にある限り、常時フル操業の状態になければ経営的に厳しいと言うところなのでしょうが、それが良いか悪いかはまた別の問題でしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2016年12月14日 (水) 13時50分

16年12月9日「医師の過剰労働問題を考える」上 昌広
http://www.nhk.or.jp/r1/podcast/bmp312/161209.mp3

投稿: | 2016年12月15日 (木) 13時55分

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