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2016年12月 1日 (木)

癌検診は無駄無意味と言われればそうなのかも知れませんが

自然療法を唱え独自の医療を推進している石原結實氏が、先日こんな記事を書いていました。

医師が「がん検診」を受けない理由…検診で総死亡数増も、食の欧米化で「がん患者」増(2016年11月20日ビジネスジャーナル)

(略)
 新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦医学博士の著書『医者の私が、がん検診を受けない9つの理由』(三五館)が話題になっている。
 がん検診を受けた人と、そうでない人を追跡調査(ランダム化比較試験)したデータによると、以下の結果が導かれるといい、これが岡田氏ががん検診を受けられない理由だという。

1.大腸がん検診では、総死亡減少が認められない
2.肺がん検診では、検診を受けた人のほうが総死亡率が高いという結果もある
3.乳がんや前立腺がんでは、無治療でも数年でがんが消滅したり、がんが腫大・転移せず天寿を全うする例がある

 1975(昭和50)年の医師数とがん死者数はほぼ同数の約13万人。その後、40年間で医師数は31万人に増え、がんに対する研究や治療は格段に進歩したとされるのに、昨年、がんで亡くなった者は36万人超。1960(昭和35)年から、9月はがん征圧月間と銘打って国をあげてがんの早期発見、予防のキャンペーンがなされている。しかし現実はこの「様」である。
 ある新聞の健康欄に、「川島なお美さんや、任天堂の岩田聡社長(胆管がん=享年55歳)は人間ドックや健康診断も定期的に受けられていたと聞いています。なぜがんが見つからなかったのでしょうか」という旨の質問が投稿されていた。それに対する医師の回答は、以下の通り振るっている。

「人間ドックには、たくさんの検査項目がありますが、信頼できるのは、身長と体重だけです」

 こうした諸事情は西洋医学のがんに対する検診、予防法(早期発見)、治療法の混迷の深さを如実に示している。
(略)

後半は電波強めなので興味のある方だけは元記事を参照いただくこととして割愛させていただきましたけれども、いわゆる癌検診なるものの限界は様々な方面で言われてきたことで、医療のコストパフォーマンスの観点からもその改善策が検討されているところでもありますよね。
職場健診の一環として長年行われている胸部レントゲン検診なども肺癌検診としては役に立たない、などと言う人がいてそれはそれで正しいとも言えるのですが、ああいうものはそもそも肺癌検診のためにやっているのではなく集団感染を起こす結核などをチェックするためにやっているものだと言いますから、その意味では集団検診として意味がないと言えばそれは間違いであるとも言えるわけです。
他方で市町村などが行う胃癌検診ではバリウムばかりで胃カメラが長年認められていなかったことなどもいささかどうよ?と医師側から言われていたところですが、こちらも実際に全員を胃カメラでさばこうとしても設備もマンパワーも全く足りないのですから、レントゲン技師でも可能で数もさばけるバリウムとどう使い分けるかと言うことが重要だと言えるでしょう。
ともかくも癌検診の類は目的が何なのかと言うことを明確にした上でそれに合ったものを選ばなければ損をすると言えますが、日本以上に医療のコストにシビアな海外においても癌検診については議論になっているようで、先日アメリカからこんな話が出ていました。

早期発見より過剰診断?マンモ検診の実態 (2016年11月4日NEJM)

Welch HG et al.Breast-Cancer Tumor Size, Overdiagnosis, and Mammography Screening Effectiveness.N Engl J Med. 2016 Oct 13;375(15):1438-1447.

 1975-2012年の米国国立癌研究所SEERプログラムのデータから、40歳以上の女性におけるマンモグラフィ乳癌検診の有益性を検証した。マンモグラフィ検診の導入後、2cm未満の腫瘍の検出率は大幅に増えたが(10万人当たり162例増加)、2cm以上の腫瘍はそれほど減っておらず(10万人当たり30例減少)、進行の危険がある早期乳癌の発見より、臨床的問題のない患者を乳癌と診断する過剰診断の多いことが示唆された。

この乳癌検診での過剰な拾い上げの問題は以前からたびたび指摘されているようなのですが、基本的には疑わしきは拾い上げる式で行うのが癌検診のあり方としては正しいのだろうと思う一方で、それなりに手間も費用もかかることだけに出来れば間違いは減らしてもらいたいとは受診者と医療関係者双方の希望であるとも言えます。
先日思いがけない形で乳癌闘病中であることが明らかになった芸能人のケースでも、検診で引っかかってから実際に乳癌であると診断確定するまでに色々とあったようで、中には「これは誤診、見落としではないか」と言う声も挙がっているようですが、検診の場合引っかけることが目的で精度的にはやはり絶対確実と言うわけではないのは当然ではありますよね。
いずれ技術的進歩によっていずれ検診の段階でもかなりな精度で診断がつくようになるのかも知れませんが、人間の性質としてそうなった場合診断精度を上げるよりもより簡便で安く手軽に受けられる方向に流れそうで、それこそ唾液一滴で全身各種の癌のチェックが出来ますなどと言うサービスが登場すれば、少々精度が低かろうが皆喜んで飛びつきそうな気もします。

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