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2016年12月

2016年12月31日 (土)

ネット通販が業務拡大し宅配便サービスが破綻する日

年の瀬で忙しい最中、このところ労基署が仕事をしていると世間で報じられ注目されているのは周知の通りですが、一方で大変な過重労働にあると言われるのがこちらの業界で、その背景には特定顧客関連の業務の激増が大きな理由となっているようです。

「アマゾン多過ぎ」ヤマトドライバーから悲鳴続出、「利便性」が生んだ過酷な実態(2016年12月28日弁護士ドットコム)

あるセンターの前に出されたカゴ台車。Amazonの箱が複数目に入る
「12月に入って、3キロも痩せました」。首都圏のヤマト運輸に勤めるAさんは、入社10年以上のベテランセールスドライバー。体重が減るのは、長時間の肉体労働に加え、昼食の時間が取れないためだ。
「荷物が多くて、まとまった休憩が取れません。12月は、お歳暮、クリスマス、おせちと1年で一番忙しい。朝7時半から夜11時くらいまで働いています
実質的な時間外労働は「過労死ライン」と呼ばれる月80時間前後。「僕だけでなく、大半がそんな感じで働いているんです」
(略)
Amazonの配送はもともと佐川急便が受け持っていた。ところが、運賃の値上げ交渉が決裂し撤退。入れ替わりで、ヤマトが2013年から参入した。現在、Amazonの配送はヤマトを中心に、日本郵便や「デリバリープロバイダ」と呼ばれる中小企業などが受け持っている。
佐川が撤退するような運賃でもヤマトが手を挙げたのは、佐川とのビジネスモデルの違いが大きい。佐川の宅配便の多くは、下請け業者に代金を払って届けてもらっている。これに対し、ヤマトはほぼ自社ドライバーで届けることができる。配達効率を上げれば、利益が出る
しかし、目論見に反して、現場はパンク寸前だという。前述のAさんは次のように証言する。「この1年で周りのドライバーが10人ぐらいやめました。下請けの人にお願いして凌いでいるけど、社員自体はなかなか増えない。この間も、体験入社の子を1日、トラックの助手席に乗せたところ、『仕事が慌ただしすぎる』と言ってやめてしまいました」

●「送料無料」を求める消費者

Aさんはこうも述べる。「Amazonについて言えば、会社(ヤマト)が安く仕事を取って来て、現場に押し付けているという感覚です。そもそも『送料無料』は厳しいと思います。最近は、米や水など重いものもネット通販。消費者の方も『送料=手間賃』だと思ってもらえないでしょうか…」
送料が無料なのはAmazonだけではない。急速にシェアを伸ばしているヨドバシカメラなどもそうだ。野村総研が2016年に発表した「買い物に関するアンケート調査」によると、「ネットショップを選ぶ際の必須条件」は、「送料が安いこと」が約70%で、「価格の安さ」を上回る1位だった。送料無料の背景には、消費者の強い要望がある。
適正な送料をいただければ、給料も上がるし、人も増えると思うのですが…。ダッシュボタンも出て、これからAmazonやネット通販の利用はもっと増えますよね。肉体労働ですから、今のままでは、あと何年体がもつか、まったく先が見えません」

●「労働時間の削減」がかえってサービス残業を生む

ヤマトは今年8月、横浜市にある支店が労働基準監督署からの是正勧告を受けた。問題視されたのは、(1)休憩時間が法定通り取得できていないこと、(2)時間外労働に対する賃金が支払われていないこと。
労基署に窮状を訴えた元ドライバーによると、労働時間を短縮するための取り組みが、かえってサービス残業を生み出していたそうだ。
ヤマトの労働組合は、会社との協定で労働時間の上限を決めており、上限は年々短縮されている。しかし、業務量は増える一方。サービス残業しないと、仕事が回らない状態だったという。
ヤマトの社員ドライバーは5年前から約4000人増えて、およそ6万人。しかし、荷物の増加に追いついているとは言いがたい。単純計算だが、この間、社員ドライバー1人当たりの宅急便の件数が年3000件以上増えているからだ。
(略)
今年はクリスマス期間中に、佐川急便に大規模な遅配が発生し、大きな話題になった。ネット通販で生活は飛躍的に便利になったが、運ぶのは「人」だ。宅配便の増加に、業界が耐えられなくなって来ている
とはいえ、Amazonをはじめ、ネット通販の便利さを手離すことは難しい。Aさんに尋ねてみた。「利用者として最低限できることはなんでしょうか」。返って来た答えは、次のようなものだった。
「僕も『利用者』なんで、あんまり偉そうなことは言えません…。時間指定して、その時間必ず家にいてくれる、それだけでもだいぶ違います

不肖管理人も熱帯雨林を始めとするネット通販のユーザーですが、確かにあまりに小分けで送ってきてもう少しまとめてくれればいいのに…と感じたりだとか、小さな荷物が巨大な箱に入れられていて無駄が多く面倒だと感じることもあるのですが、ああしたものも配送が遅いだとか封筒では中身が破損する等々、それぞれユーザーからのクレームに対して順次対処していった結果なのでしょうね。
記事中にもある佐川撤退の顛末は以前にも紹介したことがありますが、基本的には送料無料だとか即日配送だとか利便性を求めるユーザーの声が運送業界の現場負担になっていると言え、下請けにツケを回さずにどこかの誰かがきちんと業務やコストを負担すればと言えば言えるのですが、では誰が負担すべきかと言えばそれは結局ユーザー自身であるとしか言えません。
近年運送業界の人手不足と高齢化が問題になっていて、いずれ運賃体系なども大幅な見直しを強いられることになると思いますし、そうなれば利用車側としても送料無料が当たり前と言う感覚を改める必要が出てくると思うのですが、一方で当事者である通販大手の方では最近こんなことを言い出しているそうです。

Amazonは空飛ぶ倉庫とドローンの編隊でフルフィルメントと配達の一式を空挺化へ(2016年12月29日テッククランチ)

Amazonは2013年から、ドローンによる配達に挑戦している。でもAmazonの最近の特許申請文書をよく見ると、Amazonが考えているのは単純に品物をドローンで運ぶだけでなく、フルフィルメントセンター全体を“空飛ぶフルフィルメントセンター”にしてしまう、という大規模な構想であることが分かる。つまりそれは、倉庫のツェッペリンだ(上図)。

この空挺型フルフィルメントセンター(airborne fulfillment centers, AFC)は、特定の品目の需要が近く急増する、と予想される地区の上空に、一定量の在庫を積んで停泊する。
このAFCには、食品の配達に適した冷蔵冷凍タイプも含め、各種のドローンが付随し、客が指定した日にち時間のスケジュールに基づいてAFCから送り出される
特許文書には、実際の例としてスポーツのイベントが挙げられている。今、下の方では、何かの種目の全国大会の決勝戦が行われているとき、上空のAFCにはスナック類や、スポーツファンが殺到する記念品が山のように積まれている。
さらにその文書は、AFCは音声や垂れ幕などによる広告媒体にもなりうる、と示唆している。

また、空輸配送を可能にするための複雑なネットワークシステムにも、言及されている。
空飛ぶフルフィルメントセンターや、それが装備するドローン船隊に加え、Amazonはさらに、人間や各種サプライやドローンたちをAFCの近くまたは地上に運ぶ、大型シャトルも構想している。
大型シャトルがドローンをAFCへ運ぶ、という形では、ドローンのエネルギー(電池)が現場での配達だけに使われる。
もちろん、この空挺型システムの全体が、Amazon全体としての在庫管理システムのサブシステムになる。そしてこのサブシステムを、空中や地上から適切なソフトウェアとリモートコンピューティングリソースが制御し管理する。
そしてシャトルや飛行船やドローンは、配達のために空を飛ぶだけでなく、全体がメッシュネットワークを構成して各種の情報を連絡しあう。たとえば天候や風の予報から、互いに、その日その時間帯の最適ルートを教え合うだろう。また地上でeブックを読んでいる人のためにコンテンツを送信することもできる。

文書に記されているこれら大小さまざまな構想がそれぞれ、今どれぐらいの開発段階にあるのか、テスト、あるいはローンチの予定はいつごろか、などについてAmazonに問い合わせている。AFCの巨大飛行船は、いつどこで、初お目見えするのだろう?
Amazonはまだ、何も答をくれない。

何とも空想的と言うことも出来そうな壮大すぎる計画に思えるのですが、実際にドローンによる配送はすでに行われ1時間どころか30分以内の配送も試みられているのだそうで、法律の整備が追いつかないほど急速に発達しつつあるそうですが、今回の件もいずれ本気で実用化しようと考えていると言うことなのでしょう。
実際にこうした配送が行われるようになればもちろん配送のための人員や手間が減るのはもちろんですが、ドローン配送の性質上その場にいて受けとらなければならないでしょうから再配達のリスクも大きく減少すると思われますし、当然配送のためのコストや機材は顧客とアマゾンが負担することになり多少なりとも料金負担の公平化が図られそうですね。
問題は世界的に見てももっとも宅配便サービスが発達した日本に関して言えば、これだけの人口密集とドローン離着陸に適した空き地の少なさ、街中での電線の多さなど様々な障害も予想されると言うことなのですが、近所のコンビニで受け取る代わりに近所の空き地で配送を待つと言うスタイルがいずれ日本でも定着するのでしょうか。

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2016年12月30日 (金)

医学部学生も多大なストレスにさらされているらしい

このところ大手広告代理店への追い込みがにわかに話題になるなど、労働環境と言うものに世間の注目が集まっているところですけれども、かねて職場環境と言う意味では必ずしも優秀とは言えないのが医療現場ですよね。
先日はメキシコ発の一枚の写真が世界的に大きな話題となり、全世界共通とも言える医師の労働環境の劣悪さが改めて注目されることになったのですが、最近これまた興味深い記事が出ていたことを紹介してみましょう。

医学生の3割がうつ病―47カ国研究から 12万2356人のデータを検討(2016年12月22日メディカルトリビューン)

 病気で苦しむ人を助けたい―そんな気持ちから医師を志す人が多いだろう。しかし、病気を治す医師になるために一生懸命勉強に励む医学生の中に、逆に自分が病気に苦しめられてしまう人がいるという。47カ国で実施された研究を解析したところ、医学生のうつ病・抑うつ症状を抱えている割合は27.2%、自殺念慮(死にたい気持ち)は11.1%に上る一方、精神科での治療を求めた医学生は15.7%にすぎないことが判明したと、米ハーバード大学医学部の研究グループが米医学誌「JAMA」(2016; 316: 2214-2236)に発表した。

医療の質にも影響

 研究グループは、(1)医学生のうつ病、抑うつ症状、自殺念慮の研究、(2)2016年9月17日以前に発表、(3)妥当性が確認された評価方法を使用、(4)論文の言語は問わない―の条件で47カ国の195件の研究を特定し12万2,356人からうつ病・抑うつ症状のデータ、2万1,002人から自殺念慮のデータを抽出して解析した。

 うつ病と抑うつ症状の人の割合を算出したところ、有病率は27.2%だったが、研究によりかなりのばらつきが見られた。

 さらに、医学部に入学する前と在学中の抑うつ症状について評価した9件の研究を解析したところ、入学後に抑うつ症状が13.5%増加していた。しかし、治療に関するデータが報告されていた7件の研究の解析では、うつ病の検査で陽性と出て、精神科での治療を求めた医学生の割合は15.7%にすぎなかった。自殺念慮に関しては、24件の研究から算出した有病率は11.1%で、研究間でのばらつきが大きかったという。

 研究グループのRotenstein氏らは「これらのデータは、医療機関の医療の質にも悪影響を及ぼす可能性があることを示めす」とコメント。さらに、「うつや自殺念慮の原因としては、学内での競争によるストレスや不安などが考えられ、教育カリキュラムや学生の評価方法を見直すことで改善できるかもしれない。今後の研究では、学生時代のうつ病から研修医になった後のうつ病をどの程度予測できるか、また学生時代の対応の効果が、研修医になってからも持続するかについても検討すべき」としている。

日本だけではなく世界中の国々でのデータと言うことで当然国毎の医学教育課程も異なっているわけですから、この話をどう解釈すべきなのか意見の分かれるところだと思うのですが、一般的に医学生と言えば勉強することも多く大変だと言いますから、単純に多忙であり精神的な余裕が失われていると言うことはあるのかも知れません。
一方で医学部入学前にすでに抑うつ症状を呈している人も多かったとも読める話で、医学部と言えばこれまた一般的には学業成績優秀な者が進学する場合も多いだろうと考えると、受験勉強をしている頃からもともと疲労が蓄積されていたと言うこともあるのかも知れずですが、もう一つの可能性として医学部に進み医者になろうと考える人間はストレスを貯め込みやすい性格の者が多いと言うこともあり得るのでしょうか。
この点に関しては医療職を選ぶ人には仕事関係のデイストレスを経験しやすい心理的特徴があると言う説もあるのだそうですが、医師を目指す人間のキャラクターがもともとそうしたものだとすると、意外に医師という人種は打たれ弱いと言うことにもなりかねません。
ちなみに厚労省によれば全国的なうつ病の有病率はおよそ15人に1人(6.5%)程度と言いますが、一方で学生に限らず研修医も4人に1人が抑うつ状態だと言いますから、プロフェッショナルなのだからこれくらいは…などと無理に無理を重ねていると、容易に一線を越えてしまう危険性もあると言うことですね。

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2016年12月29日 (木)

踏み間違い事故が少ないMT車は安全?

先日病院にタクシーが突っ込んだ事故では、車輛側の記録解析からどうやらブレーキとアクセルの踏み間違いであった線が濃厚となってきていますが、こうした話が出るたびに話題になるのがAT車が踏み間違い事故を誘発していると言う議論ですが、先日はこんな記事が出ていました。

欧州ではMT車比率高いためアクセル踏み間違い事故は少ない(2016年12月25日NEWSポストセブン)

 アクセルとブレーキの踏み間違いや高速道路の逆走。日本で珍しくない交通事故問題だが、ヨーロッパやアメリカで深刻な問題になっているとはあまり聞かない。“大人1人に1台”が当たり前のアメリカ、つい3年前まで免許証の更新制度がなかったドイツ。果たして実情は…。

「よく、ヨーロッパの人は運転がうまいといわれますが、ヘタな人は当然います。特にクリスマス休暇直前のこの時期は、あちこちで事故が起こっているのも事実です。ただ、日本のようにアクセルとブレーキを踏み間違えて起こる事故は、そんなに多くないんです」
 そう語るのは、モータージャーナリストの岩貞るみこさん。世界のクルマと道路事情に通じ、イタリアで暮らした経験もある。
「その理由は、車両価格の安いマニュアル(MT)車の比率が高いから。特に販売台数の多いコンパクトカーは、10台中9台がMT車と言っても過言ではないですね」

 MT車ではアクセルとブレーキの踏み間違えによる事故が起こりにくいのである。
「MT車にはクラッチペダルがあり、ブレーキを踏むときは必ず踏む。もしも間違えてアクセルペダルを踏んだとしても、クラッチペダルも踏んでいれば車は前に進まず、ただ、エンジンが空回りして大きな音がするだけ。また、前進と後退のシフトレバーを間違えて入れたとしても、そのままクラッチペダルを踏みこめば速度は緩やかになりますから、暴走する可能性は極めて低くなるんです」
 日本でも「高齢ドライバーのためにマニュアル車復活を」という意見があったが、確かに的を射た解決策かもしれない。
 とはいえ、ドイツでも高齢運転者の暴走事故などが問題になっており、クルマの安全性能を評価する団体は、歩行者検知付き被害軽減ブレーキが標準装備されていることを高評価の基準としている。

 では、オートマチック(AT)車が多い北米はどうかというと、クルマ同士の衝突事故に比べて対人交通事故の比率は低いとはいえ、消費者情報誌「コンシューマー・リポート」によると、2014年には約1400万人が65才以上のドライバーが引き起こしたなんらかの交通事故に巻き込まれたという。
「2020年までに、北米では衝突被害軽減ブレーキを標準化することを定めています。ドライバーの高齢化とそれに伴う問題は世界共通。まずはクルマに何ができるか…が焦点のようです」

ちなみについ先日MT車の試乗中にシフト操作を誤ってスピンし盛大な事故を起こしたケースが報じられていたように、別にMT車の試乗中車だから安全と言うのではなくあくまでも踏み間違い事故に関してだけの話であると言う点に留意いただきたいと思いますし、実際昔はMT車ばかりですが事故は多発していたわけです。
そもそもこのAT車有害論的なもの、かつてまだMT車が多かったAT車普及の過渡期に立体駐車場などで車止めを突っ切って転落する事故が多発していると話題になったことがあり、その原因としてAT車のアクセルとブレーキの踏み間違いであると言った話が発端であったかと思います。
もちろん現代社会においては商用車も含めてほぼ全車がAT化されているのですから、今どきATとMTのどちらがいい云々と言う議論自体は全く不毛であるとしか言えませんが、それでも未だにこうした記事が出てくると言うところを見ると根強いMT支持の声があると言うことなのでしょうか。

統計的に見るとAT車の事故率はMT車の2倍程度あると言う話もあるそうで、これは現代においてわざわざ希少なMT車に乗るのは自動車に詳しく運転技術のある人間の比率が高いだろう一方で、高性能のスポーツカータイプの車輛が多いせいか死亡事故率に関しては両者には差がないと言います。
他方で現実的には先進的な安全装備を売りに国内外で販売台数を伸ばしている某メーカーなどは、その安全装備の装着に支障を来すと言う理由で実質的にMT車の製造を中止しているなど、自動ブレーキなどを始めとする現代の安全装備は自動運転技術に近い方向へと進みつつあり、ドライバーの操作に大きく依存するMT車との相性はあまりよろしくないようですね。
逆に言えばAT車の事故率は技術的な進歩に伴いどんどん向上する可能性があるとも言えるし、特に高齢ドライバーに関しては免許を取り上げるよりも安全技術の装着義務付けの方がよほど妥当な事故対策になるのではないかとも思うのですが、モデルチェンジのたびにMT車を廃止してきたメーカー自身にもAT車の安全上の優位性を実証する社会的責任があるのかなと思いますね。

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2016年12月28日 (水)

全国医師10万人の勤務実態調査の結果何がどうなるか?

ちょうど先日厚労省から医師10万人の勤務実態調査を行う旨の発表がありましたが、診療所の医師も含め無作為抽出で行われること、返信が病院経由ではなく個別に返送するようになっていることなどから、果たしてどのような結果が出るものかと注目する向きも少なくなかろうと思います。
一方で興味深いのがこうした実態調査に反発する声も出ていると言うことなのですが、こちらの記事から紹介してみましょう。

「異例かつ非礼」「異常事態」、医師需給推計の進め方に疑義(2016年12月8日医療維新)

 厚生労働省が12月8日の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)に対し、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の検討状況を説明したところ、「異例かつ非礼」「異常事態」など、医師需給推計の議論の進め方や、厚労省が現在実施中の「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(以下、医師勤務実態調査)の内容について異論が続出した。
(略)
 さらに「異常事態だと思う」と切り出したのは、日本医師会副会長の中川俊男氏。「ビジョン検討会は、医師需給分科会に、屋上屋を重ねて、議論をしている。しかも、非公開であり、その結論を待てというのは、異常事態」と述べ、厚労省に経緯の詳しい説明を求めると同時に、医師勤務実態調査について、「どのようにも解釈できる調査」と指摘し、その調査結果の解析・評価に当たっては、恣意性の排除を求めた。
(略)
 医師勤務実態調査の内容に疑問を呈したのは、日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長の木戸道子氏。「この調査票の設計は、どのように行われているのか。作り方がずさんで、不適切な選択肢がたくさんある」とした。例として、「夜間・休日の勤務体制」として、「オンコール制」「交代勤務制」の二つの選択肢のみで、「当直制」がないことを挙げた。「育児を中心的に行った人」に「ベビーシッター」はあるが、「介護を中心的に行った人」には「ヘルパー」がないなど、選択肢に整合性がない点も問題視した。「正しい現状を把握できないまま、将来の施策に関係する制度設計が行われることに大変不安を覚える」(木戸氏)。
(略)
 中川氏は、医師勤務実態調査の結果の取り扱いを質問。
 武井医事課長は、「医師の働き方について、タイムスタディを行っており、今の勤務実態が明らかになってくる」と述べ、現状の勤務の課題や将来希望している働き方なども調査していることから、ビジョン検討会ではそれを踏まえて「医師の働き方改革」に資する議論ができると説明した。さらに調査結果は、「医師需給分科会」での医師需給推計の際に活用できるとした。
 この回答に納得せず、中川氏は「あの調査で、勤務実態が把握できると思っているのか」と問題視した。武井医事課長は、医師勤務実態調査のみで、すぐに医師需給推計ができるわけではなく、データの一つとして活用すると繰り返し説明。
 それでもなお中川氏は、「ものすごく時間をかけて議論し、限りなく結論を遅くしようとしているのか」と質し、厚労省幹部に「異常事態ではなく、正常事態に戻すよう、努力してもらいたい」と求めた。

分科会で議論しましょうと言っていたものを、突然別の組織で議論することになったからと分科会を中断して結論を待つと言うことにしたのは確かにどうなのかと言う話ですが、しかし偉い先生方にこれだけ批判されると言うくらいですからさぞや医師勤務実態調査には問題があると言うことなのでしょうね。
ちなみに厚労省のHPによれば「各診療科等で当直体制を敷いている場合は、交代制勤務に含みます」等々、今回出てきた疑問に答えるような注釈も記載されているのですが、時系列を見るとまさにこの医療部会での批判殺到を受けて急遽用意しましたと言う印象があり、そもそも実際に回答する先生方がどこまでこうした注釈に目を通して回答出来たのかです。
ただ全国的にこれだけ大規模な調査が行われるのは初めてのことだと言うことで、ともかくもまずは実態がどのようなものなのかと言う議論の叩き台としての価値はあるのかなと思うのですが、問題はその結果に対して厚労省としてどのようなリアクションをするべきなのかと言うことで、厚労省のうちの「労」の部分からは先日こんな発表があったそうです。

残業「80時間超」で企業名を公表、基準厳しく(2016年12月27日読売新聞)

 大手広告会社・電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)の過労自殺問題を受け、厚生労働省は26日、違法な長時間労働があった大企業に対し、行政指導段階での企業名の公表基準を引き下げることなどを盛り込んだ緊急対策を公表した。

 現行の月100時間超の違法な長時間労働を、月80時間超に見直す。早ければ来年1月に各労働局に通達し、適用する。

 行政指導段階での企業名の公表について、昨年5月に導入された現行の基準は、1年間に3事業所で、10人以上または4分の1の従業員に月100時間超の違法な長時間労働があった場合としている。しかし、過労による労災認定についての基準はなく、これまでに公表されたのは1社だけだった。

 今回の見直しでは、長時間労働の基準を月80時間超に引き下げ、事業所数も年間2か所とした。また、複数の事業所で過労が原因の労災が認定された場合も、新たに公表の対象に加えた。

医師であれば超勤が月80時間を超えている人間など別に珍しくもなんともないのでしょうが、しかしこの場合全国の医療機関を片っ端から公表するものなのか、それとも医療機関においては特例として何らかの手心を加えるものなのかが注目されるところですよね。
一応の言い訳としてここで問題視されているのはあくまでも違法な長時間労働に関してであって、いわゆる三六協定によって違法ではないとされているものに関しては対象外であるとも言えるかと思いますが、医師ユニオンによる調査では全国病院のうち三六協定が締結・開示されている施設が7割、さらにそこに医師が含まれていると確認出来た施設は6割弱だったと言います。
また当直やオンコールを労働時間にするのか、会議やカンファレンスの時間はどうなのか等々、幾らでも解釈の余地がある話はあるのですが、この辺りを厳しく突っ込みすぎると厚労省の「厚」の部分にとっては困ったことになるのかも知れずで、厚労省内部でどのような摺り合わせが行われるものなのかにも注目していきたいですね。

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2016年12月27日 (火)

事件に巻き込まれた遺体が病院まで運ばれて来た結果

先日報じられていたのがこちらの事件なのですが、まずは記事から紹介してみましょう。

病院に運び込まれた暴力団関係者?死亡 数人の男ら立ち去る 神奈川(2016年12月20日産経新聞)

 20日午前3時10分ごろ、神奈川県伊勢原市田中の「伊勢原協同病院」で、当直の職員から「数人の男らが病院に運んできた男性が心肺停止状態だ」と県警伊勢原署に通報があった。男性の顔には殴られたような痕があり、間もなく死亡が確認された

 男性は40代とみられ、ジャンパーにスエットを着用していた。所持品などから暴力団関係者とみられる。男らはそのまま立ち去っており、県警は男性の身元の特定を急ぐとともに、男らが何らかの事情を知っているとみて行方を追っている。

 同署などによると、男らのうち1人が病院の受付を訪れ「けんかした人を連れてきた」と当直職員に伝えた。職員が男に連れられ病院入り口付近へ向かうと、外に車が止められており、車内で倒れている男性を発見。車内には複数の人物がいたが、職員が院内からストレッチャーを持って戻ると、男性は入り口付近に横たえられており、男らの姿はなかったという。

「倒れて動けない」病院訪れ、駐車場に男性放置(2016年12月21日読売新聞)

 20日午前3時10分頃、神奈川県伊勢原市田中の伊勢原協同病院の駐車場で、指定暴力団稲川会系3次団体の無職池永信也組長(58)が死亡しているのを病院職員が発見した。

 棒状のもので顔を何度も殴られた傷があり、県警が傷害致死事件として捜査している。

 発表によると、同日午前3時頃、男が「人が倒れて動けない」と病院を訪れ、職員が車の中で倒れている池永組長を発見。搬送のためいったん病院に戻る間に、男は車ごといなくなり、池永組長が放置されていたという。指定暴力団住吉会系組員とトラブルになっていたとの情報もあり、県警は男が何らかの事情を知っているとみて行方を追っている。
(略)

顔負傷の稲川会系組長死亡、伊勢原の病院に置き去り(2016年12月20日日刊スポーツ)

 20日午前3時ごろ、神奈川県伊勢原市の伊勢原協同病院で、男が「けんかをした人を運んできた」と受付に届け、車で走り去った。顔を負傷した指定暴力団稲川会系傘下組織の池永信也組長(58=横浜市保土ケ谷区)が玄関前に放置されており、間もなく死亡した。

 県警は、暴力団同士のトラブルの可能性があるとみて、傷害致死事件として調べている。

 一方、20日午後1時ごろには東京都新宿区のビル1階に入る運送会社の事務所シャッターに、拳銃で撃たれた痕が3カ所あるのを警視庁新宿署員が確認。警視庁は銃刀法違反容疑で捜査を始めた。このビルには指定暴力団住吉会系の組事務所が入居しており、警視庁と神奈川県警は伊勢原市の事件との関連を調べている。

 県警によると、池永組長は顔などに棒で殴られたような傷があった。同県茅ケ崎市で池永組長の車が見つかり、車内と路上に血痕が残っていた。男は病院の職員が担架を取りに行った間にいなくなっていた。(共同)

記事毎に微妙に表現が異なっていることに留意いただきたいと思いますが、いつどこで誰が死亡を確認したのかと言うことがポイントになりそうですね。
病院の表にいきなり患者を放置され、しかもすでに亡くなっていた、しかも調べて見ればどうやら暴力団同士の抗争が関係している事件だったらしいと言う、もはやどこから突っ込んでいいものやら判らないような話なのですが、しかしわざわざ病院の軒先まで運んできたと言うのはちょっとした優しさだったのか、何かしら意味があることだったのでしょうか。
この場合明らかに外表面に異常があるわけですから、医師法21条に言うところの異状死として警察に届け出なければならないのは当然なのですが、日常的にDOAの患者を多数受け入れているような施設の場合明らかに死後硬直を来していたり等々、それはDOAではなく検死案件だろうと思われるようなものまで運び込まれ時々トラブルになっていることがありますよね。
一般的に検死の場合は警察から地元の医師に検案の依頼が行くものだと思いますが、地域や時間帯によって依頼すべき医師がつかまりにくい等々の事情がある場合、病院で死亡確認してもらえば面倒が減ると言う考えもあるのかも知れずで、時に病院に入れる、入れないで救急搬入口の外側で揉めていると言った場合もあるようです。

ただ今回のニュースを見ていて思ったことに、こうした異状死の場合病院内で死亡確認をした場合には医師法21条による届け出を行うことになり相応の手間がかかりますし、こうして新聞テレビに病院の名前も出てしまうと言うことに抵抗感を感じる先生や施設もいるのかも知れずで、場合によってはすでに亡くなっていたと言うことにした方がいいと言う考え方もあるのかも知れません。
全国的にどのような処理が一般的なのかは判りませんし、最終的にこうした犯罪が絡んでいそうなことが明白、かつすでに亡くなっていることも明らかと言う場合、そこからさらに救命救急処置を行って遺体を損壊するよりは、そのまま検死懸案に回した方が警察的にもメリットがありそうにも思えますがどうなんでしょうね。
もちろん実際には明確なルールと言うものはなく、おそらく日頃からの地元警察や消防救急等との関係性も絡んで臨機応変に処理されているのだと思いますが、今回下手に病院まで運んできていただいた結果現場ではそれなりに難しい判断もあったのかなと、思わぬトラブルに巻き込まれた伊勢原協同病院に同情申し上げた次第です。

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2016年12月26日 (月)

開業産科医のみに留まらない、訴訟沙汰にもなりかねないトラブルへの対策

医療訴訟と言えば昨今全く珍しくはありませんが、こちら民事ではなく刑事での訴訟になる可能性があるとして話題になっていたニュースです。

ガーゼ放置疑い書類送検へ 北九州の院長、福岡県警(2016年12月20日共同通信)

 北九州市小倉南区の産婦人科医院で、帝王切開で出産した女性(34)の体内にガーゼを放置して腹部を炎症させたとして、福岡県警が業務上過失傷害の疑いで、院長の男性(63)を来年1月にも書類送検する方針を固めたことが19日、分かった。院長は容疑を認めており、共同通信の取材にも「確認を怠ってガーゼを体内に残してしまい、申し訳ない」と話した。

 捜査関係者によると、院長は2012年4月、帝王切開手術で次男を出産した女性の体内にガーゼ1枚を放置、再び開腹手術をしなければいけない状態にした疑いが持たれている。

 女性は帝王切開手術の約2週間後、腹部の痛みを訴え、搬送されたy別の病院でガーゼを取り出した。ガーゼは約25センチ四方で、手術の際に止血に使われたものとみられる。

 女性は今年2月、福岡地検小倉支部に告訴状を提出したが、その後取り下げ、あらためて県警に被害届を出した。院長に損害賠償を求める訴訟も福岡地裁小倉支部に起こしている。

一般に告訴は必ず受理すると言う決まりですが被害届は捜査にかかるかどうか何とも言えないもので、順序として告訴状を取り下げ被害届を出すと言うことに何か理由があるのかですが、実際には告訴するには証拠等かなり整った状態でなければ受け付けてくれないのだそうです。
起訴と書類送検とでは全く話が違うと言うことには注意する必要がありますが、いよいよ過失が刑事罰に問われる時代が来るのかと不安視する声が多数挙がっている一方で、ガーゼの取り残しと言う未だにしばしば起こる事故が対象であると言うことが気になった方も多いようです。
ちなみに確認を怠ったと言うことがどの程度の過失に相当するのかが問題ですが、今の時代ガーゼカウントは当然で場合によってはレントゲンによる確認も普通に行われている時代ですから、ごく当たり前のことをやっていなかったと言うことであれば昨今の医療訴訟の傾向として問題視される可能性はありますよね。
他方では一般的な注意を払っていなかったと言うだけで通常告訴状までは出ないのではないかと言う指摘ももっともなのですが、事実そうであれば民事訴訟で十分勝てそうであるにも関わらず4年前の事故で今も民事で係争中であり、それにも関わらす゛今になって刑事にも訴えると言うことが鍵ではないかと言う声もあるようです。

刑事民事を問わず訴訟沙汰にならないに越したことはありませんが、先日は愛媛で同じ開業産科医が短期間に周産期の死亡トラブルを繰り返していたと報じられていて、地元医師会は医療ミスではなかったと言う認識を示す一方で、産婦人科医会がこうした事例は今後直接個別の指導に乗り出すとも報じられていました。
具体的には単に助言や指導をするに留まらず、技量不足の医師には母体救命処置などの研修を促していくと言うなかなかに直接的なものであるらしいのですが、そもそも開業したりで医師として独り立ちしてしまえば基本的にはその技量や知識を客観的にチェックされる機会はないもので、技量不足はもちろんのこと何十年も前の知識のまま医療を行っている先生もいらっしゃるかも知れません。
もちろん誰しも自分の専門分野に関しては知識のアップデートくらいは行っていそうですが、医師が患者を選べない以上いつ何時専門外の患者を診ることになるか判らないのは当然ですが、このところ専門医資格の取得や維持が厳格化されると言うことばかり注目されていると言うのは、言ってみれば専門医資格が欲しければ○○しろ式の誘導を行っているとも言えます。
他方で専門医資格に興味のないその他大勢の医師は何らルールもなく放置されているとも言えますが、むしろ世間的には全ての医師が最低レベルの知識や技量を持っていると言う担保の方が必要性を感じられているのかも知れずで、専門医の取得や維持をあきらめる医師が増えてくるだろう時代に今後制度的にどういったものが望ましいのかですよね。

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2016年12月25日 (日)

今日のぐり:「大市(だいいち)引野店」

ちょうどクリスマスの季節ですが、何と表現すべきか迷うこんなニュースが出ていました。

9歳児に「まずハンバーガーとポテトをやめろ」 “暴言サンタ”解雇される(2016年12月11日テックインサイト)

クリスマスが近づくと、子供たちにとって何より楽しみなのがサンタクロースとの触れあいだろう。ショッピングモール内や特別展示される「サンタハウス」などで、サンタと写真撮影することは子供たちにとって「生身のサンタ」と出会える特別な瞬間だ。ところがそんな期待に胸を膨らませていた9歳の少年を、心無い言葉でひどく悲しませたサンタが解雇されるというニュースが飛び込んできた。

英紙『Metro』が報じたところによると、12月3日の土曜日に2児の母であるアシュリー・メイズさんは、米ノースカロライナ州フォレスト・シティのメインストリートに設置されたサンタハウスに息子たちを記念撮影のために連れて行った。そこでアントニー君(9歳)は、iPodとドローンをクリスマスプレゼントに欲しいと思っていることをサンタに伝えた。
するとサンタは、アントニー君への返答として「まずはハンバーガーとフレンチフライを食べるのを止めろ」と言い放ったのだ。アントニー君は自分の体型を侮辱されたと酷く傷つき、サンタハウスの外に出て泣き出してしまった。
そばで見ていた母アシュリーさんは「どうして息子を連れてきてしまったんだろう」と激しく後悔し、また子供を傷つけるような発言をしたサンタに「なんて失礼なの」と怒りを覚えたという。

大好きなサンタに自己否定されてしまったアントニー君。その落ち込んでいる姿を見てアシュリーさんが抗議したところ、サンタはアントニー君に謝罪したという。しかしその後、アントニー君はサンタと撮った写真を破ったそうだ。
アシュリーさんは「あんなサンタ、クビにするべきよ。うちの子が味わったような不快な気持ちをどの子供にも味わってほしくないわ。アントニーはあのサンタの言葉にめちゃくちゃ傷つけられたのよ」と怒りを露わにしている。
楽しいはずのサンタとの触れあいや記念撮影が、「嫌な記憶」として思い出に残ってしまうとは…。アントニー君の夢を叶えるどころか侮蔑の言葉を発したサンタは、6日付けで解雇されたという。

元記事の写真を見れば色々と思うところもあるのでしょうが、まあしかしサンタにとっては仕事なのですから大人になるべきだったでしょうかね。
今日は傷心のアントニー君を励ます意味で、世界中からまあ確かにそうなのだろうけれども…と感じてしまう身も蓋もないニュースの数々を紹介してみましょう。

NEC、通行者の視線の方向を検知する「遠隔視線推定技術」。10m先から視線の動きを推定(2016年12月22日engadget)

NECが、街中や店舗などに設置されているカメラから、離れた場所にいる人の視線の方向をリアルタイムで検知できる「遠隔視線推定技術」を発表しました。

NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」のひとつとして開発されたもので、同社の顔特徴点検出技術を用い、目頭や目尻、瞳など目の周囲の特徴点を検知して視線を特定。これまでは、赤外線ライトとカメラが一体となった特殊な装置で視線検知を行っていましたが、本システムではWebカメラ、タブレット、スマートフォンなどに搭載された通常のカメラでも誤差は上下左右5度以内という高い精度の視線検知を実現しています。
また、これまでは困難だった複数人の視線方向の同時検知も、精度を落とすことなく算出可能。同じく従来ネックとされていた低解像度の映像や明るさの変化などにも対応しており、カメラと対象者が10メートル離れた位置からでも正確な視線を検知できるようになっています。

同社では、この遠隔視線推定技術を不審者の監視のほか、避難・誘導といった標識の設置場所を決める際の参考に応用するとしています。他にも客の視線の動きを参考にして、商業施設のマーケティングに活用することも検討されています。
ただ、動きだけでなく視線までここまで正確に分かるようになるのはちょっと怖い気もします。ディストピアものの作品にありがちな「一挙手一投足まで監視される社会」に一歩近付いたような・・・・・・。とはいえ、さまざまな分野に生かせる非常に優れた技術ですし、特にやましい気持ちがなければ気にすることはないかもしれません。

いや、はい、まさに特にやましい気持ちがなければ気にすることはないものなのでしょうけれども、ねえ…
同じくこちらも最近話題になっていた新技術のニュースなのですが、こちらはこちらで批判の電話鳴り止まずと言うことのようです。

「透けない白衣」中小企業が開発 特許も取得、一方で嫌がらせ電話も(2016年12月12日ウィズニュース)

 東京都内の中小企業が「透けない白衣」を開発しました。「どんな下着の色や柄も透けなくすることができる」とうたっていて、生地を分厚くするのではなく、白衣生地と裏地の色の組み合わせで透けない仕組みで、特許も取得しています。その技術や開発の経緯について、話を聞きました。

 透けない白衣を販売しているのは、東京都千代田区にある「大真(たいしん)」です。企業や事業所向けユニフォームの製造企画や販売を手がけています。
 商品名は、ストレートに「裏地付透けない白衣」。ワンピースタイプ、ジャケット、パンツの3種類があり、価格はいずれも税込みで14904円、12744円、9504円です。通常商品より2割ほど高く、ラインナップは女性用のみ。男性用は現在開発中だそうです。
 「どんな下着の色や柄も透けなくすることができる」と話すのは、開発に関わった営業担当の西原成幸さん(49)です。

 開発のきっかけは、市場の縮小でした。「最後までユニフォームが残るところはどこかと考え、病院だという結論になりました。そこでオリジナリティーのある白衣を作ることになったんです」と西原さん。
 他社製で「透けにくい」とうたう商品が多くあるなか、「透けない」と言い切れるものを目指しました。
 素材を厚くすれば透けなくできます。しかし、動きにくくなるため、白衣としての機能性を損ねてしまいます。
 一般財団法人「日本色彩研究所」から色彩指導者の認定を受けている西原さんが考えたのは、新しい素材探しではなく、「既存の白衣の生地と、既存の裏地の色の組み合わせ」で透けないようにする仕組みでした。

 実はこの商品、昨年8月から販売していますが「数えるほどしか売れていない」(西原さん)のが実情です。
 ところが今年6月、東京都中小企業振興公社の「ニューマーケット開拓支援事業」の対象製品に選ばれたことを受けて、ニュースリリースを出したところ、ネットを中心に「下着が透けない白衣は助かる」「女性の視点から見たらこれは切実だったんじゃないか?」と話題になりました。
 一方で、「素晴らしい技術なんだけど男からしたら……」といった意見も上がっており、大真に対して「こんなもの作るな」と怒鳴る電話や、無言電話もかかってきたそうです。
 西原さんは「需要のある商品で自信もあります。モニターとして試すことも可能なので、お気軽にお問い合わせください」と話しています。

いやもうこれは大変有益な新商品ではあるのでしょうけれども、人間誰しもパンのみにて生きているわけではないと言いますか…
アメリカ人と言えば陽気でフレンドリーな印象がありますが、やはり時と場合によってはイライラしているのだそうです。

米国人がいらだつ表現は8年連続で「どうでもいい」(2016年12月22日ロイター)

[ボストン 21日 ロイター] - 米マリスト大学が21日発表した毎年恒例の調査によると、米国人が会話の中で最もいらだちを感じる表現のトップは8年連続で「どうでもいい」(whatever)となった。回答者の38%が、この表現にいらだつと回答した。

調査は1─9日に1005人を対象に実施。その結果、2番目にいらだつ表現は「悪気はないけど」(no offense, but)となり、5人に1人が最もいらだつ表現に挙げた。 3位は「だよね?」(Ya know, right)と「すごすぎ」(I can't even)で共に14%。「どでかい」(huge)は5位で8%が最もいらだつ表現に挙げた。

「whatever」は1995年の青春コメディ映画「クルーレス」をきっかけに増加し、ベビーブーマー世代(51─69歳)の54%が苛立ちを感じた一方、18─34歳のミレニアル世代では、いらだつ割合が24%にとどまった。

これに対し、インターネットを通じて広まった「I can't even」については、ミレニアル世代の28%が苛立ちを感じると回答したが、ベビーブーマー世代では5%にとどまったという。

それはおおむね日本人でも苛立つのでしょうが、しかしそこを日本的に曖昧な笑いで誤魔化していると余計に苛立ちそうにも思うのですがね。
そのアメリカ生まれのあるものが、本家に里帰りして苦労していると言う残念なニュースが出ていました。

米国生まれのパンダ、中国で苦難 言葉通じず「偏食」も(2016年12月10日CNN)

(CNN) 中国共産党の機関紙「人民日報」は10日までに、米ジョージア州アトランタの動物園で生まれ、今年11月3日に四川省成都にあるジャイアントパンダ繁殖研究所に移送された双子の2頭が中国での飼育環境に慣れず、担当者がしつけに苦労していると報じた。
米国産ビスケットを偏食し、飼育員による四川語での指図も無視しているという。

この2頭は3歳の「メイルン」と「メイファン」。同研究所の繁殖担当者は同紙に、最大の懸念は2頭が米国で慣れ親しんでいたビスケットへの執着と指摘。この偏食を変えるため、ビスケットに他の餌を混入させて与える努力を行っているという。
また、2頭は名前を呼ばれた時には反応するが、四川語による他の命令には見向きもしないという。

アトランタ動物園の広報責任者はCNNの取材に、これらの過度的な問題は通常のことで、いずれは新しい環境に順応すると指摘。同動物園は四川省への移送に伴うストレスなどを緩和させるため約170キロの竹と好物のビスケット約11キロもあわせて送ったという。
飼育員とパンダの意思疎通の手段は言葉だけではないとも主張。多数の手の合図への理解も訓練を重ねることで深まるとしている。

もとよりこいつらは偏食だったのではないかと言われればそれまでですが、しかし言われてみれば言葉も通じないと言うのはありそうなことですね。
最後に取り上げるのは同じく中国からの話題ですが、確かに忠実に再現すればそうなるだろうなと納得は出来るニュースでしょうか。

沈没の恐怖まで体験可! 中国にタイタニックを忠実に再現する新テーマパーク(2016年12月6日GIZMODO)

1912年当時、世界最大の豪華客船でありながら、処女航海で流氷に激突し、大西洋へと沈んでしまったタイタニック号。不沈船と謳われながらも、まさかの船体が真っ二つに割れる沈没事故で、多くの人命が失われてしまいました。
そのタイタニックを再現しようとの試みは各所でありますが、South China Morning Postによると、このほど中国の四川省で、実物大のタイタニック号を復元しつつ、突如の沈没の恐怖まで味わえる壮大なテーマパークの建造がスタートしましたよ! 竣工式には花火が上がり、2年半後の完成を目指して、10億元(約160億円)規模の巨大工事が進められていくんだとか。

”できる限り忠実な復元が目指される。当時の船内の全室を再現することはできないものの、船体構造や各種外装は非常に正確に再現され、見学可能な船室を用意して、歴史的に意義あるものに仕上げられるだろう。”

同建造プロジェクトを率いるCurtis Schnell氏は、このように語っています。実に2万6000トンもの鉄鋼を用い、全長270m、幅28mのタイタニック号のレプリカが作られていくとのことです。悲劇の犠牲者を出した沈没事故なのに、スリル体験を売りものにして金儲けをたくらむとは不謹慎だとの批判もあるようですが、決して軽いノリで再現するのではなく、重要な歴史を振りかえることができるような視点で仕上げると述べ、批判をかわすことも忘れませんでした。
実は同プロジェクトは、増え続ける中国の富裕層に気晴らしを提供すべく、中国政府も後援する「Romandisea Seven Star International Cultural Tourism Resort」リゾートパークの目玉コーナーとしてオープンする予定になっています。この構想は、当初は2013年に発表され、早ければ来年にも完成が目指されていたものの、バブルが弾けた影響も大きかったのか、ようやく工事に入ることができた形ですよ。

完成すれば、1泊3,000元(約5万円)から体験宿泊可能な施設として、中国全土から観光客が殺到すると見込まれています。あくまでもタイタニックのコピー品ではあるものの、海外からも一目見たいと大勢の人がやってくる、優れた完成度になったりして~。

何故こんな山の中でタイタニックなのかも謎なのですが、やはり暑いときには熱いお茶を飲めば涼しくなる的な中国的思想に基づくものなのでしょうか。
しかし沈没体験まで出来ると言うのもどうなのかですが、歴史的にどのような意義があるかはさておき、中国だけにこの先の展開への期待感は高まりますよね。

今日のぐり:「大市(だいいち)引野店」

福山市のやや郊外に位置するこちらのお店、以前に福山駅ビルに入っている支店にもお邪魔したことがありますが、今回こちらのお店に寄ってみました。
しかし食事時と言うこともあってか大変な繁盛ぶりですが、こちらの駐車場は数も不足なのでしょうがとにかく狭いので、うっかり大きな車で来ると泣きを見そうですね。

初めてのお店なのでひとまず無難にせいろそばを頼んで見ましたが、これが全く余計な水気がなく一本たりともくっついていない水切りと盛り付けは見事ですね。
しゃっきりした食感の蕎麦はなかなかのもので、濃いめの蕎麦つゆとのマッチングもいい具合ですから、スタイルに好みの問題はあるでしょうがなかなかいい蕎麦だと思いますね。
ちなみに盛りにトッピングの海苔はいらない派なんですが、今回口に含んだ時の海苔の華やかな風味が初めて悪くないと思いました。

せいろが案配がよければ玉子とじもいってみようと思っていたんですが、メニューを見ていて気になったごぼう天とあんかけそばに変更してみたところ、これも当たりでしたね。
出汁とかえしのバランスもいいんですが、あんかけだと熱々で冷めにくい上に蕎麦も伸びにくいので、最後までしゃっきりした蕎麦が楽しめます。
これについては薬味の生姜を少し使った方がうまいと思うのですが、しかしごぼう天蕎麦ではなく蕎麦とごぼう天と言うのがこだわりなのでしょうかね。

福山駅の支店の方はさほどに感銘を受けなかったので正直少し侮っていたのですが、確かにこれはお客も大勢来るだけのことはありますね。
厨房もホールも基本的にはキビキビ働いているのですが、時々何かあったかと思うくらい愛想のないお姉さんもいたりして、まあそれでもちゃんとオーダーは通るので助かると言うところでしょうか。
ちなみに相応に年季の入ったビルの割にトイレなど設備面はなかなかですが、受付システムは常連以外にはわかりにくいのか一々説明をしないといけないと言うのはどうなのかなと感じました。

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2016年12月24日 (土)

その答えは仕事ではなく遊びだから?

このところ違法な長時間労働を強いていたとして各方面でブラック企業と糾弾される向きが増えているようですが、そんな中でこんな発言が話題になっていました。

エイベックス松浦氏が労基署の是正勧告を受けコメント 「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」(2016年12月22日キャリコネニュース)

エイベックス・グループ・ホールディングスが、社員に違法な長時間労働をさせていたとして、12月9日に三田労働基準監督署から是正勧告を受けた。これを受けて、同社の代表取締役社長の松浦勝人氏が22日、自身のブログで労働基準法についての持論を展開した。

毎日新聞の報道によると、同社は三田労基署から、社員の実労働時間を管理していない、長時間残業をさせている、残業代を適正に支払っていないなどと指摘され、9日付けで是正勧告を受けた。
これを受け、松浦氏は22日に自身のブログを更新。「労働基準法 是正勧告とは」と題された記事で、持論を展開した。
松浦氏は、是正勧告を「真摯に受け止め対応はしている」としながらも、「労働基準監督署は昔の法律のまま、今の働き方を無視する様な取り締まりを行っていると言わざるを得ない」と反論する。
2015年に労働基準監督署が指導した8500の事業場のうち、「75%以上が何かしらの違反とみなされている状況」を挙げ、「そもそも法律が現状と全く合っていないのではないか」と指摘。また音楽業界では、「好きで働いている人が多い」のだから、長時間労働を抑制するのはいかがなものなのかと苦言を呈している。

    「僕らの仕事は自己実現や社会貢献みたいな目標を持って好きで働いている人が多い。」
    「(長時間労働を抑制すると)自分の夢を持ってその業界に好きで入った人たちは好きで働いているのに仕事を切り上げて帰らなければならないようなことになる。」
    「好きで仕事をやっている人は仕事と遊びの境目なんてない。僕らの業界はそういう人の『夢中』から世の中を感動させるものが生まれる」

音楽業界などで働く人々は夢を持って、好きで働いているのだから、好きでしている長時間労働を抑制しないでほしいというのだ。
そして改めて「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」と、労働環境の改善ではなく、労働基準法の改定の方を主張している。

今回同社が労働是正勧告を受けたことに関して、ネットでは、

    「労基はどんどんあぶり出していってほしい
    「ユニクロ、電通に続きエイベックスも労基調査入りか。こうやって大手からどんどんブラック企業がなくなればいいのに。」

と労基署の対応を支持する声が出ていた。
ただ一部からは「エンタメ業界は労基法を守っていたら成り立たない」という声も。エイベックスだけに留まらない、業界全体の問題もあるのだろう。いずれにしても、「世の中を感動させるもの」を生み出す人々が快適に働けるようになるになるためには、まだ時間が掛かるのかもしれない。

当然ながらあまり好意的な反応を持って迎えられたとは言えないこの発言、現場労働者が言うならまだしも働かせる側の社長が言うのはアウトだろうとか、労基法がない時代そのままの旧態依然の労働を強いる経営者だとか、様々な意見が続出しているのはまあ仕方がないところなのかも知れませんね。
実際に現場で働いているスタッフにアンケートなりを取ってみれば松浦氏の主張が正しいかどうか判りそうですが、実際には「仕事が遊びで遊びが仕事」が持論だと言う松浦氏の会社からは新卒入社の3-4割が入社5年以内に辞めていくのだそうで、少なくともエンターテイメントとして社員にあまり上等なものを提供出来ているようには思われません。
その他にも松浦氏については様々な好ましからざるスキャンダルが報じられているようで、反社会的な考え方に基づいて社員を酷使しなければやっていけない業界なのか、それとも松浦氏だけが際立って異常なのかは何とも言えませんが、いずれにしてもそうした状況にある同社なり業界なりのあり方の方に問題なしとはしないだろうと言う意見が多数派を占めているようです。

ただ注目したいのはこうした報道においてしばしば雇用者側から同じように「社員はもっと働きたがっている!」「画一的な法律で社員のやる気を削いで良いのか!」と言ったコメントが出ることですが、特に「労基法を守っていたら仕事が成り立たない」式のコメントはどこの業界でも同じように出てくるものですよね。
ただこうした労働量の管理を何故うるさく言うようになってきたかと言えば、その線を超過していると心身の健康を損ない結局は仕事の質も効率も落ちていくと言うことが背景にあるのですから、特に絶対に失敗の出来ない重要な仕事を任されている業界ほど労基法を守らなければならないだろうし、実際に旅客機パイロットなどは非常に厳重な労働規制を敷いていると言います。
一方で某業界のように「法律を守っていては」云々と言い訳をしながら長時間連続勤務を日常的に行っている業界もあるわけですが、これについても現場からはどんどん摘発してもらった方が、異常な労働環境が長年習慣的に続いてきたものがさっさと正常化していいと言う声も出てきていますから、いずれにしても労基署が手心を加える必要はなさそうだと言うことですね。
しかし松浦氏を始め世の社長さん方がどのような理由や原因によって労基法の基準を超えた労働を現場に強いることになったとしても、残業代も支払わずただ働きをさせることへの弁解には全くならないんじゃないかとは思いますけれども、業界のあり方については御高説を垂れても何故決められた給料も払わないかと言うシンプルな問いについてはまともに答えてくれないのでしょうかね。

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2016年12月23日 (金)

今日のぐり:「菊寿司」

ちょうどクリスマス間近の時期ですが、おめでたい気分に便乗して?こんな一件があったそうです。

麻薬密売アジトに「メリークリスマス!」 取締官サンタに扮して4名逮捕( 2016年12月17日テックインサイト)

こんな摘発方法が可能なのもこの時期だからであろう。「なんだサンタクロースか」と気を緩めてしまった麻薬密売組織のメンバーたち。しかしそのサンタの正体は麻薬取締官であった。このほどペルーで…。

ペルーの首都リマで11日、サンタクロースに扮した麻薬取締官がアジトを急襲。密売人を4人も検挙する手柄を立てた。ホルヘ・ルイス・アングロ警視監が率いる麻薬取締官のチームは、サンタクロースの突然の訪問が歓迎されるクリスマスは最高のチャンスであるとして、逮捕状を取ると緻密な作戦を立てていたようだ。

その様子は映像でも公開されており、サンタ姿の警官が大型の木槌で扉を壊して中に押し入り、メンバーに対して次々とスピーディに手錠をかける様子が見て取れる。こうして急襲した先は3軒。ビクター・ピント・カラスコ(60)ほか悪名高き「ピント」一族の計4名の密売人を検挙し、4,500個を超すペースト状コカインの包みが押収されたと『rt.com』が伝えている。

日本であれば何とも無粋な…と言われたかも知れませんけれども、知らないサンタが訊ねてくるのが当たり前の文化圏だけに成立した作戦なのでしょうね。
今日はペルー警察のトンチの効いた仕事ぶりに敬意を表して、世界中からそれはちょっときついなあ…と思ってしまうニュースの数々を取り上げてみましょう。

92歳のムガベ大統領、2018年の大統領選出馬へ ジンバブエ(2016年12月18日AFP)

【12月18日 AFP】ジンバブエの与党であるジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)は17日、2018年に行われる大統領選へのロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領(92)の出馬を承認した。大統領選で再選されれば、ムガベ氏の36年にわたる統治期間はさらに延びることになる。
 南西部の都市マスビンゴ(Masvingo)で開催された同党の年次党大会では、ムガベ氏の大統領選出馬が承認されると、大勢の出席者らが万雷の拍手を送った。
 ムガベ氏は1980年の独立以来、権力を握り続けているが、これまで後継者を指名したり、引退への道筋を付けたりすることを避けており、100歳になるまで統治するとジョークを飛ばしたことさえある。
 一方で、ムガベ氏の後継者が明らかになっていないことから、ここ数週間にわたり大統領の後継を狙う各派閥がソーシャルメディア上で応酬を繰り広げるなど、内紛を引き起こしている。
 与党の上層部からは支持を得ているムガベ氏だが、低迷する同国経済の立て直しに失敗したことをめぐり、同国では今年、市民による異例の抗議デモが相次ぐなど、これまでなかった退陣を求める声に直面した

まあ権力を何歳までに手放さなければならないと言うルールもないのでしょうが、90過ぎても仕事とは独裁者も大変ですね。
世界的にテロが多発している時代ですが、これはちょっとさすがにどうよ?と思われるテロが発生したと報じられています。

8歳少女「トイレに」と警察署に、ベルトが爆発(2016年12月17日読売新聞)

 【カイロ=倉茂由美子】シリア国営通信によると、同国首都ダマスカスの警察署で16日、爆発があり、少女1人が死亡、警察官1人が負傷した。

 少女は8歳とみられ、爆発装置のついたベルトを身に着けて警察署に入り、遠隔操作によって爆発したとみられるという。

 シリア内戦を巡っては、激戦地だった北部アレッポを政府軍がほぼ制圧し、アサド大統領が「勝利宣言」をしたばかりで、政府軍に対する報復の可能性がある。

 爆発があったのはダマスカス南東部のミダン地区。地元警察の話では、少女が迷子のように「トイレに行きたい」と警察署に入ってきた直後に爆発したという。警察当局は、「無実の子どもをテロに利用しており、テロリストの残忍さを示す行為だ」と批判し、イスラム過激派によるテロとの見方を強めている。犯行声明は出ていない。

まあテロに何がありで何が禁止と言うものでもないのでしょうが、こういうのは何の宗教であれどうなのかと言う気がしますが。
同じく小児に対する不当な行為と言うことで、こちらその報いがどうなったのかというニュースです。

小児性愛のトランペット奏者、演奏会場で襲われ死亡 アルゼンチン(2016年12月06日AFP)

【12月6日 AFP】アルゼンチンの首都ブエノスアイレス(Buenos Aires)近くの大聖堂で、複数の幼児に対する性的虐待で逮捕歴のあるトランペット奏者がオーケストラで演奏中、被害者の子どもたちが通う学校の親たちに襲われて死亡した。演奏会場だった大聖堂の司祭が5日、明らかにした。
 死亡したのは音楽教師でトランペット奏者のマルセロ・ファビアン・ペコーロ(Marcelo Fabian Pecollo)元受刑者(42)で、ブエノスアイレス近くの町モロン(Moron)のオーケストラに在籍していた。ペコーロ元受刑者は2010年に幼児5人に対する性的虐待の罪で禁錮30年の判決を言い渡されたが、減刑により2014年に出所していた。

 今回の事件は今年10月30日、モロンの大聖堂で発生。被害者が通う学校の親たちが「小児性愛者のレイプ犯が教会で演奏している」と叫びながら大聖堂に押し入り、逃げる元受刑者を捕まえて殴打した。目撃者によると、うち1人はペッコロ元受刑者のトランペットで殴りつけたという。
 ペッコロ元受刑者は虐待した4歳児の母親からの通報により、2007年に逮捕された。他にも6件の虐待事件が後に明らかになっている。

しかし禁錮30年が4年で出所してくると言う時点で問題の素地があったように思いますが、何とも同情しにくい最後と言うしかありませんね。
それは逆恨みというものだろうと思うようなニュースが二題続くのですが、まずはアメリカからのニュースです。

激しいDVの末、妻に睾丸を噛まれた夫「オレこそ被害者」と警察へ(2016年12月20日テックインサイト)

多くの家族が温かい気持ちでクリスマス休暇を迎えようとしているこの時期、1年間の苦々しい夫婦関係を総括するかのようなDV事件が米インディアナ州で起きた。州のメディア『wishtv.com』が伝えている。

夫からの激しい暴力を受けると妻の頭には「死」の文字がよぎるもの。あまりにも激しい家庭内暴力で妻を苦しめたのは、インディアナポリスのすぐ南に位置するグリーンウッドに暮らすダン・ディートンという男。今月10日、ブロッサムドライブの自宅で妻のステイシーさんに「誠実さに欠ける」と責められてカッとなり、体力が続く限り妻に激しい暴力をふるい続けたのであった。

ステイシーさんに対するダンの暴力は、体を張り倒す、階段の上から投げ飛ばす、部屋の向かい側の壁に向かって投げつける、馬乗りになって鼻と口をふさぐなど非常に激しいもので、命の危険を感じたステイシーさんはダンの睾丸に噛みついてやっとわが身の安全を確保。すぐに911番通報した。一方、睾丸を噛まれたダンは「自分こそが被害者。お前を訴えてやる」と言うと車でグリーンウッド警察署へ向かった。
しかし、その途中に一時停止無視を犯し、彼らの自宅に向かおうとしていたパトカーに呼び止められている。

警察官はその後、2人の自宅のカーペットやマットレスがひどく乱れ、家具類がダメージを負い、ステイシーさんの腕と背中に痛々しい傷があることを確認。夫のダンのみ家庭内暴力の加害者として逮捕・起訴されたが、ダンは取り調べに対して「妻を落ち着かせるためには仕方なかった」などと自分の行為を正当化しているという。

体力の続く限りの激しい暴力と言うのもなかなか新しい表現ですが、その努力をもっと有意義な方向に活かしていれば…と思ってしまいますね。
同じくこちらもちょっと唖然とするような経緯を辿った事件なのですが、まずはこちらニュースから引用してみましょう。

中国の女性が隣人の花を盗み餃子に、孫が食中毒になり隣人に賠償求める(2016年12月12日レコードチャイナ)

2016年12月12日、中国紙・揚子晩報は、隣人のスイセンを盗んで孫に食べさせた女性が、孫が食中毒を起こしたことで隣人に賠償を求めた騒動について伝えた。

今月初め、中国のQ&Aサイトに次の相談が寄せられた。「私は自宅の庭でスイセンを植えているのだが、隣に住む年配女性が庭に忍び込み盗んだスイセンの葉を餃子にして孫に食べさせた。女性はスイセンの葉をニラと勘違いしたようで、孫は食中毒になった。孫が入院した責任は私にあると年配女性は家族と共に私に賠償を求め、仲裁に入った警察も人道的な観点から一部の医療費を私に負担するよう求めた。私がスイセンを植えたのは自宅の敷地内で、高さ50センチほどの柵も設置している。年配女性は過去にも私が植えたチューリップやアジサイを盗んだことがある。私は賠償しなければいけないのか?」との書き込みがあった。

報道によると、同騒動に対し弁護士は、「詳細な状況は把握していないため確実なことは言えないが、スイセンは毒性があるものの植えることは禁止されていない。さらに、自宅の敷地内で柵も設置されているため違法性は見受けられない。むしろ女性の方が不法侵入の疑いがある」と指摘している。その後、相談者と思われるユーザーが11日に書き込んだ最新情報によると、話し合いにより賠償することなく騒動は解決したという。」」

常識的に考えるならば弁護士氏のコメント通りではないかと思うのですが、しかし食べる事には見境がないのがさすが中国と言うことなのでしょうか。
最後に取り上げるのは麗しき友情が悲劇的な結末を迎えたという、ブリからの悲しむべきニュースです。

水恐怖症の少年、「友達と一緒なら克服できる」と運河に飛び込み溺死(2016年11月27日テックインサイト)

体育の授業のプールがとにかく苦痛という「水恐怖症」。イギリスでそんな少年が友人とともに“勇気を振り絞って”水に入り、尊い命を落としてしまった。今年6月の事故について『thesun.co.uk』が伝えている。

クモ、閉所、高所、もうありとあらゆる「恐怖症」があるが、忘れてならないものに「水恐怖症」がある。海やプールを前に、水底は深く足がつかないことを想像すると恐怖で圧倒され足がすくむばかり。水族館も無理、悪天候の波の音なども苦痛だといい、どんなに「意気地なし」とからかわれても本人もなす術がない。克服したいという気持ちはあれど、やはり無理は禁物のようだ。
そんな水恐怖症に苦しんでいた英マンチェスターのフラヴィオ・ラファエル・ピサロ君(13)。今年6月5日夜、友人らと北のロッチデイル運河に繰り出し、はしご状のステップを利用して水に入った。ほどなくしてフラヴィオ君はパニックと化し、激しく腕を振りながら水の中に沈んでしまった。3人の仲間および付近の大人が助けようとしたが救急隊員が到着してフラヴィオ君を救出するまで20分ほどかかり、心肺停止の状態に陥ると搬送先の病院で9日後に死亡した。

10歳の時にポルトガルからやってきて「St Anne’s Academy」という学校に転入したフラヴィオ君は、「水恐怖症で泳げない」と公言していた。しかし楽しそうに水遊びをする友人らに触発され、「泳げるようになるためにも度胸をつけろ」と励まされると一緒に入水。その末の不幸な溺死であった。
予備審問の法廷で、母マリアさんは「フラヴィオは5人きょうだいの末っ子。サッカーとバスケットボールを愛するも泳ぐことだけは怖がり、一度も水泳を教わったことはありません。兄をはじめ私たちはフラヴィオ君に運河や川に近づかないようにと警告してきました」と述べ、肩を落とした。マリアさんは今、柵もなく危険を示す警告の標識も見当たらないその運河には安全対策に大きな問題があると強く訴えかけている。
(略)

プールからでも慣らしていけばいいものをいきなり運河とはどうなんだですが、わずか3年でブリ的紳士道に染まってしまった結果なのでしょうかね。
日本でも時々似たような事件が起こるという話も聞きますが、この場合周囲の人間も一緒に入水している分まだしもと言うことでしょうか。

今日のぐり:「菊寿司」

倉敷駅前の繁華な表通りから一本路地に入った場所にあるのがこちらのお店ですが、以前から近隣で一番のネタと評判を取っているお店です。
この日はまだ夜も早く夏なら明るさの残る時間帯ですが、久しぶりに来てみますとすでに予約客で満席状態と大変な繁盛ぶりで結構なことですよね。

ひとまず季節のネタを適当に握っていただいたのですが、ネタはちゃんとしたものだし、ヅケなど仕事ぶりもちゃんとしたものです。
シャリはネタに比べ絶讚するほどではないですが、最初から最後まで一定の握り具合でこれはこれでブレはないですよね。
ただこの軍艦はちょっと見た目的にどうなんでしょう、海苔がしなびてやせ馬の浮いた軍艦なんてものは景気が悪すぎる気がしますが。

寿司の味はそれとして、しかし確かに手が足りてないのは判るんですが、カウンター内はずっと無人と言うのがとにかく気になりましたね。
時々親父さんが奥から現れては皿に載せた寿司をお客の前に並べていくのですが、回る寿司屋の文化を逆輸入したのかと思ってしまいます。
ちなみにこうした奥の調理スペース、「つけ場」と言う言葉は今はすっかり意味が変わっていて使わなくなっているそうですね。
せっかくカウンターに座っても意味がないと言うものですが、それ以上に寿司の並べ方もまた乱雑で美しくないのが問題です。
勢い余って寿司が転がってしまったのを平然と放置して奥に引っ込んで行くのですが、一度ならずですからこれにはお客の方が一瞬固まりましたね。

またおしぼりを出してくれなかったのですが、他の席からもおしぼりを求める声が上がったので単に忘れたのでなく、そういう方針なのでしょうか。
しかし生の食材をお客さんが素手で食べるかも知れないのですから、一発でもアタリが出たらアウトだと思うのですけれども、まあおしぼりに食あたりの予防効果は立証されていないと言われればそうなのでしょうけれどもね。
加えて気になったのはまだ夕の早い時間帯なのにネタ切れ続出と言うことですが、予約客だけで満席になるまで入っているのですからもう少し仕入れ仕込みも何とかならなかったのかです。
お茶は冷め次第さっさと取り替えてくれたりと、ちゃんとしているところもまだあるんですが、残念ながらお客さんを連れて行けるお店ではなくなった感じですね。

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2016年12月22日 (木)

意外と多かった外国人による医療制度の計画的なご利用

先日は日本の保険医療制度を利用して、外国人が組織的計画的に日本で安価な医療を受けているケースがあると言う話題を紹介しましたが、そうは言ってもまだまだレアケースなのだろうと高をくくっておりましたら、これが案外と大きな規模で行われていることらしいと言うニュースが出ていました。

来日中国人が国保を不正受給!? 親を呼び寄せ日本で手術、出産育児一時金42万円を騙し取り…(2016年12月19日日刊SPA!)

 国民医療費が40兆円を突破し、日本の財政は危機的な状態にある。こうしたなか、一部の来日中国人が日本の医療制度に“タダ乗り”しようとしている。噂を聞いて取材を開始したところ、とんでもない実態が浮かび上がった!

◆親を呼び寄せ病院をハシゴ!? 出産育児一時金でも不正疑惑

 中国では最近になって、日本の手厚い医療制度が注目を集めている。ネット上でも、日本の国保に対する関心は高い。
 7月、70代の日本人が国保を利用し、月1万8000円でオプジーボ投与による治療を受け、完治したという日本のメディアの翻訳記事が中国版ツイッター「微博」に掲載され、反響を呼んだ。同じく微博には、日本で働く中国人女性が甲状腺がんの母親を何らかのビザで呼び寄せ、手術を受けさせたところ、後期高齢者だったために10%の負担で済んだという話が投稿され、数多く転載された。
 都内の行政書士は匿名を条件にこう打ち明ける。
「多いのは、すでに在住歴の長い中国人が高齢の親を呼んで、日本で治療させるパターンです。おおむね親が70歳以上なら、老親扶養のための『特定活動ビザ』が出やすい。これを利用して、親を日本に呼んで国保に加入させ、治療するのです。それこそ白内障から虫歯、腰痛など悪いところを全部治してしまう。渡航費と滞在費を差し引いても、お得になるそうです。何より中国に比べて医師や看護師も親切だし、安心して治療を受けられるといいます」
 中国の文書共有サイト「百度文庫」では、国保の加入方法や制度を中国語で説明した文書も多数アップされており、日本への移住に関心を示す中国人にとっても、国保は関心事のようだ。

 上海市の不動産会社に勤務する日本人男性は話す。
「『マンションを買って日本に住もう』という謳い文句で日本の不動産物件を仲介する中国の不動産業者がいますが、彼らが催す日本移住セミナーなどでは、国保の魅力が盛んに強調されています」
 日本に不動産を買って移住しようという富裕層なら、自らの蓄えでやっていけそうだが……。
「国保のような手厚い社会保障は、中国ではどんなにお金を出しても手に入れられない。ゆとりのある人は、民間保険に入っていますが、経済状況が不透明になり、どうなるかわからない」(中国人ジャーナリストの周来友氏)
(略)
 こうした状況のなか、独自調査によって同様の問題を指摘している人物がいる。東京・荒川区議会議員の小坂英二氏だ。小坂氏は独自の調査によって日本の公的医療保険が悪用されていることをうかがわせるデータを突き止めた。

◆中国で出産しても一時金は支給される

 それは、子供を出産すると住民票を置く自治体の国保から42万円が支給されるという出産育児一時金制度である。
「荒川区では昨年度、349件の出産育児一時金が支払われています。うち92件の受取人は中国人となっている。その割合は実に、全体の26%にのぼります。荒川区の人口に占める中国人の割合は3%ほどなので、これがいかに異常な数字かわかる。また、日本で公的医療保険に加入していれば、海外で出産した場合も出産育児一時金が支給されますが、海外出産での支給の実に65%が中国籍。一時金の不正受給のスキームが、口コミなどで広がっているのではないかと予想されます。新生児には海外の医療機関で発行してもらった出生証明書を提出することになっていますが、簡単な紙切れ一枚で偽造もたやすい。また、区役所では真贋チェックのための、発行元への照会なども行っていないのが現状です」(小坂氏)
 ちなみに’13年には、千葉県松戸市の中国人夫婦が、中国に住む兄夫婦の間に生まれた姉弟を自らの子として一時金を騙し取り、逮捕された事件もあった。

 さらに小坂氏は、タレントのローラさんの父親が不正請求で逮捕されたことで話題となった、海外療養費支給制度についても、疑いの目を投げかけている。同制度は、海外で支払った医療費の一部が、日本で加入する公的医療保険でカバーされるというものである。
「’14年度では、区が支給した海外療養費のうち、金額ベースで52.8%を受け取ったのは中国籍の人々。出産育児一時金と同様、簡単な書類の提出のみで受理されるため、悪意のある者にとってはやったもん勝ちです」(小坂氏)
(略)

日本に来てまで医療を受けると言うのはごく一部の物好きや富裕層に限られていると思っていましたら、案外向こうでは大々的に行われているようで驚いたのですが、考えてみれば中国人は出生地主義を取るアメリカ国籍を得るためにわざわざ妊婦がアメリカに出張出産?に出かけて行くと言うお国柄ですから、お隣日本くらいなら何ら問題ないと言うことなのかも知れません。
しかし出産育児一時金や海外療養費についてはこれほど高い比率で中国人受給者がいると言う事実にも驚くのですが、特に海外療養費制度などは日本人でも知らない人も多く知っていればもっと利用したのかも知れずですし、荒川区全体で年間分娩数が349件と言うこともないでしょうから、日本人にとっても利用面で課題があるのかとも思えますね。
ただ国としては今のところ制度的に問題ない以上は特に問題していないと言う立場のようですが、今後こうしたことによる支出増加によって給付の抑制をと言うことにでもなれば反対意見も高まってくるでしょうし、その過程で改めてこうした支給システムに問題があるのではないかと言う声も上がってくるのかも知れません。

外国人相手の優遇とも言われる公的支援としてしばしばやり玉に挙げられるのが生活保護制度ですが、生活保護法においてはその対象を国民としていたものを、法に基づかない厚労省の通知によって外国人にも支給することになったと言う背景があり、最高裁においてもあくまで行政措置であり法的な受給権はないとして生保支給を認められないとした判決もあります。
先のアメリカにおける出張出産なども当然ながら現地では問題視されていて、近年あちらこちらで取り締まりが行われていると言いますが、医療保険制度にしても現行の制度が妥当なのかどうか、何らかの不正対策が必要なのではないかと言った議論も望まれるのかも知れません。
ただ無保険外国人が巨額の医療費支払いに困窮し未払いのまま国外に逃亡したと言ったケースも数多く問題になっていることからすると、基本的に皆保険制度の間口は広い方が医療機関にとってはありがたい話なのだとも言えますから、ともかくも外国人が保険診療を受けること自体ケシカランと言う風潮になるのもあまりありがたくない話ではありますね。

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2016年12月21日 (水)

初等教育の現場で見られる不可思議な現象が話題に

時々ネタなのか本当なのか判らない話と言うものはあるものですが、先日こんな記事がちょっとした話題になっていました。

3.9+5.1=9.0は減点対象……理由を文科省に聞いた 「減点は教員・学校の裁量次第」(2016年11月29日ねとらば)

 Twitterに投稿された「3.9+5.1=9.0」が減点されていたとする画像が話題になりました。画像では「.0」の部分が斜線で消されており、正しい解答は小数点の付かない「9」とされていました。これについては脳科学者の茂木健一郎さんも「虐待である」としてブログで抗議する(関連記事)など物議を醸しましたが、そもそもなぜこの計算が減点されてしまうのでしょうか。文部科学省に見解を聞いてみました。

 このことに関して文科省は「基本的には『9』と『9.0』は同じと考えている」「『.0』を付けてはいけないというルールは学習指導要領にはなく、文科省が指示しているものではない」と説明しており、斜線で消すというルールについては「教科書にはそうするように書かれている」とのこと。しかし「『.0』を書いた場合減点するよう指導しているわけではない」と語っており、特に明確な基準の下で減点対象とされているわけではないそうです。

 文科省によると、「(9.0の場合)小数点を書き忘れて90になってしまう」「小数点が必要ない計算でも『.0』を書いてしまう」という子どももいるとのこと。そういった子どもに厳密な指導をする目的で「『.0』を書いたら減点します」と教員がアナウンスすることもあるそうです。

 今回のような減点は各学校や教員の裁量に委ねられている様子。なお、学校の状況や各児童の理解度も異なるため、「減点しない」という形での指導基準統一も難しいそうです。

個人的には「3.9+5.1=9」と言うのは有効数字が揃わないようで違和感がある答えと言う印象なのですが、しかし小数点を書き忘れる人がいるから減点と言うのも妙な話ですけれども、加えて斜線で消すように教科書に書かれていると言う意図はどこにあるのかと言う気もしますね。
正直記事からは何故これを減点しないと言うことに統一してはいけないのかはよく判らなかったのですが、いずれにしても採点基準は各教員学校の裁量に委ねられていると言うことで、教室内での事に口は出せないと言うことでしょうか。
独自の裁量発揮により学校や教室によってはもっと凄い採点が日常的に行われていると言う可能性もありますし、事実そうした事例はたびたびネットでも話題となりますが、その一端を示すものとして先日こんな記事が話題になっていました。

影の向き変化理由「地球が回るから」は「×」 こんな小学校教育は問題ないのか(2016年12月19日J-CASTニュース)

時間がたつと、かげのむきがかわるのはなぜですか」――。こう問われた際、皆さんなら、どんな答えを用意するだろうか。
「もちろん、地球が回っているから」と答える人は多いだろう。コペルニクスの時代からおよそ500年を経て、地動説はもはや常識になっている。しかし、もしあなたが日本人の小学3年生なら、先生に「誤り」を指摘される可能性がある。そんな「理不尽」とも言えそうなエピソードが、あるツイッターユーザーに報告された。

教育関係者も「私なら正解にしている」

「僕は間違っていると思う」と強い調子で訴えるのは、ある男性ツイッターユーザーだ。男性は2016年12月18日、小学3年生になる息子の答案用紙を写真で投稿した。理科のテストなのだろう。かげの向きが時間の経過で変わる理由を、地球と太陽の関係から導き出す設問だ。
「時間がたつと、かげのむきがかわるのはなぜですか」
これに対し、小学生の息子は「地球が回るから」と回答。しかし、採点で「×」となり、「太陽が動くから」と修正されている。さらに教師は、「学習したことを使って書きましょう」との注意書きを追記した。

男性は、この採点基準を「『地球の自転』をまだ習っていないという理由で、『太陽が動く』と答えろという教育」だと批判。すると、これに同調する教育関係者も出てきた。
陰山英男・立命館大教授は同日のツイッターで、「私なら正解として認めてると思う」。『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者で「坪田塾」の塾長、坪田信貴さんも同日、「『教科書や授業から学ぶこと=学習』ではない」とツイートした。
太陽はあくまで「見かけ上の位置」を動いているに過ぎない。影の向きの変化や日の出・日没はすべて、地球の自転によって起こるため、「地球が回る」という回答は正しいように思える。

学習指導要領「日陰の位置は太陽の動きで変わる」

しかし、ツイートのリプライ欄には、こうした同調意見とともに、男性への厳しい指摘もまた多数寄せられた。
影が動くことから直接地球が動くことと繋げるのは論理の飛躍がある
「問いは影の向きであって、影を作る要因となる太陽が文字として書かれないと正解とは言えない
主な理由として、「地球が回る」では自転なのか公転なのか判断できない、地球の自転を理解するのに必要な「天球」の概念が把握できているか分からない、といった点が挙げられた。つまり、「地球が回る」と回答するならば、説明を補足すべきというわけだ。

実際、地球の自転を公立小学校の3年生で習うことはまずない。現行の学習指導要領上、「日陰は太陽の光を遮るとでき、日陰の位置は太陽の動きによって変わること」(文科省HPより)を学ぶのが目標とされているからだ。
地球の自転のメカニズムを正確に把握しているかどうかにかかわらず、「太陽が動く」という答えは、学習指導要領上「正しい」
どちらも正しい、とも言えそうな今回の一件。賛成派、反対派双方の熱い議論は、なおも続いている。

実際には習っていないから駄目だと言う単純な話ではなく、習った知識から合理的に答えを求めるとどうなるかと言う点で間違っているとされたようなのですが、しかし単純な知識を問う暗記問題であればともかく、思考的応用力を問う問題であるならもう少し多様な考え方を受け入れてもらいたいとも考えてしまいそうです。
こうした話もネタのような本当の話と言うもので、管理人の中の人もかつて似たような経験をした記憶がありますからかなり広く行われている教育の方針なのだと思いますけれども、すでに以前から学校で習う正解なるものがどうもおかしいんじゃないかと話題になっていた経緯もあり、一体教育がどこを目指しているのか不安を覚えずにはいられないと言う声も増えているようですね。
高等教育ともなるとこうした答えを何故不正解とするのかと言う議論を深めることでずいぶんと興味深い学習機会が得られるのではないかと思うのですが、しかしかつて散々批判を浴びて社会的に抹殺すべしとされた詰め込み教育なるものと、この種の教育との間にどのような本質的差異があるのかと考えないではいられません。

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2016年12月20日 (火)

席につけば取りあえず出てくるあの一品がまたしても話題に

ご存知のように当「ぐり研」はお食事会系ブログを称しておりますが、そんな立場上見過ごせないこんな興味深い議論が出ていました。

お通し、「日本人でもあれは困惑」 「外国人トラブル報道」機に議論再燃(2016年12月9日J-CASTニュース)

   沖縄を訪れる外国人観光客が居酒屋の「お通し」に困惑していると地元紙が報じ、ネット上で「お通し」そのものの是非にまで議論が盛り上がっている。

沖縄の飲食店で会計時のトラブルが多発

   記事によると、沖縄でグルメ体験目的の外国人観光客が増え、沖縄観光コンベンションビューローに「お通し」やテーブルチャージなどの問い合わせが寄せられるようになった。メニューに料金の表示がなかったとして、飲食店で会計するときにトラブルが多発しているというのだ。
(略) 
   この記事内容については、ネット掲示板などで話題になっており、「お通し」そのものについて賛否が分かれる議論になっている。

   「お通し」に賛意を示す意見としては、「それが異国文化ってやつ」「郷に入れば郷に従え」「チップ代りだと思っとけば?」といった声があった。ただ、外国人には分かりにくいことから、「お通しの説明をエントランスに表示したらいい」「入場料とか席料取って、お通しはサービスって方が納得いく」などの提案も出ていた。
   一方で、「お通し」に否定的な声も多く、「日本人でもあれは困惑するわ」「頼んでないものを出すのはどう見てもオカシイ」「お通しはほんとやめてほしいな」という疑問や批判が相次いでいる。

ヤフー意識調査では、7割が否定的な回答

   「お通し」について、立教大学法学部の細川幸一ゼミが2014年1月にまとめた調査によると、学生が訪れた居酒屋チェーンの半数で「お通し」を断れず、ネットアンケートでは値段について約7割が「高い」「やや高い」と答えていた
   これはニュースでも報じられ、ヤフーが直後に「お通し」がどうあるべきか意識調査をしたところ、「無料で出してほしい」「無料でもいらない」と答えた人が約7割にも達した。「今のままでよい」は1割強に留まっていた。
   また、Jタウンネットでは、15年11月15日付記事で、居酒屋チェーン各社に客から「お通しいらない」と言われたときにどう対応するかを取材した結果を表にまとめている。5社は「お通し」カットが可能だとしたが、養老乃瀧は「基本的に対応しない」、つぼ八は「アレルギーがある場合などで対応」と答えていた。
   そこで今回、養老乃瀧の広報担当者に、J-CASTニュースがあらためて取材すると、「アレルギーで食べられないときなどは、別のものに変えられます」と話した。外国人に対しては、英語と中国語のメニューを用意して、「お通し」の説明も載せているとし、トラブルは聞いたことがないという。「お通し」については、「料理が出てくるまで、『酒の肴』として楽しんでもらうおつまみです。アルコールを飲む人だけに付けており、テーブルチャージとは違います」と説明した。
   つぼ八の広報担当者は、アレルギーがある場合などで「お通し」カットできると、Jタウンネット記事の時と同じ説明をし、アルコール注文のときだけ「お通し」を付けているとした。英語や中国のメニューでは「お通し」に触れていないが、外国人の来客は少ないため、トラブルは聞いていないという。

ちなみに元記事となっているのはこちら、12月6日付琉球新報の「「お通し」って何? 外国人客のトラブル増 沖縄、店に「多言語化」呼び掛け」なる記事ですが、沖縄に限らず、外国人脚に限らずこの種のトラブルは以前からたびたび発生し、そのたびにネット上ではちょっとした議論が繰り返されてきたものです。
記事を読んでいて興味深いのは大手チェーン担当者のアルコールを飲む人だけに付けている、テーブルチャージとは違うという説明ですが、もちろん日本全国同じルールで運用されているわけではなく、実際にはお金を取るかどうかも含めて各店毎に対応はまちまちであると考えてよいのでしょう。
ただ語源的に言えばお通しとはお客を席に「お通し」し注文を帳場に「遠し」たと言う印だったと言い、喫茶店で注文を取る際に水とおしぼりを持ってくるのと同様料金外の行為だったそうなのですが、それに対してお金を取るようになったことの説明としてしばしばテーブルチャージであるとされてきたのもまた事実ですよね。
ちなみに関西圏で言うところの「つきだし」もほぼ同義で必ず突き出すから突き出し、あるいは料理に付いて出てくるから付きだしと諸説あるようですが、こちらもお通し同様有料扱いのお店もあれば無料のお店もあり、また断れる場合もそうでない場合もあると言う点は共通であるようです。

このお通し問題、いくつかの議論が錯綜するのが常なのですが、一つには頼んでもいないものを勝手に出してお金を取るのはケシカランと言う意見、そして一つには欲しくもないのに断れないとはおかしいじゃないかと言う意見、そしてそもそもあまりにひどいレベルのお通しが多いと言う意見におおむね集約される印象です。
デフレ時代で各店とも一円でも安くとしのぎを削っている中で、やはり注文外の品で勝手にお金を取るのはどうなのかと言う意見はもっともですし、正直安さが売りの大衆店で有料でお通しもどうなのかと思わなくもないのですが、この点に関しては店側もはっきりテーブルチャージである等々明示しておくべきかと思いますね。
その点とも関連して断れないと言うことへの不満ですが、もともと勝手に料理を出しお金を取るのは法的にはグレーゾーンであるものの、社会的に認知されているから違法とは言えないと言う説もあるそうで、今回外国人客からクレームが出たと報じられたのはなかなか示唆的な話だとは思いますね。
売値時価のお店ならともかく、他の料理に関しては明朗会計を貫いているのにお通しだけ不明瞭なのは外国人ならずとも違和感を覚えるところでしょうが、特に居酒屋スタイルと言うものは好きなものを好きなだけ頼める点が外国人に受けているのだそうで、そういう意味でもクレームを受けやすい下地はあったと言えそうです。
いずれにしてもお通しはそういうものと暗黙の了解を前提にやっていると店側も余計なトラブルを招く覚悟はしておくべきだと言う話なんですが、やはりお金を取る以上はそれに見合った中身を期待したくなるのは当然ですから、あまりにお粗末なお通しを出すお店が少なからずあると言う現実にもお店側は留意いただきたいところです。

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2016年12月19日 (月)

医師が金儲け主義に走り国民を搾取していると話題

定期的に登場する類の記事なのですが、このところこうした記事が立て続けに出ていました。

血圧新基準は患者激減恐れた「高血圧マフィア」が潰した(2016年12月14日NEWSポストセブン)

 日本高血圧学会が定める「高血圧」の基準値は、2014年のガイドラインでは、まず血圧の上(収縮期)130mmHg以上を正常高値血圧と呼び“高血圧予備群”として注意を促し、さらに140以上を「高血圧」と分類し、治療対象にしている。

 本誌・週刊ポストは今から2年前の2014年、「血圧147は健康値」という大特集を組んだ(5月12日号)。この根拠は、日本人間ドック学会が同年4月、健康保険組合連合会との共同研究による「新たな健診の基本検査の基準範囲」と題した報告書を発表したことにある。約150万人に及ぶ人間ドックの健診受診者のデータから、健康な人の「正常な基準範囲」の上限として、現行基準よりも大幅に緩い147という数値を公表した。
 これまで高血圧と診断されていた人たちが「正常」となるならば、いったいこれまでの基準値は何だったのか──本誌がこの報告を大々的に報じたことで、血圧の基準値をめぐる大論争に発展した。この人間ドック学会の発表に対し、他の学会が猛反発した。高血圧学会や動脈硬化学会は〈人間ドック学会の「基準範囲」は日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねない危険なもの〉と強く批判した。
 その結果、人間ドック学会はその後、「あくまで健康の目安であり、病気のリスクを示したものではない」とトーンダウンしてしまう。

 果たして、「血圧147は健康値」という新基準は誤りだったのか。健康基準についての研究を行なう東海大学名誉教授の大櫛陽一・大櫛医学情報研究所長は、「新基準は正しかった」と断言する。
「同時期(2014年)に米連邦政府のガイドライン作成委員会(JNC8)が決めた新基準では、血圧は60歳以上なら上は150以上が高血圧とされた。それどころか60歳未満については上の基準を定めること自体に『科学的根拠がない』とも指摘しています。人間ドック学会の新基準はこの数値とも近く、高く評価されるべきものでした。
 が、日本では高血圧の基準が非常に厳しく定められているため、それと相容れない新基準は医師会や臨床学会から大きな批判を浴び、脅えた人間ドック学会も議論自体を引っ込めてしまったのです。日本の高血圧基準を見直す大きなチャンスだっただけに、残念でなりません」

 なぜ、そうまでして医療界は新基準を潰したかったのか。
「過去の調査によると、30~80歳の男女で『血圧の上が130以上』には全体の約30%の人が当てはまります。それに対し、新基準で基準範囲外とされる148以上の人は約8%しかいない。高血圧とその予備群が3分の1以下になる。この基準が臨床に適用されれば、高血圧患者が激減して町医者の経営が成り立たなくなり、薬局にも大ダメージになる。だから、業界を挙げて猛反発したのです。
 その動きを牽引したのが、降圧剤のセールスのために、学会に働きかけて血圧の基準を下げてきた集団です。欧米では『高血圧マフィア』と呼ばれるその集団によって、20年前に米国政府やWHO(世界保健機関)の血圧基準が下げられた。その反省から、基準が緩和されたのです。ところが、日本では今も既得権に固守する勢力が、学会と厚生労働省の定める基準に強い影響を及ぼし、基準がそのままという現実がある」(同前)

医薬分業 医師と薬剤師が利益最大化で患者には二重搾取(2016年12月16日NEWSポストセブン)

 慢性疾患で“いつもの薬”をもらうことが目的となっていても病院は2週間や1か月分しか薬を出してくれないことが大半だ。患者が不便を強いられる一方、病院は来院を小刻みにすることで再診料などが確実に稼げる
 高血圧薬や糖尿病薬などは期間の上限なく処方できるもの。病状の安定した人なら、60日分や90日分を一度に出しても問題ないケースもある。だったら診断を受けることなく、過去にもらった処方箋だけで薬を買いたいと考える人も少なくないだろう。
(略)
 現在では医薬分業率は約70%に達し、調剤薬局で薬をもらう「院外処方」が主流になった。大病院の前に5つも6つも薬局が軒を連ねる「門前薬局」が次々と現われ始めたのは、今世紀に入ってからだ。
 厚労省は医薬分業のメリットを、医者が出した処方箋が安全で有効かを薬剤師の目でダブルチェックできるため医療の質が向上し、医療費の抑制も図れると喧伝した。
 だが、実際に起きたことは、医者と薬剤師がそれぞれの分野で利益を最大化しようとして、患者の負担を“倍増”させたことだった。山野医療専門学校副校長で医学博士の中原英臣氏が指摘する。
「医薬分業の結果、医師の処方権は強いまま残り、患者は薬のためだけの通院を余儀なくされ、さらに金銭的な負担も増えました。理由は調剤薬局が、院内処方ではなかった『調剤技術料』や『薬学管理料』といった名目で報酬を受けているためです。
(略)
「何が技術ですか。実際は医者が書いた処方箋に従って、棚から薬を出して袋に詰めるだけの作業が大半ですよ。薬学管理料は、薬剤師が副作用や薬の飲み方を患者に説明したことに対する報酬ですが、これも説明が尽くされているとも思えない」
 米山医院院長の米山公啓氏もこう話す。
「メリットであるはずのダブルチェックも患者側には実感しにくく、患者のことを思えば、“院内処方に戻すべきだ”との揺り戻しの動きが厚労省内で起きていると聞きます」
 患者は医師に処方箋を書いてもらうため自分の時間を奪われ再診料という余計なカネを払い、院外薬局でも不当に高い薬代を払わせられる“二重の搾取”を受けているのである。

まあしかし日本とアメリカで疾患毎の有病率が異なっているだとか、日本人は人口が倍以上違っているアメリカ人と同じくらい多くの人が脳卒中で亡くなっているだとか、国毎に病気の実態が異なり対策も違うはずだと言うのは医療関係者であれば常識かなと思っていたのですけれどもね。
ちなみに大櫛陽一先生は阪大で工学を修めた医療統計学の専門家であり、他方で中原英臣氏と言えばウィルス学・公衆衛生学がご専門で当「ぐり研」でもずいぶんとお世話になった著名人ですが、しかしこの種の記事に登場する「専門家」なる方々が全く専門家に見えないと言うのは何かしらマスコミ業界特有の暗黙のルールと言うものなのでしょうかね?
ドック学会との基準治の齟齬云々に関しては壮大な勘違いであると言う認識でいたのですが、ただ血圧に限らず何をもって正常と言えるのかはなかなか難しい問題で、血圧がこれくらいの数字が続けばこれこれの病気のリスクが何倍になると言った言い方しか出来ない訳ですが、ではリスクが何倍になれば治療が必要な病気としての高血圧なのかと言われれば人それぞれの判断としか言えそうにないですよね。
一方で町医者の売り上げが減るから血圧基準の緩和に反対したのかと言われると中にはそういう人もいたのかも知れませんが、むしろ今の時代ですと医療訴訟面で「こんなリスクがあるのに放置した!」と言われることを恐れる声の方が強そうですから、国民がリスクを甘受していただけると言うことであれば誰も高血圧のガイドラインがどうこうと気にしないのかも知れませんね。

医薬分業に関しても医師で医薬分業を推進しているとか絶讚していると言う人間は未だに出会った経験がないのですが、しかし病院が再診料で儲けている云々の話は医薬分業とは関係のない話としか見えませんし、そもそも開業のクリニックならともかく今どき患者を小刻みに来院させて儲けようなどと考える暇な病院がどれほどあるものなのでしょう?
再診の間隔については多忙な病院勤務医などは基本的に外来の混雑を緩和したいため長期処方を出したがる傾向がありますが、一方で国の方ではそんな長期処方が出来る安定した患者なら開業医に逆紹介しろと言う立場で、患者からすると大病院から開業医に紹介された途端にしょっちゅう来院させられるようになったと不満もたまろうと言うのは理解出来る話です。
これなら長期処方してくれる病院にかかりたいとまた舞い戻ってくる患者も実際いるわけですが、しかしそうなるのも診療報酬上の設定でそうなっているのが原因なのであって、現場でも誰も喜んでいない制度を導入した厚労省にこそクレームをつけていただければもっと歓迎されそうですよね。
ちなみに製薬業界にとってはまた別の思惑があるはずで、疾患の治療水準が厳しくなり薬の売り上げが伸びればうれしいと言った事はあるのかも知れませんが、薬屋のプロパーに言われるままどんどん新薬を処方してしまうタイプの先生もまだそれなりにいらっしゃるものなのでしょうか。

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2016年12月18日 (日)

今日のぐり:「山県そば」&「あさひ亭」&「八川そば」

先日ちょっとした話題になっていたのがこちらの事件なのですが、この記事だけでは何がどうなったのかと思うような奇妙な事件ですかね。

うどんだし足してもらえず店長暴行 容疑で男逮捕(2016年12月10日神戸新聞)

 尼崎北署は10日、暴行の疑いで、兵庫県尼崎市の会社員の男(39)を逮捕した。

 逮捕容疑は、10日午前1時前、同市立花町のうどん店で、食べていたうどんのだしが少なくなり、「足してほしい」と店長(61)に頼んだところ断られたため、店長の腕をつかみ、店のカウンターに押し付けた疑い。同署によると、男は共に来店した女性と1杯のうどんを一緒に食べていた。調べに対し、容疑を認めているという。

別の詳しい記事によれば断られたのではなくだしの追加は有料になると言われたところ暴れ出したのだそうですが、世間では21世紀版「一杯のかけそば」だと言う声もあるようです。
本日は深夜に思わぬ災難に見舞われた店長を励ます意味で、世界中から起こるはずがなかったはずなのに発生してしまった予想外の戦いを取り上げてみましょう。

ツイート返信に逆上し恐喝未遂 2容疑者逮捕(2016年12月9日カナコロ)

短文投稿サイト「ツイッター」の返信に逆上し現金を脅し取ろうとしたとして、秦野署は8日、恐喝未遂の疑いで、いずれも自称アルバイトで伊勢原市三ノ宮の男(20)と秦野市内在住の男(20)=事件当時(19)=を逮捕した。

逮捕容疑は、9月8日午後8時ごろから同9時ごろまでの間、同市曽屋の駐車場で、南足柄市に住む無職男性(20)を「おまえの家を燃やすぞ」などと脅迫し、現金約20万円を脅し取ろうとした、としている。2人とも容疑を認めているという。

同署によると、2人は遊び仲間で被害者と面識はなかった。9月3日ごろ、秦野市内在住の男が「酒が飲めないと死んでしまう」などとツイッターに投稿したところ、被害者が「アル中だな」などと返信。激怒した2人がメールで連絡して呼び出したという。

まあネットやSNSでこの種のトラブルはありふれていますが、顔見知りでもないのにリアルバトルにまで発展すると言うのは珍しいですね。
最近ではサメの類も絶滅危惧種に指定されているものが少なくないそうですが、その結果こういう事件には世間が大騒ぎすることになると言うことです。

サメを何度も殴った若者逮捕(2016年11月26日ナリナリドットコム)

サメを殴打した男性が逮捕されたという。この21歳の男性と友人は、米フロリダ州沖を泳いでいたサメを捕獲して岸へと連れ帰ろうとしたようだ。

目撃者は次のように証言している。

「1人の白人男性がサメの頭に左腕を回し、腹部を何度も殴りつけていました」
「その男性はサメを浜辺へと引きずり上げて、小さな子供をそのサメの上に乗らせて写真を撮っていました」
「その2人の白人男性はそのあとサメを海へ戻し、また捕まえようとしましたが無理だったようです」

その後身元が発覚し、逮捕されたこの男性は、禁止種の捕獲の罪を科されており、12月7日に罪状認否が予定されている。

海中でサメに喧嘩を売ろうと言うその度胸を讃えるべきなのか微妙なところですが、しかし往年の海洋恐怖映画なども今の時代動物虐待と批判されるのでしょうか。
これもアメリカらしい事件と言えば言えるのでしょうか、とうとうここまで来たかと思うような事件が報じられていました。

世も末の銃社会 12歳米少年「学校へ行け」とせかす母親に発砲(2016年10月14日ナリナリドットコム)

本来は外部からの侵入者による万が一の事態に備えるために購入する銃が、家族間の諍いにおいても乱用されるようになって久しい米国。銃社会ならではの恐ろしい事件をたくさんお伝えしてきたが、このほどはアラバマ州で…。

アラバマ州ワシントン郡のキャルヴァートという町で、母親を散弾銃で撃った12歳の少年(それ以上の情報は明らかにされず)が逮捕された。郡保安官リチャード・ストリンガー氏の発表によると、少年は母親の背後60cmまで近づいて背中から発砲。母親はなんとか命を取り留め、治療が続けられているという。

「学校が嫌いで通っていなかった。『行きなさい』とうるさい母親とは口論が続いていた」と話し、少年は犯行についてすべて事実だと認めている。使用された銃は口径も大きい散弾銃の12番。実弾が入っていることを承知の上で親の寝室から取ってきたという。

ストリンガー氏はまた「少年に過去の犯罪歴はありません。現在、身柄は郡少年拘置所に収容されています。殺人未遂事件として起訴されましたが、12歳という年齢ゆえ大人に適用されるような刑罰で裁くことはありません」としている。娘がこの少年と同じクラスだというブレスレット・ブラウンさんは、メディアのインタビューに「物静かな子で問題児という印象はなかったようです」と語り、ショックを隠せないもようだ。

母親の命が助かったことでまだしも罪一頭を減じていると言うところでしょうが、しかしここまでのことになるとはどれほど学校が嫌いだったのでしょうかね。
いい大人が殴り合いの喧嘩をすると言うこともあまりあることではありませんが、時と場所とは選んで欲しいと思うのがこちらの事件です。

韓国機、副機長ら乱闘で遅延(2016年12月4日共同通信)

 【ソウル共同】韓国SBSテレビなどは4日までに、仁川国際空港から米ニューヨークに向け離陸する前のアシアナ航空機内で2日午前、副機長2人が乱闘となり、出発が約1時間遅れていたと伝えた。乗客は搭乗する前だった。

 現場には警察が駆け付け、1人は病院に搬送。アシアナは、もう1人は精神状態が安定しているとしてそのまま業務に当たらせたという。乱闘の原因は分かっていない。

 聯合ニュースによるとアシアナ関係者は「事実関係を確認し処分を検討する。結果が出るまで、当事者はフライトから外す」としている。

いやいや、そのまま業務に当たらせてはいかんだろうと思うのですが、よほどにパイロットも人手不足なのでしょうね。
最後に取り上げますのは異種格闘技戦というのでしょうか、まずは記事と共に動画も参照いただきたいニュースです。

男性が野生のカンガルーに顔面パンチ(2016年12月5日テックインサイト)

頭を脇に抱え離さない「ヘッドロック」はプロレス技の1つである。「頭蓋骨固め」とも呼ばれるこの技を、オーストラリアの野生のカンガルーがペット犬に仕掛け、それを見た飼い主が救出に向かう映像が拡散している。ちょっと変わったハプニングを『dailystar.co.uk』ら複数のメディアが伝えた。

今月4日、『Man Punches Kangaroo In The Face To Save His Dog(ペット犬を助けるためにカンガルーに顔面パンチする男性)』と題してYouTubeに投稿された映像が話題になっている。
映像ではカンガルーが犬の頭に腕を回してヘッドロックを仕掛けており、それを見た男性が「おいおい離せ!」とばかりにカンガルーに向かって走っていく。
カンガルーは姿勢を低く保ったまま男性を見ているが、男性が近づくと一瞬ひるんだ様子を見せた。
その隙を見て犬は逃げ、慌てたカンガルーは戦闘モードに入りすくっと立ち上がる。
男性はまるでボクシングをするかのように軽いフットワークを見せてカンガルーに向き合うと、右手でカンガルーに顔面パンチを食らわせた。するとカンガルーは両手を上げてのけぞり放心状態に…。
その後、男性は逃げた犬に「行くぞ」と合図。カンガルーは男性が去っていくのを見ると、ジャンプしながら森の中に逃げて行った。

オーストラリアのカンガルーといえば今年2月、「カンガルーサンクチュアリ」のロジャーが話題になった。ロジャーはキックボクシングで体を鍛え上げ、筋肉ムキムキ。この男性がロジャーと闘っていたら、勝ち目はなかったに違いない。

イヌがもっと小さいのかと思って動画を見ますとかなりイメージが違ったのですが、何がどうなってこんな状況になったのかも疑問です。
しかしカンガルーと言えば打撃系で有名ですが、こうしてみますと組技の能力も侮れないものがありそうですね。

今日のぐり:「山県そば」&「あさひ亭」&「八川そば

島根県南部の山あいに位置する奥出雲町と言えば八岐大蛇伝説など神話によっても知られていますが、そば街道と言うほど蕎麦処としても知られています。
こんな田舎町であるにも関わらず数多くの蕎麦屋が立地していますが、今回何軒か回ってみました。

まずは市街地外れの山あいに立地する山形そばさんにお邪魔してみましたが、蕎麦道場併設で地元のおいちゃんおばちゃん達のやっている田舎の店と言う感じです。
ひとまず定番でわりごそばを頼んでみましたが、見た目はごく普通の田舎蕎麦ですが、これがなかなか侮れないしっかりした蕎麦で、割子蕎麦としてかなり高く評価出来ます。
牛そばなるものも試して見ましたが釜揚げ蕎麦に牛皿風トッピングが乗ったもののようで、この季節暖まるメニューですがタマネギ以外にゴボウなどでも合うかも知れませんね。

こちらの場合面白いのは単品メニューでも小鉢小皿が複数付いてくるし、地元特産の仁多米がセットになっているメニューが多いと言うことです。
蕎麦屋として考えると邪道な気もするのですが、これらのおまけもそれぞれに楽しめるものが多いので悩ましいところですね。
接遇面ではおばちゃん達はごく普通のおばちゃんですが、親父さんはなかなかフレンドリーで蕎麦好きなら話が合うのではないかと言う気がします。
ちなみに店舗は仮設レベルなので暖房の効いた店内はともかく、冬の最中にこのトイレに行くのはきつそうだなと感じました。

一転して出雲横田駅前に位置するのがこちらあさひ亭さんですが、しかしこちらの駅は何か神社か何かのようで味がありますね。
こちらではざるそばにしてみましたが、蕎麦は田舎風の太打ちですが太さは綺麗にそろっているし、しっかり繋がっている真っ当な蕎麦風に見えます。
しかし何なんでしょう、食べて見るとちょっと独特の風味が感じられるのと、わずかに洗い足りないような食感と少し硬すぎる食感は気になりました。
ちなみにざるそばですが薬味はわりごと同じもののようで、そばつゆも盛りで食べる分にはちょっと弱めに感じられますがこんなものでしょうかね。
月見そばも少しつまんで見ましたが、こちらの場合釜揚げの丼の底に蕎麦つゆを入れているのでしょうか、茹で湯で薄まる分出汁の風味がちょっと弱くなりますが暖まりますね。

しかしこちらでも仁多米とのセットがデフォなのか?と思うのと、席に着くとまずお茶と茶菓子が出てくるのが他ではあまり見られないことで面白いですね。
店構えも一見普通の蕎麦屋風ですがほぼ座敷席だけで、確かに土間の椅子席では足下が冷えそうですから合理的ではあります。
接遇面ではおば…もとい、おねえさんの采配がちょっとどころでなく不安だったのですが、おばあちゃんが店番している昔ながらの小さな駄菓子屋をちょっと連想しましたね。

最後にお邪魔したのが八川そばさんですが、ここも幹線道路沿いかつ八川駅前の一等地で、ちょいと土産物なども扱っていそうなかなりの大店です。
割子そばはまあ標準的か…と言う可も無く不可も無くなものですし、ざるそばも基本的に同じ印象ですが、逆に普通に薬味にわさびが出てきたのが珍しい気がしてきました。
かなり甘口のそばつゆは単独で口にするとどうなのか?と思ったら、意外とこの蕎麦に合うのが面白いなと感じましたが、しかしそばつゆを蕎麦の右手に並べられるのはどうなんでしょう。
ちなみにこちらの蕎麦湯は粉も溶いているのでしょうが、最初から刻みネギが浮いているのは珍しいですね。

接遇面は町のお店と比べてもごく普通の水準ですし、意外に新しい建物で地味にトイレはバリアフリーと、ハードウェア面では相応に整っているのは助かります。
ただ石油系の暖房に由来するものなのか、妙に油臭い匂いが店内に充満してるのは香りが重要な蕎麦屋だけに何とかして欲しいなと思いました。

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2016年12月17日 (土)

事実に対する解釈をどう考えるべきか

あまり社会的に歓迎されない事実と言うものは時に黙殺されたり曲解されたりするものですが、先日読んでいて非常に難解な印象を受ける記事が出ていました。

子の学力と親の経済力、相関関係があるって本当?(2016年11月19日NEWSポストセブン)

L25世代が結婚を考える時お互いの経済力は気になるもの。自分たちの生活の安定が叶うかもポイントですが、将来子どもが生まれた時に「良い教育を受けさせたい」と思うと、相手にある程度の年収を求めるか、自分が仕事を続けるか…悩んでしまうのは致し方ないことかもしれません。
現に、親の年収と子どもの学力に相関関係があるとする調査もあるようです。お茶の水女子大学「平成25年度全国学力・学習状況調査」の「世帯収入(税込年収)と学力の関係」によると、たとえば小6国語Bの学力テストの結果をみても、親の年収300万円から400万円の場合は45点であるのに対して、800万円から900万円は57.6点と大きく開きがある結果に。必ずしも直線的に比例はしないものの、「概ね世帯収入が高いほど子どもの学力が高い傾向が見られる」と報告されています。
こうした“格差”はなぜ生じてしまうのか、子どもの教育格差解消を目指す活動を展開する、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事の今井悠介氏に聞きました。

「子どもの学力が親の経済力に左右される理由は明確になっておらず、所得のみで切り分けられることでもないとは思います。しかし、所得が低いほど教育費の負担と子どもに様々な“体験”をさせることが難しく、それが何かしら子どもの学習に影響を与える可能性は否定できないでしょう」(今井氏、以下同)
とはいえ、日本には義務教育の制度があるため、裕福ではない家庭環境でも子どもの努力や資質次第で、高い学力を身につけることもできるのでは?
「もちろんそういう子もいます。しかし、先ほどのお茶の水女子大学の調査によると、親が『高学歴・高所得』で全く勉強していない児童と、『低学歴・低所得』で毎日3時間以上勉強している子を比較すると、学力テストの正答率は前者の方が上回っていました。この結果からみても、学校外で3 時間以上勉強しても、学力テストの成績を追い越すことが難しいほど、学校+αの体験が与える影響は大きいようです」

実際に、学習費における「学校外活動費」(学習塾、習い事などへの支出)はかなりの割合を占めています。
「平成26年度の文部科学省の『公立小学生の学習費内訳』を見ると、学習費総額に占める学校外活動費の割合は68.2%にのぼっています。経済的・社会的な環境のよい家庭の子どもは、学校で埋められない学習や様々な体験の機会を多く得ることができるため、理解力が高かったり、効率的な学習の仕方を習得したりしている可能性があり、勉強時間の長い低所得家庭の子どもと同等の成績がとれるのかもしれません。あるいは、社会的・経済的な環境のよい家庭ほど、親などの周りの大人が子どもの家庭学習を見られる状況にあるといったことも考えられるでしょう」

同じように義務教育を受けていても学力に差が出てしまう理由に、学校以外の体験が大きく影響する理由は、子どもの“個性”にあるといいます。
「公教育は、経済状況を問わず平等に教えることができる場です。これ自体は、良いことですし、とても重要な役割を担っているのですが、一方で、子どもたちの家庭背景が様々である以上、子どもの能力などによって、一人ひとりの学びに個人差が出てきてしまうのも確か。多様な個性や能力を持つ子どもに対して、ひとつの教育手法でアプローチすることで、当然そのやり方がフィットせずに自己肯定感が低くなり、落ちこぼれてしまう子も出てきてしまう。公教育の必要性は全く否定しませんが、多様性を活かす意味では、現状では難しいシステムだと思います。その多様性や個別的なサポートの部分を補っているのが、民間の教育事業者です。そのため、そこに費用を割ける家庭の子どもが、学力という面でも有利になると言えると思います」
この不平等さは解消されるべきだという今井氏。いまの日本の教育事情に照らし合わせると、残念ながら、少なからず親の経済力が子どもの学力に影響を与えると言えそうです。

今井氏のコメントは何かしら非常に理解しにくい珍妙な解釈と言うのでしょうか、正直何を言っているのか判らないとしか言いようが無いのですが、普通に考えたらいくら教育環境を良くしても元々の素因がない人間には教育効果は乏しいと言う単純な話ではないかと言う気がしますがどうでしょうね?
ちなみにこの記事を見ていて興味深いと思ったのは、親の学力云々を無視してひたすら親の経済力に帰結させようと言う論調ですが、一般論として言えば日本社会では学歴の高い方が高収入を得るのに有利であると言う傾向がありますから、平たく言えば親の学力が高ければ子も容易に高い学力を示しやすいと言う素質があると言えそうです。
もちろん例外は幾らでもあるにせよ、地頭の良さと言われるものに遺伝的要因が大きな影響を与えていることは近年様々な方面から証拠付ける話が出てきていて、おおむね遺伝と環境の知的能力に与える影響力は少なくとも2:1~3:1くらいになりそうですが、しかし毎日一生懸命勉強しても追いつけないと言うのは正直かなしい話ですし、そうであるからこそ一部方面からは表立って認められがたいと言うことなのかも知れませんん。

いわゆる頭の良さと言うことに関しては何を以て定義するかと言う問題もありますが、一つの目安として主に機械的記憶力や単純反復過程を効率的にこなす能力が評価出来るペーパーテストも案外悪くないのではないかと見直す風潮があって、特に一定のルールに従って努力すればある程度努力に相関した成果が挙げられると言うことが近年肯定的に評価されてもいるようです。
ただそうは言っても同じ成果を挙げるのにも効率の良い人とよろしくない人がいることは経験的にも知られていることですが、やはり学力についても元々の素材の善し悪しが成果の絶対的評価に大きく影響すると言うことになれば、教育関係者としてはどうやって学生学童の勉学に対するモチベーションを維持させられるかと頭を悩ましそうですね。
この種の話で思い出すのが旧共産国で政治的要因から獲得形質遺伝説が熱心に支持されたと言う歴史的逸話ですが、今の時代の日本では何であれ違うと言うこと自体は優劣ではなく単なる個性であると言う考え方が主導的になっていますから、学習効率に個人差があると言うことも優劣ではなく単なる個性として認識されればそれでいいのではないかなと言う気がします。

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2016年12月16日 (金)

アメリカ人の死なせ方に対するこだわり

人間時に妙なことにこだわりを持つことがありますが、先日アメリカで起こったこういう議論もそうしたこだわりに由来するものの一つと言えるのでしょうか。

米の死刑執行で13分間苦しむ、薬物注射めぐる議論再燃(2016年12月10日AFP)

【AFP=時事】米アラバマ(Alabama)州で死刑を執行された死刑囚が、せきをしたりあえいだりして13分にわたって苦しんだことが立会人の話で明らかになった。これを受け、死刑執行に使われる薬物注射の有効性に関する議論が再燃している。

 ロナルド・スミス(Ronald Smith)死刑囚(45)は、1994年に犯したコンビニ店員殺害の罪で死刑判決を受けていた。

 死刑に立ち会ったメディアの一つAL.comのケント・フォーク(Kent Faulk)記者によると、スミス死刑囚の刑は8日夜、34分かけて執行された。その間スミス死刑囚は息をしようとしてもがいているように見えたという。

 アラバマ州矯正局のジェファーソン・ダン(Jefferson Dunn)局長によると、死刑執行の手順に何らかの不備がなかったかどうかを調べるため検死を行う予定だという。

 米国の死刑制度が存続している州では薬殺刑用の薬物が不足している。その一因として、一部の製薬会社が死刑執行用の薬物の提供を拒んでいることが挙げられ、こうした会社のほとんどは死刑制度が廃止された欧州に本拠を置いている。

 こうした薬物の不足に対処するため、アラバマ州をはじめとする一部の州は1つ目の薬物で死刑囚を眠らせ、2つ目でまひさせ、3つ目で心臓を止めるという3種の薬物を使う方法を採用している。

 アラバマ州は1つめの薬物として催眠鎮静剤のミダゾラム(Midazolam)を使用しているが、ミダゾラムを投与しても2つ目、3つ目の薬物が投与される前に深い無意識状態に入らないとの批判もある。

ミダゾラムが効かなければ他の薬を使えばいいんじゃないかと言う人もいるかも知れませんが、あまり妙な薬を容赦なく使っていると本番の薬を投与する前に呼吸が止まってしまうかも知れずで、この辺りは微妙に安全性との兼ね合いと言うこともあってのことなのでしょうか。
アメリカにおいても死刑制度のあり方は大きな社会的関心事であるようで、全米50州のうち19州は死刑制度が法的に廃止されているそうですが、死刑制度が残る州ではほとんどがチオペンタール、パンクロニウム、塩化カリウムの3種の薬品を使っているのだそうで、かつて死刑制度の代名詞だった電気椅子などは違憲判決が出たこともあって原則的に廃止されていると言います。
その背景には残虐な刑罰は人道的にケシカランと言う世論があると言えますが、特に電気椅子による刑執行の失敗が複数あるとの報道が出たことなども「残虐で異常な刑罰」廃止への契機となったのだそうで、かつて確実で苦痛の少ない人道的死刑法としてギロチンが開発されたように、死刑執行の方法もより改善され傍目に人道的と見えるものになってきていると言うことですね。
ただ確実で苦痛も少ない方法として開発されたこの薬殺法ですが、時に効果が乏しく死刑囚が長くもだえ苦しむ(ように見える)と言うケースも見られることが知られており、特に今回取り上げ荒れているミダゾラムなどは経験的に極めて効きが悪い人もいることが知られていますから、さらなる方法論の改善が望まれると言うことになるのでしょうか。

ところでこの薬物による死刑の一つの特徴として、ほとんどの場合その執行が医師によって行われると言うことが挙げられますが、当然ながら医学教育において如何に人を死なせるかと言うことを学び結果医師になったと言う人もまずいないでしょうから、極めて精神的な負担感の大きな作業であると言うことです。
この点に関連して興味深いケースとして薬物での刑執行に医師立ち会いを義務づけていたノースカロライナ州での事例がありますが、2006年に5人の医師による問題提起を契機に翌年州の医療監察委員会が医師が死刑執行に携わることは反倫理行為であり、関わった医師は免許剥奪など処罰の対象とすると表明した結果、以後は薬物による死刑執行が行えなくなったと言います。
近年では世界中で自動安楽死装置とでも言うべきものが実用化されており、別に医師でなくとも誰でも安全確実?に薬殺が行えるようになってきているわけで、実際問題として医師が立ち会う必要性はありませんけれども、より人道的な死刑をと凝りに凝った方法論を選ぶほど専門家を関与させる必要が高まり、結果として専門家から拒否されると言う別なリスクも増えてくると言うことになりかねない訳です。
ちなみに日本では今もかなり古いスタイルの刑罰とも言える絞首刑が執行されていて、これはこれで不確実性など様々な問題も指摘されているようですが、絞首台を作働させるボタンは本物に加えてそっくりな偽物のボタンも二つ用意されていて、3人で同時に押すことで誰が刑を執行したのか判らなくすると言う人道的な?工夫がされているそうですね。

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2016年12月15日 (木)

衝撃!?多くの高齢者は自分の運転を安全だと考えている

高齢ドライバーの運転が危ない、とは必ずしも言えないのかも知れませんが、自己認識についてはかなり危ない様子であると言うこんな記事が出ていました。

認知症ドライバー事故で「家族は崩壊」 ヒヤリもハッともしない夫…免許返納を断固拒否(2016年12月11日産経ビズ)

(略)
 長年、在宅介護のケアマネージャーを務めているMさんは、かなり昔から高齢ドライバーによる事故が増えることを危惧していたと言います。
 「私が担当する利用者さんのなかには、認知症のような症状が出ているにもかかわらずクルマの運転を続けている方が数名います。身体機能や言動を見ると、ハンドルを握るのは危険だと思わざるを得ません。で、ご家族に注意を促したり、ご本人にも『そろそろクルマの運転は卒業されたらどうですか?』と気分を害さないように気を遣いながら言ったりするのですが、聞いてくれないんですよね。幸い、その方たちは今のところ重大な事故は起こしていませんが、そんな現実を見ていると正直言って怖い。私自身、クルマを運転する時や道を歩く時は、そうしたドライバーがいることを想定して注意を払うようにしています」

 Mさんによれば、認知症の兆候が出ていても、それを自覚していない人がほとんどだそうです。最初に異変に気づくのは身近にいる家族。心配になって専門医に受診を勧めても、ほとんどの場合は拒否され、激怒されたという話を聞くことが多いそうです。
 厚生労働省の発表によれば、65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症患者とのこと。しかし、これは医師から認知症と診断された人の数であって、認知症の疑いがあっても受診を拒否している人を含めれば、その割合はもっと多くなるはずです。そういう人たちの多くがハンドルを握っていることになります。

 Mさんは、要支援1の認定を受けたにもかかわらず運転を続けているある男性高齢者の奥さんから、次のような相談を受けたことがあるといいます。
 「その方(男性高齢者の妻)はご自分でも運転をされるのでわかるそうなのですが、ご主人が運転する車の助手席にいると、以前はほとんどなかった“ヒヤリ・ハット”が最近増えてきたというんです。普通はそういう事故寸前のミスがあると、気を引き締めますよね。ところが、ご主人はヒヤリもハッともしている様子はない。それが怖いと。そんなこともあって運転免許の返納を提案したのだが、聞く耳を持たないそうなんです」
(略)
「自主返納者の多くは、今の自分と向き合い、衰えを感じる部分があれば謙虚に受け入れることができる人、そしてクルマの便利さや楽しさだけでなく、その一方にある事故のリスクも考え、どちらをとるべきか冷静に判断できる人だと思うんです」(Mさん)
 つまり……、周囲が今すぐにも免許を返納してもらいたいと思っている肝心の認知症ドライバーは、ほとんど含まれていないのではないか、とMさんは言うのです。
 「私が見てきた認知症の疑いがあるドライバーは例外なく自分を客観視できず“オレは大丈夫だ”と思い込んでいました。また、プライドが高く、弱みを見せられない、人の指図は受けないという意識が強い。だから、何の逡巡もなくクルマの運転を続けるわけです」(Mさん)
(略)
 また、取り調べで認知症が判明すると、家族が監督責任を問われることがありますし、被害者に対する負い目や賠償の問題が重くのしかかることになります。頼みの綱の自動車保険も認知症が判明すると保険金が全額出ない可能性があるそうです。
(略)

このヒヤリもハッともしないと言うのはなかなか言い得て妙な表現だと思ったのですが、確かに高齢ドライバーの運転を見ていると危機認識能力に大きな問題があり予測が不十分であると言うこともさることながら、現に発生している危機的状況を把握していないのではないかと思われるケースが多いように感じられますね。
唐突に割り込みめいた状況で他の車の前に飛び込んだ結果、後続車両が急ブレーキを踏むような状態であっても全くそしらぬ顔で走っている軽トラックなどはちょっと田舎にいけばいくらでもいるものですが、単純に周囲への観察力や状況判断力が劣っていると言うだけでなく、こうした行為が危険なものであると言う認識自体欠けているのかも知れません。
これらは年齢による脳力の劣化の結果なのか、それともこの年代の方々に共通するものの考え方のせいなのかは何とも言えませんが、高齢者の自己客観視脳力の欠如を示す、こんな興味深く空恐ろしいようなデータもあるようです。

なぜ?自信過剰の高齢ドライバー 衝撃データ…老いるほど強気「自分は大丈夫」(2016年12月9日産経新聞)

 自らの老いを認めたくないのか、それとも、本当に腕に自信があるのか-。高齢ドライバーによる事故が相次ぎ、社会問題となる中で、「自分は大丈夫だ」と自信を持つ高齢者が、年を重ねるごとに増えるとする衝撃のデータがあるのをご存じだろうか。60代、70代で5割、80代では6割を超える。一方で家族は運転能力の衰えを懸念し、意識の「ギャップ」は鮮明になっている。公共交通機関が手薄な地域では、生活の足として車が欠かせない現実も存在する。高齢ドライバーの対策は待ったなしだ。(細田裕也)

 岩手県立大の元田良孝名誉教授(交通工学)らは平成20年、盛岡市に住む65歳以上の高齢ドライバーとその家族約1千人を対象に、安全意識などについてアンケートした。
 《安全運転に自信はありますか》 この問いかけに対し、全体の55・4%が「ある」と回答。だが、年代別で区切ると、不可解な“逆転現象”が浮き彫りになった。それによると、「自信あり」と答えたのは、60代では53%だったが、70代で55・7%と微増し、最高齢の80代以上では63・2%に増加した。加齢による認知機能をはじめとした身体能力の低下は、科学的にも明らかになっている。にもかかわらず、老いれば老いるほど、自らの運転に自信を持つという傾向があるという結果が出たのだ。
 一方で同居家族の不安は尽きない。調査では、80代以上のドライバーがいる家族の20%が「(運転が)とても不安」と回答。年代が上がるほど、家族の不安は大きくなっていた。こうした意識のギャップはなぜ生じるのか。元田氏は「運転に自信のない高齢者が免許を返納するため、自信のある高齢者しか残らないから数値が増えるとの説もあるが、私は違うと思う」と指摘。「やはり、自らの衰えを認めたくないから、強気な回答をするということだろう。私も65歳になり、高齢者の仲間入りをしたのでその気持ちはよく分かる」と語る。8年前の調査だが、傾向は今も変わらない。「各種の意識調査でも同様の結果が出ている」(元田氏)という。
(略)
 「『これまでの習慣を変えたくない』『バスや電車に頼る不便な生活はいやだ』との理由から、何歳になっても運転にこだわる高齢者は必ずいる。運転が生きがいになっている人もいるはずだ」と元田氏。しかし、そうした高齢者の運転を危険視する声は社会に根強く、「どこかで折り合いをつける必要があった」と指摘する。自動運転技術であれば、「自分のペースで運転したい」という高齢者の思いをかなえるだけでなく、安全面での課題もクリアできるはずだ。元田氏は「現行のオートマチック車限定免許のように、高齢者向けに、自動運転車限定の免許をつくるなどの対策も必要ではないか。悲惨な事故を防ぐためにも技術開発が急がれる」と話している。

高齢になるほど自分の運転に自信が出てくると言うのは経験値の蓄積が自信につながっていると受け取れなくもない話ですが、もちろん客観的な判断で80代の運転の6割が安全などとはとても思えない話ですから、やはり自己客観視の能力が年齢を重ねるにつれて衰えていくとも解釈出来そうな話だと思えます。
ただ一応の解釈を加えてみますと、高齢者の免許自主返納は確実に増えているのだそうで、多少なりとも不安を感じている人は免許を返納するなり車に乗ることをやめるなり自主的に対策も進めているでしょうから、今現在も車を運転している高齢者はそうした認識が乏しく自信過剰であるから運転を続けていると言う意味では、そもそも調査にバイアスがかかっている可能性はありますよね。
とは言えこうした高齢ドライバーがどんどん増えてくれば世の中不安が増していくのも確かですから、どこかで何とかしなければならないと言うのが現在の社会で次第に共通認識になってきているのだと言えますが、免許の自主返納や運転禁止などの対策にも限界があると考えると、ひとまず優先的に普及を急ぎたいのが自動運転や運転補助の技術であると言えそうです。
この辺りは高齢者自身にとっても利便性を向上させる技術でもありますから、導入コストの問題さえクリアできれば何ら問題なく普及していくと思えるのですが、国や自治体も金銭的な面でのサポート充実はもちろんのこと、視力異常などと同様に条件を限定した免許の導入などは確かにあってもいいのではないかと言う気がします。

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2016年12月14日 (水)

国がとうとう歯科医過剰を認め対策を検討

と言うことなのですが、こちらの記事から紹介してみましょう。

歯科医、2029年には1万4千人過剰…合格基準引き上げも検討(2016年12月13日読売新聞)

 歯科医師が2029年に約1万4000人過剰となるという推計を厚生労働省がまとめた。厚労省は文部科学省と連携し、歯学部定員の削減や国家試験の合格基準引き上げを検討する。

 歯科医師は14年で約10万人おり、20年間で約2万人増えた。開業する歯科医師も多く、診療所数は約6万9000で、「(5万店超の)コンビニエンスストアより多い」と指摘される。競争激化から診療所の経営が厳しさを増す中、不必要な診療が行われたり治療が長引いたりする懸念がある。

 厚労省は、将来の歯科医師の過不足を把握するため需給見通しを試算した。現行の歯科医師数や国家試験の合格者数から、将来の歯科医師数を推計。少子高齢化を踏まえた推定患者数や歯科医師が1日に診る患者数などから、必要となる歯科医師数を算定した。

 1日に診る患者数を厚労省や日本歯科医師会の調査を基に3段階で想定すると、17年は3100人不足~1万5600人過剰、29年は600~1万8100人過剰と幅が出た。厚労省の有識者検討会が、中間的な想定が精緻で妥当と結論づけたため、最終的な推計値は17年で1万1300人、29年で1万4100人過剰になるとされた。

今さらな話題とも言うべきこの歯科医師過剰問題に関しては以前から何度か当「ぐり研」でも取り上げて来た話ですけれども、興味深いのは末端臨床の現場ではずっと以前から歯科医が過剰だ過剰だと騒がれていたにも関わらず、歯科医教育や歯科行政に関わるような大学の偉い先生方はまだまだ増やせと増員を唱えてきたと言う点でしょう。
ちなみに医師とは異なる歯科医独特の構図として、およそ10万人の歯科医師のうち実に9万人が診療所に勤務していると言う事実があって、競合する歯科医の増加は経営に直ちにに影響を及ぼすと言う、極めて切実な死活問題であると言う特徴がありますが、当然ながら大学病院等で毎月幾らの給料をもらっているエライセンセイには関係のない話ですよね。
この辺りは何かと言えばOECD平均ガーと言って医師増員一辺倒などこかの基幹病院のエライ幹部センセイを思い出させるものがありますが、自分の給料には影響がないことであれば手下として使える若手が安く豊富に供給される方がうれしいのは当然ですから、人間地位や立場によって目的とするところが違うと言うだけの話であるとも言えます。
実際に歯科医師会が「国民の側にすれば歯科医師の不足は困るが、多いのはむしろ歓迎すべきことであり、大学も経営の観点からは是であり、行政も設計のミスという批判を受けるかもしれないが、医療経済的にはゼロサムゆえにそれ程の圧迫感を覚えることもなしということ」だと看破している通りと言えるわけで、むしろ国がこの時点で歯科医供給を絞ることにどんな利点を感じているのかです。

この点で医科と異なる歯科特有の構造として保険外の診療が日常的に行われていると言うことが挙げられるかと思いますが、国としては幾ら歯科医が不正紛いのぼったくり診療を行おうが、過剰な保険診療で公費を使い潰すことがないなら気にしないのかも知れませんが、医科の場合原則保険診療ばかりですから儲け主義で過剰診療に走られると困る度合いがむしろ歯科より高いと言えそうです。
これについて今までは生かさず殺さずの絶妙な診療報酬設定で調節をしてきたと言えますが、今後医科においてもより保険財政に負担を与えない診療を心がけた医師や施設を優遇すると言う意味で、定額払いの拡大など何らかの過剰診療対策が講じられてくるのかも知れません。
また医師の場合はサラリーマンである勤務医が多いと言うことと、現段階で医師不足が未だ喧伝されていると言うことでも歯科医とはいささか事情が異なるとも言えるかと思いますが、注目すべきは先日紹介しましたように勤務医の2/3は医師が足りていないと答えた一方で、開業医の6割は医師は足りていると答えたと報じられていたように、これまた立場によって大きく意見が異なると言うことでしょうか。
もちろん現時点で直ちに医学部定員を縮小しろ、医師国試の難易度を引き上げろと主張する人間は開業医においても少数派だそうですが、しかし同様に国によって大々的な増員政策が採られてきた国家資格職である弁護士や歯科医が相次いで供給過剰から相場が破綻し、大学(院)の定員は埋まらないわ資格を取得してもワープア化必須だわと言う状況を前にすると、医師の将来像を予想することはある意味で容易な気はしますね。

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2016年12月13日 (火)

一日12円で得られる安心?

医療事故調の医療安全調査機構常務理事である木村氏が、先日事故調に関してこうした発言をしていたことをまず紹介してみましょう。

紛争・訴訟事例でも“センター調査”実施 - 木村壯介・日本医療安全調査機構常務理事に聞く◆Vol.3(2016年12月3日医療維新)

(略)
――院内事故調査を行っても、遺族がそれに納得せず、センター調査の依頼があった場合、並行して民事提訴していても、センター調査は実施する。
 はい。法律通りに実施することにしています。調査結果がどのように使われるかは、我々が関与するところではありません
(略)
――結果を報告するのは、当該医療機関とご遺族が対象であり、公表はできない。
 センター調査が終了した件数は公表すると思いますが、センターとして内容を公表することはありません。ただし、ご遺族が報告書を公表することを制限することはできません
(略)
――調査した結果、「事故ではない」と分かった場合、報告を取り下げることは可能なのでしょうか。
 報告後、「本制度で定義する医療事故ではない」と分かった場合、その時点までの経過をまとめて提出してもらうようお願いしています。院内調査は死亡直後から始まっており、情報収集やヒアリングなど、センターへの発生報告を行うまでに、さまざまな検討をしているわけです。それ自体が調査と言えます。
(略)

木村氏自身は事故調報告書が裁判に使用された例があるかどうかは判らないと言っていますが、昨年の事故調制度発足以前の医療機関の自主的な事故調報告書に関しては、今春最高裁で上告が退けられた鳥取大病院の事例などを見ても当然のように法廷の場に持ち出されているのですから、使われないと考える方が不自然でしょうね。
制度的にも遺族には必ず報告書を渡すことになっており、遺族が報告書を公表することには制限がないと言うことですから、遺族側にとってよほど不都合なものでない限りは裁判にも出てくるものでしょうし、そもそも事故調報告書によって病院側の診療内容に疑問を抱き裁判にまでなると言う場合も多いのではないかと思われます。
こうした時代になると現場の臨床医としてはいつ背後から撃たれるかと言う不安なしではいられないものでしょうが、先日こんな興味深い試算が出ていたと言うことを紹介してみようと思いますね。

外来1回3円、入院1日12円で無過失補償制度が実現可能 浜松医科大・大磯教授らの試算(2016年12月2日オピニオン)

 11月19日の第11回医療の質安全学会学術集会において浜松医科大学医学部の医学生が研究した成果を発表した。医学生を指導した浜松医科大学医学部法学教授の大磯義一郎氏に発表内容をまとめてもらった。

 医学部医学科4年の森亘平、大野航らは「診療科間における「金銭的損害」を考慮した医療事故リスクの再考」を口演発表した。本研究は、1999年4月~2015年3月末までの医療訴訟判決(民事)を基に作成した、浜松医科大学法学教室のデータベースを活用している。医療訴訟頻度のみならず金銭的損害を考慮した医療事故リスクを算出し、それを基に無過失補償制度の試算を行っている。
 まず医師1000人当たりの1年平均の訴訟件数を計算すると、消化器外科(1.06件)、産婦人科(0.98件)、脳神経外科(0.90件)、心臓血管外科(0.79件)、感染症内科(0.60件)の順に多かった。なお、今回は診療科としての救急科と救急外来の区別の難しい救急科、保険診療領域のほとんどない美容外科は除外している。
 次に診療科別医師1人当たりに換算した年間認容額を求め、金銭的損害を考慮した医療事故リスクを算出した。この結果によると産婦人科(2万8776円)、脳神経外科(2万4823円)、消化器外科(1万9753円)、心臓血管外科(1万6386円)、感染症内科(1万5207円)の順に医療事故リスクが高いことが分かった。
 本研究で算出された医療事故リスクは、従来の訴訟頻度のみを考慮した医療事故リスクとどの程度乖離しているだろうか。消化器外科を1とした時の各診療科のリスク比を、「医師1人当たりの年間判決件数」の場合と「医師1人当たりの年間認容額」の場合で求め、リスクの乖離度合いを明らかにした。先ほどの5つの科では、産婦人科1.58、脳神経外科1.49、心臓血管外科1.12、感染症内科1.36という結果になり、金銭的損害を考慮した医療事故リスクでは、従来の想定リスクとの乖離が生じている。特に産婦人科や脳神経外科では、医療訴訟頻度別の従来のリスク評価は、医療訴訟のリスクを過小評価しているのではないだろうか。

 医療事故リスクの高さは若い医師の診療科間における偏在を助長し、医療崩壊につながりかねない。そのため、この問題には医療事故リスクに対する何らかの支援システム構築が必要と、森らは主張する。その支援システムの一つとして、産科領域で取り組みが始められている無過失補償制度を保険診療全般に拡張する案を挙げている。
 研究で用いたデータを基に、保険診療全般で無過失補償制度を実行するとなった場合、どのくらいの必要負担が求められるのだろうか。まず、医療事故によって支払われている損害賠償額を把握する必要がある。データベースより推定される年間総認容額は約69億円。それに加えて和解金についても考慮する必要がある。2014年度の東京地裁での和解金総額を基にすると、本邦での年間総和解金額は約44億円となった。結果として無過失補償制度に必要な年間金額総額は、約113億円と算出された。
 また、無過失補償制度において支払われるべき金額は、認容総額と和解金総額の合計から、弁護士費用等の諸経費と時間的メリットを差し引いた総額の6割程度だと言われている。よって、無過失補償制度で支払われる金額は約67.8億円程度だと考えられる。 それでは、この金額を捻出するためには、外来受診1回および入院1日当たりどの程度の負担が必要であろうか。
 外来患者と入院患者は受ける医療行為に差があることから、外来患者延べ数当たりの認容額と在院患者延べ数当たりの認容額の比で負担を分けると、外来:在院 ≒ 1:3.6となる。
 以上の数値を基に、無過失補償制度における必要負担を試算すると外来受診1回当たり約3円、入院1日当たり約12円の負担で無過失補償制度が実現可能であると試算された(ただし、本試算には、裁判前の和解金額が加味されていないことから、実際に無過失保障制度を運用する場合には、上記に+アルファが必要となる)。

 医療は患者の身体生命を扱う行為であり、その点で医療者が背負っている負担は他の職種に比して大きい。ましてや、産婦人科や脳神経外科での訴訟リスクは計り知れない。若い医療者がリスクの大きい診療科を避ける傾向があることは当然の結果であり、このままでは、診療科間の医師の偏在は増長するばかりであろう。そのような診療科ごとの医療崩壊によって損害を被るのは、結局のところ国民である。外来1回当たり約3円、入院1日当たり約12円という軽微な負担で実現可能な無過失補償制度を検討することで、紛争に拠らない解決を図ることが必要ではないだろうか。
(略)

意外と安いと考えるか、それなりの費用だと考えるかは人それぞれだと思いますが、興味深いと感じたのは産科無過失補償制度では年間保障人数が500人から800人程度、金額的に300億円あたりを上限に考えられているそうで、現状では50億円程度しかお金を使っていないそうですが、それにしても産科だけで300億円規模の無過失補償が全科あわせて大差ない金額で済むものなのかどうかです。
当然一件当たりどの程度の金額を支払うのかがその鍵を握っているはずですが、無過失補償を導入している諸外国の例で見ると一件当たりの支払いは100万円程度なのだと言い、金額は安いが何らかのトラブルがあれば確実に迅速に一定程度のお金を支給することで、裁判になるような深刻な紛争化を防ぐ効果があるのだと言います。
医療訴訟の原告勝訴率は一般の民事訴訟よりも低く2割程度だと言い、また非常に専門的な判断も求められ訴訟自体のコストもかかることから、低い確率で高いお金を求めるよりは定額でも確実にと言う考えになるのかですが、日本の場合賠償金の金額を決める場である民事訴訟に何故か真相解明を期待する原告も多く、件数削減効果に関しては何とも言えないのかも知れませんね。

ちなみに一日12円ならすぐ導入出来そうだと思える金額ですが、当然ながら任意で加入すると言ったスタイルになれば一人当たりのコスト負担は高くつくのですから、可能であれば産科無過失補償のように対象となる事例全てでの加入が望ましいことは言うまでもありません。
ただ産科無過失補償の場合にも各種利権だ剰余金だと大騒ぎになった経緯もありますから、少なくともそれに数倍する規模の無過失補償制度となれば大変な騒ぎになると思いますが、例えば空港に掛け捨ての保険自販機があるように病院においても同様の機械を置いておくと言ったやり方で任意加入者を募ることは可能なのかも知れません。
その場合目の前で保険をかけられる医療従事者の心境はどうなのかですが、当然ながら患者から保険会社に請求がいけば保険会社からは各医療機関に証明書類を求めて来るはずで、患者としても医師と仲良くなって早く確実に書類を書いてもらった方がお得だと言う計算は成り立ちますし、実際に無過失補償を導入されている国ではそうした医療と患者の関係が成り立っているそうで、結果的に訴訟リスク低減効果があると言いますね。

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2016年12月12日 (月)

労基署が医療現場に対しても本格稼働体制に突入か

聞いてみれば当然と言えば当然の話なのですが、先日こんなニュースが出ていました。

沖縄の県立病院で賃金未払い 当直医の時間外勤務 労基署が是正勧告(2016年12月9日沖縄タイムス)

 時間外(当直)勤務の医師らに対する賃金未払いがあるとして、沖縄県立北部病院と南部医療センター・こども医療センターが11月、名護、那覇両労働基準監督署から労働基準法に基づき、過去2年にさかのぼり適切に支払うよう是正勧告を受けたことが8日、分かった。本土復帰の年から44年間、県立病院で続く割増賃金の算定方法が背景にあり、県病院事業局は全6病院に「同様の実態がある」と説明。対象の医師・歯科医師は現職だけで約330人、未払い額は億単位に上るとみられる。 伊江朝次・病院事業局長は「勧告は真摯(しんし)に受け止めるが、病院経営への影響は計り知れない。限られた予算の中で、救急医療体制を縮小する議論にもつながりかねない」と懸念する。

 県立病院課によると対象は午後5時から翌日午前8時半まで15時間半、救急対応などに当たる当直医師ら。割増賃金を巡っては1972年11月に当時の県厚生部長名で各県立病院長に対し、一律に8時間分を1時間当たり2・5割増で支給するよう通知が出され、慣例化した。残る7時間半分は「休憩や自由時間と認識してきた」という。 一方、県職員給与条例、規則では時間帯によって平日、土日・祝日は2・5?6・5割、時間外勤務が月60時間を超えた場合は最大7・5割の割増賃金を設定。労基署には、拘束時間中は救急対応に備えた「待機」であり、適切な割増賃金を払うべきだと指摘された。 労基署の立ち入り調査は病院職員OBの情報提供を基に7月に北部病院で、9月には南部医療センターであったという。是正勧告はこの2病院だけだが、病院事業局は看護師などを含めた全病院の医療従事者を対象に、賃金未払いがないか精査を進める。

過去にも医療現場の賃金未払い問題はたびたび紛争化していて、近年では最高裁まで進んで原告勝訴が確定した奈良県立奈良病院のケースなど巨額の未払い賃金が認められるケースが見られますけれども、今回注目されるのは労基署側がわざわざ立ち入り調査を行い是正勧告を出していると言うことで、このところ医療現場にはびこる悪習を正す流れに沿った対応と言えそうです。
その発端となったのが職員OBからの情報提供だと言うことですが、政府も近年いわゆるブラック企業問題に関してはようやく本腰を入れての対応を始めているようで、先日は消費者庁の有識者会議でも内部告発を行った人物に対する保護を強化すると共に、保護する範囲をOBにも広げるべきだと言う報告書が出たそうです。
厚労相も先日の電通新入社員自殺問題などを受けて、現在有名無実化している違反企業の公表を推進すると答弁したと言いますが、全国各地の公立病院などはむしろ違反をしていない方が珍しいでしょうから、今後はどんどんと悪質な病院名は公表され是正勧告等適切な処分が下されることになるのでしょうか。

この種のニュースが出ますと「そんなことを言っていると医療は出来ない」と言った声が必ずどこかから上がるもので、ブラック企業経営者などと同じような弁解だなと感じられるのですが、しかし当然ながら病院経営への影響を考慮して現場の労働者に泥をかぶってもらうなどと言う話は通用するはずがないですよね。
特に職員の定数が決まっている一部公立病院では、員数外の医師を非常勤名目で低賃金で雇用しフルタイムで働かせると言った悪習が残っているところもあるようですが、近年電子カルテの記載時刻等から未払い賃金をまとめて請求されると言ったケースが珍しくなくなってきていて、今後こうしたやり方が通用しなくなってくることと思われます。
しかしカルテ上に記録が残るのですから、もしその時間働いていなかったはずの職員が責任ある仕事をしていて、後日その部分に関して何らかの事故なりトラブルでも発生した場合には問題にもなりかねないと思うのですが、リスク管理の観点からも病院はもう少し真剣にこうした問題への対応を考えていった方がいいように感じますね。

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2016年12月11日 (日)

今日のぐり:「中華園 岡山本店」

世の中恐ろしい話は幾らでもありますが、先日多くの人々を戦慄させたと言うのがこちらの証言です。

誰もいないのにノックの音。中国の宇宙飛行士が宇宙空間での恐怖体験を告白(2016年12月02日カラパイア)

 中国初の宇宙飛行士である楊利偉さんが、21時間におよんだ2003年のミッション中、神舟5号の中で起きた恐怖体験をインタビューで語ってくれた。

 利偉さんが宇宙に行ったのは2003年10月16日のこと。神舟5号で21時間滞在し、宇宙飛行をした241番目の人類となった。この栄誉を誇っていいはずなのだが、今でも宇宙船の中で聞いた音に悩まさ、眠れない日々を送っているという。
 「宇宙ではときおり原因不明のノックが聞こえてきました」と利偉さん。

 それは宇宙船の内側とも外側ともつかない場所から聞こえてきて、まるで何者かが木槌でブリキのバケツを叩いているような音だったという。
 これを耳にして不安になり、船内をうろつき、機窓から外を覗いては音源の特定に務めたが、おかしな点はどこにも見当たらなかった。
 21時間の飛行後、地球に帰還した利偉さんは、技術者が原因を特定できるよう音を模倣して見せた。それでも原因解明には至らず、利偉さん自身も帰還後にその音を耳にすることはなかった。

 ところが神舟6号と7号の乗組員からも、奇妙なバンバン叩くような音を聞いたという報告がなされた。しかし彼らには、宇宙に突入する前に鳴る音は通常の現象だから心配には及ばない、と利偉さんから前もって伝えられていたためにそれほど不安はなかったという。
 ちなみにNASAも宇宙の音を公開しているが、ドアをたたくような音ではないにせよ耳障りなノイズであることは確かなようだ。
 また、アポロ10号の宇宙飛行士が月の裏側で聞いた謎の音も公開されており、こちらは今まで聞いたこともないような口笛のような音だったという。
(略)

宇宙空間でノックの音がすると言うと気味が悪いですし、実際にはもちろん何か別な音なのでしょうが、しかし何であるか判らない音と言うのも不安ではあるでしょうね。
今日は無事に宇宙飛行から帰還した利偉さんに敬意を表して、世界中からそれはちょっと怖いと言うニュースを紹介してみますが、まずはこちらじわじわくる恐さからです。

オランダ沈没艦の残骸消える=旧日本軍が撃沈-インドネシア沖(2016年11月16日時事ドットコム)

 【ハーグAFP=時事】第2次世界大戦中の1942年2月、旧日本軍と連合軍によるジャワ島(現インドネシア)のスラバヤ沖海戦で沈没したオランダ海軍巡洋艦など3隻の残骸が、海底からほぼ消えたことが分かった。オランダ国防省は15日の声明で「何が起きたのか調査を開始する」と発表した。
 3隻の残骸は長く所在不明だったが、2002年にアマチュアのダイバーが発見した。来年に予定する海戦75年行事の準備のため、国際調査団がこのほど沈没海域を調べたところ、残骸が消えていることが判明した。
 国防省によれば、沈没した3隻のうち、巡洋艦「デ・ロイテル」と「ジャワ」は完全に消えたもようで、駆逐艦「コルテノール」も大半が失われた。「ダイバーは(沈没した)船の痕跡を見つけただけだった」という。
 スラバヤ海戦で連合軍の艦隊は日本軍に大敗し、艦隊司令官のドールマン少将を含むオランダの将兵900人以上が戦死。沈没艦は戦没者の墓と見なされていた。
 国防省は「(残骸の破壊など)戦没者の墓への冒涜(ぼうとく)は重大な侮辱行為だ」と真相究明を誓っている。(2016/11/16-14:44)

その後の調査ではどうやらサルベージ業者が勝手に解体し売り払っていた疑いが濃厚だと言うのですが、しかしいきなり何千トンもある船が消えたとなればびっくりしますね。
先日オリンピックが開催されたブラジルは夏のシーズン到来でしょうが、そうであるからこそこんなニュースが出てくるのでしょう。

遠泳大会をクラゲの大群が襲う、選手60人が避難 ブラジル(2016年11月16日AFP)

【11月16日 AFP】ブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)近郊の沿岸都市サントス(Santos)で、遠泳競技の最中に水泳選手たちがクラゲの大群に遭遇し、刺された選手60人以上が緊急避難した。同市の民間防衛局が14日、明らかにした。

 サントス近郊にある両端が大西洋(Atlantic Ocean)に面したベルチオガ運河(Canal de Bertioga)では、雨の影響でクラゲが通常よりも大量に発生している。

 サントス市民間防衛局のプリニウ・アギアル(Plinio Aguiar)局長は「雨のせいでクラゲが運河に引き寄せられた」との見方を示し、「クラゲに刺された選手たちは嘔吐(おうと)やけいれん、やけどのような痛みを訴えている」と説明した。クラゲに刺されて苦しむ選手たちを目のあたりにして、さらに30人がレースを棄権したという。

 24キロの長距離を泳ぐこの遠泳大会は40年の歴史を持つ毎年恒例の伝統競技で、今年は247人の男女がエントリーしていた。

記事の画像を見るとこれがまた生々しいクラゲで、こんなものが大量に浮遊している海の中を泳ぐなどと想像するだけでも恐ろしい話です。
映画などでは危ない人々が街中になだれ込んだら…と言うシチュエーションがしばしば登場しますが、こちらリアルにそれが発生してしまったと言う恐ろしいニュースです。

500人以上の麻薬中毒者がベトナムのリハビリセンターから逃亡(2016年10月24日スプートニク)

麻薬中毒患者500人以上が昨日深夜、ベトナム南部にある薬物依存症リハビリセンターから大脱走をした。患者たちは警備を無力化し、南部ドンナイ省にあるセンターから勝手に逃げ出した。

情報サイト「VnExpress」が報じた。 逃亡者たちを確保するため地元警察が動員された。朝までに150人ほどをセンターに戻すことに成功し、残った逃亡者の捜索は続いている。

警察の情報によると、逃亡した麻薬中毒者の集団はすでにリハビリセンター付近の個人商店を襲い、道に止めてあった車のガラスを割り、車の持ち主から金銭を要求している。

その光景はさぞやヒャッハーなものだったろうと思うのですが、しかしこんなに大勢の中毒患者がいる点で驚きですよね。
こちら最近話題になっていたニュースで、ネット上ではリアル蠱毒などと言う叫びも上がっているようです。

ネコ14匹を室内に閉じ込め放置 共食いで多くが食べ尽くされる(2016年11月25日テックインサイト)

動物の命をそれは大切にする国、オーストラリアから何ともむごたらしい虐待死のニュースが飛び込んできた。アデレードのある民家で室内に閉じ込められ放置された14匹のネコたち。空腹のあまり共食いするという地獄絵図さながらの動物虐待致死事件が起き、このほどポート・アデレード治安裁判所で女の飼い主に有罪判決が言い渡された。その女は精神疾患を抱えており、動物を飼うことを二度と禁じられたという。

これは英メディア『mirror.co.uk』が伝えたニュース動画の1コマで、現場に駆けつけたアンドレア・ルイスさん率いる動物虐待防止協会(The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals)の検査官らが撮影したものである。多くのネコが骨と毛のついた皮以外は食べ尽くされていた中で、たった1匹のネコが衰弱しながらも鳴き声を上げたそうだ。

「いったん動物を飼い始めたら主はその子の幸せのためにたくさんの責任を負い、飼育放棄は決して許されません。どうしても飼えないと判断した場合は友人、家族、または近隣住民などにお願いしてみる、それが難しければ動物保護団体などに相談するべきです」とルイスさん。無責任な飼い主が増えている現状に、非常に厳しい口調で訴えかけている。なお、生き延びた1匹のネコは健康状態も回復し、今は新しい里親のもとで“トルーパー”という名で可愛がられているという。

オーストラリアが動物の命を大切にする国だとは知りませんでしたが、基本的にネコと言う生き物は生きている間の共食いはしないのだそうですね。
古来恐ろしい話と言えば世界最強の異名を取るのが中国ですが、こちら現代社会でこんなことがと驚くような事件です。

逆恨みした女が知人女性を襲撃! 腹を斧でかっさばき、腸をわしづかみに…… (2016年11月14日日刊サイゾー)

 10月末、中国東部にある山東省の省都・済南市で、身の毛もよだつ恐ろしい殺人未遂事件が起こった。

 地元紙「斉魯晩報」によると、10月31日の午後、同市に住む女性・薛(シュエ)さん(43)が外出するために家のカギを閉めようとしていたところ、突然、一人の女に背後から襲われ、腹をナイフで突き刺さされた。薛さんが「助けて!」と叫びながら相手を見ると、その女は知り合いの柴(ズー/46)だった。
 柴はなおも、ナイフで薛さんを切りつけようとする。そこにちょうど隣人が通りかかり、柴のナイフを奪うことができたのだが、なんと柴は、持っていたバッグから今度は斧を取り出し、それを振り回して再び薛さんに切りかかってきたではないか。驚いた隣人は、これはかなわないと思い、警察を呼びにその場を離れてしまった。
 しばらくして、ようやく警察官が現場に駆けつけると、柴が薛さんの体の上にのしかかった状態で2人は殴り合いをしているところだった。

 地面に体を押し付けられた薛さんが「おなかが、おなかが……」と叫んだため、警察官が目をやると、驚いたことに柴が薛さんの腸を握りしめている。
「その手を離せ! さもないと大変なことになるぞ!」と叫んだものの、柴は聞く耳を持たない。斧をなんとか奪うことができたものの、腸を握る手は離さない。このままでは薛さんの命に危険が及ぶと判断した警察官は、警棒を柴の腰に叩きつけ、なんとか腸から手を離させることができた。
 その時、すでに薛さんの腸は体内からかなりの部分が引き出されており、意識が朦朧としていた薛さんは、すぐさま病院へ運ばれて治療を受けた。頭部に4カ所の傷を負い、腸が引き出された腹部の傷は長さ10数センチ、腸の一部は破裂状態だったというが、一命は取り留めたという。

 警察の調べによると、柴と薛さんは、一昨年から昨年にかけて一緒に商売をしており、その間に柴は日本円で100万円ほど損したが、逆に薛さんのほうはかなり儲けたと思い込み、薛さんのことを恨んでいたという。それに加え、独身の薛さんは柴の男友達と知り合いだったため、柴は2人が実は男女関係にあるのではないかという疑いも持っていた。
 柴の供述によると、今年初めに乳がんにかかっていると診断されていたという。そんな中、10月19日の夜に柴がこっそり薛さんの家に行き、ドアに耳を当てて中の様子を盗み聞きしていたところ、薛さんが電話口で「極楽に行く」などと話しているのが聞こえた。柴はそれを、自分がもうすぐ死ぬと薛さんが言っているのだと思い、薛さんに対して殺意を持ち始めた。
 柴は「ひとつも後悔していない。自分の命ももう長くないから、彼女を殺してやろうと思った」と話しており、警察は柴が殺意を持って行った犯行であることは明らかだとしている。
 被害者の薛さんの命に別状がなかったことは幸いだったが、それにしても、人の腸を引きずり出して離さないとは、恨みつらみというのは恐ろしいものである。

どんな烈女かと言う話なんですが、しかし斧で腹を割いて腸を引きずり出されるような状況でよく生きていられましたね。
最後に取り上げるのはおそロシアとの異名を取るロシア初のニュースですが、何がどれほど恐ろしいのかまずは記事から紹介してみましょう。

ロシア調査隊、南極の地下ボストーク湖でタコ型の知的生命体と戦闘し、3人死亡(2016年11月16日かすぽ)

南極の地下3800mでボストーク湖の掘削調査を行っていたロシアの研究チームが、未知の大型生物と遭遇していたことが明らかになった。遭遇した生物と調査隊の間で戦闘状態となり、3人の調査員が命を落としたという。ロシアからスイスに亡命した科学者アントン・パダルカ博士が証言した。

ボストーク湖で調査隊を襲った生物は、高度な知能を備えたタコ型の生命体だったという。調査隊はその生物を「46-B」と呼んでいる。

ボストーク湖の調査では2013年に「未知のバクテリアを発見した」との発表があったが、その直後に「外部環境から混入した汚染物(コンタミネーション)だった」として打ち消された。このとき実際に発見されていたのがタコ型生命体「46-B」であり、ロシアでは現在プーチン大統領指揮の下、「46-B」を捕獲して生物兵器として利用する計画が進行中であるとみられる。

この一連の事件のより詳細な経過はこちらの記事に詳しいのですが、しかしこれらが全て事実だとすれば人類社会の未来に深刻な不安を感じずにはいられません。
一説にはすでに問題の生物を捕獲していると言うロシアの良識と英断に期待するしかないところですが、近い将来南極から大挙して化け物が襲いかかってくるような事態になるのでしょうかね。

今日のぐり:「中華園 岡山本店」

岡山市街地の郊外寄りに位置するこちらのお店、比較的最近に出来たようですが、今回初めてお邪魔させていただきました。
しかしちょうどランチタイムだったと言うこともあるのでしょうが大変な行列で、すでに固定客も相当についているのでしょうかね。

こちらのランチメニューはコース以外は内容がかなり限定的でちょっと残念なのですが、ひとまずムースーロウ(豚肉とキクラゲの玉子炒め)定食を頼んで見ました。
オイスターソースベースの味はバランスがよく好みの分かれない味でおかずでも単品でもいけるし、炒め物として見ても全体に火のとおりも良好で調理はしっかりしたものです。
ただこの卵は面白くて、わざと一塊にしてお皿の底に固めて置き上から炒めた肉や野菜をかけているのですが、底に埋めるよりは上に乗せた方が見栄えは良さそうな気もしますけどね。
付け合わせのスープは特に害もない味ですが、この種のセットメニューのおまけとしては実だくさんなのは好印象ですし、中華料理屋のものとしては白飯の具合もまずまずでした。

ごく一般的な料理だけに特にこれだけでどうこうと言うことはありませんが、見た目も味のバランスもまとまっていて確かに繁盛するのも判る気がします。
接遇面ではごく普通の水準ですが、混雑時には相席が多くなるのですが、ここのお勘定入れの使い方がちょっと面白かったですね。
設備面は正直高級感には欠けますが小綺麗で清潔感はありますし、座敷席も多いので一度夜に数人で立ち寄って見たいお店でした。

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2016年12月10日 (土)

時折見かけるあの集会の謎が一部解明?

日常的に経験することでありながら意外と理屈が判っていないことと言うものはあるものですが、先日こんな記事が出ていました。

謎が多い「猫の集会」 無理に解散させる必要はなし(2016年12月1日NEWS ポストセブン

 多くの人にペットとして親しまれている猫だが、その行動についてはまだまだ謎が多い。そのひとつが「猫の集会」富山県に住むパート勤務のESさん(45才)から、こんな相談が届いた。
「夕方、自宅の裏の空き地に10匹あまりの猫がよく集まっています。一緒に遊ぶわけでもなく、ただ座っているだけです。一体、何をしているのでしょうか? 無理に解散させない方がいいのでしょうか?」
 この相談に対して、東京港区に猫専門動物病院「Tokyo Cat Specialists」開いた国際猫学会ISFM所属の山本宗伸さんが回答する。

 公園や駐車場、路地裏などに集まってくる猫たち。この“猫の集会”に関して、動物行動学の教科書には、「縄張りの中立地に地元の外猫が集まり、約4mの距離を保ち、緩やかな円を描いて座る」と記述されています。
 集会は、夕方や夜に開かれることが多いようです。数時間続くこともありますが、基本的に猫同士の接触はなく、終わるとそれぞれの縄張りに帰って行きます。鳴いたり、威嚇行為などもありません。
 なぜ集まっているのか、動物行動学者でさえも、その謎を解明できていません。しかし、わざわざ集まるのですから、意味があるのでしょう。ですから、誰にも迷惑をかけていなければ、解散させない方がよいでしょう。
(略)
 猫の社会では体の大きなおす猫が支配的な振る舞いをすることはあっても、犬や猿のような絶対的なリーダーは現れません。ですから猫の集会は、地域の猫同士の顔合わせのようなものと考える方が適当ではないでしょうか。
 稀に親子で集会に参加する猫たちの姿を見かけます。近隣地域で新しい家族が増えていないか、反対に長老猫が元気にしているのか、確認しているのかもしれませんね。
 いずれにせよ、猫の集会は謎に包まれています。ぜひ一度猫のフリをして紛れ込んでみたいものです。

個人的にはたまたま裏通りを歩いていてそうした場に遭遇したことがあるのですが、確かに何をするでもなくただ集まってのんびりしていると言う様子で、何かしら集まること自体に意味のある行為なのでしょうかね。
興味深いのはより集団的な生き物であるイヌにおいてはそうした行為があまり話題にならないと言うことですが、特に日本の場合ネコは放任されていてもイヌは基本的に拘束されているわけですから勝手に集会も何もないもので、多くのイヌを自由に行動させていると集会めいたことをしている場合もあるようなのですが、ただしこの場合もどうやらネコのようにじっと寝そべっていると言うことはないようです。
いささか話が脱線しましたが、ともかくもネコ同士のコミュニケーションの一環としてそれなりに重要な意味があるのではないかとも推測されるこのネコの集会と言うものについて、その意味合いの一端をうかがわせるこんなニュースが話題になっていました。

猫の恩返しかな? 野良猫を会うたびに撫でていたら猫の集会に招待される(2016年12月06日BIGLOBEニュース)

可愛がっている野良猫に導かれ、猫の集会に参加したという不思議な出来事が、Twitterで話題を呼んでいる。

猫を飼い、猫ブログも運営している猫マスターの響介さんは、ランニング中に見かける人懐っこい野良猫を会うたびに撫でていた。この日もいつものように撫でていたところ、猫は突然立ち上がり、響介さんのほうを見てゆっくりと瞬きをした。愛情表現と感じ取った響介さんが同じように瞬きで返すと、猫は「ちょっとついてきて」とでも言いたげに、チラチラと振り返りながら歩き出した

そして、猫に導かれるように辿りついたのは猫たちの集会。約10匹の猫たちが空き地の思い思いの場所でのんびりし、案内してきた猫も「まぁゆっくりしてってや」とでもいいたげな顔で寝転んだ。集会といっても、特に遊んだりはせず、猫は一定の距離を保ち寝ているだけ。響介さんも同じようにまったりと過ごしたのち、猫たちの集会は日暮れとともに解散となった。後日同じ場所に出向いたところ、その場にいた猫たちが、響介さんのもとに寄ってきてくれたという。

Twitterには、「噂が広がってみんな撫でて貰いたかったんでしょうね」「次は猫の国に連れ込まれて、嫁入りですね」「『猫マスターと秘密の集会』映画になりそうです」といった声が寄せられ、2万5千回以上リツイートされている。

かなり主観的な部分も入り込んでいるようなのですが、これが本当のことだとすれば非常に興味深い話で、ネコの集会なるものがお互いに何かしら仲間意識を高めるために開かれているものなのか?とも推測されるところです。
しかしこうした行為は人間世界では全く珍しくないことで、ただ何となく友人同士集まってごろごろしていると言うことは誰でも経験したことがあるでしょうから、そう考えるとネコもかなり高度な社会性を持った生き物なのだろうなとも思えてきますね。
いずれにしてもネコの集会に招かれると言うことは相当にネコ社会からも受け入れられていると言うことだと思いますが、これもお互いの信頼関係あってのことで、招かれてもいないのにネコ集会に乱入するようなことは全く歓迎されないのは言うまでもないことですね。

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2016年12月 9日 (金)

信じる者が救われるのは宗教と言う世界での話なので

おおむね人は信じたいものを信じると言う傾向があると言う人もいますが、医療情報などはその典型であるのかも知れずで、先日こんな記事が出ていました。

氾濫する医療情報の危うさ、体験談の鵜呑みは危険!(2016年12月1日週刊ダイアモンド)

不正確な情報が多いと批判され、DeNAの医療情報サイト「WELQ」が全記事を非公開するに至った。専門知識のない人たちが命に関わる医療・健康情報を扱っているということで大炎上したわけだが、それでは権威のある学者が推奨する治療法ならば、効果を信じていいのか。答えは「ノー」だ。特に保険が適用されない自由診療には信頼度の低いものが氾濫している。(「週刊ダイヤモンド」2013年8月31日号特集「人気医療の罠」より。肩書きや内容は掲載当時のまま)

埼玉県に住む北上大介さん(70歳、仮名)は夏が訪れるたびに亡くなった妻を思い出す。妻がスキルス胃がんと診断されたのは5年前の7月。定期検査でがんが見つかるまでは、看護師として元気に働いていた。だが、すでにがんはステージ3まで進行していた。
妻の闘病生活が始まった。埼玉県立がんセンターで8カ月間にわたり、3種類の抗がん剤を投与した。しかし、がんは転移して好転の兆しが見えない。そこで、北上さんは自らがん治療の勉強を始めた。書店やインターネットで情報を探すうちに、ある記述に目を奪われた。
免疫力をつければ、がんを根絶できる
抗がん剤が効かなくとも、この方法ならばもしかすると──。
わらにもすがる思いで「免疫療法」を行っている神奈川県内の病院の門をたたいた。血液を採取し免疫細胞を培養して戻す治療が1回約40万円。免疫力を強化するという病院独自のサプリメントが約5万円。「最新の治療法」なので保険が適用されない自由診療で、費用は全額自己負担だった。
がんセンターの主治医に相談したときに、「効かないのでやめたほうがいい」とアドバイスされた。だが、病院でもらった冊子に載っていた「スキルス胃がんでも、免疫療法で海外旅行ができるようになった」という体験談に引きつけられ、治療を受けると決めた。
約2カ月間で治療費約300万円を払った。だが、妻の病状は一気に悪化し、その1カ月後に亡くなった
最近、その病院のホームページをのぞいたところ、かつてあれほどまでにアピールしていた免疫療法の記述が消えていた
妻のために使ったカネが惜しいとは思わない。免疫療法の考え方も否定はしない。「効果が証明されていない自由診療に、大きな幻想を抱いてはいけない」という教訓が残った。

がんに限らず、病気の新たな治療法や予防法をめぐる情報は世の中にあふれている。「最新の」「副作用がない」「治った」という言葉に釣られ、飛びつく人は後を絶たない。しかし、その治療法の効果について、科学的に判断できた人は、はたしてどれだけいるのか。
そこで、参考になりそうなのが「科学的根拠に基づいて治療方針を考えてほしい」と語る早稲田大学の大野智客員准教授らがまとめたがんの補完代替医療ガイドブックだ。まず、頭に入れておくべきは、一口に科学的根拠といっても、その評価手法によって信頼性に差があることだ(下図参照)。
基本的に、製造販売を行うことを国から承認された医薬品は、生存期間延長などを指標に、数百~数千人の集団をランダム(無作為)に振り分けて比較検討するランダム化比較試験で有効性が確認されている。自由診療の治療法の大半は、この試験を経ていないので、科学的に有効性が認められていない。ただし、「効果なし」との証明もされていない。「効果があるかないか不明」というあいまいな状態だ。
自由診療を提供する医療機関の中には「抗がん剤と併用しているのに、効果があったら代替医療のおかげで、副作用は抗がん剤のせいにする」(島田安博・国立がん研究センター中央病院副院長)ところもあるという。
治療法に関する情報で、目にするケースが多い体験談は、科学的根拠としての信頼度は最低ランク。「余命半年と宣告されたが、この治療のおかげで1年たったいまも元気だ」という内容は具体的で説得力がありそうだが、主観的な要素が多く、データの裏づけはない。大学教授や人気番組の司会者などの発言も、根拠があるか、ただの意見なのかを慎重に見極めたい。
(略)
保険診療外の治療法の中には、安全性の面から避けたほうがいいものもある。例えば、がん予防のための健康食品・サプリメントは「推奨できない」と統合腫瘍学会のガイドラインで名指しされている。
(略)
9年前に乳がんを治療した桜井なおみさん(46歳)は、保健診療による標準的な治療で十分と考えていたにもかかわらず、健康食品に手を出した。病院で共に治療を受ける仲間が、アガリクスやプロポリスなどを服用しているのを見て「一人だけ塾に通っていないような不安感があった」と周囲に流された当時の心境を振り返る。
厚生労働省の調査によると、がん患者の半数近くが補完代替医療を利用。内訳は9割以上が健康食品・サプリメントで、かかった費用の毎月の平均額は5万7000円。根拠があいまいな治療法にこれほどのカネが費やされている。
本人が納得した上で、懐に余裕がある範囲ならば問題ないかもしれない。しかし、ほかに有意義なカネの使い道はないか。科学的な信頼度を理解した上での判断か。一度立ち止まって考えてみることが大切だ。

鰯の頭も信心からと言う言葉もありますし、最後の最後までそれを信じて行うのであれば個人の自由で何らやましいところはないとも思うのですが、大抵の場合は途中どこかの段階で目が覚める方々が多いようで、事によっては騙されたと言う感覚を抱く方もいらっしゃるようです。
ただこの種の代替医療の類も確信犯的な詐欺的行為として行っている場合もあれば、末端で現物を売りつけている売り子役は本気でそれが有効であると信じ込んでいる場合もあるようで、ひと頃話題になったホメオパシーなども教会幹部などはいざしらず、実際に砂糖玉を売りつけて健康被害を出している方々などは本気であれが効くと信じ込んでいる気配があります。
最も厄介なのは詐欺師などではなく、なまじ医療知識もそれなりにあって患者のためだと自ら信じ込んでいる医師や医学者の類なのかも知れませんが、真っ当な医療の世界では今どきエヴィデンスに基づく医療と言うことを当たり前に行う時代になっていますから、根拠はないが効くかも知れません的なことを言う方々と言うのは最初から眉に唾をつけておいた方がよいのかも知れませんね。

ともあれこうしたもののどれが本当でどれが嘘かと言うことは素人に見分けることはまず不可能としか言いようがありませんが、例えば癌のような多くの人間にとっての重大関心事に関しては世界中で科学者や製薬会社による研究が日々進んでいて、日進月歩で技術の進歩や知識の蓄積が進んでいると言う大前提があります。
世界中で巨大資本が先を争ってそれこそ「そんなもの効くわけがない!」と思うような全くとんでもない素材から新たな抗癌剤の研究を行っているわけですから、古来知られた民間療法や世間で話題の代替医療の類などは真っ先にチェックされているでしょうが、こうしたものの中から実際に有効であると判断され開発が進むと言う話はほとんど聞かないのも事実ですよね。
効果が有る無しと言うことは一般的には大勢の人に使ってみてどれくらいの割合で効いたかと言う確率論で示しますが、もちろん大多数の人には効かないがごく一部の方には効くと言うことも理屈の上ではあり得ることですから、万に一つの可能性にかけて大金を投じるのも一つの考えなのでしょうが、万に一つの夢だけでなく各種デメリットも含めて全て受け入れる覚悟を決めてからにすべきであるでしょうね。
この点で本当に参考になるのは「ワタシはこれで癌を克服しました!」式の体験談ではなく、恐らく大多数の全く効果がないばかりかトラブルまで発生したようなケースに対して、そのセンセイがどのように対応しているのか?と言う部分ではないかと言う気がします。

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2016年12月 8日 (木)

住民自身のクレームによって地域の伝統が続々と崩壊中

年末年始の風物詩と言えば様々なものがありますが、その一つである歴史も伝統もあるものが全国的に危機に瀕していると言う驚くようなニュースが話題になっていました。

「なんて時代だ」 除夜の鐘を禁止させられるお寺が続出中(2016年12月6日grape)

年越しに鳴り響く『除夜の鐘』。聞くと「一年が終わり、また新しい年が始まるんだなぁ」と思わされる日本の風物詩です。
しかし最近では、この除夜の鐘が「うるさい」との近隣住民の苦情を受け、昼間や夕方に鳴らすお寺が増えているのだとか。

静岡県にある大澤寺(だいたくじ)もその一つ。大澤寺のwebサイトには除夜の鐘が一時中止になり、再開したものの昼間に除夜の鐘をつくことになった経緯が記されています。

    夜間衝く鐘の音に対する波津地区のどなたからのクレームの電話があったことから父の代で終了した除夜の鐘。それを昨年から時間を大幅に繰り上げて再開したというものです。
 大澤寺 ーより引用

「除夜の鐘がうるさい」とのクレーム。日本の風物詩として楽しみにしている身としては信じられない気持ちですが、多くの方はどのように感じているのでしょうか。
「こわい」という声を受けてなまはげが優しくなったり、「子どもを歩かせるのか」という声を受けて二宮金次郎像が座ったり、伝統より苦情の声が大きくなりつつある日本。
一つのクレームで、多くの方が楽しみにしている伝統が無くなってしまうのは悲しいですね。改めて、大切にすべきものは何かを考えていきたいものです。

まあしかし高校野球の試合に怒鳴り込んでくる人もいると聞きますから、除夜の鐘も当然クレーム対象になってもおかしくないのだろうと重うのですが、こういう場合檀家で相談して対応を決めるものなのかと思っていたのですが、
クレーム電話一つで先祖代々の鐘を中止した先代さんもよほどに進歩的な考えの持ち主だったのでしょうかね。
ただもちろん歴史や伝統と言ったものを抜きにして考えれば、客観的に見て深夜に大きな鐘の音を鳴らすのはずいぶんと近所迷惑な話であることも確かで、夏の夜に決まって行われる花火大会や秋の夜をうるさく彩る祭り囃子などと同様、近所迷惑だと言われても仕方のないものではあるかも知れません。
この辺りは歴史と伝統と言うものの価値をどこまで認めるかだとか、自分自身にとってそのイベントがどれほどの意味を持つのかも関わってくることで、高校野球の声援や選挙カーの連呼などまさに興味のない人間にとっては単なる騒音なのでしょうが、とかく世の中が難しくなってきていることの反映だと言う受け取り方が圧倒的に多いようで、先日はこんなニュースに驚かされた人も多いようです。

「知らない人にあいさつ」って危険なの?(2016年12月5日産経新聞)

 「知らない人にあいさつされたら逃げるように教えているので、あいさつしないように決めて」-。神戸市のマンションで、小学生の保護者が提案し、マンション内のあいさつが禁止になったという地元紙への投書がネット上で賛否を呼んでいる。神戸市では平成26年、路上で声をかけられた女児が殺害される事件が発生。同市教育委員会はあいさつ運動を進めつつ防犯指導も行う。あいさつと防犯について、明石要一千葉敬愛短大学長と、セコムIS研究所の舟生岳夫氏に見解を聞いた。(高橋裕子、篠原那美)

 ■社会への扉開く第一歩 千葉敬愛短大学長 明石要一氏
 --投書を読んだ印象は
 「意外だった。周りから孤立している『ひとりぼっち社会』がここまで進行したのかと驚いた」
(略)
 --子供にどう教えたら
 「逃げることを教えるより、『あいさつしなさい』と教えてほしい。あいさつは社会への扉を開く初めの一歩。大人はたとえ子供からあいさつが返ってこなくてもあいさつを続けるべきだ。近年はあいさつ文化が消えつつあり、出社時退社時に何も言わない会社もあると聞く。だが、業績の良い企業や集団はあいさつや返事がきちんとできるという傾向もある」

 --あいさつをきっかけとする不審者に不安を持つ保護者もいる
 「あいさつに続く甘い言葉や、『親が急病』といった嘘に注意するよう教えればよい。また、保護者は子供が生まれたら地域デビューをしてほしい。保護者がひとりぼっちになってはいけない。親が地域であいさつをすれば、子供は幼くてもその相手が安心な人であると識別できる」

 --都市部など地域社会の再構築が難しい地域ではどうすべきか
 「地域の夏祭りをやめる傾向があるが続けるべきだ。祭りを中心に地域住民の顔や名前を知っている状態がつくれる。昔ながらの祭りである必要はない。クリスマス会やバザーなど、さまざまなイベントを催してほしい。地域でイベントを仕切れる人材を育てていく必要もある。近くに大学や専門学校があれば協力してもらうのもいい」
(略)
 ■危険回避能力の育成を セコムIS研究所主任研究員 舟生岳夫氏
 --あいさつ禁止のルールについてどう感じたか
 「子供向けの防犯セミナーを行っている立場としては、あいさつをしない社会は怖いと言いたい。だが最近子供を見守るボランティアの現場から『子供にあいさつしたら逃げられた』『不審者扱いされた』との話をよく聞く。見守りがやりづらくなり、逃げられれば気分も悪いので、あいさつや見守りをやめようという声が出ている。こうした風潮は子供の安全のためにならない。あいさつと子供を誘うような声かけとは区別をしなければならない」

 --あいさつ禁止は保護者の提案がきっかけだったが、その背景は
 「子供の連れ去りは声かけがきっかけで起こることが多く、保護者もそうした知識をもっているからだろう。あいさつがきっかけで、『ゲームしよう』『かわいい子犬を見せてあげる』と巧みに誘い、子供がついていくことを保護者は心配していると思う」

 --学校ではどう指導しているのか
 「約10年前に奈良、広島、栃木で小学生の女児が殺害される事件が相次いだ。当時は私が講演に行く学校でも、知らない人から声をかけられたら逃げるように指導しているというところが多かった。絶対に被害に遭わないという意味で、『あいさつされても逃げる』というのは、一つの方法かもしれない。だが最初から人との関わりを全部断ち切ってしまうと、見守ってくれる人なのか、近所の人なのか、不審者なのか分からない状況に陥る。今は学校でも、『地域の人とはあいさつしましょう。ただ、知らない大人についていってはいけない』という指導になってきている。子供の危険回避能力を育てることが重要だ」

 --子供にはどう教えればいいか
 「知らない人はもちろん、知っている人でも、ついていかない、行動を共にしないことが大事だ。その線引きをしてあげてほしい。他には、『道を教えて』といわれたら、『あっちだよ』と指さすのはいいけれど、『この地図を見て教えてよ』などと近寄ってきたら離れる。知らない人と距離を保てる力も必要。困ったときは『大人を呼んでくる』『分かりません』と言って逃げていい。車からの声かけや腕を捕まれそうになれば、『助けて』と声を上げる。ただ単に逃げるという指導では判断できず思考停止になるだけだ」
(略)

昨今では各地の警察が不審者情報と言うものを公表するようになっていて、この種の事例を俗に声かけ事案と言うのだそうですが、公表されている情報を見ていますと単にあいさつをしただけなのに不審者扱いされて通報されただとか、さすがにそれはいささかどうよと気の毒になるような事例も少なからずあるようです。
もちろんそうした声かけをきっかけに不審者が児童に接近すると言う現実もあるわけですが、しかし学校ではあいさつ運動なども未だに行われている中であいさつはするな、させるな、禁止しろと言うのでは子供の方でもどう対処したらいいのかと迷うような話で、実際にどれほどこうした動きが一般化しているのか気になりますね。
むしろ声かけの後に続く会話事例について学校内でロールプレイングなどをしてみればいいんじゃないかと思うのですが、何にしろ単にうるさいだとか面倒だとか言う話ではなく子供の命も関わってくる切実な問題であるだけに、地域では昔からそうしてきたと言うだけではなかなか説得力を発揮しきれない部分もあるのでしょうか。

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2016年12月 7日 (水)

何故かいまさら今年の流行語大賞が炎上

年末と言えば今年のまとめ的な話題には事欠きませんが、毎年この時期に発表され特に大きな話題にもならず消えていくあれについて、何故か今年は大いに盛り上がっているようです。

流行語大賞で「日本死ね」を表彰したユーキャンが炎上、Wikipediaページを書き換えられてしまう(2016年12月2日Buzzニュース)

「新語・流行語大賞」に「保育園落ちた日本死ね」がトップ10に選ばれ、民進党の山尾志桜里議員が満面の笑みでこれを受賞したことにユーキャンが炎上しています(画像はWikipediaより)。
「新語・流行語大賞」は「『現代用語の基礎知識』選 ユーキャン新語・流行語大賞」が正式名称である通り、通信講座で知られるユーキャンの名前が冠されているため、今回「日本死ね」が流行語大賞の一つに選ばれたことに対する批判が同社にも殺到しています。
ユーキャンのTwitterアカウントには多くの非難が寄せられており、「日本死ね」に流行語としてお墨付きを与えた選考委員と共に厳しいコメントが相次いでいます
(略)
またユーキャンのWikipediaページは何者かによって12月2日19時現在、このように書き換えられており、怒りの激しさを窺わせています。「株式会社ユーキャン死ね


やく氏「日本死ね」問題に反論 流行語選考に「過激」「穏当」関係なし(2016年12月5日デイリースポーツ)

 漫画家で、ユーキャン新語・流行語大賞の選考委員を務めたやくみつる氏(57)が5日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」の電話取材に応じ、「保育園落ちた日本死ね」がトップテン入りしたことに嫌悪感を示している意見があることについて「過激だとか穏当だとか、言葉を選ぶ時になんの尺度にもならない」と訴えた。

 番組では、今年の流行語大賞トップテンに「保育園落ちた日本死ね」が選ばれたことに、タレントのつるの剛士が「悲しい気持ちになった」などとつぶやき、議論がわき起こっていることを特集。ツイッターや街の声を取り上げ「もう少し明るい言葉がいい」「強い言葉だから響いた」など、賛否両論あるとした。

 それを受け番組では選考委員のやく氏にインタビュー。やく氏は「私も当時は嫌悪感を示した方」だったとしたが、「それとこれとは話が別」とキッパリ。「流行語を選ぶにあたって、過激だとか穏当だとか、選ぶ時に何の尺度にもならない。むしろ、こういう言葉は流行語大賞でなければ拾い得ない」と、必要であれば“死ね”など過激な言葉が選ばれることもあるとした。
(略)

鳥越俊太郎氏 流行語大賞トップ10入り「日本死ね」を分析「母親の怒りの言葉」(2016年12月5日ライブドアニュース)

5日放送の「白熱ライブ ビビット」(TBS系)で、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が、「流行語大賞」トップテンとなった「保育園落ちた日本死ね」に対し、「怒りの声」だと指摘した。

1日に「2016ユーキャン新語・流行語大賞」が発表となり、「日本死ね」がトップテンに選ばれた。この「日本死ね」とは匿名ブロガーが保育園の抽せんに落ちた怒りを綴ったエントリー記事に由来するもので、マスメディアでとりあげられるなど当時大きな反響を呼んでいる。
この受賞結果に対し、タレントのつるの剛士が自身のTwitter上で「なんだか日本人としても親としても僕はとても悲しい気持ちになりました」と嘆くなど、疑問視する声も上がっている。番組独自のアンケートでも、「日本死ね」を「流行語大賞」のトップテンに選んだことに「反対」する声が77%に達し、「賛成」の23%を大きく上回っている

昨年まで「流行語大賞」審査委員長を務めた鳥越氏は、「日本死ね」のトップテン選出に賛成と回答した。「日本死ね」がショッキングな言葉ではあると認めながらも、日本の待機児童の問題はこうした言葉を使わざるを得ないほど深刻な状況になっており、政府や自治体はこの問題になんら有効な手立てを打ってこなかったとコメント。
そして、鳥越氏は「それに対するいち母親の怒りの言葉が、『死ね』という表現になっているわけです」「だから、『死ね』という言葉だけに引っかかってしまっちゃ、その全体を見誤ってしまう」とも指摘した。「日本死ね」は「日本の今年の実相を表す言葉」だというのだ。
(略)

この元ネタである「保育園落ちた日本死ね」なる一連の発言に関しては、そもそも発言内容自体がネット上で散々批判を浴びたと言う経緯があり、今回ネット上でよほどに評判が悪かったのも流行語大賞云々以前に元発言に対する反感の方が大きかったと言えるのかも知れません。
まあ改めて字面を見てもネガティブな言葉であることには間違いなさそうであるし、正直あまり気分のいいものではないと考える人がこれだけ多かったと言うことも注目すべきところですが、選考自体はしょせんは一企業がやっていることなのですから社内なりの基準に適合したと言うことであれば部外者が文句をつけるべき事ではないんだろうとは思います。
ただ今年の流行語大賞に結局選ばれた「神ってる」なる言葉にしても、そもそもどこの世界で流行っていたのか?聞いたことがないと言う人が非常に多かったようで、国民全ての共通認識として存在するものが次第に少なくなってきている現代の世相を考えるとこの種の言葉選びに異論なきとしないはずはないとも言えそうですね。

今回の経緯を見ていて関係者が各方面で釈明をしているのですが、見ていてなるほどそれはそうだと感じたのは昨年まで選考に関わった鳥越氏のコメントで、要するに大賞に選ばれるための必須条件として「表彰式に来られる人」が大前提になっていると言うのですが、それからすると今回の「日本死ね」などはそもそも大賞に選ばれる可能性は低かったのでしょう。
今年の大賞が決まった経緯についても当事者のやくみつる氏が候補を絞り込む予備選考の段階で一番高得点を得たのが「神ってる」だったと言っていますが、要するに深い考えもなく先行担当者が適当に決めているものだと言うことであまり裏の意図が云々と深読みし過ぎるのもどうなのかと言うことなのでしょうね。
ちなみにネット上では「PPAP」を推す声が多かったようで、日本だけではなく世界的にこれだけ話題になったことを見ても十二分に選ばれる資格があるだろうとも思うのですが、そもそも選考をしている方々がネット動画サイトなどを見ているか?と言う問題もありますから、人選と言う点からして一般的日本人の感覚を代表しているのかと言う話ですよね。

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2016年12月 6日 (火)

人身売買は禁止と言うコンセンサス

日本でもすっかり定着したネットオークションですが、過日こんなびっくりニュースが海外で報じられていました。

生後1か月の赤ちゃん 大手オークションサイトに出品される(2016年10月14日テックインサイト)

大手オークションサイト「eBay」では、実に様々なものが競売にかけられている。新品もあるがほとんどは中古品で、世界各地からの投稿がある。なかには元妻と離婚した際に折半した所有物で、真っ二つになった車やソファを出品する人、また数か月前には後に冗談だったということが判明したが、妻を売りに出そうとした夫もいた。このたびその「eBay」で、なんと赤ちゃんが出品されていたという。英紙『Metro』が伝えている。
現在はすでに削除されているが、出品ページによると赤ちゃんはドイツ西部のノルトライン=ヴェストファーレン州のデュイスブルグに住んでおり、マリアという名前で生後40日しか経っていないことが明記されていたという。
赤ちゃんの競売価格は5000ユーロ(約57万円)からとされており、異なったベビー服を着た写真が数枚添付されていたそうだ。

この信じられない出品は瞬く間にユーザーに拡散し、30分以内にeBay側が削除した。eBayスポークスマンのピエール・ドゥ・ボワさんは「サイトを見た多くのユーザーから苦情がきたため、すぐに投稿を削除しました。詐欺行為ともとれるこうした投稿には迷惑しています。こうした出品者は直ちにリストから削除するように、eBayのスタッフチームが監視を強化しています」と話している。
現在、警察では出品者が金目的で投稿したのか、また冗談であったのかを捜査中とのことだ。

さすがにこれは冗談としてもいささかどうよと言うしかないと思うのですが、現代の文明社会では人身売買とは議論の余地なく悪いことだとして公的には扱われている一方で、実際には世界各地で子供を中心とした人身売買が日々行われていますし、国際養子縁組と呼ばれる行為の中にもかなり怪しげなものがあって、当事者の意志を無視して人間をやり取りする点では人身売買と同じではないかと言う声もあるようです。
他方では日本国内でも近年少子化対策と言うものが喫緊の課題に挙げられていく中で、今も数多い望まない妊娠に伴う人口妊娠中絶の問題も注目される機会が増えてきていて、数年前にも有力政治家が少子化対策と言うならまず中絶対策からではないかと問題提起したことが議論を呼んだこともご記憶だと思います。
子供がいらないと言う人がいて、他方では欲しいのに産めないと言う人がいる場合、その間をうまく取り持てば皆がハッピーになれるのではないかと言う考えも当然あるとは思うのですが、先日報じられていたこちらのケースなどは果たして黒か白か、なかなか判断が難しいものがありそうです。

「産めば200万」NPO指導へ 8度目、養親紹介サイト上で(2016年11月28日デイリー)

 特別養子縁組をあっせんする大阪市のNPO法人が、実の親が養親を選ぶ会員制のマッチングサイト上で「中絶を考えられている方へ『産んでくれたら最大200万円相当の援助』」と呼び掛け、所管する大阪市が「人身売買などの誤解を招く」として近く行政指導することが28日、分かった。このNPO法人は運営する別のサイトにも同じ文言を記載。今年4月までに行政指導を7回受けたが、是正していない

 児童福祉法は営利目的のあっせん事業を禁止し、事業者は原則、出産費などの「実費」以外は実親に渡すことはできない。実親が金銭目的で子を渡せば刑法の人身売買罪に該当する恐れもある。

記事にもあるようにこのNPO、以前から何度も行政指導を受けているのですが、その理由がもちろん人身売買ではないかと言う疑惑もあるのですが、マッチングアプリで年間15億円程度の収益を見込んでいること、3年で事業を売却予定と言うことなどから営利目的の行為であるとも判断されたと言う点が大きいようです。
ただ妊娠中絶の理由として大きな部分を占めるものが金銭的な面での困窮であることを考えると、妊娠から周産期までのコスト的にとんとんになる程度の支援が得られ、なおかつ子供の養育の手間がかからないとと言うのであれば産むこと自体は否定しない親も少なからずいるのだろうし、こうしたやり方も方法論としてはそれなりに有効なのだろうとは思えますよね。
お金を出して子供を売買しているにも等しいと考えるならば明らかに黒で終わる話なんですが、経済的理由などで産みたくても産めないまま中絶している人がそれなりに大勢いるのだと考えると、産まれた子供への支援だけでなく産むことへの支援ももっと充実されるべきだと言う考え方もあるのだろうし、むしろ国や自治体が行うべきことではないかと言う声もあるようです。
ちなみに団体の代表氏はこうした批判を受けることは宣伝目的で計算ずくでやっていると言い、世の中に広く知られるほど養子縁組が成立し子供の命が救われるケースが増えると公言しているそうですが、当人のコメントによれば代表自身はお金は受け取っておらず、養親から集めているお金は産みの親への援助やアプリの開発等の経費に充てていると言います。

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2016年12月 5日 (月)

また病院で車が突っ込む重大事故発生

このところ注目されている高齢ドライバーによる重大事故ですが、この週末全国的に報じられていたのがこちらの事故です。

病院にタクシー突っ込む 3人死亡7人けが 運転手を逮捕(2016年12月3日NHK)

3日夕方、福岡市博多区にある総合病院にタクシーが突っ込んだ事故で、警察によりますと、40代の夫婦と50代の男性の3人が死亡し、女性1人が重体となっているほか、6人がけがをしているということです。運転していた64歳のタクシー運転手は「ブレーキを踏んだが止まらなかった」と供述しているということで、警察は運転手を逮捕し、詳しい状況を調べています。

3日午後5時すぎ、福岡市博多区大博町にある総合病院「原三信病院」で、タクシーが東館1階のガラスを破って突っ込みました

タクシーは窓際のラウンジを進んだあと、室内の壁にぶつかって止まりましたが、警察によりますと、この事故でいずれも福岡市博多区の、花田盛幸さん(44)と妻の美佐代さん(44)、それに遠藤一行さん(53)の3人が死亡したほか、女性1人が意識不明の重体になっています。このほか6人がけがをしているということです。タクシーに乗客はいませんでした。

警察は、タクシー運転手の松岡龍生容疑者(64)をその場で逮捕し、過失運転致死傷の疑いで調べています。
警察によりますと、調べに対し「ブレーキを踏んだが止まらなかったので、ギアを変えてエンジンブレーキをかけようとしたが減速しなかった」と供述しているということで、警察が詳しい状況を調べています。

病院に突っ込んだタクシー、数十m手前から急加速か(2016年12月3日朝日新聞)

 一瞬の出来事だった。走ってきたタクシーが、そのまま病院の建物に突っ込んだ。3人が死亡、7人が負傷した事故の現場となった福岡市博多区の原三信病院。周辺に居合わせた人たちは、一様に驚きを口にした。
(略)
 県警によると、タクシーを運転していた松岡龍生容疑者(64)は「ブレーキを踏んだが、止まらなかった」と供述しているとされる。
 福岡市西区で松岡容疑者と同居する次男(29)は自宅前で取材に応じた。「自分が生まれる前から(松岡容疑者は)タクシーに乗っていた。最近の体調も悪くなかった。事故を起こしたこともない」とし、「亡くなられた方が出た大きな事故で、心から申し訳ない。ふだんは朝出て行って夕方には帰ってきていた。今の車になって、8年くらいだと思う」などと沈痛な表情で話した。

 松岡容疑者の自宅近くに住む人たちも、事故の一報を信じられない思いで聞いた。
(略)
 乗る前に必ず車をぐるっと見て回り、タイヤをすべて点検し、車を磨いていたという。「駐車場の出口でもいつもきっちり一時停止。慎重な運転をする人だなぁと思っていた。事故のことはびっくりした」
(略)

不幸にして亡くなられた方々のご冥福をお祈りするばかりですが、しかし先日の駐車場内での事故と言い病院内で相次ぐ自動車事故が発生していると言うのは困った問題で、体が不自由な方々も大勢集まる場所だけに今後こうした方面への対策も講じられるべきと言うことなのでしょうか。
報道で見るところ事故を起こした車輛は国内大手自動車会社が販売しベストセラーとなっているハイブリッド車のようで、同車と言えば数年前にアメリカで暴走事故が相次いでいると大きな問題になっていたことが記憶に新しいのですが、こちらも結局運転操作ミスの可能性が高そうだと言う話ではあるものの、聞くところによると暴走したと言う運転手のほとんどが高齢者であったと言います。
他方で今回のドライバーも高齢者ではあるのですが、気になったのは普段から運転操作や点検などに注意しているプロドライバーと言うことで、車が暴走を始めた際にとっさにエンジンブレーキで減速しようと言う発想に至るような人であっても踏み間違い事故を起こすものなのかと言う点です(もっとも踏み間違いをしていた場合はシフトダウンによるエンジンブレーキはさほど有効ではなさそうですが)。

高齢者の事故が必ずしも多いのかどうかは諸説別れるところですが、特に昨今気になるのがこの種の踏み間違いを想像させるケースや、運転中の何らなの意識障害などを感じさせるケースが数多く報じられていると言う点で、いざそれが発生した際には当事者の現場での努力で防げる可能性が低いと言う点は共通していますよね。
この種の事故を防ぐ方法論として様々なものが議論されているのは周知の通りですが、高齢者の免許を取り上げろと言った主張はさすがに直ちに現実になるものとは思えませんから、より実際的な対策としては近年発達の著しい自動運転や安全アシストなど技術的補助手段の車載を義務づけると言うことが考えられるかと思います。
踏み間違い問題に対しても自動車メーカーもすでに対策を進めているようですが、後付けの車外品でもそもそも構造的に踏み間違いが発生しない方式のペダルであるとか、急にアクセルを踏み込んでも急発進しない制御回路など様々な商品も登場していますから、ひとまず高齢ドライバーを抱え漠然と不安を感じているご家庭でもご検討いただければと思いますね。


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2016年12月 4日 (日)

今日のぐり:「大市(だいいち)さんすて福山店」

誰でも思いつきそうで結局誰も思いつかなかったと言うことなのでしょう、先日こんなニュースが話題になっていました。

NASA、「宇宙服内蔵トイレ」を公募 賞金3万ドル(2016年11月24日AFP)

【11月24日 AFP】トイレに行きたいけれど、広い宇宙の大海原で宇宙服にがっちりと身を包み、周囲にはトイレはなく、すぐそばに他の宇宙飛行士らがいる状況だったら、あなたはどうするだろうか。
 この厄介な問題を解決するため、米航空宇宙局(NASA)は宇宙用トイレのアイデア募集に乗り出した。優勝者には、賞金3万ドル(約340万円)を授与するという。

 募集するのは宇宙服に内蔵する個人用の排せつ物処理システムで、両手を使わずに最長6日間使用可能であることが条件となっている。応募の締め切りは12月20日で、詳細はウェブサイト(www.herox.com/SpacePoop)に掲載されている。
 小惑星や火星などはるか遠くの目的地に向けた今後のミッションでは、まともなトイレが使用できるまでに最長144時間、日数にして6日間ほどかかるとNASAはみている。
 宇宙飛行士らは緊急時ともなると、与圧されてごわごわしたオレンジ色の宇宙服に加え、ヘルメットとグローブを着用しなければならない場合もある。
 NASAによると、「宇宙服を着用している時は自分の体に触れることができず、鼻の頭をかくことさえできない」という。

 問題は、無重力では個体は空中を漂う一方で、液体は塊となって浮かび上がり、肌に付着する場合があることだ。
 NASAは、「こうした個体や液体が6日間も体についているのは嫌なものだ」と指摘し、赤ちゃんがおむつかぶれを起こしやすいことを例に挙げた。
 国際宇宙ステーション(ISS)では現在、排せつ物を処理しやすくするため、吸引機やチューブなどを使った装置が使用されている。
 NASAは、賞金を最大3組にまで授与するとしており、受賞作品は1年以内に試験を行い、3年以内に完全運用することを目指している。(c)AFP

こういうものは結局のところ「一方ロシアは鉛筆を使った」式の結果に終わるものなのかですが、何にしろ画期的アイデアの登場を期待したいですよね。
本日はNASAのアイデア募集がうまくいくことを祈念して、世界中で見いだされた画期的新事実と言うものを紹介したいところですが、まずはそのNASAからの発表です。

燃料不要の夢の宇宙エンジンは可能、NASAが発表(2016年11月25日ナショナルジオグラフィック)

 米NASAジョンソン宇宙センターの研究チームは11月17日、推進剤を使うことなく真空で宇宙船に推力を与えられる電磁(ElectroMagnetic)推進システム「EMドライブ」の実験的証拠を公式に発表した。

 EMドライブは、密封された容器の中でマイクロ波(電磁波の一種)を反射させるだけで、電力を推力に変換する装置だ。エンジンの軽量化につながり、理論的にはわずか70日でロケットを火星まで飛ばせられる。(参考記事:「米スペースX、壮大な火星移住計画を発表」)

 しかし、EMドライブは古典的な物理法則に反していることが以前から指摘されており、NASAが言うように実際に動いたとしても、その原理は依然としてわからない。これまでも、EMドライブに関する検証は報告されていたが、疑問視する意見も多く、ほとんどの物理学者はこれを似非科学の領域に押しやっていた。(参考記事:「科学を疑う」)

 ところが、NASAの最新論文は第三者の科学者の審査を経て発表されたもので、これによってEMドライブ実現の可能性は一気に高まった。はたしてこれは宇宙旅行革命の始まりなのか、それともやはり「不可能な」宇宙船のエンジンとして終わってしまうのだろうか。(参考記事:「「彗星ヒッチハイカー」と「氷衛星の中心への旅」」)
(略)

その詳細な内容は元記事を参照いただきたいところですが、しかし無から有を産み出すわけではなく相応のエネルギーを使っているのですから、そういうこともあるかと思うのですけれどもね。
日本で圧倒的シェアを誇るあのメーカーが、その持てる実力をついに発揮したと話題なのがこちらの研究成果です。

「排せつ物はゴールデンデータだ!」TOTOがトイレから未病研究(2016年10月19日ニュースイッチ)

 TOTOが「未病」の領域で、研究開発を続けている。排便臭のデータをトイレ内で日々取得し、腸の健康状態をモニタリングすることで病気の早期発見や健康維持につなげる取り組みだ。食事などさまざまな生活習慣のデータとクラウド上で結びつければ、大きな価値が見い出せる。情報通信技術(ICT)の発達で、研究は新たな段階を迎えている。

 「排せつ物はゴールデンデータだ」(福田幸弘TOTO上席執行役員総合研究所長)。排便時に発生するガス成分は、およそ1000種類あるという。ガス成分の種類や濃度、比率などのデータを取得し、組み合わせることで腸内環境を推測できる。 
 疾患の発見にも役立つ。例えば、複数の種類の大腸がんに関して、腫瘍の大きさを推測できることが分かってきている。

 トイレは誰もが必ず使う。日々のさりげない行為でデータを蓄積できる。データ収集のためのセンサーは、トイレの脱臭機構に組み込めるため、大がかりな装置は必要ないことも、大便臭を活用するメリットだ。
 ただし、実用化にはいくつかの壁があることも事実だ。顧客が「測定自体にお金を払うということはない」(同)。このため「確実に効果を見込める指標として活用できるかどうか」が課題となる。
(略)
 今後は大腸がんだけでなく、さまざまな事例を提示することで協業する相手を増やす考え。すでに2年ほど前から通信事業者などと組み、ビジネスモデルの構築に向けて協議を進めている。
 具体的なゴールは未定ながら「何十年も先のことではない」(同)。ICTのショーケースとも目される20年の東京五輪・パラリンピック開催が「一つのきっかけにはなるだろう」(同)と期待している。

わざわざお金と時間をかけて大腸癌検診などとやるくらいですから需要はあるのでしょうが、しかし「便器に異常と言われたので」と患者がやってきても医者の方もびっくりするでしょうね。
誰しも子供時代には思い出があることでしょうが、こちらその謎の一つが解明されたと言うニュースです。

人はなぜ自転車を早く走らせるのに"立ちこぎ"をするのか?(2016年11月21日マイナビニュース)

自転車を早く走らせようとして、立ちこぎになった経験は自転車の乗れる人であれば、誰でもあるはずだ。この立ちこぎ、誰に教わるわけでもなく、早く走ろうと身体が自然とこの格好に行き着いた人も多いだろう。立ちこぎはなぜ、自転車を早く走らることができるのか、その謎にシミュレーション技術を活用して挑んでいるのが、東京工業大学 工学院システム制御系の中島求 教授だ。

同氏は10月に開催されたダッソー・システムズの「2016 SIMULIA Community Conference Japan」にて、「車いすマラソンと自転車競技におけるヒト-ビークル系のシミュレーションモデル開発の試み」と題した講演を行い、自転車の立ちこぎの謎、そしてリオパラリンピックでも注目を集めた車いすマラソン向け車いすのシミュレーションモデルについての研究を紹介した。
(略)
具体的な研究としては、181cm/71kgの人体モデルと自転車モデルを作成し、人体の関節の動作を入力することで、関節トルクやペダルをこぐ力を算出。座りこぎでは、ヨーとロール方向の揺れを固定したほか、骨盤も固定。足首の角度は文献から採用するなどし、そこから関節の角度などを算出。結果として、文献値とシミュレーション値は誤差の範囲内で一致しており、この誤差についても、「文献から得られない下肢長などの影響と考えられる」とするほか、クランク軸に働くトルクを測定したところ、足の踏み込みから引き上げにかけて、実際の波形の特徴を再現できることも確認されたとのことで、実際の現象にほぼ対応したと考えられるとしている。ただし、実際に自転車をこぐ際には、骨盤とサドルは固定状態でないほか、サドルに働く力が文献とシミュレーションでは異なっていたり、股関節トルクも文献とシミュレーションの身体形状の違いにより適切ではないという課題があり、今後、実験も行っていくことで、精度をさらに向上させていく必要があるとする。

一方の立ちこぎについては、骨盤とサドルを非拘束としたほか、手もピッチ方向だけを固定して5自由度を確保。姿勢の制約については、文献からペダル角を採用して、関節運動を決定した。また、立ちこぎでは揺動運動(ダンシング)の有無があるため、これがある場合は文献値から6°の角揺動として自転車を揺動させた状態で関節角を求めた。その結果、誤差は8%と、目標の10%に収まり、最大揺動角も6.1°と、文献値と大きな差異は見当たらなかったが、推進負荷の波形が合っていないところがあるため、検討の余地があるとした。

同氏は、「自転車の揺動は、踏み込みにおけるクランクトルクを増大させ、引き上げにおけるクランクトルクを減少させる。選手が最後のスパートでこぐときは、踏み込みで力を出したいということで、ああいう動作になるのではないか、ということが示唆された」と、研究から得られた結果を説明したほか、なぜ、立ちこぎだとトルクが増すのか、という点については「腕で自転車を引き上げつつペダルを踏み込む、というイメージと聞いており、原理としては、踏み込むときに、操舵して踏み込んでいる、ということになると考えられる」との説明を行った。
(略)   

経験的には体を動かして踏み込み方向を変えればより長い時間最大踏力を発揮できる気がするのですが、ともあれ今後こうした研究が自転車の性能向上にもつながっていくのでしょうかね。
昔から有害とまでは言わないまでも無益なものを言いあらわす表現として盲腸と言う言葉が一般的にも使われていますが、実は案外役に立っていたと言うことです。

人体の「無駄な器官」、実は有用でした―海外メディア(2016年11月26日レコードチャイナ)

世間の人々はこれまで、「脾臓はあまり大切な臓器ではない」、「扁桃体と虫垂は全く役に立たない。これらは先祖返り現象であり、退化した器官にすぎない」といった認識を持っていた。現代医学はこれらの問題について、どのように評価しているのだろうか?海外メディアの報道を引用して新華社が伝えた。

○虫垂―抗がん作用
ロシア紙「コムソモリスカヤ・プラウダ(電子版)」の今月19日付報道によると、米ニューヨークの腫瘍科専門家が、消化系癌を患っている数百人の患者を検査したところ、彼らの84%が虫垂を切除していたことが判明した。ある考え方では、虫垂は単なる退化した器官、あるいは「炎症を記録する器官」ではなく、人体における免疫システムの重要な構成要素であり、人体の恒常性機能を高めることで、調和した体内循環システムの維持をサポートする役割を備えるとしている。

○扁桃体―抗菌作用
最新の研究によると、扁桃体の役割は外部からの感染攻撃から人体を守ることだという。扁桃体は、空気とともに体内に入ってくる有害微生物の7割を遮断することができる。また、扁桃体から分泌される物質は造血細胞の合成に一役買っている。

○脾臓−血液のアンチエイジング
脾臓は造血、老化・衰弱していく血液細胞を一掃し、免疫反応を高める役割を備えている。また、脾臓は唯一の血液ろ過器でもある。最新の医学では、脾臓のろ過機能を利用した敗血症の治療方法を模索しており、ブタの脾臓で患者の血液をろ過する試みが進められている。

○胸腺―免疫力の保護・向上
胸腺が重要な免疫システム器官の一つであることが分かったのは、つい最近のことだ。胸腺に移動した骨髄幹細胞は、リンパ球の一種であるT細胞になり、細菌やウィルスを退治してくれる。

○尾骨―脊柱を保護
スキーやスケートなどのウィンタースポーツをしている最中に、尾骨を骨折するケースは少なくない。尾骨を骨折すると、非常に痛いうえ、骨折部位が接合するまで時間がかかり、全身の健康が損なわれる恐れがある。尾骨切除手術を受けた患者の5割以上が、内蔵下垂や脊柱に関する問題を抱えている。(提供/人民網日本語版・編集/KM)

虫垂にそんな高等な機能があったとは驚きですが、何かのついでに取ってしまうのはもったいないと言うことなのでしょうかね。
最後に取り上げますのはこちらのニュースですが、さてこの結果は意外なのか妥当なのかです。

科学者ら、地球上で最も危険な動物を特定(2016年09月10日スプートニク)

科学者たちは、世界で最も致命的な動物のリストを作成した。それぞれの動物との関わりにおいて何人の人間が殺されたかを調べた。

多くの人が世界で最も危険な動物の一つと考えているサメは、年間わずか約3-6回しか人間を攻撃しないことが判明。 オオカミは年間10人を殺し、ライオンは22人を殺す可能性がある。 より危ないのはゾウやカバで、彼らと関わると年間500回ほど命に関わる事態となることが判明した。

第一位は年75万人を死亡させるマラリア媒介者、蚊。第二は人自身で、2012年は43万7000件の殺人事件があった。次が毒ヘビで、年間約10万人が咬まれて死亡している。以下、犬(年間3万5000人が死亡)と淡水巻貝(年間2万人が死亡)でベスト5となっている。

動物と言う言葉の定義をどこに置くかですが、結核菌などは今も年間150万人を殺すと言いますし、過去百年で最多の死者数を誇るのはインフルエンザだと言います。
他方では最も多くの生物種を絶滅に追い込んだとして人間こそ一番危険な生物であると言う主張もあるようですが、これらいずれの被害も少ない日本は平和で良い国なのでしょうね。

今日のぐり:「大市(だいいち)さんすて福山店」

JR西日本の関連会社が運営する岡山・広島県内の駅ビル商業施設をサンステーションテラス(さんすて)と呼ぶそうですが、こちらそのさんすて福山内に位置する蕎麦屋です。
もともとは市内で営業している蕎麦屋の支店と言う格好ですが、メニューや味など必ずしも同じでもないとは聞きますね。

今回は北国おろしそばなるものを頼んで見たのですが、こう聞くと越前そばなのか?と思いきや、見た目はごく普通のざるそばですよね。
何がおろしかと言えば薬味に大根おろしが付くだけのようですが、別に大根おろしが突出しているわけでもなくこれで北国云々を連想するのはちょっと難しそうです。
食べて見るとまあこれならごく普通の盛りでもいいかな…と言うところなんですが、蕎麦自体は真っ当なものだし、蕎麦つゆもやや甘口であっさり目ですが物足りないわけでもありません。
この日は開店直後の時間帯だったこともあって蕎麦湯はほとんど単なるお湯状態ですが、下手に粉を溶かしたりするよりはいいですよね。

接遇面ではごく普通のおばちゃんがやってるという感じで逆に今どきちょっと新鮮でしたが、駅利用者が顧客の主体だけに何事もてきぱきしているし、荷物さばきなども手慣れたものです。
一度こちらの本店にもお邪魔してみたいと思うのですが、しかし東日本蕎麦文化圏の方々などははるか広島界隈でこういうお店を見かけるとつい入りたくなるものなのでしょうかね。

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2016年12月 3日 (土)

久しぶりにガチな取材と話題のアレ

今日は珍しく?マスコミに絡んでちょっと感心した人が続出と言う話題を紹介してみるのですが、その前にまずは昨今話題になることの多い大手広告代理店について今度はこんなニュースが出ていました。

電通、NHK取材に「自浄能力がない」と感想を述べた若手社員を「戒告」の懲戒処分にして自浄能力のなさを改めて示す(2016年11月30日マイニュース)

 電通が、社長セッションのあとでNHKの出待ち取材に答え「自浄能力がない会社だなと思う」等と感想を述べた20代社員に、始末書を書かせて「戒告」の懲戒処分を下していたことがわかった。先週(11月21日の週)の局会や部会等を通して、大半の現場社員に知れわたった。社員からは「ごく普通の意見で何も処分されるような内容ではない」「経営側にとって都合の悪い話が出ないよう、締め付ける目的」「かわいそう」といった同情の声ばかりが聞かれた。NHKは本人を特定できる形で、かつ「40代社員」と見た目で適当に判断して年齢を偽った報道を行い、翌日になって該当部分を丸ごと削除。誤報のうえ、取材協力者に報道被害を与え、処分で電通社内を萎縮させ、視聴者には説明なく突然「なかったこと」にするという、報道倫理が欠落した、ずさんな仕事ぶりだった。

 社員によると、石井社長からの説明は、レジメを見ながら、一方的なスピーチ形式で、およそ40分強、続いた。大枠として、3つの問題点→3つの視点からの改革→4つの具体策→2つの投資、という順番に説明された(左記概要を参照)。どれも当り前のことばかりで、逆にこれまでの経営不在ぶりが際立つ内容だ。
(略)
 そして、「様々な社員のみなさんの声を取り入れて、みなさんとともに新しい電通を作っていければ、と思っています」と述べ、最後に、あらかじめ用意された、いくつかの質問に答えたという。そのなかの1つが、以下だ。

 ――具体的に、どの業務を減らすのか?
 石井社長「ここではお答えできません。なぜならば、業務そのものに関しては、個別に、取引相手のある話だから。先日来、社内の文書が外に漏れている。業務そのものに関する内容は、相手様があるから、答えられない。情報が漏れることについて申し上げれば、ご自分の考えを述べることはもちろん構わないが、社内の情報を外に出すことは、明確な社規違反です」

 以上が、社長セッションの概要であった。「社員のみなさんの声を取り入れて」「ご自分の考えを述べることはもちろん構わない」と述べていることに注目していただきたい。その直後に、「社員のみなさん」の1人が「ご自分の考えを述べ」たら、即刻、処分されたからだ。
 経営者は、口先ではなく、行動で判断される。本音では、何も変わろうとする気などない、ということだろう。
(略)
 この社長セッションが終わり、電通ホール(電通本社ビル隣接)から出てきた社員は、次々と待ち構えていたマスコミから、コメントを求められた。多くは、黙っていた。そのなかに、正直に感想を述べた若手社員がいた。内容から判断するに、これは本音だ。
 NHK NEWSウェブでは「外から圧力がかからないと変わらないのは悲しいことで、『自分たちのことは自分たちで』という考えがない。自浄能力のない会社だ」と報じられた(冒頭画像参照)。NHK『ニュース7』の字幕では、「捜索が入って急に騒ぎ出すのは自浄能力のない会社だなと思う」と記された。

 電通の過労死事件は今回が初めてではなく、実際に再発したという事実があるのだから、「自浄能力のない会社だなと思う」という発言は、論理的に正しい客観的事実を述べているにすぎないし、社内の業務内容についてしゃべっているわけでもない。きわめて一般的な感想にすぎない。
 だが、電通は体育会系・軍隊気質の社風。規律を重んじ、上の言うことは絶対で、意見を言う者は「口ごたえ」とみなされ、許されない。小さな会議ですら、1年目が意見を言うなどとんでもない、というカルチャーだという。だから、上から押し付けられる理不尽に大量な仕事を断れず、過労死事件が起こったのである。社長のスピーチに対して、20代の若造が感想を述べるなど、とんでもない口答え、なのだった。
 この感想に逆ギレした石井社長は、電通として、この20代社員に、戒告処分を言い渡した
(略)

件の企業の体質がそういうものであると言うのは半ば公然の事実ですから仕方がない部分もありますが、一若手社員にいわば押しかけ取材でこれだけ迷惑をかけたNHKが謝罪するでも社長に取りなすでもなく、単に全てをなかったことにして終わりと言うのは何とも情けない話で、天下のNHKも強者には逆らえなかったと言うことなのでしょうかね。
とは言え大手企業ともなれば社長と下っ端社員との格差は天と地どころか天国と地獄ほども違っていると言うことなのでしょう、社長に平社員が意見めいたことを口走るなど論外だと言う考えは決して特殊なものではないのかも知れませんが、ましてやそれがアルバイトやパートタイマーであればそもそも眼中にないと言うものなのかも知れません。
ところが先日とある人物が、社長に意見するために敢えて自らアルバイトの身分に身を投じてみせたと言うニュースが出ていて、世間からその覚悟の程が半端ないと大いに話題になっているようです。

週刊文春のユニクロ潜入取材レポが「ガチ」と話題に ユニクロから訴えられたジャーナリストが改名してバイトしてみた(2016年11月30日ねとらば)

 著書「ユニクロ帝国の光と影」でユニクロから訴えられたジャーナリスト・横田増生氏が、名字を変えて昨年からユニクロでアルバイトをする潜入取材を行い、12月1日発売の「週刊文春」(文藝春秋)にレポート記事を掲載することが分かりました。文藝春秋の告知を受け、ネットでは「ガチや」「これはすごい」とその取材姿勢が話題になっています。

 週刊文春Webの記事によると、同著におけるユニクロの長時間労働についての記述が名誉毀損に当たるとして、2011年にユニクロは版元の文藝春秋に2億2000万円の損害賠償を求めて提訴しましたが、最高裁まですべて敗訴。判決確定後に横田氏はユニクロの決算会見へ参加を希望しましたが、氏による別の記事を理由に取材を拒否されていました。

 またユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正社長は、ブラック企業批判について「悪口を言っているのは僕と会ったことがない人がほとんど。会社見学をしてもらって、あるいは社員やアルバイトとしてうちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたいですね」(「プレジデント」2015年3月2日号)と語っていたそうです。

 そこで横田氏は、法律にのっとり名字を変えて昨年10月からユニクロでアルバイトを始め、現在も新宿の超大型店「ビックロ」で勤務しているとのこと。1年にわたる潜入取材のレポート記事を「週刊文春」に掲載します。3店舗、総計800時間を超える勤務から「社員たちのサービス残業や人手不足、創業感謝祭(11月23~29日)の過酷な勤務の実態が浮かび上がる」と文藝春秋は告知しています。

 「ぜひ体験してもらいたい」というユニクロ側からの発言を受け、本当に勤務、しかも改名までしたその取材姿勢に、Twitterでは「執念やな」「これは凄い」など驚きの声があがっています。

問題の記事をまだ目にしていないのでその内容については論評することが出来ないのは残念なのですが、しかしここまでやられるとこれは是非とも読まなければと考えてしまう人が少なからずと言うことなのでしょう、ネット上ではこれは買うと言う声が多数上がっているようです。
もちろん当事者の意に沿わない記事を書く人間の取材を受ける義務は企業であれ個人であれないわけですから、単に気に入らないと言う理由だけで取材を拒否すること自体は全く正当な権利の行使だと思いますけれども、それに対してこうした切り返し方と言うのは意外性もあって、何ともジャーナリスト魂を見せられたような気がしますね。
皆さんも機会があれば記事に目を通してみていただければと思いますが、しかし「社員やアルバイトとしてうちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験して」もらった柳井社長がこの記事にどういう反応を示すのか、記者氏の今後についても注目したいところです。

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2016年12月 2日 (金)

大手企業の運営するトンデモ医療情報サイトが炎上

先日こういう記事が出ていたことを御覧になったでしょうか。

DeNA、医療情報サイト「WELQ」全記事を公開停止 「信憑性薄い」指摘受け(2016年11月29日ITmediaニュース)

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は11月29日、同社が運営する医療情報サイト「WELQ」の全記事を同日午後9時に非公開にしたと発表した。医学的知見を持つ専門家の監修がなされていない記事が公開されていたとし、「ご利用いただいている皆様には、多大なるご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪。今後は専門家による監修体制を整えた上で、WELQ編集部名義で記事を掲載していくという。

 WELQはDeNAが2015年10月にスタートしたヘルスケアに関するキュレーションサイト。医療や健康に関する記事を大量に掲載しており、検索上位に表示されることが多い半面、医療の専門知識を持たないライターが書いた記事がほとんどとみられ、「内容の信ぴょう性が薄い」「ほかのメディアからの無断転載をみられる内容が多い」などと指摘を受けていた。

 批判を受け、同社が運営するキュレーションプラットフォーム全体への社内チェック体制を強化する管理委員会を設置。編集部による独自記事や外部ライターへの依頼記事のほか、一般ユーザーの自由投稿による記事掲載も含めてチェック体制を強化し、「信頼性を担保できる仕組みを整備する」という。管理委員会の委員長は同社の守安功社長が務める。


東京都、WELQ問題でDeNAを“呼び出し” 「同様な他サイトへの対応も検討」(2016年11月30日ITmedia ニュース)

 「不正確な情報が掲載されている」と問題になったディー・エヌ・エー(DeNA)の医療情報サイト「WELQ」を、東京都も問題視していることが分かった。都福祉保健局は11月28日、「WELQに問題がある」と判断し、DeNAの担当者に来庁を依頼したという。医薬品に関する不適切な情報を掲載しているほかのサイトへの対応も検討している。

 WELQは、医療の専門知識を持たないライターが書いた記事を大量に掲載していた医療情報サイト。「内容が不正確だ」と批判を浴びていたほか、薬機法(旧薬事法)違反とみられる記事やほかサイトからの無断転載も多数あり、10月下旬ごろから“炎上”状態になっていた。DeNAは11月25日、専門家による記事の監修を順次行うと発表したが批判はおさまらず、29日に全記事を非公開にした。

 WELQが非公開になる前日の28日朝、東京都議会議員の音喜多駿(おときた・しゅん)氏が、都福祉保健局の健康安全部にWELQの問題点を報告しており、医薬品の無許可販売の監視などを担当する薬事監視担当課が28日、「事情を聞きたい」と、DeNAの担当者に対して来庁を依頼していた。DeNAの担当者が多忙のため面会は実現していないが、「余裕ができたら連絡してほしい」と伝えており、今後、面会して協議したいとしている。

 同課の河野安昭担当課長は、「医学的根拠がない情報が流れているかもしれないと、音喜多議員から報告を受けた。WELQは医薬品販売サイトではないため、従来は監視対象ではなかったが、情報サイトであっても、『特定の商品がこういう病気に効く』と記載すると法的には医薬品に当たる。WELQの記事は薬機法の観点からも問題があると判断した」と話す。

 医療に関する不正確な情報や、薬機法違反とみられる情報を掲載しているサイトがWELQ以外にも多数あることは「承知している」(河野担当課長)という。「WELQだけではなく、そういったサイトにどう対応するかも含めて協議いしていく。広がりがあるということなら、都だけでなく国との協議も必要かと考えている」。

この種の不正確な医療情報を掲載しているサイトなどネット上で幾らでもあるのに何が問題?と考える向きも少なくないと思いますが、この場合ネット大手企業が「ココロとカラダの教科書」と銘打って運営していると言うことから検索サイトなどで何かしら検索すると真っ先に表示されるようになっていたのだそうで、例えば「死にたい」と検索すると自己分析系のアフィサイトが真っ先に出てくると言った調子だったそうです。
なおのこと世間の不評を被っている理由としてこうした状況に対し同社では「利用規約に違反していない」と言う理由で放置していたのだそうですが、大手が運営していると言うことで妙な個人サイトよりよほど信用がおけると考える人もあるとすれば、その内容が全く素人の妄想を書き連ねただけで何らチェックを受けていないと言う状況は問題だとは思います。
ともかくも医学的に誤りと言うしかない内容があまりに多い、そして何も知らない人がネット検索すると真っ先にこのサイトが引っかかってしまうと言うことを憂慮した専門家有志が記事を訂正し公表するとか、信頼できる医療サービスだけがヒットする検索サイトが登場するだとか、様々な副次的ニュースも出ているようですね。

当然ながら医療関係者からの評判は最悪に近いものがあるようで、内容自体に問題があることに加え内容のほとんどが無断引用で成り立っていると言うことにも批判が集中していますが、あまりに状況がひどいことから「仮にも大手上場企業がこんなお粗末な運営をするものだろうか?何か裏事情でもあるのではないか?」と逆に深読みされていたりもするそうです。
そもそも医学知識のない素人が医療記事を書くことが無理なのだと言う意見もあるようですが、ただこの点に関しては自称医師を名乗っている方々であってもネットとリアル社会とを問わず日々電波をゆんゆんと発信していらっしゃると言うケースもありますし、当然ながら専門外の領域に関しては全く見当違いのことを言っている人もいて実は難しい問題をはらんでいるところです。
同社の社長自身は以前から医療情報発信の重要性を主張していたそうで、その運営内容がこうだっただけに余計残念だと言う声も上がっていますが、本当に間違いのない内容だけを選び抜いた医療記事と言うのもNHKの健康番組的に面白さに欠けるのかも知れずで、どうしてもより多くのひと目に触れることを第一目標にしてしまう商業サイトの場合なかなか難しいものがあるのかも知れませんね。

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2016年12月 1日 (木)

癌検診は無駄無意味と言われればそうなのかも知れませんが

自然療法を唱え独自の医療を推進している石原結實氏が、先日こんな記事を書いていました。

医師が「がん検診」を受けない理由…検診で総死亡数増も、食の欧米化で「がん患者」増(2016年11月20日ビジネスジャーナル)

(略)
 新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦医学博士の著書『医者の私が、がん検診を受けない9つの理由』(三五館)が話題になっている。
 がん検診を受けた人と、そうでない人を追跡調査(ランダム化比較試験)したデータによると、以下の結果が導かれるといい、これが岡田氏ががん検診を受けられない理由だという。

1.大腸がん検診では、総死亡減少が認められない
2.肺がん検診では、検診を受けた人のほうが総死亡率が高いという結果もある
3.乳がんや前立腺がんでは、無治療でも数年でがんが消滅したり、がんが腫大・転移せず天寿を全うする例がある

 1975(昭和50)年の医師数とがん死者数はほぼ同数の約13万人。その後、40年間で医師数は31万人に増え、がんに対する研究や治療は格段に進歩したとされるのに、昨年、がんで亡くなった者は36万人超。1960(昭和35)年から、9月はがん征圧月間と銘打って国をあげてがんの早期発見、予防のキャンペーンがなされている。しかし現実はこの「様」である。
 ある新聞の健康欄に、「川島なお美さんや、任天堂の岩田聡社長(胆管がん=享年55歳)は人間ドックや健康診断も定期的に受けられていたと聞いています。なぜがんが見つからなかったのでしょうか」という旨の質問が投稿されていた。それに対する医師の回答は、以下の通り振るっている。

「人間ドックには、たくさんの検査項目がありますが、信頼できるのは、身長と体重だけです」

 こうした諸事情は西洋医学のがんに対する検診、予防法(早期発見)、治療法の混迷の深さを如実に示している。
(略)

後半は電波強めなので興味のある方だけは元記事を参照いただくこととして割愛させていただきましたけれども、いわゆる癌検診なるものの限界は様々な方面で言われてきたことで、医療のコストパフォーマンスの観点からもその改善策が検討されているところでもありますよね。
職場健診の一環として長年行われている胸部レントゲン検診なども肺癌検診としては役に立たない、などと言う人がいてそれはそれで正しいとも言えるのですが、ああいうものはそもそも肺癌検診のためにやっているのではなく集団感染を起こす結核などをチェックするためにやっているものだと言いますから、その意味では集団検診として意味がないと言えばそれは間違いであるとも言えるわけです。
他方で市町村などが行う胃癌検診ではバリウムばかりで胃カメラが長年認められていなかったことなどもいささかどうよ?と医師側から言われていたところですが、こちらも実際に全員を胃カメラでさばこうとしても設備もマンパワーも全く足りないのですから、レントゲン技師でも可能で数もさばけるバリウムとどう使い分けるかと言うことが重要だと言えるでしょう。
ともかくも癌検診の類は目的が何なのかと言うことを明確にした上でそれに合ったものを選ばなければ損をすると言えますが、日本以上に医療のコストにシビアな海外においても癌検診については議論になっているようで、先日アメリカからこんな話が出ていました。

早期発見より過剰診断?マンモ検診の実態 (2016年11月4日NEJM)

Welch HG et al.Breast-Cancer Tumor Size, Overdiagnosis, and Mammography Screening Effectiveness.N Engl J Med. 2016 Oct 13;375(15):1438-1447.

 1975-2012年の米国国立癌研究所SEERプログラムのデータから、40歳以上の女性におけるマンモグラフィ乳癌検診の有益性を検証した。マンモグラフィ検診の導入後、2cm未満の腫瘍の検出率は大幅に増えたが(10万人当たり162例増加)、2cm以上の腫瘍はそれほど減っておらず(10万人当たり30例減少)、進行の危険がある早期乳癌の発見より、臨床的問題のない患者を乳癌と診断する過剰診断の多いことが示唆された。

この乳癌検診での過剰な拾い上げの問題は以前からたびたび指摘されているようなのですが、基本的には疑わしきは拾い上げる式で行うのが癌検診のあり方としては正しいのだろうと思う一方で、それなりに手間も費用もかかることだけに出来れば間違いは減らしてもらいたいとは受診者と医療関係者双方の希望であるとも言えます。
先日思いがけない形で乳癌闘病中であることが明らかになった芸能人のケースでも、検診で引っかかってから実際に乳癌であると診断確定するまでに色々とあったようで、中には「これは誤診、見落としではないか」と言う声も挙がっているようですが、検診の場合引っかけることが目的で精度的にはやはり絶対確実と言うわけではないのは当然ではありますよね。
いずれ技術的進歩によっていずれ検診の段階でもかなりな精度で診断がつくようになるのかも知れませんが、人間の性質としてそうなった場合診断精度を上げるよりもより簡便で安く手軽に受けられる方向に流れそうで、それこそ唾液一滴で全身各種の癌のチェックが出来ますなどと言うサービスが登場すれば、少々精度が低かろうが皆喜んで飛びつきそうな気もします。

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