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2016年11月18日 (金)

留置場の床に座ると全身に皮下出血が発生?

よく判らない話と言うものは時々あるものですが、先日こんなニュースが報じられていました。

「調べ中の暴行で死亡」 岩手医大教授が奈良県警告発へ(2016年11月15日岩手日報)

 2010年2月に奈良県警が業務上過失致死容疑で逮捕し、桜井署で勾留中の男性医師=当時(54)=が死亡したのは取り調べを担当した警察官の暴行が原因として、遺体の鑑定書を調べた岩手医大の出羽厚二(こうじ)教授(法医学)が、県警に特別公務員暴行陵虐致死容疑で告発することが14日、分かった。容疑者は特定していない。
 15日に告発状を県警に提出する。出羽教授は取材に「下半身に広範囲の皮下出血があり、多数の打撲で生じた可能性が高い。取り調べで自白させるために暴行し、死亡させるようなことがあってはならない。県警は真実を隠さずに調べてほしい」と話している。

 医師は勤務先の奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」(廃院)で、06年に肝臓の手術ミスで患者を死亡させたとして、10年2月6日に逮捕され、同月25日に死亡した。
 告発状によると、警官は同月14~24日ごろ、医師の取り調べ中に頭部や胸部、上下肢を殴打して傷害を負わせ、急性腎不全などの多臓器不全で死亡させたとしている。

<法医学教授>「勾留中に暴行死の疑い」奈良県警を告発(2016年11月15日毎日新聞)

(略)
 医師の遺族は13年2月、県警が勾留中に適切な治療を怠ったなどとして県に約9700万円の損害賠償を求めて提訴し、奈良地裁で係争中。出羽教授は、07年の大相撲時津風部屋の力士暴行死事件で、力士を解剖して「多発外傷によるショック死」と鑑定し、当初病死とした愛知県警の判断を覆したことで知られ、今回は遺族側の依頼で調査した。

 奈良県警は「暴行は一切ない。足の出血は留置場で座る際に床で打ったことが原因」などとしている。【塩路佳子】

勾留中死亡、法医が告発へ 「自白強要で暴行」 奈良県警の警察官(2016年11月15日共同通信)

(略)
 医師を司法解剖した奈良県立医大の教授は、死因を急性心筋梗塞と判断したが、遺族から意見を求められた出羽教授は、広範囲の皮下出血から打撲で筋肉が挫滅し、腎不全や肝不全を引き起こしたと結論付けた。
 医師が逮捕された日の受診記録に皮下出血の記載はなく、遺体の皮膚の色などから、打撲を負ったのは死亡した日から1週間以内と考えられるという。
 奈良地検は当時、医師の死亡について「取り調べは適正で、因果関係はない」と説明した。
(略)


遺体にあざ「真相調べて」 納得できず、解明託す(2016年11月15日共同通信)

 3週間足らずの勾留中になぜ死亡したのか。男性医師の遺体にあざのような痕を見た遺族の女性(52)は「急性心筋梗塞」という死因に納得できずに6年以上を過ごした。岩手医大の出羽厚二(でわ・こうじ)教授(法医学)による告発に「警察は自らの手で、真相をしっかり調べてほしい」と解明を託した。

 女性は15日、出羽教授らとの記者会見で「解剖結果を不審に思った。本当のことが知りたいし、皆さんにこういうことがあったと知ってもらいたい」と訴えた。
 2010年2月25日、奈良県警から「すぐに来てください」と死亡連絡を受けた女性。駆け付けた病院で遺体と対面し、思わず目を疑った。「右足が真っ黒。なんでこんな状態になっているの
 職業上、医師は健康にも気を付けていたといい、女性は急死に納得できず、県警や検察に問い合わせた。「県警からは検察に、検察からは県警に聞いてくださいと言われ、満足のいく内容は聞けなかった」と振り返る。

 遺体の鑑定書を調べた出羽教授は、下肢の広範囲に及んだ皮下出血の原因として、取り調べ中に殴打があった可能性を指摘する。女性も「勾留中に体の至る所をけがするなんて、普通あり得ますか」と語気を強める。
 「密室の中で何があったのか」。医師が死亡した日から、女性は今でも考え続けている。

さすがに「留置場で座る際に床で打った」だけで「右足が真っ黒」になるまでの皮下出血と言うのも考えにくいようでは思うのですが、ネットなどにも写真が出回っているようにほぼ全身の内出血が認められたと言い、頭部にも傷があったと言う報道もあるようで、事実であれば素人目にも一目瞭然でこれはおかしいと感じるほどの状態であったように思われます。
ただ奈良県立医大の教授が司法解剖までして死因を決めたと言うことですから、その際に皮下出血など怪しい部分があれば何かしら言及していただろうと思うのですが、事実心筋梗塞の所見があったのかどうかは見れば判るでしょうから、そのレベルでの見過ごしや診断の誤りがあったとなればいささか問題と言うことになりかねません。
今回の奈良県警への告発状提出にしても疑惑が事実だったとすればいわば当事者に事件の追及を委ねる形で、まともな捜査など行われるはずがないと言う声もありますが、そうした観点からすると日頃から奈良県警と付き合いの深いはずの県立医大法医学教授がどの程度独立した判断が出来たのかと言う疑問も出てくるところです。

すでに各方面で報じられ関心が拡がっているところですから、いずれ何らかの事実関係も明らかになってくるのだと思いますが、実際にこうした暴行が現在進行形で行われていたのだとすれば大変な問題なのはもちろんですが、一体何故そこまで?と言う疑問も当然ながら感じるところですよね。
男性医師は医療事故関連の容疑で取調中だったと言うことですが、患者さんが亡くなったにせよまさか容疑者に死ぬまで暴行を加えるともなると周囲も本人も黙っていないはずですが、組織として暴行を加え隠蔽していたとなればもちろん大問題ですが、誰か特定個人が何らかの理由で暴走したにせよ何ら抑止力も働かなかったとすればこれまた問題です。
先年に関西で発生した青酸化合物による殺人事件で当初被害者の多くが単なる病死として見過ごされていたことから、奈良県警でも犯罪死は断固見逃してはならないと対策を強化しているそうですが、今回の報道が事実かどうかに関わらず拘留中の管理体制にも問題はあったと言えますから、奈良県警としても何らかの対応は講じないわけにはいかないはずです。

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コメント

いったいなにがあったんだ((((;゚Д゚)))))))

投稿: | 2016年11月18日 (金) 07時15分

こういう事件の取り調べでそこまで暴行するものなんですかねえ?

投稿: ぽん太 | 2016年11月18日 (金) 08時31分

詳細が不明なので何とも言い難いのですが、一般論として医療事故の場合やったやらないで争うような話ではないと思います。

投稿: 管理人nobu | 2016年11月18日 (金) 13時54分

県警が告発受理したと聞いてびっくりだわ

投稿: | 2016年11月26日 (土) 22時16分

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