« お金を節約するために糖尿病患者は大病院へ!? | トップページ | 今日のぐり:「左京」&「床瀬そば」 »

2016年11月12日 (土)

日弁連の死刑廃止宣言直後の死刑執行が話題に

先日久しぶりの死刑が執行されたと報じられていましたが、それと前後してこんなニュースが流れていたことをご存知でしょうか。

<記者の目>日弁連の死刑廃止宣言(2016年11月11日毎日新聞)

 日本弁護士連合会が10月7日、「2020年までに死刑制度の廃止を目指し、終身刑の導入を検討する」とする宣言を採択し、死刑廃止に向けて活動していく方針を初めて明確に打ち出した。木村保夫副会長は採択後の記者会見で「国民の理解が得られるように犯罪被害者の支援を拡充する」と発言したが、その言葉通り、まずは被害者支援の拡充に力を尽くしてほしい。その前提がなければ、刑罰のあり方を巡る国民的な議論は進まないはずだ。
(略)
上級審で減刑、遺族納得できず

 13年には、裁判員裁判で出された1審の死刑判決を、裁判官だけで審理する2審が無期懲役に減刑するケースが2件続いた。裁判員制度は「刑事裁判に市民感覚を反映させる」ために導入されたはずだった。裁判員の苦渋の判断を覆した2審判決を「納得できない」と批判する被害者遺族の声を聞いた。
 2件はいずれも、殺害された被害者が1人で、計画的とはいえないと認定された強盗殺人事件だった。検察側は上告したが、最高裁はこうしたケースを無期懲役としてきた「過去の量刑」との公平性を重視し、2審判決を支持した。この判断について、ある裁判官は「裁判員制度の趣旨からして市民の判断を尊重するのは当然だが、人の命を奪うことになる死刑だけは慎重にならざるを得ない」と説明した。死刑という究極の刑罰が、裁判員制度に矛盾をはらませている。

 死刑廃止を求める人たちは「裁判に誤りがありうる以上、死刑はなくすべきだ」と主張する。確かに、無実の人が国家によって命を奪われるという究極の不正義は決して許されない。死刑が確定しながら、再審開始決定が出て釈放された袴田巌元被告のようなケースが今もあることを、重く考える必要がある。
 日弁連も「冤罪(えんざい)で死刑が執行されれば取り返しがつかない」として、今回の宣言に踏み切った。内部の賛否が割れる中で、死刑廃止が進む海外の動向も踏まえた思い切った決断だった。

 他方で、国が4月に採択した「第3次犯罪被害者等基本計画」に挙げられているように、加害者の損害賠償責任が果たされず、被害者が十分な賠償を受けられない現状が依然としてある。事件で仕事ができなくなった被害者の雇用先の確保など、被害者の生活に関わる課題は山積している。
 決意を持って宣言を採択した以上、日弁連にはこうした課題に率先して取り組む責務がある。


「法律上、当然だ」死刑執行で弁護士グループが初の声明 死刑に否定的な日弁連会長声明は「弁護士の総意ではない」(2016年11月11日産経新聞)

 田尻賢一死刑囚の死刑が執行されたことを受け、死刑制度存続の必要性を訴える弁護士グループ「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」は11日、東京都内で会見し、「法に定められた死刑の執行は当然だ」と評価する声明を発表した。

 同フォーラムが死刑執行について声明を出すのは初めて。

 声明は、死刑は重大な刑罰であり、慎重な態度で臨む必要があると指摘した上で、「死刑制度は最高裁でも合憲とされ、死刑判決は慎重な審理を尽くした上で言い渡されている。執行に反対することは法律を順守しなくても良いと述べるのと同様だ」と死刑制度廃止論に異議を唱えた。

 同フォーラムは会見で「死刑が執行されるたびに日本弁護士連合会が(死刑に否定的な)会長声明を出すが、決して弁護士全体の総意ではないということを国民や犯罪被害者、遺族に分かってほしい」とした。

この日弁連と死刑制度との関わり合いは昨日今日に始まったことではありませんが、組織として公的な見解を打ち出したことには重大犯罪被害者や関係者のみならず弁護士業界内部でも強い批判を招いていて、今回の死刑執行を受けて改めて議論も盛んになっているようですが、死刑廃止の代案として終身刑導入を提案している点については評価に値するものかとも思いますね。
ともあれ進歩的な方々が死刑制度廃止を唱えることは全くの自由ですし、国民の了解を得られれば法制度の改正など様々な手続きを経て実現されればいいかと思うのですが、一方でこの場合主張しているのが単なる有志の団体などではなく日弁連と言う組織であり、日本で弁護士として活動するためには加入が義務づけられている団体であると言うことが問題だとも言われています。
今回コメントを出した「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」に限らず、弁護士業界内部でも日弁連の主張が自分達の総意であるかのように誤解されては困ると言う不満が渦巻いているとも側聞しますが、しかし弁護士の懲戒権限も持つ業界団体に逆らうと言うのもずいぶんと勇気が要るのだろうとは思いますけれどもね。

ちなみに推進派の方々に言わせれば「強制加入団体だからできないという理由はもはや使い古された論理でしかなく」何の説得力もない意見であり、「弁護士が口に出して言うべきでないというのであれば、あなたも黙って下さい、というべきレベルのものでしかない暴論」だそうですが、当の弁護士を対象にした調査でも死刑廃止賛成の声は4割強と半数にも至らなかったそうです。
そんな少数派の意見が何故全体の声のように通ってしまったのかと言えば、採択をした人権擁護大会が委任による議決を認めておらず、参加したのが弁護士全体のわずか2%程度と言うごく少数に留まったからだと言いますが、話を聞くだけでも弁護士業界と言うところもずいぶんと大変な世界なのだろうなと思いますね。
ひるがえって見れば幸いにも医療の世界では日医などと言う団体は別に強制加入でも何でもなく、特別な権限を法的に付与されているわけでもないのですが、日弁連などと同様何かと独自見解を業界の総意か何かのように公言したがる性質は共通しているようで、今後仮に公的な権力でも握ろうものならどのようなことになっていくのでしょうか。

|

« お金を節約するために糖尿病患者は大病院へ!? | トップページ | 今日のぐり:「左京」&「床瀬そば」 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

去年4月、千葉県芝山町で、18歳の少女から金品を奪い、畑に埋めて殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われた21歳の男の初公判が開かれ、男は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 無職の中野翔太被告は、去年4月、すでに逮捕・起訴されている井出裕輝被告や19歳の少女と共謀し、千葉県船橋市の当時18歳の少女を車に監禁して財布などを奪った上、
芝山町の畑に埋めて窒息死させたとして、強盗殺人などの罪に問われている。また中野被告は、少女に乱暴した罪にも問われている。

 11日の初公判で、中野被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。冒頭陳述で検察側は、「被害者が『死にたくない』と泣きながら訴えたにもかかわらず、事前に掘っていた穴に生き埋めにするなど、残虐かつ計画的な犯行だ」と指摘した。

 一方、弁護側は、「以前から主従関係にあった井出被告の指示に従っていただけだ」と情状酌量を求めた。

投稿: | 2016年11月12日 (土) 07時42分

「死刑廃止が進む海外の動向」って、そりゃ神様が与え給うた命だから人間ごときが奪うのは許されないって
キリスト教的なフィルターが色濃くかかってるからでしょう?
こちとらカミホトケの国なんだから「因果応報」あるいは「天罰覿面」それで宜しいのでは?
海外海外って、他所様の動向を引き合いに出せば錦の御旗になるって
それどんな土人国家なのか。。。

投稿: | 2016年11月12日 (土) 09時50分

イランで8日、4歳の少女の顔に石灰をかけて視力を奪ったとして
有罪判決を受けた男に対し、両目を失明させる刑が執行された。
イラン学生通信(ISNA)が、司法当局者の話として伝えた。

テヘラン(Tehran)検察の刑事局長によると、イランでこのような
犯罪に対して科され得る「目には目を」という厳格な同害報復刑が
執行されたのは、今年に入ってこれが2回目だという。

シャリア(イスラム法)においては、同害報復の原則が中心的な
位置を占めており、国際人権団体による非難を生んでいる。

犯罪被害者は、加害者からの賠償金と引き換えに刑罰を免除する
こともできる。2011年には、同国で近年相次いでいる酸攻撃事件で
失明し顔に重度のやけどを負ったアメネ・バハラミ(Ameneh Bahrami)
さんが、犯人に同じ苦しみを与えたくないとの理由でこの権利を行使した。

投稿: | 2016年11月12日 (土) 11時34分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/64475430

この記事へのトラックバック一覧です: 日弁連の死刑廃止宣言直後の死刑執行が話題に:

« お金を節約するために糖尿病患者は大病院へ!? | トップページ | 今日のぐり:「左京」&「床瀬そば」 »