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2016年11月10日 (木)

高齢者介護問題よりも急速に深刻化しつつある子世代の問題

高齢者の介護問題が年々深刻化しつつあると言う中で、近年とみに注目されるようになったのがこちらの問題です。

「パラサイト・シングルの子」に介護される親の“悲劇” (2016年10月28日プレジデントオンライン)

(略)
「介護生活はどんな家族でも例外なく大変なものですが、なかでもパラサイト・シングルの人が介護を担う状況は、見ていてつらくなることが多いです」
Iさんの説明によると、こんな状況です。
まず、仕事を持っている人。同居しているわけですから、介護の負担をすべて背負い込むことになります。親元から独立し結婚という苦労が伴うことを避け、気楽に暮らすことを選んだ人にいきなり介護の苦労が押し寄せる。精神的に追い込まれますし、仕事と介護に両立は難しいと受け止め離職する人も少なくありません
仮に離職すれば当然収入はなくなる。介護生活は親の年金と貯えが頼り。将来の展望が描けない日々が続くことになります。そして介護が終わった時、つまり親を看取った時点で、貯えはほとんどなく、しかも高齢で仕事が見つからない現実に直面して途方に暮れるといったケースが少なくないわけです。
「利用者さんのなかには、そうした不安を切々と語られる方がいますが、聞いていてつらくなりますよね。ただ、この状況になったのは親御さんのために介護を頑張ろうという思いがある。親子の“情”が介在している分、我々も気持ちを汲んで対応できるのですが……。対応の仕様がなく、親御さんがいたたまれない状態になるのが、ニートの方が介護するケースです」

ニートが介護すると何が問題となりやすいのか。
第一の障害として、ニートの人は、ケアマネージャーをはじめ介護サービスを提供する人たちとの接点を持ちたがらないそうです。
「SOSを出す状況にもかかわらず、我々が訪ねて行ってもなかなか家に入れてくれないわけです。社会に対して閉じてしまっているというか……。対人関係が築けないからニートになったのかもしれませんが、介護に関しては、そんなことを気にしている場合じゃないと思うんですけどね」
それでも根気強く説得して接点を持ち、介護サービスの必要性を説明しても、次なるハードルが待ち構えているといいます。お金の問題です。
「親御さんが要介護になると、金銭の管理は子であるニートの人がすることになります。そのお金の使い道は自分優先で、介護サービスをはじめ親のためには極力使いたくないという態度を示すんです。話を聞いて必要と思われるケアプランを作って行っても、こんなサービスはいらないから削れと言われてしまう。結果的に、親御さんは劣悪な状況に置かれることになります」
(略)
「これはあくまで私が経験した事例であって、ニートの方でも親御さんをいたわる気持ちを持ち、真面目に介護に取り組んでおられる方もたくさんおられるでしょう。しかし、世間の常識とはかけ離れた感覚のまま介護をされる方が増えている危うさを感じますね」
そうした経験からIさんは、「ニートのお子さんと同居している親御さんは、ちゃんとした介護をしてくれる、などと期待しない方がいい」と言います。
「そういう方は元気があるうちに最期まで面倒をみてくれる施設を見つけ、家を売って入所することを考えた方がいいと思います。そうなればお子さんだって、生きるために社会に出ざるを得ないですし、自立するきっかけになるかもしれません。ただ、その決断は難しいかもしれません。ニートの方がいる利用者さんを見ると、親御さんに甘さを感じます。子離れできていないのです」
(略)

年金を代表として多くの社会保障システムは世代が次々と再生産され次世代につながっていくことを前提に構築されていて、そもそも子供世代が親世代よりも減っていく今の時代に合っていないと言いますが、特に親二人に対して子供一人と言う家庭の場合、よほどに経済力をつけるか資産を貯め込むかでもしておかなければ経済的に回らないのも当然ですよね。
お隣中国では近年一人っ子政策で子供を一人しか持たなかったにも関わらず、その子供を失ってしまった両親の老後が「失独家庭」などと言われ社会問題化しているそうですが、中国よりは社会保障が充実している日本であってもパラサイトシングルが離職し介護に専念すると言うケースは少なくなく、親の年金が途絶えた後彼らの生活をどう担保していくのかです。
記事では特にパラサイトシングルかつニートの場合が大変だと結んでいますが、記事から読む限りでは北欧方式にも通じる手をかけないスタイルはむしろ今風であるとも言えるのかも知れずで、感情の問題を考えなければ高齢者介護問題を解消する方向に働く原動力ともなりかねないものがありますが、他方では子供の側にもこんな言い分があると言います。

「生保受けたいから親に早く死んでほしい」支援者が語るひきこもりの本音(2016年10月17日新刊JP)

現在、日本には6カ月以上家族以外と交流せず、自宅にいる15歳から39歳の「ひきこもり」が約54万人いる。
こうした人が、社会参加できないまま年を取る「ひきこもりの長期化・高齢化」が社会問題になるなか、この状況に一石を投じているのが、元ひきこもり相談員である伊藤秀成さんの『ひきこもり・ニートが幸せになるたった一つの方法』(雷鳥社刊)だ。
(略)
――今、ひきこもりの長期化と高齢化が大きな問題となっています。平均10年以上というデータもありますね。
伊藤:僕が会った方で一番長い方は、50代の方で30年くらいでしたね。
でも、おそらく40年以上ひきこもって60歳を超えている方もいらっしゃるはずです。その年代になると、「独居老人」というくくりになって「ひきこもり」としてカウントしないから実態が見えないだけで。

――ひきこもっている方々の本音として、自分の将来についてどう考えているのでしょうか。
伊藤:そこは人によって本当にまちまちで、悲観的な人もいれば楽観的な人もいます。
「なんとかしないと」と思っている人がいる一方で、「生活保護を受けたいから早く親に死んでほしい」と考える人もいます。「楽してお金をもらえそうだから議員になりたい」という人もいました。楽なわけがないんですけどね。
印象に残っているのは「正直、将来のことは考えたくない」と言っていた20代の方です。中学に一度も登校せず、そこからずっとひきこもっている方なんですけど、どこかで自分の将来は絶望的だと気づいていたんだと思います。
ただ、こういう方は現実を見ているぶん、希望はあります。まずいのは「ファンタジーから抜け出せない人」です。
一度もサッカーをしたことがないのに、サッカー選手になりたいとか、日本代表の監督になれると言ってはサッカーの教本を読んでいる40歳くらいの男性に会った時は衝撃を受けました。「中二病」を中高年まで引きずってしまうと厄介なんです。
(略)

まあそのうち本気を出せばまた違ってくるのかも知れませんが、今や引きこもり問題は決して若年者問題と言うわけではなくなっており、まさにこれからは親世代だけでなく彼ら自身の老後をどうするかと言う難問が待ち構えているわけですが、親の年金に頼って子が生活していると言う場合、別に子の考え方如何に関わらず資金的な面から介護サービスなどを制限せざるを得ないこともあるでしょう。
介護に加えてお金の問題にまで頭を悩ますくらいならいっそ自分だけで生保受給で暮らして気楽に生きていきたいと言う考えもそれなりに妥当なのかも知れずですが、実際のところ真性の引きこもりが今の時代に生保受給と言う相応に高いハードルを乗り越えることが出来るのかどうかで、全国的にも親の死後の支援などを行う団体が立ち上げられるなど対策もようやく進み始めているようです。
引きこもりと言うほどではなくとも、孤独死は独居老人よりも独身中年の方がむしろ多いと言う話もあるのだそうで、今後は高齢者のみならずその子世代への対策も重視していく必要があると言えそうなんですが、お金を出す国からすれば本来しっかり働いて税金をたっぷり支払ってもらいたいこの年代が要支援状態になるのも、ダブルパンチで痛い話なのかとも思いますね。

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コメント

こういうの放っておくのが一番いいのかも

投稿: | 2016年11月10日 (木) 09時31分

社会保障に限らず、ほとんどの公共サービスは自ら求めなければ十分に得られないと言う側面はあるかと思います。
本人が求めないものをどこまで追求するかは、身寄りのない独居高齢者への医療などにも見られる課題ですね。

投稿: 管理人nobu | 2016年11月10日 (木) 14時40分

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