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2016年11月17日 (木)

医療の世界だけブラックが許容されると言う理屈はないので

恐らくは全国的にごくありふれていることなのだと思うのですが、ありふれていることを認めたことが極めて珍しい話としてこんなニュースが出ていました。

【宮崎】県立3病院 医師過重労働常態化 当直に違法性認識連続30時間(2016年11月14日宮崎日日新聞)

 県立3病院で、医師が夜間当直を挟んで連続30時間以上勤務する長時間労働が常態化している。当直が労働基準法の定める軽度な業務にとどまらない激務で、事実上の通常業務とみなされているためだ。背景には医師不足があり、「特効薬は見いだせていない」と県病院局経営管理課。過重労働や違法性を認識しつつも現状維持せざるを得ないという。

 同課によると、午後5時15分~翌日午前8時半の当直体制は宮崎病院3人、延岡病院2人、日南病院1人。4月1日現在、宮崎84人、延岡29人、日南21人のほぼ全ての診療科の医師で回している。昨年度の休日を含む当直では1日平均で宮崎が11・2人、延岡が9・5人、日南が4・9人の救急患者に対応した。
 労基法では、当直業務を巡回や検温など軽度な内容に限定。当直に認定されるには労働基準監督署の許可が必要だが、宮崎は2010年の申請時に「通常の診療をしているため当直には該当しない」として認められなかった。日南は03年に労基署の調査が入り、許可を取り下げた。延岡は許可証の所在が不明。同課は3病院の当直に「違法性はある」との認識を示す。

 3病院では医師が当直の前後に日勤業務を行っているが、当直が救急患者の診療をしているため、労働時間が30時間超となることも珍しくない。当直時に救急対応した実働分は時間外労働となるため、労使協定で合意した時間外労働の上限70~80時間を超える月がある。
 実情について、ある医師は「40時間以上働くこともある」と明かす。多い日は一晩で救急車が10台以上来る。仮眠は取れて2~3時間で、日によっては一睡もできない。「労基法を意識したら医療現場は回らない。ただ、今の当直体制や長時間労働は問題だ」と訴える。

 同課によると、当直をやめ、1日の労働時間を8時間に区切る3交代制を導入するには医師の数が足りず、通常業務にも支障が出るという。身動きできない状況に、同課の永田耕嗣課長補佐は「少しずつ医師確保を進めるしかない」と話す。
 宮崎産業経営大法学部の廣田久美子准教授(労働法)は「長時間労働は医師の健康問題や医療の質の低下に関わる。労働環境が改善されないままでは医師不足が悪化しかねない」と危惧。「労基法のルールの中で働きやすい環境を整える一方、国の動きも促しながら医師確保を急ぐ必要がある」と力を込める。

この十年ほどでずいぶんと医師の意識改革も進み、あまりに労働環境の悪い職場からは医師がどんどん出ていくと言う現象が全国的に見られるようになっていますが、それでも未だにこうした状況を放置している病院も多いのだろうし、特に自治体病院などは医師の労働者としての権利におおむね鈍感な傾向がある印象です。
この辺りは歴史的に多くの自治体病院が医局人事による医師派遣で回っていて、医師など数年おきに勝手に派遣されてくるものと言う認識が一般的だったせいなのでしょうか、今年初めに研修医が自殺したことで知られる新潟市民病院の調査でも同院の研修医の1カ月当たりの時間外労働時間を調べたところ、81%が過労死の目安とされる80時間超だったと言います。
世間的にもブラック企業に対して国民の目線は年々厳しくなっており、またそうした企業を回避しようと就職活動においても情報収集を行う学生も増えているそうですが、この種のブラック企業が「仕事が多いのだから仕方がない」「労働は各個人の裁量に任せている」等と言えばまあ炎上沙汰になりそうですけれども、それが当たり前に通用してきたのが医療業界であると言えます。

冒頭の宮崎県立病院にしてもはるか以前から違法状態であったにも関わらず放置しており、また労基署もそうした違法状態に対して何らペナルティを課すでもなく黙認していたもので、「労基署に通報しても相手が医師だと判った途端に電話を切られる」などと言う都市伝説もまんざら嘘ではないのかも知れませんね。
これに対してさてどうした対策を取るべきかで、某大先生などはただひたすら医師を増やせ、とにかく増やせの一点張りですけれども、しかし国民皆保険制度下の医療現場は薄利多売を強いられており、医療需要を自ら喚起しながらフル操業状態を維持し続けなければ経営が成立しないと言う大前提を抜きにして何を語っても仕方がないのではないかと言う気がします。
そのための方策として診療報酬体系を改めるのがよいのか、医療需要そのものを抑制するための方策があるのか、方法論としては様々なものがあるかと思うのですが、まずは過酷な現場におかれた当事者がこれはおかしいと問題意識を持ち、解決のために自ら出来ることを始めていくことが必要になるのはどこの業界でも同じ事だと思いますね。

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コメント

本田先生の「医師を増やせば労働環境が良くなる」理論は破綻しているんですけどね。いつまでやるのか。
ひっこみがつかないのは分かるけど、だったら黙ってろと言いたい。

投稿: ふぉれすと | 2016年11月17日 (木) 11時28分

とりあえずこれらの病院の管理者を逮捕したら少しは状況も変わるのではないでしょうかねえ・・・

投稿: クマ | 2016年11月17日 (木) 15時24分

対策をどうするかは別にして、違法状態でも放置していていいと言う認識がまかり通っているのは一般論として非難されてやむなき状況だと思います。

投稿: 管理人nobu | 2016年11月17日 (木) 15時43分

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