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2016年10月11日 (火)

厚労省がついに強力な医師偏在対策を打ち出す、が

かねて総論賛成各論反対的に話がまとまらなかった問題として、いわゆる医師偏在対策と言うものをどう行っていくのかと言う問題がありますけれども、先日こんな驚くような記事が出ていました。

保険医の条件に「医師不足地域の経験」 偏在解消へ提案(2016年10月7日朝日新聞)

 地方や一部の診療科で医師が不足している問題について、厚生労働省の分科会で6日、医師不足地域での勤務経験を公的医療保険による診療ができる保険医として登録するための条件にすることを、専門家が提案した。目立った反対意見はなく、厚労省は今後、この提案を盛り込んだ医師偏在対策案を示す

 「地方の医師不足を助長しかねない」と導入が来春に延期された専門医制度に関連し、地域医療機能推進機構の尾身茂理事長が提案した。

 尾身氏はまず、将来の人口や主要な病気の変化も考え、都道府県などごとに一定の幅がある各診療科別の専門医の「研修枠」を設けることを提案。その上で、保険医の登録や保険医療機関の責任者になる条件に、医師不足地域での一定期間の勤務を求めた。具体的な勤務期間として、医師の「不足」地域は1年、「極めて不足」「離島など」は半年と例示し、「地域偏在の解消に最も実効性がある対策の一つ」と訴えた。

 委員からは「考え方は賛成」などと目立った反対意見はなかったが、実現には「法改正や関係者間のきめ細かい協議が必要と思われる」(尾身氏)。医師不足地域での勤務経験がなくても全額患者負担の自由診療はできるが、国民皆保険の日本では医療費の大部分は保険診療なだけに、論議を呼びそうだ。(寺崎省子)

振り返ればすでに今春の段階で公的な強制力を伴う医師偏在対策の実施が確認されていたと言う事ですが、実際にどのようなものになるのかについては各方面でそれぞれの意見や見解も異なるだけに、そう簡単にまとまることもないだろうと思っていたのですけれども、わざわざ目立った反対意見もなくと書かれるほどスムーズに話がまとまってしまったと言う点に少しばかり驚いています。
医師不足地域での診療実績を何かしらの管理手段として使ってくることはある程度予想出来ていたこととして、今回見ていて気になるのは単なる保健医療機関の責任者になる条件と言うだけに留まらず、保険医登録の条件と言う非常にベーシックな資格要件として話を打ち出してきた点です。
現実的にこれを実施するとなると僻地勤務経験のない開業医の先生方がどれだけ引っかかってくるのかで、まさか診療所をたたんで僻地研修をやり直すと言うわけにもいかないのだと思うのですが、想像するにこの辺りは今後制度実施に当たって制度対象者は今後の医師免許取得者に限る等々、現場医師の既得権益を侵害しない様々な注釈が加わってくるものと想像できますね。

具体的にどの程度の期間をと言うことに関しては今後改めて議論することになるのですが、記事だけから考えても1年と言うのは相当に長い期間であると言え、現在短期間の僻地勤務も行われている初期研修のスケジュールに組み込むのも他領域の研修に差し支えかねないだけにいつどこで僻地勤務を行うのかと言うことが問題になりそうです。
それ以上に事実保険医登録を出来なくなると言うのであれば僻地勤務の終了までの先生方は保険診療が出来ないと言うことになってしまいますが、そもそも医師不足地域と言うことですから来る医者は誰であれ重要な戦力となることが期待されているはずで、そこに保険診療も出来ない半人前以下の医者が来たところでどれほど役に立つのかと言う話ですよね。
この辺りも今後例えば医師免許取得後○年間は仮の保険医登録を認めるだとか、様々な制度的抜け穴が用意されてくることになるのでしょうが、しかし目立った反対意見は出なかったと言っても文字通りこれを実行に移すとなればあまりに諸々の問題が大きすぎる印象で、さてどういった制度設計をすればいいのかと言う実行面での課題が大きいように感じますがどうでしょうか。

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コメント

新人医師に僻地勤務を義務付けたとして効果が出るのは何年後?

投稿: | 2016年10月11日 (火) 07時48分

毎年8千人以上生まれる医師国試合格者に万遍なく経験させられるほど医師不足地域及びそこに存する医療機関というリソースは潤沢なのでしょうかね?

投稿: JSJ | 2016年10月11日 (火) 08時02分

保険医を取り消された医師でも医師不足地域でなら保険診療ができるようになるのだろうか?とか
興味の尽きない提案ではありますね。

投稿: JSJ | 2016年10月11日 (火) 08時07分

保険医登録の条件にするなんて話を飲んだ専門家って誰?
週一回の日当直バイトでも認めるとかそんなからくりですかね?

投稿: ぽん太 | 2016年10月11日 (火) 08時45分

医師不足地域をどう設定するかが一番問題だと思われます。
埼玉県がどういう扱いになるのか・・・

投稿: クマ | 2016年10月11日 (火) 09時03分

まさにその点をどうするかで、場合によっては離島僻地よりも都心部の方が医師不足と判定される可能性もあり、主観と客観とどちらを優先するかが問われそうです。

投稿: 管理人nobu | 2016年10月11日 (火) 11時44分

結局日本を「普通の地域」「不足している地域」「きわめて不足している地域」に分けると、
「不足している地域」「きわめて不足している地域」のなかで比較的ましな場所に研修医が集中することになります。

あと、橋が架かっている離島とそうでない離島は区別するのでしょうかね?

投稿: クマ | 2016年10月11日 (火) 13時24分

半年~1年限定で、まだ戦力にならない若手が街からやってきて
地元の貴重な中堅を疲弊させるだけ疲弊させて
年季が明けたら ハイさようなら になるって絵図ですね。
若手もイヤイヤ、中堅は半死に、地元も当てが外れて、
まさに誰得、官僚の「仕事したぜ」ってポーズの為?

投稿: | 2016年10月11日 (火) 15時28分

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