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2016年10月13日 (木)

柔整問題、今度こそ本当にメスが入る?

先日大阪でこういう事件があったことをご存知でしょうか。

療養費詐取「市議が不正受給指示」…関係者、大阪府警に説明(2016年10月8日読売新聞)

 大阪府池田市議らが整骨院の療養費をだまし取ったとして逮捕された事件で、整骨院の関係者が府警の調べに対し、同市議の羽田達也容疑者(37)から療養費の不正受給を指示されたと説明していることが捜査関係者への取材でわかった。
 府警は詐欺容疑を裏付ける証言とみている。一方、羽田容疑者は逮捕前の読売新聞の取材に「私は関与していない」と話していた。

 府警によると、逮捕容疑の療養費約70万円の不正受給は、この整骨院が羽田容疑者に2年半で600回以上、健康保険が適用される施術を行ったとして請求したものだった。
 捜査関係者によると、整骨院の関係者は、実際は施術をしていなかったとし「嫌だったが、羽田容疑者に従った」と話したという。当時羽田容疑者が運営に関わっていた他の5か所の整骨院でも、その従業員らの健康保険証で不正受給していたと説明。羽田容疑者は「俺の分はここで請求しておけ」と指示したという。
 府警は7日午後、羽田容疑者を送検した。

2年半で600回以上と言えば営業日はほぼ毎日と言う計算になりそうなので、医科で同様なことをやればまず2年半も放置されると言うことはないだろうと思うところですけれども、こうした不正請求が長期間に渡って成立してしまう土壌があると言う点に注目いただきたいと思います。
整骨院と言えば柔道整復師と言う資格が求められますが、この柔整に関わる不正請求問題と言うのはかねて当「ぐり研」でも何度か取り上げて来たところで、最近も芸能人や暴力団関係者が絡んだ大規模な不正請求問題が話題になったことがありますよね。
柔整と言えば保険が使える安価なマッサージ的な役割を負っている面もあり、しかも医療全体で使われているリハビリ費用が5600億円に対して外傷だけの柔整に3800億円も使われている(2009年時点)と問題視する声があるなど、かねて医療費削減と言う名目で厳しい査定を強いられている医療業界としては柔整へのチェックがあまりに甘すぎるのではないかと言う不満が根強くあるようです。
特に大阪界隈ではあまりにチェックがずさんだとかねて問題視されていて、そもそも医科と全く異なるおかしなシステムで保険者のチェックが行われていることもその根本原因の一つとされていますが、こうした柔整問題に関してようやく多少の是正の動きが出てきているようです。

<柔道整復師>カルテなど提出義務化 不正請求防止へ(2016年10月9日毎日新聞)

 厚生労働省は、柔道整復師(柔整師)の施術に公的医療保険を適用する療養費制度について、不正請求対策を強化する方針を固めた。不正の疑われるケースは接骨院などにカルテなど関連資料の提出を義務付ける。柔整師の急増に伴う接骨院の過当競争で療養費の不正請求が横行しており、厚労省は近く都道府県など関係機関に通知。来年度から開始する。

 柔整師は厚労省が認定する国家資格で、接骨院などで施術する。医療行為はできないが、骨折や脱臼などの施術に対して支払われる療養費は公的医療保険が適用され、利用者は原則3割の自己負担で受けられる。14年度は医療保険から約3800億円が支払われた。

 柔整師は毎年5000人前後が合格し、14年時点で約6万4000人が就業。接骨院などの施術所も約4万5000カ所に上り、1994年の約2万カ所から急増し、過当競争を招いている。その結果、肩や腰など部分を次々と変えて施術し、マッサージ代わりの利用が疑われる「部位転がし」と呼ばれる不正な請求や、白紙の申請書を悪用した架空請求が後を絶たない。

 厚労省はこうした不正請求に早期に対応できるよう、全国健康保険協会(協会けんぽ)などがつくる審査機関「柔道整復審査会」が、「部位転がし」など不正請求が疑われる施術所の診療報酬明細書(レセプト)を抽出して調査し、資料提出や説明を求めることを可能にする

 架空請求対策としては、施術所に領収書の発行履歴や、通院歴の分かる来院簿やカルテなどの提示を求めることができるようにもする。

 療養費を巡っては、昨年11月には暴力団組員や接骨院経営者らが架空請求し、療養費を1億円近く詐取したとみられる事件が発生するなど、不正請求対策の強化が課題となっていた。【阿部亮介】

毎月厳しいチェックにさらされている医科の目線で見れば今までこの程度のこともやってなかったの?と逆に驚くような話ばかりですが、この柔整問題を是正しようとすると何故か各方面から強力な圧力がかかってくるとか来ないとかで、これだけ保険財政が逼迫した状態になって初めてメスが入れられるようになったとも言えそうですね。
根本原因としては記事にもあるように柔整師の養成数自体が急増し、過当競争になってきていると言う背景事情にあって、この辺りは歯科や法科においても過去に起こったことと全く同様の過剰養成による弊害とも言えるし、その結果モラルハザードが起きていることに加えて元々制度的にチェック機能が乏しく好き放題やれる環境だったのですから、相乗効果で大きな不正が続発しているとも言えます。
もちろん悪徳なことなどやらず真面目に地域に貢献している柔整師の方々も幾らでもいるわけですが、制度を厳密に解釈すれば今多くの柔整師が行っている行為の多くが保険診療外になるはずなのに、安い施術を求める利用車側の要求に応えて何とか保険扱いにしてしまっていると言う点も大きな原因と言え、制度的な厳格さを追及するだけでなく利用車への教育と言うことも必要になりそうには思いますね。

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コメント

なんでこんなに甘いのか不思議

投稿: | 2016年10月13日 (木) 09時18分

各方面にしがらみがあるとも言いますが、自治体に審査慣れした職員が不足していることが大きいとは聞きますね。

投稿: 管理人nobu | 2016年10月13日 (木) 12時26分

柔道=警察利権
経営者は893

ようは、裏で繋がってがっちり固めているので、役所も手を出さないわけですよ。

投稿: おちゃ | 2016年10月14日 (金) 12時38分

↑ワシらは自衛隊と組もうw(提案)。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2016年10月14日 (金) 16時39分

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