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2016年10月22日 (土)

世界的に見ても低すぎる日本人の労働生産性が改めて話題に

先日の大手企業新入社員過労死事件で改めて日本人の働き過ぎが注目されていますが、一方でこんな記事が話題になっていることをご存知でしょうか。

日本人、それってオカシイよ 「過労死」を生む日本企業の“常識” (2016年10月18日ITmediaビジネス)

過労死の問題が話題になっている。この問題に対して、海外メディアはどのように報じているのか。「労働時間」「残業」「休暇の取得」などは常識の範囲内で行っているつもりかもしれないが、外国人からは“非常識”に映っているようだ。
(略)
 日本人の仕事に対する意識も、少し心配になるような調査結果が出ている。2016年5月、世界15カ国で行われた「仕事」に対する意識調査の結果が報じられ、当時、広く世界で報じられていた。この調査からは日本人が仕事をどう見ているのが明らかになっている。
 仏企業「Edenred」と調査会社「IPSOS」が世界15カ国で行なったこの調査によると、日本人は世界と比べて、ダントツで仕事にいい印象をもっていないことが分かった。日本人は仕事に対する意識が異様に低い。ちなみにこの調査によると、世界で最も仕事に前向きなイメージを持っているのはインド人だった。
 この調査結果のリポートをもう少し詳しく見ると、日本人は仕事に次のようなイメージをもっていることが指摘されている。「朝、出社するのが苦痛」で、「職場環境は刺激的ではなく」、多くの社員が「上司から尊重されていない」と感じているが、「会社から何を求められているのかは明確に分かっている」。つまり、日本人は会社が自分に求めることははっきりと認識しているが、会社が嫌いなのである。この結果を見ると、日本人は会社から仕事を押し付けられて、いやいや働いている人が多いという印象を受ける。

 そんな意識が原因となっているのかどうかは分からないが、海外メディアから「日本の会社は労働生産性が悪い」といった指摘も出ている。例えば、英エコノミスト紙(10月15日付)は、一連の過労死問題についてこのように書いている。「仕事の成果よりも会社で過ごす時間や仕事への献身さに価値を見出している(日本のような)文化では、仕事のビジネス慣行を根本的に変えるのは容易ではない。あるIT企業の会社員(42、匿名を条件に取材に応じた)は、『会社は大きなチームのようなもの。私が早く帰ったら私の仕事を誰かが引き継いでやる必要が出てきて、かなり罪悪感を感じる』と話す」
 外国や外資系企業で働いたことがある人なら分かるはずだが、多くの外国人にはこういう「責任感」はないと言っていい。筆者は英企業に勤めた経験があるし、米国でもいくつもの企業や大学、研究所を訪問したり、友人などから話を聞いたりするが、勤務終了時間になれば、見事なまでにオフィスから皆いなくなるし、他人の仕事を気遣って残業するなんてことはまずない。特に米国では、上司が帰るのを待ってから、とか、ダラダラとオフィスに残って仕事をするなんてことがない。
 ただそんな米国は、今も世界最大の経済大国である。これについては、なぜなのかと疑問に感じていたが、英エコノミスト紙はその理由を皮肉たっぷりに書いている。「(日本の)超過労働は経済にあまり恩恵をもたらしていない。なぜなら、要領の悪い労働文化と、進まないテクノロジー利用のおかげもあって、日本は富裕国からなるOECD(経済協力開発機構)諸国の中でも、最も生産性の悪い経済のひとつであり、日本が1時間で生み出すGDPはたったの39ドルで、米国は62ドルである。つまり、労働者が燃え尽きたり、時に過労死するのは、悲劇であるのと同時に無意味なのだ」

 日本人の労働生産性は世界的に見て、非常に低く、ほかのOECD諸国より劣る。ちなみに、世界各国は1時間でどれほどのGDPを生み出しているのか。ランキングにするとこうなる(2014年)。
1. ルクセンブルグ 79.3ドル
2. ノルウェー 79ドル
3. アイルランド 64ドル
4. 米国 62.5ドル
5. ベルギー 62.2ドル
6. オランダ 60.9ドル
7. フランス 60.3ドル
8. ドイツ 59.1ドル
(G7の平均は54.5ドル)
 いかに日本の生産性が悪いかが分かるだろう。エコノミストの指摘を見れば、過労死をなくすには、日本の非効率な労働を見直す必要があるということなのだ。どうすれば米国などのように、時間内に帰れるのかを真剣に議論しなければならないのである。
(略)

それはまあ、嫌々やりたくもない長時間労働をやらされていると言うのであれば積極的に仕事を片付けようとする気にもならないだろうし、特に労働の成果よりも労働時間が尊重されるような社会ではわずかばかりの仕事を意図的にダラダラと長引かせる方がお得であると言うことも出来ますよね。
この日本人の独特の時間感覚については仕事の面だけではなく日常生活全般に及んでいると言う指摘もあり、来日外国人の中には「日本人はなんて時間にルーズなのだ」と驚く人もいるそうですが、確かに始まりの時間に関しては厳しくても終わりの時間に関しては全くいい加減と言うしかありません。
そうした時間感覚もまた日本人の労働生産性を低下させる大きな要因になっているのかも知れませんが、人口減少社会で人手不足が顕在化しているのに効率的に働かせようと言う意識が乏しいのですから、世界中が経済成長を続け所得の向上を果たす中で日本人だけが過去20年間で賃金が2割も低下していると言うのも当然かも知れません。

さてこの対策をどうするのかですが、何故長時間労働が発生するのかと言えば労働量に対して人員が不足しているとも言える一方、企業側から見れば新たに人を雇い入れるよりも今いる人員を酷使した方が効率あるいはコスパが良いからだと言えそうです。
日本の企業で残業の6割が給与の支払われないサービス残業だと言う現実もそれを助長していると言えそうですが、残業代をきちんと支払うようにするとダラダラと仕事を長引かせて稼ごうとする人間が出る等々、様々な理由をつけて一向に改善が進んでいないのも現状ですよね。
特に残業代が生活に必要な人々への対策をどうするかには少し工夫が必要だと言えますが、社内ルールを改革して残業時間を大幅に減らした企業の実例と言うものもあって、興味深いことに社員の心身の健康が改善しただけではなく企業としての業績も上向いたと言いますから、労働生産性の追求は企業にとっても悪い話ではないと言えるのかも知れませんね。

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コメント

>エコノミストの指摘を見れば、過労死をなくすには、日本の非効率な労働を見直す必要があるということなのだ。

 株価でしか経済が見えない「エコノミスト」の言うことをうのみにしているから、事態が悪くなるばかり。

1「株屋の考える経済」化されていない労働価値が計上されていない可能性(専業主婦の労働のすべてを家政婦、介護士、ベビーシッターとして計上してみなさいよ)

2 1と裏腹の、低すぎる法定最低賃金 異様です。未批准ILO条約。
3 政策的に円安誘導されているための、ドル建てGDP額面の過小評価。

これらを棚上げにしたままなら
>労働生産性の追求は企業にとっても悪い話ではないと言える
そりゃそうだ。さらなる低賃金、労働強化だもの。

投稿: | 2016年10月22日 (土) 13時49分

増加するばかりの意味をなさないものとして、書類作成、アリバイ作りにしかなっていない会議、全く効果のない研修の義務付け。
テクノロジーの導入も保守的な年寄りやゼロリスク信奉者に配慮して導入できない。

こういう生産性の向上を邪魔しているのが厚労省でしょ。

投稿: | 2016年10月22日 (土) 19時46分

>書類作成、アリバイ作りにしかなっていない会議、全く効果のない研修の義務付け

これやってないと世間のバッシング半端ないからな

投稿: | 2016年10月22日 (土) 23時03分

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