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2016年10月14日 (金)

急速に進歩する人工知能、医療現場にも普及間近か

先日は将棋連盟が対局室にスマホ持ち込み禁止としたことが報じられ、その背景に大物棋士のカンニング疑惑があると大騒ぎになっていますが、トップ棋士もカンニングに頼るとはまさに現在進行形で人間を超えつつあると言う、人工知能の進歩を示した事例とも言えますね。
他方で医療の世界ではこのような人工知能の排除と言うよりは積極的な導入の方が期待されていて、先日もこんな記事が報じられるなどすっかり人工知能が人智を越えたかのように受け止められつつあるようです。

人工知能が医療で活躍、お手上げの医師を助ける〈AERA〉(2016年10月1日dot.)

 膨大な医療データを瞬時に解析し、診断の手助けをする。人工知能(AI)が医療の現場で活躍しつつある。AIで医療はどう変わるのか。現場を訪ねた。

「ワトソン君に聞いてみよう」──。
 東京大学医科学研究所(医科研)附属病院では、臨床の医師たちの間でこんな言葉が飛び交う。
「ワトソン君」は人ではない。米IBMが開発したAIだ。人間が日常会話で使う言葉を理解し、学習していくクラウド上のソフトウェア。2500万本以上の医学論文や薬の特許情報などをもとに、患者から採取したがんの遺伝子情報から、がんの症状に関連する遺伝子の変異や抗がん剤の候補などを見つけ出す
 白血病などのがんは、遺伝子が変異してがんを引き起こすため、遺伝子を調べてがんのタイプを特定し、治療薬などを決めることができる。ただ、人間がすべてを調べることは無理だ。
 医科研ヒトゲノム解析センター長の宮野悟教授が言う。
「研究が進み、遺伝子や新しい治療法、治療薬に関するデータ量は膨大になっています。医師や専門家がすべてを調べ上げるのは、すでにお手上げ状態なのです」

●AIなしでは不安

 宮野教授らは2015年7月にワトソンを導入し、治療に役立てることにした。人間の能力では不可能なデータ量を読み込んで理解し、最適な答えをはじき出す。これまでに、ワトソンを利用した診療の8割近くで、医師の診断や治療法の精度を高めることに役立ったという。ワトソンの助言を参考に治療を変え、劇的に回復した例もある。
「今後の医療の現場は今とは激変していくでしょう。大きな変化のひとつがテクノロジーです。人工知能を含めて日常の医療のあり方が変わります。テクノロジーを使いこなしていくことも、医師の役割となります」
 医師で、医療政策に詳しい東京大学大学院医学系研究科の渋谷健司教授はそう強調する。
 医師の能力だけでは、患者に合った最善の医療を提供することが難しくなってきているという。最終的に診断をしたり、治療法を決めたりするのは医師とはいえ、医師を支援するAIは、すでに着々と臨床現場に浸透しつつあるのだ。

 放射線診断専門医の北村直幸医師がいま、熱い視線を注ぐのは、CTやMRIで撮った検査画像の診断を支援してくれるAIだ。
これがないと不安でたまらなくなりますね。精度はかなりよくなっていますよ」
 と、北村医師は言う。北村医師は、広島県内を中心に遠隔で画像診断を手がける「エムネス」(広島市)の社長を務める。同社は昨年から、画像診断支援システム「CIRCUS(サーカス)」を使い始めた。
 サーカスは、東京大学医学部附属病院が開発を進める、検査画像から病変(病気の場所)を自動的に見つけ出すシステムだ。AI研究の一分野である「機械学習」という技術によって、過去の症例データにもとづいて病変を学習する。機械学習とは、コンピューターが既存のデータから自動的にパターンを学習してルールを見つけ出し、新しいデータが来たときに予測ができるようになること。
 現在、エムネスを含む16の施設で臨床研究が行われ、肺の結節や脳動脈瘤を見つけるための画像診断の支援に利用されている。
「医師が自分で画像を見て診断をして、確認としてサーカスを使うケースが多いようです。見落としたものを、サーカスで検出されると、『助けてもらった』と感じる先生が増えているようです」(サーカスの開発を進める同病院の野村行弘・特任研究員)
(略)
 AIは精神疾患の診断と治療も大きく変えていきそうだ。うつ病などの精神疾患は、重症度の評価は医師の主観によるため、かなり曖昧だ。血液検査などで症状を客観的に量ることもできない。疾患や重症度を、基準に基づいて分類するのが診断の基本だが、精神疾患の場合はそれが困難だ。
 精神科医の岸本泰士郎医師は昨年、機械学習などのAIを活用して、精神疾患の重症度を客観的に数値で分析する試みを始めた。岸本医師が専任講師を務める慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室などが参加している。
 まずは、うつ病と躁うつ病について、コンピューターが重症度を判定できるようにするのが狙いだ。そもそも精神科医は「表情の変化が乏しい」「体の動きが鈍い」「声が低くハリがない」などの患者の見た目や声で、症状や重症度を判別している。それを、コンピューターで判定できるようにするというのだ。
(略)
「コンピューターが提供する情報を患者さんと共有することで医師と患者さんの間に齟齬が生じにくくなったり、治療の効果が上がったりすると期待しています」
(略)
 医師自身は、AIなどのテクノロジーを、どう見ているのだろうか? 医師専用コミュニティーサイト「MedPeer」が今年5月に医師を対象に実施したアンケートでは、回答した3701人の医師のうち90%が、「人工知能が診療に参画する時代は来る」とした。このうち最も多かったのが「10~20年以内に来る」と回答した医師で、全体の33%を占めた。10年以内を含めると、全体の69%が20年以内に、人工知能が診療に参加すると考えているということだ。
 人工知能が医療をする、というとまるでSFの世界のようだが、実際はすでに医療の現場では活用されつつある。
 前出の宮野教授は言う。
「未来は、もうとっくにはじまっているんですよ」

心電図の機械判定などはずいぶんと前から当たり前に行われていますし、一般人にも知名度が拡がっているAEDなどもまさに機械が勝手に判断する仕組みですが、何にしろこうしたものが普及することで複雑化する一方の医療が少しでも楽に出来るようになれば助かるでしょうね、
人間の場合直感的に高度な推論を行うことも出来る一方で、見落としによる重大なミスも発生し得ることが特に医療現場では問題となりますが、こうした点で網羅的なベタ読みの得意な人工知能とは相互補完的な関係にあると言え相性がいいのだと思いますけれども、さらに現場への導入を図るにはマンマシンインターフェースなども課題になるのでしょうかね。
先日は癌の最適な治療法を人工知能が提示するサービスも2年以内の実用化を目指していると報じられていて、特に患者説明などへの活用も期待されていると言いますから、何をやるにも年々長くなる説明の部分をやってくれるものであれば医療以外でも幾らでも需要がありそうですし、ログさえ記録しておけば後々の言った言わないのトラブルも減らせる可能性がありそうです。
世間的にはこれだけ人工知能が急速に進歩し出来ることが増えて行く中で、いったい将来的にも人工知能に駆逐されない職業とは何だろうかと言った議論も盛んになってきているようですが、PC抜きでの仕事など今や考えられないのと同様に、いずれ人工知能のサポートなど当たり前の前提にして仕事が行われていくようになるのだと思いますね。

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コメント

画像診断のAIは当直のとき便利そうですね。

投稿: ぽん太 | 2016年10月14日 (金) 08時37分

AIに診断してもらうのと
人間様に診断してもらうので
お値段が違ってくるのでしょうか

投稿: | 2016年10月14日 (金) 10時42分

制度上は人工知能は診断の参考になる所見を示すだけで、責任を伴う診断はしないということになるかと思います。
人工知能導入促進のために何らかの加算なりをつけるかどうかについては、その有用性を示すエヴィデンスが必要になりそうですね。

投稿: 管理人nobu | 2016年10月14日 (金) 11時52分

保険診療と免許の観点から、日本でAIが診断や検査をするにはアメリカで普及した後30年後くらいになりそうですね。
そのころには下手するとアジアで導入していないのは日本だけとかいうお寒い状況になったりして。

AIを入れると面白そうなのは医療事故調査ですかね。事故調査をやる時間を割きたくない現場の医療者のニーズにも合致しているし、保険診療上も問題がない。
ただ、その結果は人間がやるよりも酷になるような気がします。「この医者は他の職種と連携できないし、医療安全に対する意識も低いからリスキーな存在。再発防止策としてこういった医師はチームから外すべき」とか出たらどうするんでしょう。

投稿: | 2016年10月14日 (金) 13時06分

どんなに優れた人工知能だろうと、入力した情報が間違っていれば出てくる答えも間違っているでしょう。
人工知能自らが情報を取捨選択できるようになるまでは、どんなに速くても計算機は計算機だと思います。
=人間を補助する道具に過ぎない。

投稿: JSJ | 2016年10月14日 (金) 13時53分

 AIなしでは(訴訟が)不安、でしょ。

投稿: | 2016年10月14日 (金) 17時59分

人間の診断が間違ってて、後日AIにかけたら正解が出た場合負けるのか

投稿: | 2016年10月14日 (金) 19時14分

知ってれば一発系の見落とし防止にAIのダブルチェック期待

投稿: | 2016年10月15日 (土) 08時59分

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