« 医療事故調、必ずしも件数が少なすぎるわけでもないのですが | トップページ | 医療費自己負担と受診抑制の関係 »

2016年10月20日 (木)

3秒ルール、5秒ルールは正しいか否か

いつの頃からか3秒ルールだとか5秒ルールと言った言葉が当たり前に使われるようになっていて、しかも日本だけではなく世界中に同様のことが言われているそうなのですが、先日こんな興味深い報告が出ていたそうです。

食物を床に落としたときの「5秒ルール」の真実 細菌汚染は一瞬で生じる(2016年10月3日HealthDay News)

 食物を床に落としても、すぐに拾えば大丈夫―そんな「5秒ルール」を使ったことのある人は多いだろう。しかし、その食物が本当に安全かといえばおそらくそうではなく、細菌汚染は1秒未満で発生しうるという調査結果が報告された。

 研究を実施した米ラトガーズ大学(ニュージャージー州)のDonald Schaffner氏らは、スイカ、パン、グミのキャンディなど、性質が異なるさまざまな食物を、セラミックタイル、ステンレススチール、木、絨毯などの面に落下させた。それぞれの面はEnterobacter aerogenesというサルモネラ菌に似た細菌で汚染し、完全に乾燥させた後、食物を落として接触させた。

 接触時間がそれぞれ1秒未満、5秒、30秒、300秒の場合にわけて、面から食物への細菌の移行率を評価した。128種類のシナリオを各20回、計2,560回の測定を行った。

 その結果、細菌の移行率は、細菌に汚染された面への曝露時間の長さと、食物の水分によって上昇していた。ただし、細菌汚染は1秒未満でも起きうることも判明した。

 Schaffner氏は、「細菌の移行リスクは食物の水分に最も影響されるようである。細菌は足があるわけではないので、水分を伝って移行するからだ。また、通常は、食品の接触時間が長いほど細菌汚染も多くなった」と話している。実際に食物を落としたときの汚染リスクは、スイカで最大、グミのキャンディで最小であった。絨毯に落とした場合はタイルやステンレススチールよりも汚染が少なかった。木に落とした場合は汚染レベルにばらつきがあったという。

 本研究は「Applied and Environmental Microbiology」オンライン版に9月2日掲載された。

記事のタイトルから時間の長短で区別するなど無意味であると誤解されそうなのですが、短時間で拾い上げても無意味と言うのではなくやはり落ちていた時間に応じて菌の付着量が増えていくのだと言うことで、一般的に細菌感染が症状として出てくるためには一定程度以上の菌量が必要となりますから、それなりに意味がある行為であったと言うデータだとも言えそうです。
特に水分の多寡によって汚染のリスクが変わってくるなどと言うのは、一般的にアイスクリームなどの落下に対しては3秒ルールが適用されないと言うことからしてもそれなりに実感としても納得出来る話ですが、こうして見ると人類はずいぶんと昔から経験則として一定の知見を得ていたと言うことなんでしょうかね?
いずれにしてもこの3秒ルール、5秒ルールと言うものは実生活での実用性が高いと言うことなのか、古今東西様々な研究者による検証が行われてきたのだそうで、別な記事によればこんな様々な検証結果が報告されてきたそうです。

食べ物を落として「3秒ルール」は誤り、研究者が実証。床に落ちたらすぐ汚染、時間とともにバイ菌付着量も増加(2016年9月20日engadget)

世の中にはどうでもいいと思えることを一生懸命調べる研究者がいます。そんな「どうでもいいこと」の代表格とも言えるのが3秒ルール。3秒ルールといえばお菓子をうっかり地面に落としても3秒以内に拾えばバイ菌がつかないから大丈夫、というアレです。日本では3秒、米国ではおもに5秒ルールが一般的なほか、国によっては10秒や0.5秒というのもあったりします。

これまでの研究
3秒ルールは2007年以降、これまで数度にわたって大学などのチームによって研究がなされては結果が発表されてきました。特に知られている研究には以下があります。

・2003年、米国の高校生が様々な場所の床を調査し、そのほとんどにバクテリア・細菌が存在しないことを確認、数秒間なら安全とする研究結果を発表しました。ただ、よく子どもが友達と手渡しするであろうクッキーやソフトキャンディーを大腸菌のついた床に落とし5秒後に拾い上げたところではほとんどにバイ菌が付着していたとのこと。高校生はこの研究でイグ・ノーベル賞を受賞しました。

・2007年、米国サウスカロライナ州のクレムゾン大学の研究チームは、食べ物が床に落ちて拾い上げるまでの時間経過と付着する菌の数を調査。5秒未満だろうが5秒を過ぎていようが付着するバイ菌の数に違いはなく、むしろ落とした場所の綺麗さ(汚さ)が問題で、日常的な清掃が大事だという結果を示しています。ただし、床の材質で言えばカーペットのほうがタイルや木の床に比べて菌の付着が少なかったとのこと。

・2012年、英マンチェスター・メトロポリタン大学は、ジャムを塗ったパン、茹でたパスタ、生ハム、ビスケット、ドライフルーツなどを3、5、10秒間床に置き、バクテリアの付着量を調査しました。その結果は塩分や砂糖を多く含有する食品ほど汚染度合いが低く、すぐに拾えば食べても有害な影響はないであろうとするもの。一方でパスタやドライフルーツからは敗血症の原因にもなりうるクレブシエラ菌が検出されるなど危険も示しました。要約すると時間にはあまり関係なく、落とした物によっては(とくに子どもがよく食べるものは)拾って食べても大丈夫な可能性が高いとのこと。

・2014年、英アストン大学の研究チームは床に落とした食べ物の床との接触時間と付着するバイ菌の量を計測する実験を実施。そして水分量の異なる幾つかの食べ物を調べたところ、乾燥した食物に比べて水分量の多い食物のほうが約20倍菌の付着量が多く付着するものの、早く拾い上げたほうが菌の付着は少なく無害である可能性が高いとする結果を示しました。
(略)

過去の検証にもある通り何を落としたか、そして何よりもどこに落としたかと言うことが非常に重要で、汚い環境の床にべっとりと付着する類のものが落下した場合誰も拾って口にしようとは思わないだろうし、絨毯の上に落ちたスナック菓子をひょいと拾い上げて食べると言うことは誰しも経験があるところだと思いますから、これまた経験的行動には裏付けがあったのだとも言えそうです。
興味深いのは多くの人が誰に教えられたわけでもなく何となく身につけているこうしたセーフ、アウトの基準について、どのようにそれを体得してきたかと言うことなんですが、人間少々のことでいちいち食中毒になったりはしないと言うことを考えると、経験則として一般化出来るほどの症例数を個人が経験出来るのかは疑問符がつきますよね。
日常的に経験する機会があるだろう類似の命題としてはひとたび口をつけたペットボトルを放置しておくとどれくらい危険なのかと言う問題がありますが、これも水程度であればともかく糖類や乳製品をたっぷり加えられたものを、特に夏場に放置しておくのは常識的にも危険そうですし、やはり開封すればなるべく早く飲みきると言うことが大事なのでしょうね。

|

« 医療事故調、必ずしも件数が少なすぎるわけでもないのですが | トップページ | 医療費自己負担と受診抑制の関係 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

つうか人前でこんなことやっちゃうのは品がないわな

投稿: | 2016年10月20日 (木) 10時34分

まあ実験結果もなんとなく予想できたことで、「そりゃそうでしょうね」の域を超えないかと思います。
おもしろ実験かと思いますけど、悪く言えばEBM至上主義の一環なんですかね。
そういえば、口腔ケアで使うフロスも意味がないらしいですね。EBM的に。

投稿: ふぉれすと | 2016年10月20日 (木) 10時51分

デンタルフロスはケアとしての有効性についてはともかく、愛用者によれば使用後のすっきり感が大きいのだそうで、ミント系タブレットなどと同じようなものかなとも感じます。

投稿: 管理人nobu | 2016年10月20日 (木) 11時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/64367785

この記事へのトラックバック一覧です: 3秒ルール、5秒ルールは正しいか否か:

« 医療事故調、必ずしも件数が少なすぎるわけでもないのですが | トップページ | 医療費自己負担と受診抑制の関係 »