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2016年9月14日 (水)

社会保障費の伸びが上限突破

ちょっとびっくりするようなタイトルですが、先日こんな記事が出ていました。

社会保障「上限」超す、17年度予算、厚労省概算要求(2016年9月4日毎日新聞)

 ◇増加5000億円まで 1400億円要削減

 厚生労働省の2017年度予算の概算要求は、過去最大規模の31兆1217億円と、30兆円台の要求は5年連続となった。高齢化が進むことによる社会保障費の自然増は6400億円と見込むが、財務省からは最終的な増加額を5000億円程度に抑えることが求められている。今後の予算編成での調整に注目が集まる。【野田武、阿部亮介】

 主要分野別にみると、待機児童の解消に向けた取り組みに1169億円、介護サービスの確保に2兆9907億円、年金制度の運営に11兆4067億円、医療・介護連携の推進に3兆482億円、医療保険制度の運営に11兆5795億円などを要求した。
 年末の予算編成に向けて焦点となるのが、少子高齢化の進展に伴って増加を続ける社会保障費の抑制だ。昨年6月に閣議決定した「骨太の方針」は、社会保障費の伸びを16~18年度で計1・5兆円に抑える「目安」が盛り込まれた。
 「目安ではなく実質的な上限だ」(与党厚労族議員)との指摘もあり、単純に割り算すると、各年度5000億円ずつに抑える必要がある。財務省が減額を求める根拠になっている。昨年の概算要求では約6700億円だった自然増の見込みが、最終的に4997億円に絞り込まれた。医療の公定価格である診療報酬改定率が、年末の塩崎恭久厚労相と麻生太郎財務相の交渉で、マイナス1・03%で決着したことが大きく寄与した結果だ。

 来年度予算では診療報酬改定など大きな制度改正がない。「目安」を超える1400億円を、どのように削減するのか。現在、社会保障審議会で介護保険法改正に向けた議論が進む。買い物などの生活援助サービスを保険対象から外すことや収入が高い大企業のサラリーマンなどの保険料負担を増やす「総報酬割り」の導入など、介護サービス抑制や負担増などで財源を捻出する可能性もある。
 ただし、厚労省幹部は「削減できなかった額が18年度に持ち越されることも想定している」と話す。その場合、18年度に予定されている診療報酬と介護報酬の同時改定や生活保護法改正などで、報酬切り下げや生活保護基準の見直しが選択肢として浮上し、いずれも国民へのしわ寄せが不可避となる。
(略)

色々と削るべきところはまだまだ多いだろうに一向に手をつけないままでは困ると言った前向きな削減論も聞こえてきますけれども、しかし削減すると言っても現場では必要だから使っているお金のはずですから、国がルールを決めてトップダウンでやってもらうしかないところですね。
もっとも支出額の断然多い医療に関して言えば、皆保険制度下では保険の査定と言う極めて恣意的な行程が必ず入ってくるわけですから、この辺りのさじ加減を少しばかり厳しめに調節するだけでも相当な効果がありそうですが、何をどう調節するのかと言うさじ加減によっては診療報酬改定以上に大きな影響を与えかねないですよね。
医療分野で具体的にどのような内容でコストが増加したのかですが、記事の後段の概略から拾い上げてみますと出産施設の少ない地域での改善策だとか、産科開設・再開のための費用補助だとか言った少子化対策などは国の大方針にも関わることですから、コスト削減と言ってもそうそう削れないのではないかと言う気がします。
となると問題になってくるのが僻地医療対策になってくるのかですが、僻地患者の航空輸送に対して補助金を出すなどと言う話は確かに住民サービスとして有用ではあるのでしょうが、今後地域医療整備の主体が地方自治体に委ねられてくることを考えると、国としては多少なりとも先送りしてもいい類の話ではあるのかも知れませんね。

医療費が何故伸び続けるのかと言う2大要因として以前から言われてきたのが高齢化社会進展に伴う自然増であり、また昨今注目されているのが薬剤費の高騰ですけれども、後者に関しては医薬分業が奏功してか昨今診療報酬改定においても冷遇されるようになってきたばかりか、国と各学会も巻き込んで高額な新薬はなるべく使わせないようにしようと言う計画が進んでいます。
製薬会社がこれだけ大儲けしているなどと世間のニュース種に取り上げられる時代ですから、薬価の削減自体は国民世論の後押しも受けやすいのかも知れませんが、医薬分業で各地に林立した存在価値の怪しい薬局の経営をどう考えるべきなのか、あるいは一部で言われているように再び門前薬局を病院内に吸収してしまうような時代が来るのかも知れませんん。
高齢者医療コストに関してはそもそも後期高齢者医療制度が出来た時点からの長い課題の歴史もあって、本来であれば別会計とすることで高齢者が身の丈にあった医療に自然収束していくことを期待していたはずですが、これまた政治的配慮で長くタブー視されてきた議論ながら、さすがにいつまでも先送りには出来ないのかも知れませんね。
単純に高齢者に対しては保険医療点数の配分を変えるだとか、保険適応の範囲を絞ってみるだとか様々な対案は考えられるのですけれども、現在医療機関に受診している患者の年代別比率を考えてみる限り、少々診療報酬を上げ下げするよりもよほどに巨大な影響を医療現場に及ぼしかねないだけに、理念だけではなく現実的な側面からも反対の声は根強かろうと思います。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

今のシステムじゃ総額規制はできないでしょ
保険で金を出す上限決めろってことかな

投稿: | 2016年9月14日 (水) 09時22分

「少子高齢化の進展に伴って増加」

少子化は社会保障費を増やしてんの?
生まれない分費用もかからんのかなと思ってたんだが

投稿: | 2016年9月14日 (水) 10時16分

医療無料化や少子化対策で一人当たりのコストは増えているでしょうが、この場合コストを負担する側の減少の方が問題でしょう。

投稿: 管理人nobu | 2016年9月14日 (水) 12時24分

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