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2016年9月17日 (土)

日本の運転手とスペインの運転手

先日非常に怖い事故があったと報じられていたのですが、まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

高速バス運転手が脳出血 乗客がブレーキかけ停止(2016年9月15日NHK)

13日、千葉県木更津市の東京湾アクアラインで、高速バスの運転手が脳出血を起こして意識がもうろうとなり、中央分離帯やほかの車と衝突していたことがわかりました。乗客がブレーキをかけてバスを停止させ、乗客およそ30人にけがはありませんでした。

13日午後6時20分ごろ、千葉県木更津市の東京湾アクアラインの下り線で、羽田空港から木更津駅に向かっていた高速バスが中央分離帯やほかの車にぶつかる事故を起こしました。
警察やバスを運行する小湊鐵道によりますと、バスの運転手の64歳の男性が意識がもうろうとなっていたために、最前列の座席にいた乗客の男性がブレーキをかけてバスを停止させたということです。
運転手の男性は脳出血を起こしていたということで、その後、病院で治療を受けたということです。乗客およそ30人にけがはありませんでした。
会社側によりますと、運転手の男性は当日は午後3時すぎに出勤し、運行管理を行っている上司には体調不良はないと報告していたということです。バスを運行していた小湊鐵道は「運転手の健康管理を徹底し、再発防止に努めたい」と話しています。

とっさに乗客が機転を利かせて最悪の事態だけは避けられたと言うことですが、中央分離帯やほかの車にもぶつかっていたと言いますから当事者となった乗客の方々にとってはまさに生きた心地もしないような状況でしょうね。
このバス運転手の突然の発病による事故と言うものがちょっと検索しただけでも毎年のように報じられていて、高血圧など危険なリスクを放置したまま乗車を続けている運転手も多いと言う背景事情があるそうなのですが、国もこうした事故の恐ろしさを知っていると言うことなのでしょう、ちょうど今春には運転手が意識を失った場合自動停止するシステムの開発をメーカー各社に促したと報じられています。
そもそも過労など健康管理状態の悪化がその背景にあることで、さらに元を辿れば慢性的な運転手不足による不規則かつ過重な労働環境が背景にあることは言うまでもなく、乗客の立場からすれば無理をしないで安全運転を願いたいところなのですが、その観点から非常に興味深い事例が海外から報じられていました。

スペイン 労働時間が終了したため運転手が途中で列車を止める(2016年9月15日スプートニク)

スペインのサンタンデールからマドリードへ向かっていた列車の運転手が、労働時間が終了したため列車から降りた

治安警察の代表者は、「運転手は自分の労働時間は終わったと言うが、交代要員はいない」と述べた。 列車の扉は治安警察が到着するまで閉まったままだった。その後、乗客を目的地へ届けるため、駅にバスが到着した。結果、マドリードへ向かっていた人々は、当初の予定より5時間遅れで目的地に到着した。

鉄道会社Renfeは調査を開始し、運転手に説明を求めた。 なお労働組合は、運転手が「安全上の理由から」列車を停止させたとし、「(列車の)運転手も、バスの運転手あるいは飛行機のパイロットと同じように定められている労働時間を超えることはできない」と発表した。

この一件、別な報道によれば法律に定められた労働時間の上限を超えたことで運転を中止したと言うことなのですが、同国では過労による事故を防ぐため列車の運転士が連続6時間を超えて勤務してはならないと定められていて、かつ本来途中停車駅で交代するはずの運転手が不在だったため、そのまま発車することなく停車し続けたと言う事情だったそうです。
こうした事情が知れた結果ネット上の反応も「これは仕方ない」と言う声が多い様子なのが意外と言うべきなのか、今の時代リアルな生活でブラック企業の恐ろしさが身に染みている人が増えている結果と受け止めるべきかですが、こうした場合責められるべきは運転手ではなく代替運転手をきちんと確保出来なかった会社側であると言う認識が当たり前に通用するようになったと言うことでしょうかね。
「日本なら運転手はそのまま運転を続けて事故を起こしていたかも知れない」と言う指摘があるように、こうした安全上のルールはそれなりの理由があって設けられていることは言うまでもありませんが、何が顧客サービスなのかと言うことを考える上でなかなか興味深い議論のテーマを与えられた事例であったように思います。

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