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2016年9月 7日 (水)

日本の子宮頚癌ワクチン問題が世界的注目を集める

先日こういう記事が出ていたのですが、あまりこうした話も聞かないだけになかなか異例の事態と言うべきかなと感じられますよね。

子宮頸がんワクチン、勧奨再開を求める…世界の研究者341人が厚労省に(2016年8月30日読売新聞)

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に体の痛みなどの症状が出て、国が定期接種の積極勧奨を中止している問題で、高久史麿・日本医学会会長や木下勝之・日本産婦人科医会会長ら医学会有志は29日、世界の研究者341人が署名した勧奨再開を求めるメッセージを、厚生労働省に提出した。

 同ワクチンについて「日本で問題になっている諸症状との因果関係は認められていない。接種勧奨が再開されないことは、日本のみならず、世界中に悲劇をもたらすことが懸念される」などとしている。

 今年6月にオーストリアで開かれた「欧州生殖器感染、腫瘍に関する専門家研究会議」に参加した研究者が署名した。

一連の子宮頚癌ワクチン問題に関しては過去にも当「ぐり研」で何度か取り上げて来たところですが、何故か日本では予防接種の類となると熱心な反対論者の方々がいらっしゃっていて、時折海外に行くと言った際に日本がいかに特殊な状況に置かれているか思い知らされるケースも散見されますよね。
それはともかく、基本的に子宮頚癌に限らず予防医療の目的が個人の生命健康の維持と言うことであればほっとけ個人の自由だろと言う話なんですが、この場合国がわざわざ推進しようとしているのは喫煙問題などと同様トータルでの医療費削減効果が期待出来るからと言う側面が色濃いことは認識しておかなければならないでしょう。
そんなことを言えば「命の問題と金の問題を同列に語るな!」とまたぞろ進歩的な方々のお怒りを買いそうなのですが、そもそも医療政策などと言うものはその大部分がまさしく命の沙汰も金次第と言う話なので、今さら予防接種だけを特別視しても仕方がないかなと思うのですが、一方ではやはり素朴に防げたはずの病気を防げなかった未来の悲劇を懸念する声も少なくないようです。

【子宮頸がんワクチン特集】ワクチンで防げる悲劇を見過ごしていいの?(2016年8月31日読売新聞)

     日本で毎年新たに子宮頸がんになる女性は約1万人で、約3000人が亡くなっています。そのほとんどは、性行為でうつるヒトパピローマウイルス(HPV)が原因とされ、このうち、特にがんに進展する危険性が高い型への感染を防ぐのが「HPVワクチン」です。国は2013年4月から、小6から高1の女子を対象とする定期接種としましたが、接種後に痛みなどの体調不良を訴える人が相次ぎ、同年6月、積極的に接種を勧めることを中止しました。それから3年以上、事実上、接種はストップしています。

     この間、ワクチンを打った後に体調不良を訴えている女性たちが国や製薬会社に損害賠償を求める訴訟を起こす一方、世界保健機関(WHO)や日本の関連学会は、日本の若い女性が、がんを予防できるチャンスを失わせているとして、積極勧奨の再開を求めています。国内の大学からは、接種勧奨の再開が遅れれば遅れるほど、ワクチンを受けられなかった年代の女子の感染率がほかの年代に比べて極めて高くなるという研究も報告されています。もう判断を先送りにはできません。

     読者の方も、結局、子宮頸がんワクチンは受けた方がいいのか、受けない方がいいのか、混乱していることでしょう。ヨミドクターでは、この問題について科学的に適切な判断ができるように、妊産婦や子宮頸がんを診る産婦人科医、予防接種の専門家である小児科医、そして痛み治療を専門とする医師に、現状の分析とご意見をお書きいただきました。接種後の体調不良はもちろん十分に対処する必要がありますが、それだけを配慮するあまり、私たちは、ワクチンで防げる死を放置していいのでしょうか? これから、日本はHPVワクチンにどう向き合うべきなのか、考える材料にしてください。

考える材料は各人で参照いただくとして、大勢を対象にした話としては接種を受けた方が健康面でも経済面でも利益は大きいと言う結論になろうかと思いますが、もちろん個人個人においては余計なトラブルが発生して不利益の方が大きくなると言うケースもあるわけですから、大原則として利益不利益を勘案し自分で決めていただくしかないと言うことでしょうね。
癌に限らず自分の選択によって自分の人生が左右されると言うのはごく当たり前で、自由主義社会を標榜するからにはむしろ真っ当な世の中のあり方ではないかと思うのですが、ただこの場合問題なのは接種対象者の多くが未成年であり、受ける受けないの判断が直接的な利害関係のある当の本人ではなく親によってなされていると言うことです。
親の判断で接種を受けなかった子供が成長して癌になった場合、親が責任を取ってくれるわけではありませんから本人としては誰を恨めばいいのかですが、この辺りの問題は直接的な因果関係の大小によっては社会的介入を必要とする場合もあって、有名な話としては親の宗教的思想信条から子の輸血拒否をしたことが児童虐待だとされ、親権停止により子の救命を得たケースなどが知られていますよね。
子供には正しく判断する能力がないと認められているからこそ親による代理判断が認められているわけですが、その親が正しい判断をしているのかどうかを誰が判断すべきなのかと言うことを考えると、この種の問題に関しては親のバイアスを介さないで当事者である子供への客観的な情報提供を行っていく道筋も用意すべきなのかなと言う来はします。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

性行為により感染するのであれば、女子だけでなく男子も接種するべきではないかと思われますけど、
ワクチンがお高いからそうしないのでしょうか?

投稿: クマ | 2016年9月 7日 (水) 07時24分

つまり性解放のムーブメントの輝かしい果実として
このような性行為における感染源となって不特定多数の異性に
ウィルスをばらまくのは、昨今は女性である…って事なのでは?

投稿: | 2016年9月 7日 (水) 07時39分

おはようございます.

>性行為により感染するのであれば、女子だけでなく男子も接種するべきではないかと思われますけど、
ワクチンがお高いからそうしないのでしょうか?

コストパフォーマンスの問題ではないでしょうか.
陰茎癌,中咽頭癌の一部もワクチンで予防できそうなのですが…

投稿: 耳鼻科医 | 2016年9月 7日 (水) 08時25分

関空大騒ぎだってね
http://www.asahi.com/articles/ASJ947H5JJ94PTIL00S.html
こう言うのを人災って言うのかな

投稿: | 2016年9月 7日 (水) 08時49分

陰茎癌の発症率の低さを考えますと、男性にHPVワクチン接種をどう誘導すべきかは大変難しいものがあると思います。

投稿: 管理人nobu | 2016年9月 7日 (水) 13時03分

 耳鼻科の先生のご興味はやはり「中咽頭癌の一部」だと思いますが、この頻度ならびにHPV遺伝子の検出率は如何でしょうか。男性を介した伝搬にいては「オラルセックスにもコンドーム」の方が有効と思います。クラミジアにも有効でしょう。

投稿: | 2016年9月 7日 (水) 19時53分

 挙児希望なら避妊具を使用しないのですから、予防接種はやはり妊孕可能性のあるすべての女性、が優先と思います。 

投稿: | 2016年9月 7日 (水) 19時58分

ところで精液スポイトで注入してもHPVってうつるの?

投稿: | 2016年9月 8日 (木) 09時39分

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/118/7/118_914/_pdf

投稿: 耳鼻科医 | 2016年9月 8日 (木) 10時34分

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