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2016年9月15日 (木)

珍しく自治体病院の診察拒否が報じられていると思ったら

ひと頃大いに話題になった話題として診療拒否なるものがあり、当時は診療拒否ではなく受け入れ不可能と言うべきケースが多いと言われていたものですが、先日報道されていたこちらのケースはいささか事情が異なっている様子です。

富士吉田市立病院 診察拒否か市が調査(2016年9月2日山梨日日新聞)

 富士吉田市立病院(同市上吉田、樫本温院長)の歯科口腔外科が、特定の歯科開業医からの紹介で来院した患者の診察を拒否した可能性があるとして、同市が調査を始めたことが1日、分かった。富士吉田歯科医師会は同日までに、改善を求める要望書を堀内茂市長に提出した。
 要望書は、口腔外科が開設された2013年3月前後に、同歯科医師会に加盟する開業医と市立病院側の間でトラブルがあったと指摘。「開業医の紹介で市立病院を訪れた患者の診察が拒否されている」としている。

 同市によると、要望書の提出を受け、病院職員や同歯科医師会の関係者らから事情を聴いた。これまでの調査で、口腔外科の開設直後から一部の患者が診察を断られたケースがあったと確認。紹介した患者が診察を断られた開業医は複数いるという。
 樫本院長は取材に対し、「担当医師から(口腔外科)開設当初はトラブルのあった歯科医師から紹介を受けた患者を断ったことがあると聞いたが、現状では診察している」と説明。「今は同歯科医師会とも良好な関係と認識している」と述べた。

 山梨日日新聞の取材に対し、昨年9月に診察を断られたという同市上吉田の男性(65)は「『(紹介状を書いた)先生とは連携していないので診ることはできない』と言われた」と説明。山梨市内の病院で受診することになり、「市民が市立病院で診察してもらえないのはおかしい」と訴えた。
 関係者によると、歯科口腔外科の開設時に同歯科医師会と病院側で、開設の経緯や診察方法などについてトラブルがあったという。
 堀内市長は取材に対し「診療拒否があった可能性はある」とした上で、「事実ならば患者に謝罪しないとならない。調査をして実態を把握したい」と話した。

「診療拒否があった可能性はある」とはずいぶんと持って回った言い方だなと不思議に思ったのですが、どうやら地元開業医との間のトラブルの結果そちらからの紹介患者は受け入れないと言う、これは確かに診療拒否と言う言葉を使いたくなるような話には聞こえます。
少し後になって調査結果が出たと言うことなのですが、どうやら実際に報じられているようなケースがあったようで、形式上の責任者となる市長が陳謝する自体に追い込まれてしまったようです。

【山梨】「診療拒否あった」富士吉田市長が陳謝(2016年9月12日山梨日日新聞)

 富士吉田市立病院の歯科口腔外科が、特定の歯科開業医からの紹介で来院した患者の診察を正当な理由なく拒否していた可能性があるとして、市が調査している問題で、同市の堀内茂市長は9日の会見で「診療拒否があったと認識している」と述べて陳謝した。市は10月末までに詳しい経緯を調べ、関係者の処分を含め検討するとしている。

 堀内市長は会見で、2013年3月の歯科口腔外科開設などを巡り、市立病院側と市内の開業医の間にトラブルがあったと指摘。その上で、トラブルになった開業医の紹介で来院した患者の診察を、市立病院が拒否することがあったとの認識を示し「市民の税金を使い、地域のための病院であるにもかかわらず、一部で診療拒否があった。申し訳ない」と陳謝した。

 市によると、7月下旬に富士吉田歯科医師会から「特定の歯科医師から紹介を受けた患者が、市立病院での診察を拒否されている」として改善を求める要望書が提出され、市が調査に乗り出した。

 一方、市立病院の武藤賢三事務長は9日の取材に「歯科口腔外科の担当医師から、診察を断ったのには正当な理由があると聞いている」と話した。

歯科口腔外科開設を巡ってのトラブルがそもそもの発端と言うことで、例えば私立病院に歯科口腔外科を開設すると患者の奪い合いになる等々の懸念から「市立病院に歯科口腔外科はいらない」などと開設に反対した開業医がいたとすれば、そちらから患者が紹介されてきた場合「いやいらないって言ってたでしょ?」とおもしろくは感じないでしょうね。
ただどんな事情があって不満を抱いたにせよやはり患者とは直接関わり合いのない話なので、仮に意趣返しをするにしてももう少し大人げある対応をすればよかったかと思うのですが、どうもこの市立病院の先生と言うのが以前にも大学でトラブルを起こし解雇処分となった先生なのだそうで、この際にもかなり大人げない行為を働いた挙げ句に「一連の行為には理由があった」と今回と同様の申し開きをしていたそうです。
そうした事情を考慮すると実際のところどんな状況だったのかですが、本件で興味深く感じたのは少なくとも表立っては市長も事務長も平謝りでひと言も歯科口腔外科医の責任を問う様子が見られないと言うことで、自治体病院などと言えば一昔前は何かあれば現場に責任をかぶせて終わりと言うイメージも色濃くあっただけに、時代も変わったものだなと感じ入った次第でした。

いささかレアケースだった気配のある今回の場合はともかくとして、無茶苦茶な治療で患者の状態を悪くしてから尻ぬぐいを押しつけてくると言った困った先生も各地にいらっしゃるのは事実で、特に自治体病院などは基本的に地域住民であれば原則受け入れと言うことになっている施設が多いですから、断れるものならあの先生の患者だけでも断りたいと考えている先生は他にもいらっしゃるのではないかと思います。
こうした場合の対処法としては様々な手法が考えられますし、個人レベルで善処した結果個人レベルでの防衛に成功していると言う先生は少なからずいらっしゃると思うのですが、そのノウハウを共有するなり組織として対策を講じるなりに昇華していかないと、いつまでたっても同じことの繰り返しが続き患者さんの為にもならないと言う話ですよね。
市長にしろ事務長にしろ現場医師にきちんと気を遣って大人の対応をされているようですので、せっかくですから当事者だけではなく院内各診療科医師にも聞き取り調査なりをして、何とかして断りたくなるような紹介元が他にもいないかどうかと言ったところまで対策を講じてみれば、ますます仕事がしやすい病院としてスタッフから好評を博するかも知れませんね。

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コメント

こんな先生でも三顧の礼で招いたのかな

投稿: | 2016年9月15日 (木) 09時03分

今回の記事から見る限りでは、市長や事務長からかなり当事者への配慮がうかがわれるのが興味深いケースだと思いました。

投稿: 管理人nobu | 2016年9月15日 (木) 12時36分

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