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2016年9月12日 (月)

透析は医療費の金食い虫だと現代が指摘

先日こんな記事が出ていたそうですが、御覧になりましたでしょうか。

透析大国ニッポン!一度始めたら一生やめられない人工透析の「真実」 いまや市場は2兆円規模(2016年9月10日現代ビジネス)

■透析患者は病院の「ドル箱」

「人工透析をしたい人にとって、日本は『幸せな国』といえるかもしれません。透析には月40万円ほど費用がかかりますが、患者負担は1万~2万円で済む。国が1人あたり年間500万円近く負担してくれるわけです。腎臓病の患者のなかでも透析をやっている人の割合は極めて高く、95%もいます。アメリカや韓国では40%、ヨーロッパでは50%です」
こう語るのは、透析や腎移植に詳しい大塚台クリニック院長の高橋公太医師。透析は、糖尿病が悪化するなどして腎臓が機能しなくなる腎不全になった人に行う医療行為。腎臓は血液の老廃物を除去したり、電解質を維持したりする作用があるが、それを人工的に行うのが透析だ。
高橋氏の言うとおり、日本は透析大国で、現在約32万人もの透析患者がおり、年間5000人のペースで増加中だ。患者数の伸びは高齢化のスピードとほぼ一致しており、2025年まで伸び続けると予測されている。
透析患者1人に対して年間約500万円の医療費を国庫が負担していると考えると、単純計算で約1兆6000億円。透析患者は合併症も起こすことが多いので、その分も含めればざっと2兆円もの医療費が32万人の患者のために使われている計算になる。日本の医療費は全体で40兆円なので、この額は医療費の5%にあたる。

ときわ会常磐病院院長の新村浩明医師が語る。
「日本の医療費全体のなかで透析医療費が占める割合は異常に高い。こうした構造がおかしいことは誰もが気付いていますが、もはや止められなくなっているのです。医療費をなんとか抑えようとすれば、患者さんの負担を増やすしかありませんが、そもそも腎不全で体が弱り、経済力のない人たちにその負担を強いることは難しい。結局、日本の透析医療は袋小路にはまりこんでしまっているのです」
なぜ、日本の透析医療はこれほど巨大化してしまったのか。その主たる理由は、透析が「儲かるビジネス」になってしまっているからだ。都内の糖尿病専門医が語る。
「病院にしてみれば、一度透析を始めた患者は、定期的な『収入源』になります。少し前までは、透析の保険点数は今よりも高く、患者を1人つかまえればベンツが1台買えると言われたほどです。
私の病院でも透析の患者さんは大切にしますよ。患者は週に3回、各4時間の治療を受ける必要があるので、無料送迎サービスを提供したり、いろいろと気を配っています。逆にいえば、それだけ儲かる『ドル箱』なのです」

■腎移植のほうがQOLが高い

人工透析を始めると途中でやめることができない。自分の経済負担は少ないかもしれないが、それは死ぬまで国庫から病院にカネが落ち続けるということだ。
(略)
袋小路にはまってしまった透析医療問題を解決する道がないわけではない。腎移植をより普及させることができれば、透析患者を減らすことができるのだ。前出の高橋氏が解説する。
「日本では移植のことを知らない人が多く、腎移植の数がなかなか伸びてこなかった。しかし、そもそも腎不全の患者にとって透析よりも腎移植のほうがQOL(生活の質)が高いのです。週3回透析治療を受けるのは、とくに働いている若い人にとっては大きな負担になるでしょう。また透析をしながらでも長く生きられると信じられていますが、実際はそうでもありません。例えば若くして20代で透析を始めた人はたいてい50~60歳で亡くなる。24時間動いている腎臓の機能を週3回の透析で代替しようとしても無理があるわけです。また、長期間の透析を続けるとさまざまな合併症も出てきます。腎移植が成功すればそのような身体の負担は小さくなります。さらに経済的な負担を考えても腎移植のほうが小さい」
手術後の患者のための税金や保険の負担は100万~150万円。移植手術の費用を考えても、長期的に見れば透析より移植のほうが国庫にかかる負担は小さくなる

■「利権」が代替医療を妨害する

現在、日本で行われている腎移植の件数は年間で1600例。20年前は500例だったので、かなり増えたともいえるが、アメリカの1万8000例と比べるとまだまだ少ない。前出の新村氏も、移植医療の遅れが現在の透析依存を深刻化させたと述べる。
「腎移植が普及していればこうした状況にならずに済んだと思います。臓器移植法案がスムーズに通り、日本で腎移植がもっと早い段階で普及していれば、透析に頼り切る医療にはならなかった。日本は移植へのアレルギーがあり、非常に厳密な移植の基準、臓器提供の基準ができあがってしまった。少しずつ緩和されてはいるものの、臓器提供できる病院が限られています。指定されていない病院で脳死患者が出ても、そこからは臓器提供ができないのです」
現在、日本で行われている腎移植の9割は身内がドナーとなっている生体腎移植だ。'97年に脳死移植が認められたものの、なかなか増えていないのが現実である。ちなみにアメリカでは脳死移植が全体の半分以上(年間1万例)もある。
(略)
「腎臓が悪くなったからすぐに透析、という考え方は間違っています。ドナーがすぐに見つかるかわかりませんが、その後の人生のことを考えれば移植の可能性はないのか、検討してみる価値はあるはずです」(前出の高橋氏)
医者の勧めるまま透析を始めたら、二度と健常な生活に戻れない。治療法とその後の人生は自分自身で選ぶしかないのだ。

昨今90歳以上の超高齢者に新規で透析導入をしているような施設が日本にどれくらいあるものかは知りませんし、今どき透析がそうまで儲かるのかどうかも存じ上げませんが、日本の透析患者数はアメリカについで世界2位なんだそうで、しかも三倍ほどの人口を持つアメリカに対して患者数はその7割ほどもいるそうですから、やはり相当透析患者数が多いと言うことは事実でしょう。
日本における透析医療の導入ハードルが諸外国よりもかなり低かった一因として、死ぬまでかかる巨額の医療費の大部分を国が負担してくれると言う患者に優しい制度面にあったことは否めないところで、世界的に見ればそもそも高価な医療を延々と続けられる経済力がある人だけが透析を受けられると言う側面もあるわけです。
加えて制度的な面でも保険診療で行える透析の新規導入に年齢制限を設けるなど、その対象を制限している国も決して少なからずだと言いますから、その気になればそれこそ90歳の無職無収入の老人にでも公費で透析が出来てしまう国と言うのは世界的に見てもかなり珍しいと言えるかも知れません。

日本で透析医療が非常に盛んであると言うのは客観的事実であり、その背景に制度的に透析導入が非常に容易く、かつ年齢等による制約が設けられていないと言うことが問題であると記事は指摘しているのですから、それを解消するために諸外国同様年寄りに透析をさせるなどもってのほか、高齢者には公的負担も保険給付も打ち切ってしまえと言うのであればそれなりに筋が通っていると言えます。
ところがそうではなく何故か途中から話の方向が変わっていて、当初挙げられていた制度的問題は全くスルーされてしまっていると言うのが誰の圧力なのかは知りませんが、さすがに超高齢者に喜んで透析導入しようと考える医療関係者も少なくないはずですから、透析に限らずこうした問題提起を機会に医療費の公的負担の範疇について議論が拡がるのであれば悪い話ではないですよね。
ちなみに記事によればこの問題の根本的解決策は腎移植であるかのように書かれているのですが、まあドナーがどこから現れるのかと言う問題を抜きにしても客観的に見れば透析導入の最大要因は糖尿病など基礎疾患の悪化による合併症としての腎不全なのですから、「医者の勧めるまま」「健常な生活」を送っていればかなりの部分が予防できたと言う可能性はありますよね。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

2型糖尿病患者の透析は自費にしたら?

投稿: | 2016年9月12日 (月) 11時21分

↑自分がその病気になったら自費で払えばいいんじゃない?

投稿: | 2016年9月12日 (月) 11時41分

 この記事の記者子と編集者子には、生体腎移植のドナーになって片腎を提供してほしいものです。不勉強で浅薄なうえに傲慢。
医者を悪役にして事足れり、はいつものことですがね。 

毎年改定される臓器移植ファクトブック
 http://www.asas.or.jp/jst/pdf/factbook/factbook2014.pdf
 p29図3.腎移植数の推移 
 腎移植数が減少に転じましたね。何ででしょうねw。 
 そもそも年間3万人も発生する透析予備軍に対して、移植は1500弱。二十倍違う。ドナーカードの普及率を現在の20倍増やすことができますか、100%を超えやしませんかw 

 年間生体腎移植数は微増ですが、文書の冒頭にトピックとして
「移植法改正5年を経て2013年をピークに死体腎移植数が減少に転じた」ことが記されています。なぜでしょうかねw?
 こういう病理病態を真面目に考えられないような蒙昧な輩には

 透析に対する公的保険給付率を下げることの副作用も見えないでしょうね。 

 一時期流行った「移植ツアー」は外国からの圧力で減ったといわれていますが、増す塵がネタにしなくなっただけ、かも知れません。隠蔽する力を持つものがやっていないはずがない。

 BJな世界w

投稿: 感情的な医者 | 2016年9月12日 (月) 12時00分

補足訂正 最新版は 
 http://www.asas.or.jp/jst/pdf/factbook/factbook2015.pdf
図3. 腎移植数の推移 は pdfの33ページ

論旨に変更ありませんね。  

投稿: 感情的な医者 | 2016年9月12日 (月) 12時08分

記事を読んで真っ先に思ったのは、記事中に登場してコメントしている先生方は最終稿をチェックしたのかどうかと言うことですね。

投稿: 管理人nobu | 2016年9月12日 (月) 12時51分

透析減らすのはいいんだけど、医師の利権以上に患者の命が減るってことを隠す記事はウケますね。

海外「透析すれば助かりますが、年齢・収入で無理です。ホスピスで死んでください(ニッコリ)」

なので、海外のホスピスは腎不全も受け入れてるんですよ。

投稿: おちゃ | 2016年9月12日 (月) 20時35分

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