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2016年9月 5日 (月)

地域医療構想、病床過剰地域でさらなる増床が可能に?

都道府県が主体となって地域医療のあり方を整備していく地域医療構想は兵制30年3月が策定期限ですが、国は今年半ばまでを実質的な期限として設定していて、すでに各地で構想が発表されている場合も多いかと思いますが、見ていますとなかなか興味深いことを言っているようですね。

病床過剰地域でも「病床の必要量」の整備可能に(2016年9月1日医療維新)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)の第2回会議が8月31日に開催され、第7次医療計画における基準病床数と、地域医療構想における「病床の必要量」の関係について議論した(資料は、厚労省のホームページ)。

 大阪府などの病床過剰地域で、2025年の「病床の必要量」が基準病床数を上回る場合、(1)2018年度から始まる第7次医療計画において、基準病床数を毎年確認、(2)医療法の特例措置を活用し、病床過剰地域でも増床を可能とする――という対応案を厚労省は提示、ほぼ了承された。既存病床数が、基準病床数を上回る場合、増床は原則認められず、「病床の必要量」を考慮した医療提供体制の整備が困難になるため、対応が求められていた(『2025年の「病床の必要量」、基準病床数超す場合は?』を参照)。
(略)
 第7次医療計画の策定においては、地域医療構想との関係を整理する必要がある。「病床の必要量」は2025年を見据えたものであるのに対し、第7次医療計画の基準病床数は、2015年もしくは2016年の人口データを基に算定するため、タイムラグがある。第1回会議では、地域医療構想の策定が進む中、医療計画の基準病床数と既存病床数、「病床の必要量」という3つの関係性の整理が求められていた。

 厚労省は、3つの病床数の多寡で、A~Fの6パターンに分類。(1)「病床の必要量」が最も多い(A、B)、(2)基準病床数が最も多い(C、D)、(3)既存病床数が最も多い(E、F)――だ。

 (1)のうち、Aは「病床の必要量>基準病床数>既存病床数」、Bは「病床の必要量>既存病床数>基準病床数」という関係にあり、いずれも「病床の必要量」を考慮した整備に際して、基準病床数を超えた医療需要が生じることになる。AやBは、今後、急速に高齢化が進む都市部に多く、その代表例が大阪府。東京都を含む首都圏、愛知県、福岡県のほか、政令指定都市を含む2次医療圏などでも該当地域があるという。大阪府では、8つある2次医療圏のいずれも、Bに該当。厚労省によると、大阪府では、「地域医療構想の4つの病床区分、将来の高齢者人口のピークアウト、他府県との流出入なども考え、総合的に検討することが必要」との考えを持っていることを紹介。

 (2)は現時点で地域医療構想の策定を終えている地域では該当例がない。(3)の該当例は、青森県と岡山県。

 厚労省は、大阪府のように、病床過剰地域で「病床の必要量」が将来においても既存病床数を大きく上回ると見込まれる場合、(1)高齢化の進展等に伴う医療需要の増加を毎年評価するなど、基準病床数を確認、(2)医療法30条の4第7項の基準病床数算定時の特例措置で対応(急激な人口増加が見込まれる場合などは、病床過剰地域であっても、増床が可能)――で対応する方針を提示。

 中川氏は、大阪府の2025年の人口が2010年との比較で5%減にとどまるのに対し、75歳以上人口が180%増えるデータを踏まえ、「大阪のような地域をどうするかが、今日の最大の論点。増床することもできず、このままで行けば2025年には悲惨なことになる」「基準病床数は、(既存病床数が)病床の必要量に収斂していくことを妨げない数字と解釈すべき」などと指摘、厚労省の対応案を支持した。ただし、地域医療に混乱を来さないためにも、基準病床数を毎年確認することが必要だとした。医療計画終了間際になり、「病床過剰地域」から「病床不足地域」に転換しても、すぐに医療現場が対応できない恐れがあるからだ。

 奈良県立医科大学医学教授の今村知明氏も、大阪府の隣県の立場から、「長い目で見れば、医療ニーズは減っていくかもしれないが、都市部では病床が不足するので、増やせる環境を作るべき。大阪府の患者の1割でも奈良県に来たら、奈良の医療は崩壊しかねない。都市部がしっかりしないと、周囲の県が大変になる」とコメントした。

 その一方で、健康保険組合連合会理事の本多伸行氏からは、「2025年を過ぎると、いずれは都市部でも人口は減少していくことを考えると、増床については慎重に対応していくべきではないか」との声も上がった。「近隣の都道府県との連携でカバーできるのかをまずは検討してもらうことが必要」(本多氏)。

 「既存病床数が最も多い」地域への対応、意見相違

 前述の(3)のパターンで、既存病床数が最も多い場合については、やや意見が分かれた。中川氏は、都道府県の地域医療構想調整会議での話し合い、各医療機関の自主的な取り組みを通じて、既存病床数が「病床の必要量」に自然と収斂していくと指摘。AやBの地域と同様に、基準病床数を毎年確認することには慎重な対応が必要だとした。過剰病床数が毎年明示されることにより、「都道府県が変な削減圧力をかけることは目に見えている」(中川氏)からだ。

 一方、本多氏は、「既存病床数が多いのであれば、地域医療構想調整会議での合意の形成が必要。もっとも、調整も難航が予想されるので、都道府県知事の権限も踏まえて取り組むことが、住民や医療機関にとって、結果的にいいことではないか」と述べ、一定の強制力を持って病床削減に取り組む必要性を示唆した。
(略)

記事の中では都道府県単位での病床数の過剰や不足を元に議論されていて、もちろん都道府県単位で策定される計画なのですから当然ではあるのですが、実際には都道府県内でも病床過剰地域もあれば不足地域もあるのは当然ですし、多くの場合周辺地域から患者が流入する大病院を多く抱えた都市部で不足感があるのは目に見えていますよね。
その都市部においても全病院が均等に不足していると言うのでもなく、東京や大阪のような大都市においても空床が目立ち、病院長理事長が自ら地域の消防救急を回って「どうか救急搬送は当病院に」と頭を下げて回らないとならない病院もあるのですから、本当のところはこうした需要のない病院の病床を削減していくのが先決であるとも言えるでしょう。
逆に言えば急ぎ増床したいのは今現在多くの患者から需要がある、流行っている病院と言うことになりますが、当然こうした病院をさらに増床すれば同一地域内の流行っていない病院はますます経営が苦しくなり、結果として地域内での医療機関の整理や統廃合が進むと言う副次的な効果も期待出来る可能性があります。

しかし流行っている病院は基本的に多忙な急性期の医療機関で忙しい施設でしょうから、増床した分は医師らスタッフ増員がなければ奴隷労働を強いられた挙げ句集団での逃散から破綻と言うおきまりのコースを辿る可能性もあるわけで、ただでさえ人員数に比べて病床数過剰と言われる日本の医療現場で病床だけ増やす議論を先行させるのもどうなのかですよね。
理想的なことを言えば先日紹介した地域量連携推進法人のような形で、医療機関相互に病床から人員までも融通し合って自主的に需給バランスの平衡を図ると言うやり方が出来ればいいのでしょうが、経営母体も違えばスタッフの待遇も違う医療機関同士で病床はともかく人材流動化を図るとなれば、現場で様々なトラブルも発生しそうなのは目に見えています。
今回の議論は地域医療構想を定める自治体側の論理に基づいたものであって、記事にもあるように今後自治体が強制力を発揮してこの辺りの医療リソースの地域内再配分を推し進めると言うことになれば自治体が憎まれ役となってかえってうまく話が進むのかも知れませんが、問題は国と違ってろくな医療専門家のいない自治体レベルで正しいリソース再配分の構図が描けるものなのかどうかだと思いますね。

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コメント

いらないベッド先に削ったら?
空きベッドあるからって無意味に入院させようとするヤブ医者多すぎ

投稿: | 2016年9月 5日 (月) 10時27分

あんたが入院しなけりゃよろしい。あんたは藪の世話にならずに済む。
(モンスターがこなくて助かる。)

投稿: | 2016年9月 5日 (月) 10時49分

今現在戦争をしていないから自衛隊はいらないとはならないのと同じで、この種のリソースは緊急時に備えて一定の余力をもって維持する必要はあると思います。
ただどの程度の余力を置くべきかは議論のあるところで、過剰病床を維持した上で無意味な入院をさせずともいいように報酬体系を工夫するか、それとも不足状態を維持することで需要そのものをコントロールするかですね。

投稿: 管理人nobu | 2016年9月 5日 (月) 12時33分

これの頭にくるのは、需要予測で2025以降も患者増が見込めるのに「現状の医療提供能力(=ほぼ医師数)」をなぜか係数に入っており、医師が少ないが患者像予測のあるうちの地域はベット減少勧告が来ている。
で、調べると、需要急減が見込めるのに医師がいる地域ではそれほどベット数の削減数が多くない
大体大物政治家のいるところや、成長産業が少ない地域がそうだ。
ほぼ公共事業状態である
どっかの政治家がいっていたねえ~我が地域に移住してくれ…
そこ医師多いんだよね

投稿: 非医師 | 2016年9月 5日 (月) 19時17分

インフラが整備された土地に住んでくれりゃ安上がりだもんな

投稿: | 2016年9月 6日 (火) 00時07分

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