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2016年9月13日 (火)

2025年に予想される「WORLD WAR D」

人それぞれに解釈のしようはあるのでしょうが、先日こうした判決が出たと報じられていました。

徘徊し女性死亡 通所先施設に賠償命令 福岡地裁(2016年9月9日毎日新聞)

 徘徊(はいかい)癖があった認知症の女性(当時76歳)が通所先のデイサービスセンターから抜け出し、そのまま死亡したのは施設側の責任として、女性の夫ら遺族3人が施設を運営する社会福祉法人「新宮偕同(かいどう)園」(福岡県新宮町)を相手取って計約2964万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁(平田直人裁判長)は9日、施設側の過失を認めて計約2870万円の支払いを命じた

何とも不幸な事故で関係者の誰に取ってもお気の毒と言うしかないのですが、認知症高齢者は例え入所していないデイサービス通所者であってもこうした徘徊リスクがあり、時としてそれが巨大な責任問題として降りかかってくるものであると言うことを知る上で、医療介護関係者にとっても大きな教訓となった事例ではないかと思いますね。
民事訴訟とはあくまでも金銭的損害に対する賠償額の多寡を決める場所ですから金銭的な面に絞って考察しますと、76歳の現代日本女性の平均余命はおよそ15年だと言いますから、この女性が毎月15万円強の年金を受け取っていたとすればちょうど2800万円相当を稼ぎ出していた計算になりますが、ちなみに女性の年金受給月額15万円以上と言う方々の割合は全体のおよそ9%ほどなのだそうです。
金銭的な面はともかくとしても、国が高齢者を自宅に帰し地域で見守りましょう云々と言っている以上こうしたケースは増えこそすれ減ることは考えにくいですし、先頃遺族の逆転勝訴が確定した愛知県でのJR絡みの事故のように社会の中では誰が責任を取るのかと言う話にもなりかねませんが、そうした未来絵図をますます暗いものにしかねないこんな記事が出ていました。

2025年に認知症パンデミック 700万人の高齢者が徘徊か(2016年9月7日NEWSポストセブン)

 団塊世代が全員75歳以上になる2025年には、病院、介護施設、医師、火葬場など、すべての供給が追いつかなくなる。かつてない「多死社会」が到来、国は在宅介護などを進め自宅で最後を迎えられるようにしようとしている
 専門施設で手厚くケアされることを理想と考える人もいるかもしれないが、自宅で死ねればそれだけでも御の字なのかもしれない。国際医療福祉大学大学院教授で医師の武藤正樹氏はこう語る。
「我々医師が死亡診断書を書くとき、亡くなった場所を記入しなければなりません。病院や介護施設、自宅以外で亡くなった場合は『その他』に分類されます。マニュアルを見ますと、その他とは『山、川、路上』となっている。
 徘徊中に事故に遭ったり、川に落ちたり、路上で転んだりといったケースです。そうした『その他』で亡くなる老人も増えていくとみられています」
(略)
 交通事故や災害、自殺などで亡くなった場合や、自宅で医師の立ち会いがなく死亡し、死因が特定できない場合などは「異状死」として警察に届け出なければならない。
「700万人といわれる団塊世代の多くは関東、中部、関西の都市圏に住んでいます。つまり2025年に起きる、介護士、看護師不足などの介護資源の枯渇は大都市でより顕著に起きます。ケアが行き届かないために、都市部での『異状死』が特に多くなると考えられます。都会に住み続けたい人は『異状死』を覚悟しなければならないのです」(前出・武藤氏)
 そうした中で、家以外の死に場所となり得るのはどこか。介護サービス情報などを掲載する『月刊 あいらいふ』編集長の佐藤恒伯氏はこういう。
「国は各種病床を減らそうとしていますが、手をつけていないのが精神科の病床です。2014年のOECD(経済協力開発機構)の調査で、日本はその他の加盟国の4倍近くの精神病床数でした。約34万の病床があって、32万人が入院しています。
 入院の必要性が低くても、行く場所がないからとどまっている人も多い。その中でも増えているのが、認知症が悪化して自傷や他傷行為などが出てきたという人たちで、精神病院の中の認知症病棟に入院し、長くとどまっている。その他の病床・施設が減らされる中で、2025年には認知症が悪化し、行き場は精神病院しかないというケースが増えてくる」
 2015年1月、厚生労働省は2025年の認知症患者数が現在の1.5倍、700万人を超えるとの推計を発表した。
「700万人が行き場を失い、都市を徘徊する。私はこれを認知症パンデミックといっています」(前出・武藤氏)

国が老人を自宅に帰して金のかかる病床を削減したい腹であれば当然ながらこうしたことは予想された事態ですが、数百万レベルの認知症患者を全て家族やご近所が24時間365日見守ると言うことはいささか非現実的であり、そうである以上全国どこかで日常的に徘徊老人に絡んだ事故が多発する理屈です。
それでも電車に轢かれて亡くなるなどと言った事故は言葉は悪いですがまだしも害が少ない方なのかも知れずで、すでに各地でたびたび起こっているような高速道路逆走などが日常的に頻発したり、各地の道路で当たり前のように飛び出し事故が発生したりする事態にでもなれば、それに伴う二次災害、三次災害の発生するリスクも高くなってくるはずですよね。
そうであるからと言って認知症高齢者を全員精神病院なり閉鎖された介護施設なりに閉じ込めておけでは進歩的な方々のお叱りを受けること必至ですから、こうなりますとあらかじめ事故や事件が頻発する事態に備えて、認知症高齢者など自己責任能力のない方々の引き起こした事態における免責条件なりを考えておいた方がよいのかも知れませんね。

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コメント

パーキンソンっぽい高齢者も転びそうでハラハラします。
車乗る人だったら加害者にもなりそう。

投稿: ぽん太 | 2016年9月13日 (火) 08時33分

認知機能に障害があることで事故になった場合、自動車運転過失致死傷罪や危険運転致死傷罪には問われなかったかと思うのですが、いずれそうした議論も起こるのかも知れませんね。

投稿: 管理人nobu | 2016年9月13日 (火) 12時28分

『山、川、路上』で死んだヒトには死亡診断書では無く、死体検案書を書くことがほとんどではないでしょうか。

投稿: 嫌われくん | 2016年9月13日 (火) 15時58分

>ぽん太先生
 たぶん時間の問題。もちろん自賠責義務化で。 
 自動運転車限定免許(マニュアルモードへの移行禁止)
 外出歩行者免許(条件 パワード歩行アシスト付プロテクタ等)

 ただ、パーキンソンも痴呆を経て死に至る病だということが あまり世間に認知されていないように思うのはわたしだけ? 今後増えてきますよ、レビ小体といわず加齢によるパーキンソン。
  

投稿: | 2016年9月13日 (火) 15時58分

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