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2016年8月 9日 (火)

経済的貧困であっても高等教育への道があると言えばいい話なんですが

すでに歯学部や法科大学院など、かつて知的エリートとされてきた最高学府においても学生の定員割れが起こる時代ですが、医学の世界においても先日こんな記事が出ていました。

貧困につけ込み自衛官募集 米国流の「経済的徴兵制」(2016年7月23日人民の星)

 貧困に苦しむ若者を自衛隊にひきこむ動きが強まっている。三月末の安保法(戦争法)施行により、アメリカ主導の戦争の肉弾として、安倍政府が日本の青年を動員する枠組みをつくろうとしている。
 防衛医科大学校はさいきん「苦学生求む!」という学校案内のビラをつくった。「医師、看護師になりたいけどおカネはない!……こんな人を捜しています」というビラを、川崎市内の高校生らに自衛隊の募集案内とともにおくりつけた。
 防衛医大は、幹部自衛官を養成する防衛大学校同様、入学後は公務員扱いとなり、学費は無料で給与もでる。そのかわり、卒業後九年間は自衛隊に入隊する義務を課せられ、その間に途中退職すれば期間に応じて学費返還をせまられる。その額は、最高で四六〇〇万円にものぼる。
(略)
 いまどきの大学は学費などふくめて自己負担がきわめて重い。将来の就職を考えて進学しようとする青年たちは奨学金に頼らざるをえない。三四歳以下の五三%の青年が奨学金を利用し、その借入額は平均三一二万九〇〇〇円、返還期間は平均一四・一年にのぼるという調査結果もある。一四年度には、三カ月以上返済を滞納してブラックリストに入れられたケースが一万七〇〇〇件以上あった。
 そこまでして進学しても、まともな就職ができる保証もなく、奨学金の返済に苦しむ青年も多い。そうした若者たちを自衛隊へとひきこむのである。

学生対象に予備役将校課程
 防衛省の「国防を担う優秀な人材を確保するための検討委員会」は一三年六月付けの内部文書で、「学生時代からの入隊希望者の取り込みをはかるため、あらたな募集種目をもうけ、日本版のROTC(予備役将校訓練課程)設立を検討する」と明記した。
 ROTCは米軍が大学向けに設置した幹部養成制度で、受講生に学費や生活費を支給するかわりに軍事訓練への参加や軍事講義受講を義務づけ、卒業後は一定期間の軍勤務を義務づけている。受講生の大半は貧困層だ。
 防衛省はまた「自衛隊貸費学生」制度を強化することも検討している。貸費学生は理系の大学生や大学院生を対象に月五万四〇〇〇円を同省が貸しつけ、卒業後に一定期間、自衛官として勤務すれば返還を免除するという制度である。安倍政府は、一五年度予算に同制度採用枠を拡大する予算を計上している。
(略)

この募集広告もすでに一年前の段階で一部で話題になっていたと言いますから防衛医大も募集が大変なのか?と思うのですが、もともと大学生の半数が奨学金と言う名の学生ローン漬けにされ返済に四苦八苦していると言う時代に、経済的な優位性を学生募集のポイントに挙げることはごく当たり前の考え方なのだろうとは思いますけれどもね。
ちなみに他業界のことはいざ知らず、医療の世界ではお金で進路を縛ることは昔から当たり前に行われてきたことで、しかも国民多数の支持を得て現在進行形で絶讚拡大中であるのですから防衛医大だけ問題視するのも筋違いだろうと思うのですが、興味深いことに進歩的な革新政党の方々は「地域枠・奨学金などで地域への定着をはかるようにします」などと、学生の将来を金で縛り付けることに熱心でもあります。
「医師、看護師になりたいけどおカネはない!……こんな人を捜しています」とは何とも即物的と言う感じがしますが、自治体が共同でお金を出し合ってやっている自治医大なども同様に9年間の御礼奉公を義務づけているわけで、今後こうしたルートが単に特定地域の医師確保と言う目的だけではなく貧困層の進学路としても今まで以上に注目されていく可能性はありそうですね。

バブル崩壊から20年以上も経った近年では親世代のワープア化が問題化してきていて、学生ローン利用率の高さなどもそうですが仕送りが出来ない家庭では長時間のアルバイトを強いられ、その結果本来の学業にも悪影響が出てくると言うことで、生まれ育った家庭環境の格差がその後の人生に大きな影響を及ぼすと言う人もいるようです。
ただ一億総中流と言われ、大学進学に際して少なくとも金銭的な問題は今ほど多くはなかった二昔ほど前の時代であっても、生まれ育った家庭環境によってその後の人生に大きな差が出るのはむしろ当然のように捉えられていて、その理由として金銭的な余裕以外にも一流大学の学生は親も一流大学卒業生が多いと言ったことも影響している可能性は少なからずありそうです。
この辺りは人間の資質を決めるのは遺伝なのか環境なのかと言う古くからの議論にも関わってくるところですが、そもそも奨学金と言うのは優秀な資質を持ちながら経済的理由で進学を断念せざるを得ない方々の救済措置であり、やっとFラン大学に入れるかどうかの学生が借金を背負って進学するくらいならさっさと就職して稼いだ方がいいと言う意見も根強くあるのもまんざら理由がないことでもないのでしょうね。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

貧乏でも資格も学位も取れて給料までくれるのにひどい言われようw

投稿: | 2016年8月 9日 (火) 08時00分

↑貧乏に出口なしの状況を作りこんでおいて、どの口が言うことやらw

投稿: | 2016年8月 9日 (火) 09時07分

みんな貧乏が悪いんや!

投稿: | 2016年8月 9日 (火) 09時12分

そもそも古今東西 貧乏の出口ってなものは
早々簡単に辿り着けるものじゃないでしょうに。
それを「大学さえ出れば」「資格さえ取っておけば」簡単だと
旨い話には裏が有るって言葉すら知らないような
智慧もなければ、情報を集める為の努力もしない人達が
貧困ビジネスに引っ掛って借金まみれになってるだけの事でしょ?

投稿: | 2016年8月 9日 (火) 09時34分

そうした貧困脱出のための情報収集の点で、ほぼ全国民がネットやテレビ新聞を利用できる日本人は恵まれた環境だと思います。
時折生保受給者が高い携帯代を払っていることに批判的な意見もありますが、衣食の次ぐらいには携帯の維持は重要なことだと思うのですけれどもね。

投稿: 管理人nobu | 2016年8月 9日 (火) 10時53分

医師免許さえとれれば、自治医大の年季奉公から足抜けするために必要なお金を銀行などから借りることが出来そうですけれど、どうなのでしょうか?

投稿: クマ | 2016年8月 9日 (火) 13時10分

DV等で暴力支配を受けている人は、そこから逃げ出すって発想自体がなくなるそうですが、
自治医大の学生さん達も強烈な洗脳を受けているとすれば同様に。。。
これは「奴隷乙」と言って済む問題ではなくって
苫米地先生のお出ましを願わないと解決できないタイプの事案かもしれませんね。

投稿: | 2016年8月 9日 (火) 15時39分

安月給の研修医だったころは同期の自治医卒正職員待遇の高給取りなのがうらやましかった…

投稿: | 2016年8月 9日 (火) 16時39分

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