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2016年8月18日 (木)

地域医療構想、各地で策定が進む

都道府県が主体となって圏内の医療機関の再編を行っていく地域医療構想について、国は今年半ば頃までの策定が望ましいと言っていることからすでに各地で計画が具体化していなければならないはずですが、実際に全国各地の自治体から独自の医療構想が出てきているようです。
地域毎の計画内容にどのような差異があるものなのか、その結果今後地域の医療体制がどのように変わり住民の健康にどんな影響を及ぼすのかと言ったことも経過を見ていくべきところですが、先日こんな記事が出ていたことを紹介してみましょう。

地方の病院を壊滅から救う“特効薬”(2016年8月3日日経メディカル)

 目まぐるしく変化し、複雑化する医療・介護制度。全国の医療機関の経営者は今、地域医療構想や地域包括ケアシステムへの対応に頭を悩ませていることだろう。しかし、制度よりももっと深刻な現実が、既に各地を襲い始めている。人口減少だ。人口減少はそのまま、医療マーケットの縮小(患者減少)を意味する。地方では、「患者減少→収益減→医師・看護師確保難」という負のスパイラルに陥り、病院が病院として成立し得ない状況も生じ始めている。

 地域医療構想は、まさにそうした状況に備えるための制度と言うことができる。策定に向けては、構想区域内において、個々の病院の病床の医療機能の分担をしなければならないが、その調整はどこも難航しているようだ。構想区域ごとに設けられる、いわゆる協議の場(地域医療構想調整会議)で話し合いによって行うのが基本だ。しかし、実際問題として、話し合いで決めるのはなかなか難しい。1つには急性期機能を手放したくないと考える病院がまだまだ多いことが挙げられる。一方、その在り方が根本的に見直される予定の療養病床は、見直し次第では「病院でなくなる」可能性があることも経営者たちの決断を迷わせる。

共倒れしないで生き残るためには
 そんな中、「地域医療構想を達成するための1つの選択肢」という触れ込みで、新しい制度が来年4月にスタートする。「地域医療連携推進法人」だ。聞き慣れない制度だが、「人口減や患者減にあえぐ地方で、医療機関が共倒れせず生き残るための最終手段」と語る病院経営者もいる。

 地域医療連携推進法人は、経営母体が違う医療機関や介護施設が、機能分化や連携を一体的に推進するための新しい仕組みだ。参加法人の間で診療科・病床の再編、医師の配置換え、医療機器共同利用、医薬品等共同購入などを一体的に進めると同時に、病床の融通もできるようにする。
(略)
 地域医療構想区域内の法人が参加することが基本で、構想区域や都道府県を基本的にはまたがないとしている。主な業務内容は、「統一的な医療連携推進方針の決定」「医療連携推進業務等の実施」「参加法人の統括」だ。「統一的な医療連携推進方針」とは、複数の医療機関で、診療内容や病床機能、在宅復帰への流れなどについて統一した方針を定めるということだ。

 「医療連携推進業務」は、診療科・病床の再編、医師等の共同研修、医師の配置換え、医療機器共同利用、医薬品等共同購入、社員間での資金貸与、関連事業者への出資等が想定されている。

 病床については、「都道府県知事は、病院等の機能の分担・業務に必要と認めるときは、地域医療構想の推進に必要である病院間の病床の融通を許可することができる」として、病床過剰の圏域であっても、病院間での移転が可能となる。
(略)
 従来の“連携”よりも強く、“合併”よりも緩い制度、それが地域医療連携推進法人ということができるだろう。人口減少、患者減少、医師・看護師不足にあえぐ地方では、個々の病院が単独で存続できる余地は急速に狭まっている。診療科の再編や、病床の機能分担を、経営母体の異なる病院・診療所が、自発的かつ一体的に取り組んで行くには、有効なツールになるはずだ。

地域医療構想によって病院機能毎の病床再配分が行われる可能性がありますが、地域内でバランス良く医療機関の機能分担が図られるならいいのですが、恐らくほとんどの地域では何かしら病床数の不均衡や不足と言った不具合が出てくるはずで、そこを行政が強制的に再編することで回っていたはずの地域医療がかえってバランスを崩してしまうと言うことはありそうなことです。
この病床数と言うものはご存知の通り法律で地域内での総数が幾らと定められていて、多くの地域で上限にまで達していることから病床を幾ら持っているかが言わば医療機関の既得権益化していて、今現在及び将来の各施設へのニーズや医療サービス提供能力と合っていないと言うことがままあるわけです。
こうした場合ひとたび病床を手放してしまえば再度増やすことは難しい以上、各医療機関は現在持っている病床を何とか維持しようと無理をしている可能性もありますが、医療機関の間で病床がもっと簡単に融通出来れば将来的な需給動向の変化にももっと柔軟に対応出来ると言うことになりますよね。

この地域医療連携推進法人なるもの、少なくとも医療法人が二つ含まれていれば介護なども加わることが出来るのだそうで、判りやすい例として地域内の急性期から慢性期、介護までの医療コンプレックスが形成できれば医療提供体制が一元化され、理屈の上では効率的な医療が行えるようになると言うことです。
ただ問題なのは融通出来るのが病床だけではなく診療科や医師の配置、医療機器の利用など多岐にわたると言うことで、同じグループ内で医療を行っているのに一方は連日夜遅くまで汗だくになって働いている、他方では昼間からどうやって時間を潰そうかと暇そうにしているとなれば、もうちょっとちょっと人員の融通でもしてくれないと困ると言う話にもなりそうですよね。
業務の多忙さや労働量だけではなく給料の面でも施設間の格差は大きいもので、しかも暇な慢性期の方が給料が高いとなれば急性期の側のスタッフも心穏やかではいられないでしょうが、ただこうした待遇面での違いが個性の幅が大きい医師の有効活用にも一定程度役立っていることを考えると、必ずしも平均化するのがいいのかどうかと言う懸念もあるでしょう。
いずれにしても都道府県毎に異なった医療構想の下に医療を整備しておくと言うことは、全国各地の医療のあり方にそれだけバリエーションが生じると言うことでもありますから、場合によっては都道府県間での人材移動に関しても今までよりも激しい動きが生じてくる可能性もありそうですね。

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コメント

http://answers.ten-navi.com/pharmanews/6642/
岡大病院主導は勘弁してほしい。
新専門医制度がらみでお上のガバナンス強化の意図が透け見え

>場合によっては都道府県間での人材移動に関しても今までよりも激しい動きが生じてくる可能性も
歓迎。

投稿: | 2016年8月18日 (木) 09時56分

岡山市内でのケースは中心街の急性期大病院同士による連携で、機能の異なる地方中小病院の連携とはいささか方向性が異なるように思いますが、制度の応用としてこういうやり方もあると言うことですね。

投稿: 管理人nobu | 2016年8月18日 (木) 10時28分

合法カルテルという理解良いのでしょうか?
競争なしで良いものが生まれるとは思えませんが。

投稿: 麻酔フリーター | 2016年8月19日 (金) 10時15分

これだけ全部が手を組んだら市内は完全独占でしょう
独占して何をやらかすつもりか知らないですが

投稿: | 2016年8月19日 (金) 11時32分

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