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2016年8月 8日 (月)

人工知能が人間に正しい診断と治療を教える時代に

すでに一般紙面でも報じられご存知の方も多いかと思いますが、先日こんなニュースが出ていました。

人工知能ががん治療法助言 国内初か 白血病10分で見抜く(2016年8月5日産経新聞)

 膨大な医学論文を学習した人工知能(AI)が、60代の女性患者の白血病が治療などが難しい特殊なタイプだと10分で見抜き、適切な治療法の助言で回復に貢献していたことが4日、分かった。治療した東京大医科学研究所は「医療へのAI応用に大きな手応えを感じた」としている。
 同研究所が使ったのは、米国のクイズ番組で人間のチャンピオンを破った米IBMのAI「ワトソン」。同研究所はAIが患者の救命に役立ったケースは日本初ではないかとしている。
 治療に関わった東條有伸教授は「AIが医療分野への応用に非常に大きな可能性を持っていることが実感できた。将来は診断や治療の方針づくりに役立つだろう」と話す。
 膨大なデータの学習で的確な判断を行うAIは、多様な分野で応用が模索されているが、今後は医療への応用が本格化しそうだ。

 女性患者は昨年、血液がんの一種である「急性骨髄性白血病」と診断され同研究所に入院。当初の半年間は2種類の抗がん剤で治療したが回復が遅く、敗血症などの恐れも出てきた。
 東大は、昨年からIBMと共同で、がんに関連する約2千万件の論文をワトソンに学習させ、診療に役立てる臨床研究を行っていた。
 そこで、女性患者のがんに関係する遺伝子情報をワトソンに入力したところ、急性骨髄性白血病のうち、診断や治療が難しい「二次性白血病」という特殊なタイプだとの分析結果がわずか10分で出た
 ワトソンは治療法の変更を提案し、臨床チームが別の抗がん剤を採用。その結果、女性は数カ月で回復して退院し、現在は通院治療を続けているという。

この種のデータを整理して分類する作業はコンピュータの得意とするところなのでしょうが、すでに一部大学でも患者の訴えや症状から適切な検査や鑑別診断などまで挙げられるような診療補助AIが使用されているところですし、後はどれだけ臨床現場がそれを受け入れるかですね。
以前にアメリカで麻酔ロボットが医師らから反対続出でさっぱり売れず、メーカーは大幅なリストラを余儀なくされたと言うニュースが流れていましたが、ナースプラクティショナー導入議論の際にも言われたような結局誰が責任を取るのか?と言う論点が整理されておらず、いざ何かしらトラブルがあったとしてもすぐ動ける人間がいるなら最初から人間が対応していればいいじゃないかと言う声が多かったようです。
責任論に関しては組織として取ることになるのだろうと思いますが、患者目線で考えても病院が責任を取りますと言われても何となく実態がないように感じられるでしょうから、目で見える形で人間が表に出てくると言うのは未だしばらくは必要なのだろうし、むしろその点で病院外でのセルフメディケーションの方から導入が進んでいく可能性もありそうに思いますね。

先日トップ棋士を破ったAlphaGoが囲碁ランキングで人工知能初の世界一になったと報じられていましたが、高い技能と専門知識を必要とする領域ですらAIの進出が進んできていて、養育費6億円とも言う米軍パイロットが学生の作ったわずか35ドルの基盤上で動作するAIに模擬空戦で圧倒され、もはや人間では並ぶことができないと述懐したとも報じられていました。
ロボット掃除機や自動運転技術などすでに市販化されているものも数多くあり、人間の性質として身近にこうしたものがあふれてくれば急速に拒否感も薄らいでくるのだろうと思いますが、生理的な反発が抜けてもそれによって仕事を奪われる側にとっては必ずしも面白くない話であることは、かつて産業用ロボットの導入期にも広く見られた現象ですよね。
今まで高い教育水準によって専門的技能を維持し、将来安泰な仕事であるように思われていた領域でも人間を上回るAIが続々と登場していることが今後どれほどの影響を与えてくるものなのかですが、すでにAIによる取引が広まりつつある株取引の世界では時に予想外の値動きが見られた際にAIの関与が疑われる場合もあるそうで、人間がどこまでコントロール出来るものなのかと言う課題は残るのだろうと思います。

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コメント

>女性患者のがんに関係する遺伝子情報をワトソンに入力したところ
ワトソン君が、この情報を教えろ、と要求したのならシャッポを脱ぎます。

投稿: JSJ | 2016年8月 8日 (月) 07時49分

医学向けだけにホームズじゃなくワトソンなんですね。
ところで自動で最適な保険病名を入れてくれるAIは電カルに実装すべきかと。

投稿: ぽん太 | 2016年8月 8日 (月) 08時46分

ざっと考えただけでも便利そうな使い方はいくらでも思いつくのですが、オーダリングとの連携が出来ないと全部手入力になってしまうのでしょうね。
ネット上で医学情報を収集する時代ですから、どこかのサイトでこういう人工知能を公開しているところもすでにありそうな気がします。

投稿: 管理人nobu | 2016年8月 8日 (月) 13時00分

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