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2016年8月15日 (月)

NIH指針公表で動物による臓器生産の時代へ?

先日こんなニュースが出ていたのですが、意外に国内では大きな話題になっていない気がします。

動物の受精卵操作して人間の臓器作製、米が研究容認へ(2016年8月10日読売新聞)

【シカゴ=三井誠】米国立衛生研究所(NIH)は4日、動物の受精卵を操作して動物の体内で人間の臓器を作製する研究を認める指針案を発表した。

 NIHは昨年9月、こうした研究への助成を一時的に停止し、倫理問題などの検討を進めてきた。来月4日まで一般から意見を募ったうえで、最終決定する。

 動物の受精卵に人間の細胞を入れて、動物の体内で人間の臓器や組織を作る研究は将来、移植用臓器の確保や作製した臓器を使った毒性試験などに役立つと期待されている。

 指針案では、NIHに内部委員会を設けて研究の妥当性を審査し、助成を行うかどうかを決めるとしている。

 一方、動物内で人間の精子や卵子を作り出すことや、人間に近い霊長類の受精卵に人間の細胞を入れることは禁止した。

記事にもあるように技術的進歩に対してルール作りが追いつかないと言う状況であったため、昨年にはひとまず研究助成を打ち切り議論を進めてきたものですが、このたび公式に指針が出たと言うことで今後はこれに基づいた研究が求められると言うことですね。
アメリカの一研究所が何を言っても知ったことかと言うわけにもいかないのは、NIHと言う組織は単なるアメリカの一研究所に留まらず、言ってみれば科学研究のあり方を規定しているほどの権威ある組織で、100年以上の歴史を持ち年間予算が300億ドル、6000人以上の科学者が所属し歴代ノーベル賞受賞者だけでも100人以上と言えばその壮大な規模がうかがわれるかと思います。
要するにNIHがルールをこう決めたと言えばそれに明らかに反するやり方での研究は難しいし、仮に独自の研究を行い何かしら結果を出したとしても一般的な学術の世界で受け入れられるところとならない可能性が高いと言うことですが、それでも世界的に見ればルールを逸脱しても独自の道を進みたい科学者もいれば、そうした科学者を受け入れる国もあることは言うまでもありません。

研究と言うものに関しては新たな素粒子が見つかったとか時折ニュースにはなりますけれども、我々の日常生活にそれがどう影響してくるのか?と思うような話ももちろんありますが、一方でこの種の生命医科学領域の場合はむしろ実社会からの需要と期待が非常に大きいと言うことがあって、言ってみればその成果に対してお金を出すと言う方々には不自由しないとも言えるわけです。
特に直接的な影響として臓器移植のドナー探しに大騒ぎする必要がなくなるのではないかと言う期待が非常に大きいのですが、海外渡航移植で一億円も二億円もお金がかかる現状を考えると少々の割高なコストもカバー出来るのでしょうし、病気でなくともお金持ちのご老人が若い臓器への取り替えのために大金を出すと言ったケースも十二分に想像できますよね。
他方では常に問題になるのが生命倫理との関わり合いですが、こと日本に関して言えばロボットやサイボーグと言ったものに対して例外的に肯定的なイメージを持っている国であることが知られる一方で、脳死移植などに対しては未だに拒否感が強いと言う少し特殊な感覚を持った国民性でもあって、案外こうした人工的な臓器の方が受け入れられやすい土壌はあるのかも知れません。
もちろんこうした技術をいち早く実用化すればそれだけ大きな経済的利益もあることですし、様々な臨床的な応用も期待されることから医療経済学的な主導権争いと言う点からも大いに注目されるところですが、ひとたび実用化され臨床応用され始めれば歯止めの利かない需要拡大も見込めるだけに、今後も繰り返し何度も指針の見直しが必要になるのではないかと言う気がします。

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