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2016年7月 5日 (火)

日医、権力拡大の野望を隠さず

日本医師会(日医)と言う組織は時々面白いことを言い出す癖があるようですが、先日はさすがにちょっと笑えないと言うこんなことを言い出したそうです。

「保険医は医師会員であるという方向に」、日医組織強化策(2016年6月29日医療維新)

 6月26日の第138回日本医師会臨時代議員会で、横倉義武会長は日医の組織強化のため「保険診療をするには医師会員であるという方向性に持っていきたい」とし、保険医講習会に医師会研修に充てていくよう厚生労働省と議論を進めていると説明した。

 石川県代議員の上田博氏は、医師会のさらなる組織強化の方策について質問。2014年度は医師数31万1205人に対し、日医会員数は16万6121人で、組織率は53.4%、勤務医では38.6%(2012年)に留まると指摘した。2010年度以降、日医のA1会員(病院・診療所の開設者、管理者及びそれに準ずる会員、年会費12万6000円)は年間8000人超が「卒業する」状況にあり、「近い将来、日医の組織率は過半数を割り込み、医師を代表する唯一無二の団体とは言い難い危機的状況すら危慎される」との危機感を示した。

 横倉会長は「地域医療を支えるために組織力強化が不可欠であるとの思いから、会務運営の強化を柱に掲げてきた」と説明し、研修医の会費無料化などの取り組みを紹介。また、入退会や異動の際の手続きの簡便化のため、都道府県医師会との相互利用、電子認証センターとの更なる連携に向けて会員情報システムの再構築を進めていると説明した。

 一方で、郡市区等医師会の会員のうち、約2万7000人が日医には未入会であったり、郡市区医師会でも退会者数が新規加入者数を上回っていたりする状況があるという現状を踏まえ、「本来的には全ての郡市区医師会員は都道府県、日医の会員でなければならない。日医まで加入をしてもらうことが組織強化の一歩になると考える」と述べた。

 会場からは「この問題は何回も同じように出てくる。問題の一つは医師会のアイデンティティがはっきりしないこと。地区によっては勤務医が入りにくい雰囲気を作っている。(そういった雰囲気を)やめさせるのか、実際に移す行動を示してほしい」との指摘が出た。横倉会長は「医師会は職能団体であるから全ての医師が所属することが望ましい。地域で同じ医療に携わる医師は顔が見える関係作りが大事」と答えた上で、勤務医の受け皿作りの一環として、保険医の資格と医師会の研修を連動させる枠組みを検討していると説明。これは、「保険医療機関は指定更新時(通常6年)に集団指導を受ける規定になっている。医師会が行う研修会も集団指導と見なし、合わせて保険医の指定更新時にも医師会の研修を受けることを要件にできないかなど、厚生労働省と相談したいと考えている」(日医事務局)という意味だ。
(略)

まあ非民主的組織として知られる日医らしい全体主義的妄想と言うのでしょうか、とうとう目を開けたままで寝言をつぶやき始めたかと受け取るしかなさそうな話なのですが、保険医登録を日医の特権として実質的に入会を強制出来るシステムにするならば、彼らの野望もより一歩の実現に近づくと言うことは確かでしょうね。
記事を見ていても地区医師会の会員ですら日医所属を拒否して逃散していっているというくらいですから、彼らの危機感がかなり差し迫ったものであることは理解出来るところなのですが、全国の医師達が何故自由意志の放棄を強要され日医の傘下にはせ参じなければならないのかという理由は一向に見えてきませんし、彼らとしても別段そんなものを提示する必要性を認めてもいないのでしょう。
いずれにしてもこうしたことを言い出す日医という組織には注意深く視線を注いでいかなければなりませんが、このところ各方面で日医の影響力強化を図っているということなのでしょうか、あちらこちらでその権限を強化し現場医師達に何とか強制力を発揮しようという野望が見え隠れしているようです。

医師偏在解消、「規制」でなく医師会主導で(2016年6月28日医療維新)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、6月26日の第138回日医臨時代議員会で、医療制度改革の議論で、「医師の偏在解消のために「規制的」な施策が検討されていることについて、「都道府県知事の強権発動ではなく、プロフェッショナルオートノミーに基づくものでなければならない」などと主張し、医師会の組織力を強化した上で、医師会が主導的に医師の偏在解消に取り組んでいく方針を示した(『「医師不足地域の勤務が院長の要件」、日医』などを参照)。
(略)
 横倉会長は、医師の偏在問題についても説明。地域医療支援センターは、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会の5月末の中間取りまとめで、2015年12月の日医と全国医学部長病院長会議の緊急提言に基づいて、医師のキャリア形成支援の機能が追加されることになった( 『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。「新たな専門医の仕組みにおける(関係者の)協議の場も、都道府県単位であり、都道府県医師会も主体的な役割を担うことが重要」(横倉会長)。

 さらに、医師需給分科会など、さまざまな場で指摘されることの多い「医師偏在解消のための規制」についても、「都道府県知事の強権発動ではなく、プロフェッショナルオートノミーに基づくものでなければならない。そのためにも医師会の組織力を強化した上で、医師会のコントロールの下で実施されることが大前提」と説明した。医師需給分科会は、今年末に最終取りまとめを行う予定であり、医師偏在対策が主要課題になるとし、横倉会長は、「医師会がプロフェッショナルオートノミーを発揮して、医療提供体制の構築と、医師偏在の解消ができるように制度設計をし、日医から提案していく」との方針を示した。

いわゆる医師偏在問題の解消に関しては従来大学医局が一定の役割を果たしてきたことは否定出来ず、かつては白い巨塔などとその存在を揶揄していた方々も含め昨今大学医局の復権を願う声が高まっていることは興味深い現象ですが、この大学医局による人事システムが稼働していた理由としてはいわば医師と医局との間の御恩と奉公という関係が成立していたところにあったと言えます。
要するに田舎病院でしばらく働くかわりに次は良いところで働かせてやるといった関係ですが、そもそも医局人事で動かない先生方が増えた時代にあっては派遣システムが崩壊するのは当然であり、この時代に医師不足を嘆いている施設といえば医師にとって様々な意味で魅力がない施設だとも言えますから、自らの魅力を高める努力もせず医師を強制配置してもらうというのもどうなのかですよね。
一方で現場医師に対して何らの御恩を施していない日医という組織にどれだけの支配力があるのかですが、この日医による強制的医師配置などという妄想を実現するためには現場医師に対する相応の強制力を持たなければ仕方のないことであり、その強制力を担保するどのような方法論が取り得るのかに注視したいところですよね。
先日は新専門医制度の専門医共通講習として、日医の生涯教育が単位認定されることになったと報じられていましたが、日医としてはこの新専門医制度に日医が強い権力を握るという野望を隠しておらず、日医に所属しその講習を受けることを専門医取得の必須条件にすることを画策しているように思えますが、制度に日医がどの程度関わってくるのかが当面の着目点となりそうです。

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コメント

医師会は弁護士会になりたいんですかね。

投稿: | 2016年7月 5日 (火) 11時58分

学問的業績や学閥内での地位を追求する以外にも、こういう方面で上昇志向を追求する方々が存在すること自体は当然あり得ることだと思います。

投稿: 管理人nobu | 2016年7月 5日 (火) 13時08分

 プロフェッショナルオートノミーは 医師が個人として発揮するもので、
医師会や学会が保証してくださるものではない、と思っておりました。

無名氏が弁護士を引き合いに出したので 
 弁護士個人がオートノミーを発揮するために弁護士会加入が必須とされているのは、
ほかの法曹は「お上」の側に居て、国家権力がメンツをかけて身の安全を守るのに対して 弁護士は在野で様々な誘惑や圧力にさらされるから「個人じゃ危ない、つるんでいなさい」ということかと、失礼を承知で妄想しています。
 例の「あんた裁判員やろ、覚えたで」事件であらわになったように、
法曹は自分の(判断)能力の埒外にある「国家権力の発動の結果責任」を強要されている。国家によるパターナリズムの具現。裁判員という素人を動員する制度は、むりをしてるな、と思います。

 医者は、といえば、誤診の責任だって個人でなかなか背負いきれるものじゃありませんが、そこはお金でごめんなさいするしかない。裁判しても民事。それで保険。医師会については「医師会経由だとどれほどお得ですか?」という話。
 日常業務はエビデンスの範囲内で、リスクはインフォームドコンセントで処理済み。病気は患者の治癒力でなおるもの。法曹のような人工的な強制力を行使するのが大前提、の仕事じゃない。身の丈にあった力しかふるってないのですから、個人の能力に任せたオートノミーがたぶん最も効率的に働くと思う。医師会に非加入でも、専門医取ってなくても(会費払ってなくてもw)学会の成果にはお世話になってます、が可能だし。
 
 非医師会員が保険医から外れるなら、(系列)病院ごと「保険医(療機関)返上」で保険外のニッチを探るものが現れる。その時、医療保険のどれほどのメリットが残存しているか、がカギですが、どっちに転んでも ドロッポ先生もいらっしゃれば民医連医者もいるのでなるようになるでしょう。 

投稿: memento mori | 2016年7月 5日 (火) 21時20分

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