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2016年7月19日 (火)

増えた癌患者は社会に帰ってくる道理

人口の高齢化が進めば進むほど増えてくる病気と言うものがありますが、その結果先日はこんな記事が出ていました。

がん患者、初の100万人超=16年予測、死亡は37万人―がんセンター(2016年7月15日時事通信)

 国立がん研究センターは15日、今年新たにがんと診断される患者は101万200人で、死亡する患者は37万4000人に上るとの予測を発表した。
 発症は昨年より約2万8000人増え、初めて100万人を超える見通し。高齢者人口の増加が主な要因で、死亡も約3000人増加する。

 同センターが過去の患者数や推計人口を基に予測した。発症は男性が57万6100人で、女性が43万4100人。部位別では大腸がんが14万7200人と最も多く、胃がんと肺がんが13万人台で続く。前立腺がん、乳がんもそれぞれ9万人を超えるとみられる。
 死亡では肺がんが7万7300人と最多。男性が約7割を占め、喫煙者の割合が多い団塊の世代の高齢化が影響しているとみられる。次いで大腸がん、胃がん、膵臓(すいぞう)がん、肝臓がんが多くなりそうという。

 片野田耕太がん登録センター室長は「がん検診の受診率が上がれば、一次的に患者数は増えるが死亡者は減らせる。積極的に受診してほしい」と話している。 

この癌患者数と言うもの、必ずしも全てが一律に増えているわけではなくものによっては減っているものもあることが知られていて、有名なところではかつて日本の国民的疾患のような扱いだった胃癌は食生活の変化などもあって久しく以前から減少が続いていますし、増加傾向が続いていた他の癌についてもそろそろピークを越えたかと言う印象があります。
肝臓癌などは肝炎治療の進歩で今後長期的には次第に減少が期待される癌の一つと言えますし、婦人科癌なども予防接種などが普及すれば減っていく可能性がありますが、いずれにしても癌とひとくくりに言っても病期の進み具合で全く話は変わってくるのですから、癌検診の普及などで早期発見と早期治療が進めば死亡者数はさらに減らせるかも知れないと言うことですね。
その癌検診の受診率の低さが日本の医療における問題点の一つと指摘されて久しいところですが、先日自らも癌患者であることを告白している都知事選候補者が膏薬の一つとして癌検診受診率向上を挙げるなどしていましたが、それに絡んで世間でもこんな議論が盛んになっているようです。

【都知事選】鳥越氏は激務に耐えられるか?「民進党は無責任」と医師が苦言(2016年7月16日東スポ)

 心意気は買いたいが、本当に大丈夫なのか? 東京都知事選(31日投開票)が14日告示され、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が新宿駅前で第一声を上げた。鳥越氏といえば2005年に直腸がんを患い、肺や肝臓への転移も乗り越えたがんサバイバー。それだけに真夏の選挙戦や当選後に知事の激務に耐えられるかは、最も気になるところだ。本紙が取材した複数の医師からは案の定、心配する本音が上がり、鳥越氏を担ぎ出した民進党に「無責任だ!」と苦言を呈した。
(略)
 05年に直腸がんを患い、その後に肺と肝臓に転移。さらに2年後に肝臓にも転移。これまで4度の手術をしながらも“不死鳥”のごとく、復活を遂げてきた。それは素晴らしいことだが、今回の選挙戦が過酷なのはもちろん、当選すれば激務が待ち受けている。
 永田町関係者は「鳥越さんは行政未経験で、しかも都議会を牛耳る自民・公明両党と対峙し、都政改革を進めていくにはあまりに肉体的・精神的ストレスや負担は大き過ぎる」と指摘する。
 任期は80歳になる20年まで。同年は東京五輪も行われる。「本当に大丈夫か」「酷過ぎる」との声は絶えない。第一声後に報道陣から健康不安を指摘されると「私は今が一番健康です。それは予断、偏見だよ。私は健康です」と語気を強めた。

 がん権威の大学教授は匿名を条件にこう指摘する。「最近分かったことで、自然と消えてしまうがんも存在する。いろんなところに転移しながら克服したケースというのも珍しくはない。動いた方が良かったり、おとなしくしていた方が良かったりと人それぞれ」。一概に不安視はできないという。
 また関東近郊の私立病院院長も「顔色はいいので、今現在は心配はないでしょう。ただ、過去の転移を考えると、普通の人よりリスクは高いのは事実です」と語る。
 民進党は以前にも鳥越氏に出馬を打診したことがあるが、家族の反対で頓挫した経緯もある。

 76歳にして大勝負に出た鳥越氏だけに、専門医も遠慮がちにならざるを得ないが、世田谷井上病院の井上毅一理事長は本気で心配する。
「(出馬と聞いて)本当にがんだったのか?と疑うくらい。心配になったからテレビを見たけど、顔色は悪くない。真夏の選挙を戦うことはできるだろうが、その先は分からない」と不安を語る。
 続けて「がんの転移は将来的にあるのかないのかという予測ができません。予測できる人がいるなら逆立ちしますよ。ましてや、肺や肝臓の転移となると、医者としては震え上がってしまう」。
 それほど“決死のチャレンジ”なわけだ。まして都知事になってから体調悪化となれば、再び都政が停滞しかねない。
「本人のやりたいという意志は仕方ありません。むしろ選んだ側が無責任じゃないですか!? 民進党は病院に問い合わせるなどしたのでしょうか? 都知事の任期は4年もある。民進党が何を考えているのか分かりません」(同)
(略)

赤の他人が重大な個人情報を病院に問い合わせるべきだと言い切る医療関係者と言うのもどうなのかですが、鳥越氏の立候補表明後の記者会見を見ても単純な勘違いないし言い間違いとも言い切れない言動に不安を感じた方は決して少なくはなかったようですね。
民進党の思惑はともかく、鳥越氏と言えば多臓器に転移する非常に深刻な癌を患っていたことが知られていて、しかも高齢でもあるだけに今後仮に選挙戦を勝ち抜いたとしても都知事としての職責を果たせるのか?と言う疑問の声が少なくなく、著名人の中にも「最後の一花咲かせようという老人の思い出作りでいいだろうが、都民にとっては、また近いうちに都知事選が行われて、税金の無駄づかいを強いられる」と手厳しい人もいるようです。
他方では当然ながら癌患者を癌患者であるからと言う理由で社会生活からはじき出すのはいかがなものか?と言う意見もあり、また安倍総理が難病患者であることを理由に散々バッシングしてきた野党の方々が今回鳥越氏を担ぎ上げることに矛盾を感じる声もあるようですが、癌の治療法が進歩して長期生存が得られるようになれば当然こうしたケースは今後増える一方だと思われ、それについて社会はどう対処すべきなのかです。
ちなみに件の鳥越氏はかつて第一次政権で安倍総理が辞任した際に独自取材の結果として総理が潰瘍性大腸炎を患っているようだと報じた上で、自らの癌体験とも照らし合わせて「政治家は病気のことを言うと政治生命を絶たれるというのが常識。この常識を変えるべき」とコメントしたそうですが、今回は自らが当事者として「常識を変える」ことに挑む立場になったとも言えそうですね。

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コメント

でもこれくらいの歳になってまったく新しいこと始めるのって実際どうなんでしょ?
病気のこと抜きでも自分だったら仕事覚えられそうにないですけど。

投稿: ぽん太 | 2016年7月19日 (火) 08時30分

東京都民の常識というか、知能指数が問われる選挙になる事は間違い無さそうです。

投稿: | 2016年7月19日 (火) 09時31分

昨今の風潮を見る限りでは、各種のハンディキャップの存在は場合によってはむしろ強みに転化できる可能性もありそうに思います。

投稿: 管理人nobu | 2016年7月19日 (火) 10時55分

前山口県知事で山本繁太郎という方がいました。
肺がんを隠して立候補したという噂でしたが辞められる直前は壮絶なものがありました。
鳥越氏にしても担ぐ神輿が必要なのはわかりますが生贄としか思えません。

投稿: | 2016年7月19日 (火) 15時28分

鳥越ってこんな人
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160719-00000098-nksports-pol

投稿: | 2016年7月19日 (火) 19時02分

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