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2016年7月 4日 (月)

特養が余ってきていると言う噂の出所

療養病床の行方とも絡めて注目されている特養ですが、先日こんな気になる記事が出ていました。

特養、待機者が減少 入居制限影響か 都内など(2016年7月2日朝日新聞)

 全国で入居申込者数が最も多い東京都内の特別養護老人ホームの待機者が減り始めた。昨年4月から特養の入居条件を原則「要介護3以上」とすることが介護保険法の施行規則に明記され、申込者が減ったためとみられる。入居したくても申し込むことすらできない高齢者が増えている可能性がある。

 東京都高齢者福祉施設協議会が1日、都内の特養にアンケートをした結果を明らかにした。今年1~2月に都内の特養の96%にあたる457施設を調べ、242施設(回答率53%)から回答があった。1施設当たりの平均待機者数は2013年11月の360・0人から15年同月には296・3人と17・7%減っていた

 他の地域でも同様の傾向が出ている。朝日新聞が調べたところ、北九州市は15年4月から1年間で約28%、神戸市は14年9月から1年で約27%、横浜市では14年10月~15年5月で約16%減少していた。

 その理由として関係者が指摘するのは、昨年4月の介護保険制度の見直しに伴う入居要件の厳格化だ。神戸市は要介護1、2の申込者を待機者リストから統計上、外したことを明らかにした。協議会の西岡修会長は「表向きの待機者数が減っても入居できない要介護者が増えれば介護離職も増えるのではないか」と懸念を示す。一方、近年は有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などが急増しており、そうした施設に入居して特養への申し込みをやめたケースもありそうだ。(水戸部六美)

<特養>待機の実態調査へ 待機者急減 整備抑制の可能性も(2016年7月2日毎日新聞)

 52万人とされていた特別養護老人ホームの入所待機者が全国各地で急減している問題で、厚生労働省は特養待機者の実態調査をすることを決めた。要介護1、2の軽度者を除外した結果、待機者が減っている実態を今秋までにまとめる。結果次第では、費用のかかる特養の整備が抑制される可能性もある。

 厚労省高齢者支援課などによると、待機者数や特養ホーム入所の優先度、申込時期、所得の程度などについて、都道府県を通じ全特養ホームを調べる。一部の自治体では既に調査が進んでいる。

 複数の特養に入所を申し込む人もいるため、同一人物かどうかチェックして、希望者の実数に近づける。「優先度」では入所の必要性の度合いや、他の施設での対応が可能かどうかを調べる。国として「優先度が低い」と判断した人数分は特養の整備対象から除外するねらいがある。

 厚労省は、2014年時点の待機者が52.4万人との調査をまとめ、要介護3以上の重度者で在宅の15.3万人を「緊急に入所が必要」と判断した。これに基づき、安倍政権が打ち出した「介護離職ゼロ」で、20年代初頭までに12万人分の施設・在宅サービスを整備するとしている。このうち特養を何人分整備するかは決まっていない。

 高齢者支援課は、「待機者が減ったとはいえゼロになるわけではない。特養は依然、人気が高いとは認識している」とする一方、「大きく減ったとわかれば、それだけ整備するのかという話になるかもしれない」と話し、結果によっては特養の整備を進めない可能性を示唆した。

 介護保険制度の財政難から、厚労省は要介護1、2の軽度者の特養入所を原則認めない方針を昨年4月から実施。待機者減の主因の一つとみられている。

 特養は国と自治体が整備を補助する公的施設で、月6万~8万円での入所も可能。民間主体の有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅は月十数万~二十数万円かかり、低所得者は入れない。実態調査が反映されれば、行き場のない高齢者が増える恐れもある。【斎藤義彦】

それは入所者の条件を厳しくすれば一見して待機者は減ったようにも見えるのでしょうが、要介護の施設入居希望者自体が減ったと言うわけではありませんから、国としてはこれでコストの掛かる特養整備の必要性が減ったのだからと言いたい、そのために条件を厳しくして…といわばマッチポンプとも言えることをやったのだとも解釈できますね。
記事にもある複数施設への重複申し込みなどは確かに相応にあるのですが、そこのチェックにお金をかけるよりは単純に各地の平均入居待ち期間が何ヶ月と言ったデータの方がより現場の実感を反映しているのだろうし、今後の整備計画においても重視されるべき基礎データになりそうなのですが、いずれにしても実態を反映したデータが出た時点でどこにゴールを置くのかです。
介護施設には種類に応じてそれぞれ対応出来る患者の程度と言うものがあり、一方で家族としてはより高度な対応が可能な施設に入れたいと言う願望があるのでしょうが、一方でそうした施設ほどより多くの公費投入を要することを考えると、国としては少しでも安価な施設で済むものならそちらに入ってもらいたいし、入らせるべく制度的な制約も強化したいと言うのが本音でしょう。

病院などでも平均在院日数が厳しく言われるようになった時期からマスコミ諸社が競うように「元通りに治っていないのに追い出された!医療は金勘定だけでいいのか!」式の批判を繰り広げた時期がありましたが、そもそも地域内の医療機関や介護施設をきちんと分類整備して、需要や必要性に応じて計画的に整備しましょうと言うのが今後の大方針となっているわけです。
そうした計画がきちんと思った通りに稼働するためには、お上の定める基準に従って国民が粛々と決められたグレードの施設に移動していくと言うことが必要になる道理ですが、見る限りでは国もマスコミもこうしたことが必要なのだと言うアナウンスはろくにしていないようですし、いざその時になって医療・介護施設からいきなり「これが国策ですから」と言われても国民としては何のことやらかも知れませんね。
もちろん全ての国民がきちんと状態に応じて分類され、適当な施設に分配されるなら最も無駄がないとは机上の計画としてはうまくいくことなのでしょうが、実際には一定程度のゆとりやあそびのないものは大抵うまく機能してくれないもので、「並んだ全ての車輛が全く同じように動き出すなら渋滞など発生しない」式の話に終わらないことを願うばかりです。

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コメント

今入所してる軽症者は追い出すのかな?

投稿: | 2016年7月 4日 (月) 08時50分

私のいる地域も、特養入居を申し込んでから実際に入居出来るまでの期間が、少し短縮されているように感じています。
申し込んでから3ヶ月以内に入所できるくらいになるとありがたいのですが、そうなると今度は空床で困る特養が出てくるでしょうからねえ・・・

投稿: クマ | 2016年7月 4日 (月) 09時05分

病院からしたら入所待機は短い方がいいんですけどね。
特養の経営状況ってどんな感じなんでしょうね。

投稿: ぽん太 | 2016年7月 4日 (月) 09時10分

特養についてはすでに1/4以上が赤字であると言いますから、特に経営基盤の弱い小規模施設を中心に今後自然淘汰が進むことになるのかも知れませんね。
ちなみに赤字の大きな要因として6割以上に上る人件費率の高さが指摘されていますが、介護スタッフの待遇改善や軽症入所者の入所制限等によって今後さらにこれらの数字が悪化してくる可能性が高そうです。

http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/8114
http://hp.wam.go.jp/Portals/0/docs/gyoumu/keiei/pdf/2015/research%20team/151208tokuyou3.pdf

投稿: 管理人nobu | 2016年7月 4日 (月) 12時12分

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