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2016年7月 6日 (水)

医療を断固拒否したいと言う方々、絶讚増加中?

先日こういう記事が出ていたのを御覧になったでしょうか。

学会声明撤回求める 子宮頸がんで薬害監視団体(2016年7月4日共同通信)

 医薬品問題に取り組む民間団体「薬害オンブズパースン会議」は4日、子宮頸(けい)がんワクチンの接種を呼び掛けた日本小児科学会など17団体の声明について「科学的に不正確な記載がある」と批判し、撤回を求めた。

 17団体は4月、ワクチンの有効性は明らかで、健康被害に遭った人への診療体制の整備や救済が始まったとして、接種を推奨するとの見解を示した。

 会議は、17団体の声明について、ワクチンの副作用の発生頻度を過小評価しており「安全性に誤解を与える」と指摘。診療体制も整備されておらず「副作用のリスクを冒してまで接種するだけの有効性や必要性はない」と訴えた。

 接種後に全身の痛みなどの症状が出た千葉県白井市の園田絵里菜(そのだ・えりな)さん(19)が厚生労働省で記者会見し「地元の病院では医療は受けられない。診療体制が整ったとはとても言えない」と話した。

まあこういったものはリスクをどう評価するかで見解も分かれるところですから、話を聞いて妥当だと考えた希望者の方のみ接種されればいいのだろうと思うのですが、世界的には接種が推進されている中で日本だけが異質な状況に置かれている事情が先日も某人気漫画で取り上げられていて、時折報じられる麻疹ワクチン未接種問題などと同様何故そうなったのかということを考えると興味深いですよね。
ちなみにこの異質であるという状況には日本の婦人科癌検診受診率が非常に低いということも含まれていて、予防接種をしないならしないできちんと定期検診を受けるということであれば別に何ら問題ない話なのですが、両者共に欠いた状態で癌になってしまう方々が毎年決して少なくないということも問題ではあるでしょう。
ともかくもこうした問題の背景には医療不信という問題があることもまた否定出来ないことで、恐らく現代日本の臨床医の方々の中には「そんなに医療不信なら別に病院来なくてもよくね?」と突き放してかかっている多忙な先生方も増えてきているのではないかと思うのですが、一方で医療不信を放置するとかえって多忙を極めてしまうということもあるようです。

「薬は飲むな」男性誌キャンペーンで診療不信の患者殺到、病院がパニックに…(2016年7月4日週プレNEWS)

今、あちこちの病院の診察室でパニックが起きている。オジサマたちの愛読誌が、メジャーな薬を片っ端から「飲んだら副作用で死ぬ」と書き立てたからだ。

きっかけは、『週刊現代』が5月30日売り号に掲載した大特集だった。『ダマされるな! 医者に出されても飲み続けてはいけない薬』という特集でメジャーな薬49種の副作用を解説。さらには「飲んでも効かない」「寿命は延びない」などと訴えたのだ。
この特集は大反響を呼び、その号の売り上げを大幅にアップ。翌週以降も、
『有名な薬でも医者の言いなりに飲み続けるのは危険です!』『その薬、一度飲んだら最後、やめられません』『医者に言われても断ったほうがいい「薬と手術」』
などなど、これまで5号連続で大特集を展開中だ(途中から手術の話題も入ってきた)。
このブームに『週刊ポスト』、さらにはスクープが売りの『週刊文春』まで便乗。「副作用怖いよ祭り」が続いているわけだ。

それ自体は「売れてよかったね」という話なのだが、問題は、その記事を読んだ患者さんたちが、かかりつけの病院で、
「私がもらってる薬、飲んじゃいけない薬だったらしいじゃないですか!」「怖いので薬をやめたい」「飲むと死ぬんでしょ?」「もう飲みません!」「もう病院行きません!
と、医師に訴える場面が激増していることだ。しかも、パニック状態になっているのは記事を読んだ人だけではない。神経内科医の高橋宏和氏(医学博士。松戸神経内科、JCHO東京高輪病院)が、こうため息をつく。
「一番困るのは、雑誌の新聞広告だけ見た患者さんが『この薬、飲んじゃいけないって“新聞に”書いてありました』と言ってくることです。広告なのに『新聞に載っていた』という記憶にすり替わっているんですね」
週プレ読者の若い世代にはピンとこないかもしれないが、団塊世代より上の日本人にとって、新聞は今でも、ものすごくエライのだ。
「だから思わず『せめて記事を読んでくださいよ』と言いかけて、いかん、売り上げに貢献してしまうと(笑)」(高橋医師)

パニックの震源地がオジサマ週刊誌なので当然だが、これらの記事で糾弾されている「危険な薬」は、高コレステロール血症の治療薬だったり、血圧を下げる薬だったりと、高齢の患者さんが長期にわたって服用する性格のものが多い(そして市場としてはものすごく巨大だ)。
しかし、実はこの話、若年世代にも無縁ではない。オジサマたちの「医療不信」が広まっていけば、若者の中にも「病院は信用できない」と考える人が増えても不思議ではないからだ。
このような「薬は飲むな」キャンペーンが続けば、本当に患者のためを思って薬を出している医者まで疑われかねず、その影響は患者本人の健康に及ぶ。
(略)

これまた結局は自分の体のことなのですから、自動車を買うのにオプションの安全装備をつけるかどうかが個人の判断に委ねられているのと同様、リスクも承知の上で自己責任で薬を飲まないのであれば何も問題ないと思うのですが、「何故オレにオプションの自動ブレーキをすすめなかった!」とディーラーに怒鳴り込む顧客はいなくとも、「何故ワタシにあの治療をすすめなかったの!」と怒鳴り込んでくる患者は珍しくないわけです。
この背景には患者は医者の言うことを黙って聞いていればいいのだ式の医療をやってきた諸先輩医師方の長年の努力による部分もあるのでしょうが、実際問題としてしばしば裁判沙汰になることもあり、またきちんと説明をし患者自身が拒否したとカルテ記載しても説明不足だった、もっと説得すべきだったなどと言われ損害賠償を命じられかねないのですから、この種の患者とはなるべく関わりたくないと言うのも医師の本音なのかも知れません。
アメリカなどでは文化的背景もあるのでしょうが治療は患者が自己責任で決めると言うことが徹底されていて、有名な某コンピューター企業のカリスマ的創業者なども堂々と我が道を行ったことが報じられ一時話題になりましたが、日本ではこうしたことは患者にしろ医師にしろなかなか受け入れられがたく、先日亡くなった有名女優の治療経緯などもかなり議論を呼んだものですよね。
患者にもそれぞれに考え方があってのことでしょうし、客観的にどれほどお得と思える治療法でも別に必ず受けなければならないと言うわけでもありませんから、やりたくないと言うことであれば堂々と担当医にも伝えてお断りすることに躊躇する必要はないと思いますが、輸血拒否で知られる某宗教団体の方々などはこうした場合に備えて文書まで用意されていて、それでもしばしば後でトラブルになると言うことは双方とも教訓とすべき話かと思います。

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コメント

この手のキャンペーンって定期的に出てきますよね。
また治療受ける気になったらきてねでおわりなんですけど。
誰かがこれで得してるってことなんですかね?

投稿: ぽん太 | 2016年7月 6日 (水) 09時02分

マスコミの功罪のうち、罪の部分ですよね。
「重篤な副作用の発生率は0.1%と少ないです」
「0.1%と言っても、被害者にとっては100%だ!」
みたいな二元論、疫学自体を否定するような議論がまかり通ってますからね。

投稿: ふぉれすと | 2016年7月 6日 (水) 10時33分

センセーショナルな内容であるほど売れますからねえ。

個人的にはデ○スだけは飲まない方がいいのではないか思った患者さんが多いですけれども。

投稿: クマ | 2016年7月 6日 (水) 10時34分

>デ○スだけは飲まない方がいいのではないか思った患者さんが多い

んでも必要だから出してるんでないの?
必要でないのに出してるならこういう記事批判できないのでは

投稿: | 2016年7月 6日 (水) 10時54分

>んでも必要だから出してるんでないの?

私は基本的には出しません。
紹介されて私が診察した方の中での印象です。
いっぺんに中止できないので、そういう患者さんは漸減し中止するまでは不本意ながら処方しますけれども・・・

投稿: クマ | 2016年7月 6日 (水) 11時29分

そうした場合にいわゆる後医は名医的な指摘が安易な前医批判として患者に伝わってしまうと、こういう記事の受け入れやすい下地が作られて行く可能性もあり難しいですね。

投稿: 管理人nobu | 2016年7月 6日 (水) 11時51分

睡眠薬(導入薬として使用される抗不安薬含む)だけは、世界的に治療薬としての価値が否定され、一ヶ月以上の連用は禁止の方向に動いているのに、一般診療で月単位どころか年単位でダラダラと続けてしまっている慣習は、さすがに弁護はできない段階になっています。が、文化とはなかなかに恐ろしいもので、それをしらない医師が8割以上というのが現状ではないでしょうか。

投稿: おちゃ | 2016年7月 8日 (金) 09時40分

世界的に治療薬としての価値が否定されている薬を出し続ける医者
世界的に接種が推進されているワクチンを拒否する患者
つり合いが取れてるってことかな

投稿: | 2016年7月 8日 (金) 10時24分

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