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2016年6月16日 (木)

ネット上での症例提示に処分

個人情報流出に関して非常に敏感な時代で、先日は著名人が本人の了承もなく進行癌であるとスクープされた件などが話題になっていましたが、なかなかに微妙に思える事件が報じられていましたので紹介してみましょう。

患者の診療画像、医師が無断でネットに投稿(2016年06月15日読売新聞)

 青森市勝田の青森市民病院で、医師が患者に無断で患者の診療画像などを動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿し、昨年5月に市から訓告の処分を受けていたことがわかった。

 14日の市議会一般質問で、市議の質問に答える形で市側が認めた。

 質問した共産党の村川みどり市議や市民病院などによると、昨年1月、動画サイトを見た患者の家族から「うちの家族の患部の画像ではないか」などと病院に問い合わせがあり、事実確認をした結果、同病院の医師による投稿だと発覚した。医師は投稿を認め、「学術的な研究のため、より見やすい環境にしたかった」などと話したという。

 画像は、患者個人が特定できるものではないが、患者の了承を取っておらず、すでに医師が患者に謝罪したという。同病院の安保明彦事務局長は「再発防止に努めたい」と話した。

患者の診療動画ネット上に公開 医師訓告処分(2016年6月15日河北新報)

 患者の診療に関する動画や写真を無断でインターネット上に公開したとして、青森市が青森市民病院勤務の医師を訓告処分にしていたことが14日、分かった。同日の市議会一般質問で取り上げられた。

 同病院などによると、医師は診療情報に関わる画像などを、患者に許可なく動画投稿サイト「ユーチューブ」に送った。医師は「学術的な目的だった」と話しており、個人が特定できるものではなかった。患者の家族から昨年1月19日、相談があって判明。市は昨年5月22日に処分した。

 医師は他にも複数の患者の動画を数件公開していたという。動画は既に削除されている。市は「懲戒処分に当たらないので公表しなかった」と説明。同病院は再発防止のため、個人情報保護に関する運用方針を定めたという。

ネットの発達で医学教育もネット上で行われると言うことが当たり前になってきていて、有料や学会など登録制でやっているところももちろんあるのですが、一方で当該記事のように公共の場とも言える動画共有サイトにあげられている場合も少なくなく、特に個人レベルでやっている場合にはほとんどがこうしたケースではないかと思います。
もちろん個人名や患者番号など個人情報を含んだまま公表すると言うことはあってはならないことですし、今回の記事もその辺りはごく一般的な対応をしているようで、こうした個人情報を消去した症例の画像などは通常は患者に了承を得なくても
学術目的で使用することは普通に行われることですが、学会発表などではなく一般の動画共有サイトであると言う点で微妙にグレーゾーンですよね。
そもそも患者がこうした医療画像から自分のものだと判るものだろうか?と言う点ですが、記事の書き方ですと診察光景なりだったのでしょうか、他にも患者なり家族なりが医療関係者であった場合には珍しい症例だと認識し記憶している場合もあるでしょうし、例えば再建術などで体表の写真を掲載したような場合であれば素人であっても気づくことはあるのかも知れませんが、いずれにしても同様の事態が今後も起こる可能性はありそうです。
ちなみに記事にもある通り青森市民病院の現在の個人情報保護のルールはこちらのようなのですが、さてこれを見ると今回のケースに関して今後は事前に情報取得の了解を得る、そして利用に関しては今後も個人が特定出来なければ問題なしと言うことになるのでしょうか?

今回の件に関しては当局などもあまり厳しい処罰などはしていないと言うのは、特に診断や手技的なものについてはこの種の画像や動画を用いた症例の共有が医学教育として非常に有用であること、また個人情報を消去した画像まで強力に規制すると非常に厄介な問題を引き起こしかねない等の判断もあったのでしょう、まずは妥当な対応であったのかとは思いますが、それでもこうして全国ニュースで取り上げられ削除に追い込まれているわけです。
せっかく進歩したネット環境が身近なものになっているのですから、今さら医学教育をこれなしで行うと言うことも現実的ではありませんが、例えば登録制会員サイトのような形式で一般人の目には触れないような形にすべきなのかと言えば、外国の施設などからアップされているようなケースもあるわけですから全てをそうするのも難しいでしょうね。
となると患者には判りにくい形でなるべく画像の提示方法などを工夫すると言うことが当面の対策になるのでしょうが、形成外科などは体表写真も載せたくなることが多いのでしょうし、一人一人やり方が違う以上見れば自分だと判る理屈で、正直この問題に関してはあまり公的なルールなどと突き詰めずほどほどに有耶無耶になっていただくのが一番面倒がなさそうなのですが、今後各地の施設で何らかの通達なり出てくるでしょうか。

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コメント

厳密に言うなら個人を特定できない医療情報というものはない
病院玄関にこの手の副次的利用について張り紙でもしとけばいいのか

投稿: ルナティックブルー | 2016年6月16日 (木) 09時47分

今回のケースでは市議会経由で問題化したと言う点でも、何かしら特別な経緯なり事情なりがあったのかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2016年6月16日 (木) 12時02分

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