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2016年6月23日 (木)

効果と高価で有名な肝炎治療薬の転売が報じられた件

先日報じられて以来、起こるべくして起こった問題として話題になっているのがこちらのニュースですが、ルール上は同じような不正行為でもお爺ちゃんお婆ちゃんが余計にもらってきた湿布薬を近所に配って回ったと言った話とは、いささかコスト面でのスケールが異なるようです。

生活保護制度悪用、C型肝炎薬を詐取…3人逮捕(2016年06月21日読売新聞)

 医療費が無料になる生活保護制度を悪用し、C型肝炎の新薬「ソバルディ」約80錠(約500万円相当)をだまし取ったとして、警視庁は21日、神奈川県藤沢市の会社役員(42)ら男女3人を詐欺容疑で逮捕した。

 同庁は、会社役員らが高価なソバルディに目を付け、無料で入手した薬を転売して利益を得ていたとみて解明を進める。

 捜査関係者によると、他に逮捕されたのは、東京都町田市の生活保護受給者の男(48)と、男と同居する無職の女(38)。

 3人は今年1~3月、生活保護受給者の男がC型肝炎の治療のために1日1錠を服用すると偽り、相模原市の病院から3回にわたってソバルディ計約80錠をだまし取った疑い。男は実際にC型肝炎だったが、薬は自分で飲まずに会社役員に渡し、報酬として現金などを受け取ったという。

肝炎治療薬520万円相当を横流し 詐欺容疑で3人逮捕(2016年6月21日朝日新聞)

 病院から処方されたC型肝炎の治療薬(1錠約6万円)を横流ししたとして、警視庁が21日、男女3人を詐欺容疑で逮捕したことが捜査関係者への取材でわかった。生活保護受給者は医療費負担がないことを悪用して入手し、不正に転売していたとみて調べている。

 逮捕されたのは、東京都町田市に住む無職の男(48)と30代の女、神奈川県藤沢市に住む40代の男の計3人。相模原市内の病院で今年、服薬する目的がないのに、医師から3回にわたり、C型肝炎治療薬「ソバルディ」84錠(約520万円相当)の処方を受け、だまし取った疑いがある。

 C型肝炎の患者だった無職の男は、生活保護受給者であることから、無料でソバルディの処方を受けていた。男は今年3月に覚醒剤取締法違反容疑で逮捕、起訴され、調べに「ソバルディを転売した」などと話しているという。警視庁は、ほかに逮捕した男女がこの男から薬を買い、さらに転売していたとみている。

 ソバルディは昨年3月、国が新たに承認したC型肝炎治療薬。厚生労働省によると、1日1錠を84日間服用する。それまで主流だったインターフェロンなどの注射薬と比べて副作用も少なく、短い治療期間でより高い効果が期待できるという。厚労省は、2015年時点で年間1万9千人の患者が使用すると見込んでいた。

この種のDAAと呼ばれる肝炎治療用の抗ウイルス薬に関しては最近一般の方々の間でも大いに話題になっていて、各地の病院で治療希望の患者が続々といらっしゃっていると聞きますが、従来の注射薬と違い内服で楽な上に副作用がほとんどない、しかも治療効果はほぼ100%と言う夢のような薬だとされる一方で、一式数百万円と言うその治療費の高さから適応をどう考えるべきか迷われている先生方も多いかと思います。
いずれにしてもこうした生保受給者の医薬品横流し、転売自体は以前から問題視されていて、一般的には向精神薬や睡眠薬など入手には処方箋が必要であり、かつ利用することですぐに効果が実感しやすいものが転売されているようで、確かに需要を考えた場合にはこうしたものの方が売りさばきやすいのは納得出来る話ですよね。
その意味で今回転売した先ではどう使っていたのかと言う疑問も残るのですが、基本的にこの種の肝炎治療薬については医療費助成で自己負担は月々1~2万円程度で受けられるようになっていますから、保険診療を受けている一般的な市民であれば闇で入手するメリットに乏しい気がするのですが、一方で真っ当な診療も受けられない方々が症状もない肝炎治療薬に大金を払うものなのかどうかです。
この辺りは転売の元締めが存在しているらしいと言うことですから、例えば海外に持っていって売れば相応に需要もあり高くも売れる可能性もあるでしょうし、今の時代ですから海外向け通販サイトやネットオークションで売りさばけばほとんどコストも掛からず丸儲け出来る可能性もありそうですよね。

こうした転売が何故発覚するのかと言うと多くの場合は複数治療期間にかかり重複処方を受けているような場合が多いようで、肝炎治療薬に関して言えば基本的に一人が一生に一回しか使わない薬で事情が違うと思うのですが、ほぼ100%の治療効果が期待出来ると言うこともあって、現場の臨床医の先生方に言わせると検査値が全く改善しないだとかきちんと受診しない等々ですぐにバレるものなのだと言います。
服薬をきちんと完遂させると言う目的では結核治療の世界ではDOTS(直接服薬確認治療)と言う方法が世界的に広く行われていて、医療従事者の目の前で服薬させることで確実な治療を行い成果を挙げていますが、生保の医療費を支払う側である役所などにこうした方法を取るようにしてはどうかと申し出てもあまりいい顔をしないのだそうですね。
その理由として毎日医療機関に受診させることでかえって公費負担が増えてしまうだとか、きちんと受診していなければ指導をする等々の余計な手間が増えてしまうことから、役所や担当職員的にはメリットが乏しいと言う判断もあるのかも知れませんが、一式何百万と言うお金が公費で使われていくのですから適応の検討も含めて、もう少し厳密な対応が図られるべきだと感じる納税者の方々も多いのではないでしょうか。
医学的な面で見るとこうした行為が行われる可能性があるのだと言うことも念頭に診療に当たる必要があると言う教訓が得られると思いますが、生保受給者などは役所に相談すればいいとして一般患者で全く治療効果がなく転売が疑われると言う場合誰に届け出るべきなのかで、いきなり警察がハードルが高いとなればまずは保険者に連絡してみるのがいいのかも知れませんね。

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コメント

いくらで売り買いしてたんだろ?

投稿: | 2016年6月23日 (木) 08時31分

当然 >保険者 は知って対策する責任がありますよ。
医療者を締め付けるばかりが保険者の責任のとり方じゃないでしょ。
放置するなら、ほかの被保険者と税金を払ってる住民に対する背任ですよ。
国からして、責任の取り方がわかってない国ですからね。
ま、憲法の意味もわかってない国民にはふさわしいのか。

投稿: | 2016年6月23日 (木) 10時30分

費用対効果を考えて対策しないとね

投稿: | 2016年6月23日 (木) 11時02分

まさに費用対効果やマンパワーの制約を考えると対策も一考あるべきところですが、不正受給者に対するペナルティは行政や保険者側の責任で行うべきことかとは思います。

投稿: 管理人nobu | 2016年6月23日 (木) 11時13分

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