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2016年6月27日 (月)

意外な?結果となったイギリス国民投票が露わにしたもの

先日のイギリスにおける国民投票では事前の予想に反してEU離脱派が多数を占めたと言い、すでに全世界的にその影響が報じられるほど大きな波紋を呼んでいますが、現地においては投票を通じて別な問題が浮き彫りになってきているようです。

【EU離脱】高齢者に怒り、悲痛な声をあげる若者たち なぜ?(2016年6月25日BuzzFeed Japan)

6月23日(現地時間)の国民投票でEU離脱派が残留派を上回ったイギリス。そこで若者たちが悲痛な声を上げている。
「今日、私のような若者は、分断と孤立という不安な未来を突きつけられました」
ガーディアンの動画に登場する女性の言葉だ。
次々に声をあげる。
16、17歳の声は聞いてもらえなかった。私たち自身より90歳の人の方が、私たちの残りの人生を決める力が強いなんて
なぜ、僕の将来は、二度と戻らないノスタルジーばかり追い求めて、実際に受け取っている福祉手当がわからないような世代に決められなきゃいけないんだ
(略)
離脱派の勝利は複数の要因が指摘されている。英国民たちの移民への反感、主権を取り戻すという高揚感、EUに税金が吸い取られるという不公平感、英国外のEUの官僚によって政策が決められる剥奪感。それらが絡み合った。
だが、一定層の若者はすでに自由に移動ができ、進学先や仕事が選べるメリットを感じていた。
あるミレニアル世代(1980~2000年生まれ)の英国人女性のワシントン・ポストへの寄稿が端的に言い表している。「USBの使い方もわからないような世代によって混沌がもたらされた」。要旨はこうだ。
「戦後のベビーブーム世代の判断ミスによって金融危機が引き起こされ、若者に大きく影響する緊縮策がとられ、そして今度はEUを離れろと。しかも、もたらされる結果をほとんど見ることなく生涯を終えるのに」
「多くの若者は、英国籍をもつご老人たちより、スペインやオランダの若者との方が多くの共通点を持つ。職場やSNSでの経験から、国境を超えると信じてきた未来は奪われてしまった
「次のベビーブーム世代が決めなきゃいけない大きな決断は、私たちの世代が沈み始めたイギリスという船を見捨てて旅立ったときに、どうやって年金を払うかってことになるんじゃないの」

若者は残留を希望

若者の大勢は残留派だった。YouGovの調査によると、18~24歳の75%は残留に投票した。年齢が上がるほど、残留派は減る
4月の時点の調査ではこんな見事な相関が。残留派と離脱派の割合を示したグラフで、赤なら残留が多く、青なら離脱が多いことがわかる。分岐点は43歳。
(略)
こうした若者たちの不満の背景には、比較的恵まれた戦後のベビーブーム世代への反発もある。若者の犠牲のうえに高齢者が得をするというシルバーデモクラシーだ。
フィナンシャル・タイムズが過去50年間の80万世帯所得を分析した記事によると、過去35年にわたって年金受給者の所得が上がり、平均的な20代の所得は、全人口の50%を下回ってきた
インフレや失業問題にもかかわらず1960~70年代には、20~25歳の平均的な所得は全体の人口の60%より上だった。だが2012~13年、それは37%に落ち込んだ。
その要因は高齢者だ。かつて全人口の75%より低かった65-70歳の所得は、いまやトップ40%に上昇している。

Twitter祭り

Twitterは若者たちの怒りであふれた。
「私たちが何したって言うのよ。ご老人たち、未来をめちゃくちゃにしてくれて、ありがとう
「【昨日】お年寄り? 大切に思ってるよ。僕たちのために戦争を戦ってくれた。ナチスから救ってくれた。【今日】お年寄り? 大っ嫌いだね。血まみれのファシストめ
(略)
ベビーブーム世代はこんな反論をした。
「若者たちへ。1975年に16歳だった私の未来を決めたのも高齢者だった。少なくとも我々は君たちの時代のために正しい選択をしたんだよ」
世界の株式市場から2兆ドル(約200兆円)の価値が消えた金曜日。正しい選択だったのかは、まだわからない。

離脱という判断の是非と言うことに関しては部外者である我々が軽々に論ずるべきものではないと思うのですが、面白いことにこの問題に関して見事なまでに世代間の意見の断絶がある、そして今回高齢者の意見が通ったことにより若者たちにとっては「恵まれた老人達の馬鹿げた考えで自分達の未来は大変な被害を被ることになった」ように感じられているということですね。
この世代間の断絶、あるいは利害関係の対立と言うことに関しては日本においても社会保障など各方面で見られるようになった現象ですが、幸いにも?日本ではこうまでこの問題に直面する機会がなかったとも言える一方で、近づく参議院選挙などにおいても社会保障をどうするか、その財源を誰が負担すべきかと言う議論はまさしくこの種の問題を示しているとも言えるわけです。
もちろんそうした諸々の状況を踏まえ、総合的に判断した結果としてこうした結果が出てきたと言うことであればまだしも救われそうなものですが、どうも今回の国民投票ではそうではなかったらしいと言うことがその悲劇性あるいは喜劇性を浮き立たせているようですね。

今度は「Regrexit」、EU離脱を「後悔」(2016年6月26日CNN)

ロンドン(CNN) 欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票で離脱派が勝利した英国で、離脱に票を投じた有権者から、結果を受けて思い直したとの声も上がっている。Britain(英国)とExit(退出)を組み合わせた造語「Brexit」に続いて、ツイッターにはRegret(後悔)とExitを合わせた「Regrexit」というハッシュタグが登場した。

中部マンチェスターの有権者、アダムさんは英BBCとのインタビューで「私の票にあまり意味はないと思っていた。どうせ残留だろうと予想していたから」「キャメロン首相の辞任表明には、正直言って仰天した」と不安をあらわにした。

離脱に票を入れたマンディさんという女性も24日、夕刊紙ロンドン・イブニング・スタンダードに「今朝になって現実を知り、後悔し始めている。もう一度投票するチャンスがあれば意見を変えるのに」と語った。

イングランド南西部のコーンウォール州は国民投票で離脱を支持したが、これまでEUから受け取っていた補助金が途絶えては困るとの懸念が浮上し、英政府に「保護」を求めている。同州には10年以上前から、EUから年平均6000万ポンド(約84億円)が交付されていた。州議会は政府に、これと同等の額の保証を求める構えだ。

再投票を求めるインターネット上の請願には25日午後の時点で200万人を超える署名が集まり、議会での審議に必要とされる10万人の署名を上回った。28日に下院の特別委員会が取り上げる見通しだという。

すでに連合王国内ではアイルランドやスコットランドなどにおいて独立の声が高まっている他、残留派が多数を占めたロンドンを独立させEUに残留させようなどと言うびっくりな声が多くの賛同を集めているようで、今後の成り行き次第では本当に国家の分断と言う事態にも陥りかねませんし、そうではなくとも表面化した世代間対立が今後の社会保障財源配分などに大きな影響を与えていく可能性があります。
それにしても「私の票にあまり意味はないと思っていた。どうせ残留だろうと予想していたから」とはあまりに率直すぎる言葉ですけれども、歴史が動くと言うことは案外こうした何でもない思い込みやその場のノリと勢いが一定程度収束した結果なのかも知れずで、非常に興味深い現象ではあったと思います。
確かに事前予想では残留派が多数を占めると予測されていたと言いますからこうした言葉が出てくることも判らないではありませんが、そうした事情もあってか再投票を求める署名が殺到していると言うことも理解は出来る一方で、EU諸国側では各国首脳が「英国民が今回出した結論をなるべく速やかに実現」するようにとの共同声明を早速発表するなど、かなり手厳しい反応が出ているようです。
ちなみに開票結果が報じられてからイギリス国内における検索語句では「EU離脱が意味することは?」が激増、そして2位が「EUとは?」であり3位は「EUの加盟国は?」だったと言いますから、ワシントンポストが「イギリス人は何に投票したのか本当は分かっていなかったのかも知れない」と皮肉りたくなるのも判る気がします。

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コメント

本日サーバー不調のため更新が遅れておりましたが、さきほど復旧したようです。

投稿: 管理人nobu | 2016年6月27日 (月) 12時52分

>「次のベビーブーム世代が決めなきゃいけない大きな決断は、私たちの世代が沈み始めたイギリスという船を見捨てて旅立ったときに、どうやって年金を払うかってことになるんじゃないの」

 さっさと巣立って、そうしてさしあげてください。

> EU諸国側では各国首脳が「英国民が今回出した結論をなるべく速やかに実現」するようにとの共同声明を早速発表するなど、かなり手厳しい反応

 当然です。タックスヘイブンを抱えて税金逃れしつつ(オランダも汚いことをしているが)ユーロに参加せずポンドの為替とEU加盟国特権の関税免除で二重に儲けたうえに、EU中央銀行の方針に口出しする英国は、はっきりいって お邪魔虫。自発的に「出ていきたい」とおっしゃるなら渡りに船。

 日本人が騒ぐのは、一過性の円高や株安を懸念してるのかなw

 博打うち(麻生さんの言葉では「株屋」)しか、困りはしませんよ。日本の不況は「英国に立地している日本?企業の業績が日本の景気とリンクする」たぐいの迷妄にとらわれて、20年来やるべきことを間違い続けてきた所為ですから。

 どっちに転んでも、その都度本質的に必要なことをやらなければ、いつかつけを払うことになるだけのこと。

 早く目が覚めるとよいですね。

投稿: 感情的な医者 | 2016年6月27日 (月) 13時31分

>本当に国家の分断と言う事態にも陥りかねません

 もともと立憲君主制の連合王国で、連合から離脱しても英連邦にとどまるかどうかの選択は別にできるし、陸続きとの軍事紛争の危機(アイルランドとはようやく改善中)があらたに発生するわけでもなく、どうせしばらくはポンド圏ですし、ばらけてみるのも良いかもしれません。

 ポンド安になってますが、輸出には有利で、対ユーロ圏輸出で関税をかけられる羽目になっても、為替でトントンならば御の字。本来そういうもの。

>イングランド南西部のコーンウォール州は、、、、州議会は政府に、これと同等の額の保証を求める構えだ。
 
 英がEUに上納する額はEUから英に配分される額より少なく、「損」だから離脱、とも主張されてたのですから、英中央がしかるべくやればよいだけのこと。上納金でEUの金融政策に口出しする特権を買っていたんですがw。 
 どっちに転んでも扇情的一面的報道が増す塵の飯の種、の一例で。
 

投稿: 感情的な医者 | 2016年6月27日 (月) 15時19分

USBも使えないくせにって言ったら
カセットテープも使えないくせにって言い返されそう

投稿: | 2016年6月27日 (月) 18時35分

直後の訂正、国民の怒りは爆発
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160627-00000035-mai-eurp

いまさら何を

投稿: | 2016年6月27日 (月) 19時53分

マスコミの多くは移民推進だから、残留派の意見が目立つのは当然です。
理念のゴリ押しに晒されていたイギリス国民が、やっとNoと言えたのです。

日本の移民推進勢力も、今回の事態には焦っているはずです。
今後さらなるマスコミによる印象操作が行われるはずですが、みなさん流されないように気をつけましょう。

投稿: ふぉれすと | 2016年6月28日 (火) 12時16分

ふぉれすとさん
 移民推進の増す塵とはどこの国の話かな 英?EU?それとも米?日?
 どちらの側の理念wがごり押し? どっちもどっちのお互い様でしょう。
 陰謀論なら、せめて↓を超えてもらわないと。
 https://tanakanews.com/160627UK.htm 
 

投稿: memento mori | 2016年6月28日 (火) 12時48分

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