« 個人でやったら危ないおじさんですが | トップページ | ブラック企業対策に国の対応はどこまで有効か »

2016年6月10日 (金)

社会保障の根本的な改革、海外では真面目に議論される

何かよく判らないうちに消費税増税の延期が決まっていたようですが、その結果を受けた流れとしてこういう話も出ているようです。

自民、参院選後絞り込み 増税延期に伴う社会保障項目(2016年6月8日朝日新聞)

 自民党の稲田朋美政調会長は7日の党全国幹事長会議で、消費税率引き上げの再延期に伴う社会保障の充実政策の絞り込みについて、参院選後に判断する意向を示した。安倍晋三首相はすでに「全てを行うことはできない」と明言しているが、どのメニューが実際に削られるかは当面示されないことになる。

 充実政策は、消費税率10%への引き上げで見込まれる増収分のうち、1・3兆円を主に低所得者向けにあてる計画だった。会議の出席者によると、稲田氏は「社会保障の1・3兆円分が消費増税延期でなくなるが、年末にかけていろいろ改革をして財源を捻出したい」と説明したという。

 党幹部の一人は「財源の裏付けがないまま、参院選前に充実策が実施できるかどうかの判断はできない」と語り、税収見通しが分かる年末の予算編成時に判断する意向を示した。参院選への影響を回避する思惑もあるようだ。

 充実政策の一つには、低年金の高齢者や障害者約700万人への給付金がある。高齢者が最大で月5千円を受け取れ、予算は約5600億円。無年金者対策としては、約300億円をかけ、年金の受給資格を得るのに必要な加入期間を25年から10年に短縮する。(岡村夏樹、生田大介)

当てにしていた財源が幻となってしまった以上は給付拡大も先送りになるのは当然と言えば当然なのですが、しかし国家財政が破綻するから支出を抑制して税金を引き上げると言う話だったように記憶するのですが、ここでまた最大の固定出費である社会保障費を増額してどうするつもりなのか?と言う疑問も出てくる話ですね。
社会保証制度の抜本的改革が必要になることは単純に歳出抑制のみならず、長年の間に発生した歪みの是正と言う点でも重要ですが、昨今出てくるニュースを読む限りではその場しのぎの集票対策的なバラマキ的な話ばかりで、漫然と固定支出の増大傾向が続いているように見えるのは困ったものです。
この点で以前から言われている一つの根本的改革案として全ての社会保証制度を一元化するベーシックインカムと言う制度があり、つい先日スイスではこの導入の是非を巡って国民投票まで行われたと言うように海外ではかなり真剣に検討もされているようで、スイスでは8割の反対票が出たと言うこの制度に関して、こんな調査結果もあるそうです。

EUでベーシックインカム導入の可否を問う初の世論調査、64%が導入に賛成・反対は24%(2016年6月1日ビジネスニュースライン)

EUでベーシックインカム導入の可否を問う初の本格的な世論調査が行われ、この調査結果により、域内では、ベーシックインカム導入賛成派が64%で、反対の24%を抑えている状況となっていることが判った。

この調査は、EUの支援を受けて、Neo Polis、Future of Work、Daliaの3社が域内全域の今年の4月に、14~65歳の住民、合計1万名に対して聞き取り調査を行うことで実施されたものとなる。
調査の対象国は28国、言語は21言語にも及ぶ、このベーシックインカムに関わる世論調査としては初めて実施された本格的なものともなった。

ベーシックインカムの基本的知識については、完全に理解していると答えた人が28%、部分的に理解していると答えた人が35%、聞いたことがあるが良くは知らないと答えた人が25%、まったく知らないと答えた人が17%となった。
また、国別の支持率では、1位が71%でスペイン、2位が69%でイタリア、3位が63%でドイツ、4位が63%でポーランド、5位がイギリス、6位がフランスとなり、大規模な経済国を中心に賛成派が多数を示していることが判った。

ベーシックインカムは貧富の差に関わりなく成人の全員に一定の所得援助を行うという新しい形の社会福祉制度となる。欧州を中心に既存の社会福祉制度に変わる新制度として試験導入が行う動きが続いている

もちろん実際の政策に反映されない意識調査で、スイスのようにいざ導入の是非を問うような局面になればもう少し慎重な判断がなされるのでしょうが、しかし過半数がその導入に賛成している一方で反対はわずか1/4に留まったと言うのはなかなか意外性のある結果ではないでしょうか。
昨年末にフィンランドで月額11万円のベーシックインカムが導入されると言う「誤報」が流れた経緯は以前にも紹介しましたが、この際にも世論調査では7割が賛成の意志を示していたと言い、税などの負担の大きさや給付額を幾らにするか等々の問題はあるにせよ、各種社会保障の入り乱れた手続きの煩雑さやそれに要する事務コストを考えると案外シンプルでいいものなのかも知れません。
ただ日本では先日人間らしい生活を営むには25歳で22万円必要だと言う試算結果も公表されたそうで、これに対して各方面から異論も多々あるようですけれども、一億人に年収270万円を保障するとなるととても今の税収で補えるものではなさそうですから、現実的な給付水準を考えると生保のように何もせずにそれだけで食べていくのはなかなか難しいのかも知れません。
昨今は生活にお金をかけないと言うこともちょっとしたブームであるようで、かつてのバブル時代などからすると信じられないようなロハスな生活を送っている人もいらっしゃいますから、現金支給としてはもっと少ない水準でもいいのかも知れませんが、年金事務所や福祉事務所などの仕事がなくなっても単純に大勢の失業者も出る道理ですから、実際の導入にはかなり大変な作業が必要にもなりそうですね。

|

« 個人でやったら危ないおじさんですが | トップページ | ブラック企業対策に国の対応はどこまで有効か »

心と体」カテゴリの記事

コメント

年金の支払いも、健康保険制度も、生保も、その他給付金も
全て廃止すれば一人22万のベーシックインカムも可能では。。。?

投稿: | 2016年6月10日 (金) 09時22分

毎年200兆円ぐらい国債を発行すれば可能かもね

投稿: | 2016年6月10日 (金) 09時55分

一億人に200万払うと200兆円
さて日本の国家予算はいくらでしょう?

投稿: | 2016年6月10日 (金) 10時07分

財源問題などを考えると悪評高い?現行の年金制度なども、永続性の観点からは割と良く出来ているんだなと思いますね。

投稿: 管理人nobu | 2016年6月10日 (金) 16時29分

安部ちゃん憲法改正したがっていますが、生存権の有限化も考えていらっしゃるのでしょうか?

投稿: 非医師 | 2016年6月10日 (金) 21時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/63750482

この記事へのトラックバック一覧です: 社会保障の根本的な改革、海外では真面目に議論される:

« 個人でやったら危ないおじさんですが | トップページ | ブラック企業対策に国の対応はどこまで有効か »