« 社会保障の根本的な改革、海外では真面目に議論される | トップページ | 今日のぐり:「喜怒哀楽」 »

2016年6月11日 (土)

ブラック企業対策に国の対応はどこまで有効か

何事も初めてと言うことはあるものですが、先日こんな初めてのニュースが出ていたことに対して様々な反響があったようです。

厚生労働省がブラック企業名を初公表へ 最長で月に約197時間、複数の事業場で違法な長時間労働(2016年5月19日ねとらば)

 厚生労働省千葉労働局は、違法な長時間労働を複数の事業場で行っていたとして、棚卸し業務代行サービスなどを行う千葉市の会社”エイジス”に是正指導を行ったと発表した。厚生労働省が行政指導の段階で企業名を公表するのは初めてだという。

 発表によると、同社は4つの事業場にいる63人に1カ月当たり100時間を超える時間外・休日労働が認められ、最長の時間外・休日労働時間は約197時間だった。

 同社はこれに関し、サイト上に「本日の報道に関するお知らせ」を掲載。「是正指導を受けました内容については真摯に受け止めております」とし、社長をトップとするプロジェクトチームを発足。外部専門家による助言を受けながら労働時間管理の徹底、業務量平準化への取り組み、業務効率化の推進などに重点を置いた取り組みを開始したとしている。

しかしこうした件で労基署等から勧告が入っても、上層部が「指導が入ったので改善するように」と言うだけでスタッフ増員など何ら対策を取らず、そのくせ「もっと業績の向上を」などと言う職場では労働時間隠しなどますますブラック化が進行しそうなんですが、国内某業界などもそうした慣行は日常的に行われているようですから困ったものですよね。
今の時代ですからさぞやネット上にも悪評が広まっているのかと思って試みにこの社名を検索してみたのですが、面白いことに報道が出る直前の5月中旬から急激な株価の上昇が続いていると言うニュースが出ていて、何しろ3月期営業利益が前々期比54%増で過去最高と見込んでいた従来の予想をさらに上回っていたと言い、評判を聞いても一応相応の残業代は支払われていたと言います。
同社が無報酬長時間労働を強いる本物のブラック企業より先に公表されたことに違和感を感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、厚労省が定めたブラック企業の社名公表のルールとして「社会的影響力の大きい企業」であることが条件とされ、具体的には「複数の都道府県に事業所を所有」しており「中小企業に該当しない」ことが挙げられていますから、その実効性に疑問符がつくのも仕方が無い気がします。
ただ世間的にはブラック企業問題が非常に大きな問題となっている中でさすがに国としても対策の必要性は感じているはずで、昨年末にはハローワークではブラック企業の求人を出させないなど各種対策も発表されていましたが、それを受けて先日はこんな記事が出ていました。

条件違う求人、3900件=賃金や就業時間―厚労省(2016年6月8日時事通信)

 厚生労働省は8日、2015年度中にハローワークに出された求人票のうち、賃金や就業時間などに関する記載内容が実際の労働条件と違っていたケースが前年度比9.9%減の計3926件あったと発表した。

 前年度からは減少したが、同省職業安定局は「求人票を受理する際に対面で条件を点検するなどの取り組みを徹底していく」としている。

 15年度の求職者からの求人票の記載内容に関する苦情や相談件数の合計は、10.7%減の1万937件。実際の労働条件との相違以外では、求人企業やハローワークの説明不足、求職者の誤解などが主な原因だった。

 厚労省は、労働条件の内容を偽って求人する企業への罰則導入の是非について、秋にも本格的な議論を始める見通し。 

これから罰則を検討しようと言うのですから何とものんびりした話にも聞こえるのですが、もちろんやらないよりはやった方がいいとして、問題はどのような対策を講じれば実効性あるものになるのかですよね。
一部では「ハローワークはブラック企業の温床」と言う声も上がっていて、確かに求職者が殺到するような優良企業であればハローワークで募集をかけると言うことは想像しにくいので当然なのかも知れませんが、そう言えば某業界なども近年求人数が増えていると言いますから、何かしら求人件数と業務内容との間には相関でもあるのでしょうか。
ブラック企業の定義を巡っても様々な議論があって、専門職やいわゆる知的エリートになると労基法厳守の職場環境はむしろ不満が高まると言う声もあり、一律に数字で規制することは避けるべきではないかと言う意見もあるようなのですが、職場内で一部の人間は好きで過剰な労働をしていたとしても全員がそうとは限らず、皆がやっていることだからと義務的に超過勤務を強いるのはやはり問題があるでしょう。
単に労働時間だけを規制しても密度の濃い激務を強いられるだけではないかと言う意見もありますし、基本年俸制に近い某業界などでは天井知らずの労働が行われている実態もありますが、きちんと労働に応じた報酬が支払われるならば雇用者側としても労働時間短縮に向けて努力する意味が出てくるのですから、まずはただ働きを強いることに対する対策を考えていくことが必要なのかも知れませんね。

|

« 社会保障の根本的な改革、海外では真面目に議論される | トップページ | 今日のぐり:「喜怒哀楽」 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

今の日本はサービス残業など違法行為に走った方が特をするシステムになっているので、そのあたりを是正する必用があります。
まあ、どんな施策を実施しても、厚生労働省自らが守れないようなルールなら意味がありませんけれどもね。

投稿: クマ | 2016年6月11日 (土) 08時33分

何やっても網の目をくぐる会社は出るからなあ
会社のレーティングしてみたら被害は減らせるかな?

投稿: | 2016年6月11日 (土) 10時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/63753838

この記事へのトラックバック一覧です: ブラック企業対策に国の対応はどこまで有効か:

« 社会保障の根本的な改革、海外では真面目に議論される | トップページ | 今日のぐり:「喜怒哀楽」 »