« 今日のぐり:「山陽自動車道三木SA上りフードコート」 | トップページ | この場合は嘘も方便とは言いがたい »

2016年6月20日 (月)

身体的拘束は悪いことだと言います

先日こういう記事が出ていたのをご存知でしょうか。

知的障害者3人の個室に鍵、20年拘束も 鳥取の施設(2016年6月13日朝日新聞)

 鳥取県は15日、鳥取市鹿野町の障害者支援施設「県立鹿野かちみ園」で、知的障害のある40~60代の女性入所者3人が入所時から3~20年間にわたり、個室にいる間は扉に鍵を掛けられ、外に出られないようにされていたと発表した。同園は指定管理者の県厚生事業団が運営。県は鳥取市と共同で立ち入り調査し、虐待と判断した。

 県障がい福祉課によると、3人のうち60代女性は他の入所者の個室に入って掲示物を止めるためのマグネットなど小物類を食べてしまう癖があるといい、施錠期間は約20年。他の2人は40代で、暴力を加えたり受けたりするとして、それぞれ約7年と約3年にわたり施錠されていたという。

 食事や訓練作業などで支援員とともに個室の外にいる時間はあり、鍵を掛けられていた時間は最近で1日6時間半~14時間だった。いずれも家族の同意は得ていたという。5月10日、仕事で同園に出入りする人から県に「虐待ではないか」と通報があり、発覚した。

 国の基準では、障害者の身体拘束をするのは他に手段がない「緊急やむを得ない場合」で、一時的でなければならないという。小林真司・障がい福祉課長は「職員に虐待という認識がなかった」とする一方、「小物類を食べてしまうなど問題があるなら分析し、必要な支援をしなければならないが、それをせず、漫然と施錠を続けていた」としている。

 県と市が調査に入った5月19日以降、同園は施錠をとりやめ、日中は少なくとも職員2人が見守るようにしているという。

まあしかしこれらの方々それぞれに複数の職員が拘束されるわけですから、当然ながら他に目が行き届かない部分が多くでてくるのだと思いますが、時にこうした職員の偏在が新たな事故を誘発したり、保護者や家族との軋轢を生んだりと言うこともあるそうですね。
いわゆる拘束と言う行為に関しては近年規制が厳しくなってきていることもありますが、こうした行為はもちろん一般論として本人の意に沿わない拘束や虐待にも相当する可能性があるものの、ではそれに対してどういう対案があるのかと言う点について未だにはっきりした答えが出ていません。
もちろん漫然と習慣的にそうした行為を続けていくことは避けたいと言えば言えるのですが、突発的にいつどうした行動に出るか判らない人に対して対策を講じないでもいいと言うことにもならずで、結局は家族と相談しながら現場の責任で何とか折り合いをつけていく以外に仕方がないと言う場合も多いのでしょうね。
そうした点でこれまた厄介な問題が発生したと思えるのが、上記の記事が出たつい数日後にこんな記事が出てきたと言うことですが、程度の差こそあれ人の集まりである以上類似のトラブルはどこの施設でも起こっていることだろうと思います。

精神科病院で入院患者を殺害 容疑で入院中の男を逮捕(2016年6月17日産経新聞)

 17日午前0時半ごろ、和歌山市内の精神科病院から「患者が他の患者を殺した」と和歌山県警和歌山西署へ通報があった。警察官が駆けつけると、院内で入院中の男性患者(70)が頭から血を流して倒れており、死亡が確認された。同署は、殺人容疑で別室に入院していた男(69)を緊急逮捕した。容疑を認めているという。同署は動機などについて調べている。

 逮捕容疑は、同日午前0時~0時半ごろ、男性患者の部屋へ行き、頭部を木製の将棋盤で数回殴り、両手で首を絞めて殺害したとしている。

 病院によると、2人は昨年5~8月に同室だったが、トラブルが重なり、男性患者の申し出で別室に移動していた。

この事件の場合は以前からトラブルが重なっていたこと、そして被害者となった同室者も何かしら感じるところがあったのか加害者と距離を置こうとしていたようですが、そうではあっても重大な事件が発生してしまったと言うことで、下手をすると施設側が管理責任なりを問われることになる可能性もありそうです。
ただ問題が続いていたとは言っても拘束を行うだとか個室に隔離すると言ったことは前述の通り現状では許されない行為ですし、仮に裁判になって予見可能性を云々され罪に問われるなりするのであればどのような対策を講じるのが正解だったのかと言うことも示してもらわないことには何ともしがたいところでしょうね。
こうした場合どうしてもと言うことになればご家族に常時付き添ってもらうと言うことがありでしょうが、今の時代そもそも家族がいない、あるいは縁を切られていると言う患者も少なくないわけですから、なかなかそうした対策が取れるケースばかりではありませんし、そもそも家族で対応できないから施設に入っているケースも多いはずです。
施設で責任をもって預かれるような状態のいい方々しか引き受けないと言うのが根本的な対策になってしまえば家族はたまったものではないでしょうが、家族との間に了解があっても他から告発され裁かれると言うのであれば今まで以上に慎重な対応が必要になりそうですよね。

|

« 今日のぐり:「山陽自動車道三木SA上りフードコート」 | トップページ | この場合は嘘も方便とは言いがたい »

心と体」カテゴリの記事

コメント

>同園は施錠をとりやめ、日中は少なくとも職員2人が見守るようにしている

58万足らずと日本で最も人口≠税収の少ない県 鳥取ですから
この先半永久的に職員を2人ベタ付きにする事は、現実的に可能ですかね?
当然この施設だけって訳にも行かないでしょうし。
今後の日本は、これまでほどには豊かではいられませんから皆が少しづつ我慢するしか無い、
それは入院患者とその周囲も同じではないのでしょうか。
だれか鳥取の人が「税金の浪費だ!」って声を上げたりしないのかな。。。

>問題が続いていたとは言っても拘束を行うだとか個室に隔離すると言ったことは前述の通り現状では許されない

だから医師の裁量権で持って「適正量の薬物(鎮静剤を含む)」を、一般人の目からすると
「一見意味もなく大量に処方」せざるをえないのでしょうね。
その事を批判する人は少なく有りませんが、じゃあアンタどうしろというのかと。

投稿: | 2016年6月20日 (月) 07時44分

高齢認知症と違って若くて元気だから大変ですよね。
当院でもこういう人たちは病棟からの帰らせろコールがすごいです。
拘束反対の方々がボランティアでつきそってくれれば助かるのに。

投稿: ぽん太 | 2016年6月20日 (月) 08時28分

かといって、身体的拘束の基準を緩くすると全員施錠、全員ベッド拘束になりかねないという問題もあるので落としどころが難しいです。

投稿: クマ | 2016年6月20日 (月) 09時07分

この種の問題は個々の症例ごとの差異が非常に大きいので、そもそも画一的な基準に基づく対応は無理だと思いますが、今回家族との間には同意があっても問題化した点は注目したいところですね。

投稿: 管理人nobu | 2016年6月20日 (月) 12時08分

看護師2人の深夜の病棟じゃ受け入れ無理ってことですね

投稿: | 2016年6月20日 (月) 14時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/63802632

この記事へのトラックバック一覧です: 身体的拘束は悪いことだと言います:

« 今日のぐり:「山陽自動車道三木SA上りフードコート」 | トップページ | この場合は嘘も方便とは言いがたい »