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2016年6月24日 (金)

権利を認めると言うことは基本的にはいいことなのでしょうが

人工知能の発達はめざましいものがありますが、その結果極めて人間らしいとも言えるこんな危惧が語られています。

徒党を組む〝野良ロボット〟が参政権要求、振り込め詐欺、人間に反乱…AIのリスク総務省研究所が報告(2016年6月20日産経ニュース)

 ロボットが参政権付与を要求し、民主主義のリスクに-。総務省情報通信政策研究所は20日、人工知能(AI)を用いたネットワークシステムの社会・経済への影響、課題などを検討する会議の報告書をまとめた。

 AIで動くロボットに起こり得るリスクについて、ハッキングや制御不能のほか、ロボットがAIにより自らの意志を持って動き出し、人間との関係が変わっていく可能性にも言及。リスクを管理するため、「人間に反乱するおそれのある人工知能の開発の事前の制限」の必要性も指摘した。

 同研究所のAIネットワーク化検討会議(座長・須藤修東大大学院教授)の報告書は、想定できる複数のシナリオを検討することで迅速な対処が可能になるとして、20項目の具体的なリスクを列挙。「民主主義と統治機構に関するリスク」として、人間に投棄された「野良ロボット」が、権利付与を求めるケースを想定。起こる確率は「低」としたが、被害の規模は「大」に定めた。発生時期は最も遠い将来を示す「進展段階4」。野良ロボットが生じないように登録制を検討すべきだとした。

 指摘されたリスクではこのほか、親しみのある見た目の人型ロボットが、振り込め詐欺などの犯罪に悪用されるケースも挙げた。

SFなどではすでに古典的とも言えるテーマではありますが、犯罪行為などに利用されるリスクもさることながら、ここで注目していただきたいのは「民主主義と統治機構に関するリスク」なるもので、ロボット自身が人権とも言える何らかに権利を求めるリスクがあると言う指摘です。
これに対する対策として人間の保護を外れた野良ロボットを生じさせないようにすると言う提言がなされていますが、しかし人間の所有下にあってもロボット自身が自分の権利が保護されていないと認識し要求する可能性を考えると、この対策は全く不完全であるとしか言い様がありませんよね。
話がロボットと言うとあまりに現実離れしすぎている、議論に値しないと考える方は例えば動物について同様な問題を考えてみると判りやすいかと思いますが、今現在でも鯨類などを巡って大きな騒動がたびたび発生している中で、ヒンズー教徒が牛の権利を尊重せよと主張し始めたなら民主主義的には人類多数派の意見として容易には無視しかねる理屈です。
さらに現実的かつ極めて判断の難しい問題としてこういう話も出ているのですが、さてこのテーマに対して皆さんはどのような答えを持ち合わせているでしょうか。

「子どもの権利」拡大認めず 日本会議から広がる運動(2016年6月18日朝日新聞)

 「自分で稼いで食べているわけでもない子供に下手に『権利』なんて覚えさせちゃ駄目よ! ろくな大人にならないわ
 日本会議政策委員の百地章・日本大学教授が監修した冊子「女子の集まる憲法おしゃべりカフェ」には、47歳の主婦が、こんなふうに叫ぶ場面がある。
 大人の従者とみて導くか。独立した権利の主体とみるか――。二つの「こども」観の対立が各地で起こっている。

 東京都日野市の元市議の渡辺眞(ただし)氏は2006年ごろ、日本会議の地方議員ネットワークで呼びかけ、自発的に「子供権利条例に反対する全国地方議員の会」を結成。地方議員50人以上が加わり、情報交換した。
 渡辺氏が危機感をもったきっかけは、「子どもの権利」で著名な大学教授が、同市に講演に来たことだった。「子供にも当然権利があると思うが、子供権利条例がいう『ありのままの権利』や『意見を尊重される権利』などは、子供の未熟な欲望を拡大してしまう」と感じた。

■「自然発生的」な反対運動

 激しい反対運動で、権利条例が11年に頓挫した広島市。運動の中心になったのは、「『広島市子ども条例』制定に反対し子供を守る教師と保護者の会」だ。日本会議広島を連絡先の一つとしているが、PTA連合会のOB会や教員団体など20団体以上が名を連ね、署名活動などをした。この会の代表は、元全国高校PTA連合会長で、一般財団法人「日本教育再生機構」理事の女性だ。
 日本教育再生機構の理事長八木秀次氏は当時、「危ない!『子どもの権利条例』」と題した冊子やDVDを作成。反対運動の参考資料になった。だが、憲法24条の改正なども訴え、日本会議の主張と近い八木氏も、「日本会議の役員ではなく、講演や原稿の執筆を依頼している」(日本会議)だけだという。
 広島市では、権利条例を推進する集会に参加して危機感をもった数人が、喫茶店などで集まったのを機に、議員への働きかけを始め、反対する会の結成につながった。会の代表だった元全国高校PTA連合会長の女性はこう振り返る。「日本会議が中心になったわけでもない。様々な立場の人たちが、自然発生的に集まってきた」
(略)
 13年6月、文部科学省と文化庁は、「子供」と「子ども」が混在していた公文書の表記を、「子供」にするよう周知徹底した。
 この前月、日本会議国会議員懇談会副会長の下村博文・前文科相に、「子ども」を「子供」か「こども」に統一するよう求める要望書が手渡された。朝日新聞が情報公開請求で入手した要望書には、漢字と仮名の交ぜ書きは「国語破壊」「文化破壊」につながる――とある。
 要望書を出した団体名や個人名は非開示だった。
 文化庁国語課によると、申し入れ後、ルールを調べるように下村氏から指示があり、「子供」が原則だとして周知したという。下村氏は取材に応じなかった。

 「子供」は「供」の語例として常用漢字表に載っているが、国語課は「『子供』の『供』には従者の意味があるという教育評論家の説が広がり、『子ども』が使われるようになっていたのではないか」という。
 3月には、日本会議国会議員懇談会の衆院議員が、国会で教科書の中の交ぜ書きについて質問し、子どもの「ども」の根拠について尋ねていた。
 一連の動きについて日本会議は、「まったく関与していない」としている。
 日本会議の考え方に近い人たちが緩やかに連携し、各地で多様な運動を広げている。

こうした運動をどう考えるかは人それぞれでしょうし敢えて詳しくは突っ込まずにはおきたいところなんですが、しかし子供に成人と同じ権利を認めると何かと厄介な問題が少なからず発生するだろうことは、しつけなど身近な様々なケースを少し思い浮かべるだけでも容易に判断できますよね。
これについては子供は弱者であり保護される権利を持つ一方で、その自由意志は一定程度制約されているとも言えますが、背景となっているのは子供は自ら正しい結論を導き出すほどの成熟した判断力を持っておらず、本人判断を前提に成人と同じだけの権利を与えるとかえって本人の不利益になると言うことなのだろうと思います。
他方では先日アメリカで不治の病に冒された5歳児に最後の時を病院に行くか自宅に留まるかを訊ねた結果、自らの意志で自宅での最後を選んだと言うニュースが出ていて、大抵の五歳児は病院で針を刺されるよりは天国に行きたがるんじゃないかと言う突っ込みはさておくとしても、周囲の大人達は子供であっても自ら判断する能力があるのだと感銘を受けていると言いますね。
子供は大人の従属物で何らの人権も存在しないと言うのも行きすぎだし、大人と同じ権利を無条件で認めるのも問題ありですが、我々の身近にも権利と義務とのミスマッチが原因で大変なことになってしまう方々も少なからず存在することを考えると、この問題も権利と義務とはバランス良くセットで考えておくべきなのかなと言う気もしてきます。

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コメント

ミュンヘン 21日 ロイター] - 労働に従事するロボットを「電子人間」と位置付け、オーナーには社会保障費などを負担させるべき──。欧州連合(EU)欧州議会の法律問題委員会がこうした構想をまとめた。

委員会が作成した5月31日付の決議案は、ロボットの知性向上や自主性、普及拡大を踏まえると、税制から法的責任に至るまであらゆる問題が再考を迫られると指摘。欧州委員会に対し、「少なくとも最も洗練度の高い自立的なロボットについては、固有の権利と義務を有する電子人間という地位を与える」可能性を検討するよう求めている。

決議案はまた、こうしたロボットについて登録簿を作り、一体ずつ法的責任を担うための資金に関連付ける計画を提案。企業などにロボットの利用による社会保障費の節約分を開示させ、税収に結び付ける考えも示した。

これに対し、総合エンジニアリング企業シーメンス(SIEGn.DE)や産業用ロボット大手クーカ(KU2G.DE)が加盟するドイツ機械装置産業連盟(VDMA)は、提案が複雑すぎる上、先走り過ぎていると反発している。

VDMAロボット・自動化部門の責任者、パトリック・シュワルツコフ氏はミュンヘンで開かれたロボット産業ショーで記者団に対し、「電子人間の法的枠組みを作ることなど、50年後ならまだしも、10年以内には実現しそうもない。極めて官僚的であり、ロボットの発展を阻害する」と述べた。

決議案はロボットと人工知能(AI)により雇用が奪われるとの懸念を示しているが、シュワルツコフ氏はロボット普及と失業率の間に相関は見られないと反論。2010年から15年にかけて、ドイツ自動車産業における産業用ロボットのストックは17%拡大したが、雇用は13%増えていると指摘した。

決議案は本会議での支持獲得に苦慮しそうだ。また欧州議会には法律を提案する権限がないため、可決されたとしても法的拘束力は持たない。

http://jp.reuters.com/article/eu-robot-idJPKCN0Z80B6

投稿: | 2016年6月24日 (金) 07時38分

キリスト教文化圏ってこういうのうるさいよな
かつて黒人に魂があるかどうかで論争してたりね

投稿: | 2016年6月24日 (金) 08時36分

八百万の神々を奉り狗子にも仏性ありと言ってしまう日本の場合、ロボットにも人格を認めたり擬人化したりすることはごく自然なのかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2016年6月24日 (金) 13時35分

医療パターナリスム批判のお先棒を担いだアメぽちの安倍と同穴狢の日本会議が、どんなパターナリズムを持ちだしてくることやら。

投稿: | 2016年6月24日 (金) 15時32分

陛下の赤子に人権などございません。
日本会議が陛下になりかわって、、、

投稿: | 2016年6月24日 (金) 15時41分

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