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2016年6月14日 (火)

新専門医制度導入がとうとう延期に

かねて色々と言われていたあの問題について、どうやら先送りが決まったらしいと言うニュースが出ていました。

新専門医制度、2017年度の全面実施見送りへ(2016年6月9日医療維新)

 日本専門医機構は6月9日、2017年度からの新専門医制度は、同機構認定ではなく、学会認定で行う方針を固めた。新専門医制度は当初、日本専門医機構がイニシアティブを取り、第三者の立場で認定する仕組みを予定していたが、見送られる見通し。これは同日開催された同機構の専門研修プログラム研修施設評価・認定部門委員会/基本領域研修委員会の合同委員会で議論した結果だ。近く開催される同機構の理事会で、正式に決定する予定。

 新専門医制度をめぐっては、日本医師会と四病院団体協議会が懸念を表明、それを受け、塩崎恭久厚労相が談話を出すなど、2017年度からの実施か否かで揺れていた(『「学会専門医の維持を」、日医・四病協緊急会見』、『塩崎厚労相、新専門医制度への「懸念」理解』を参照)。合同委員会と同じく9日に開催された厚生労働省の社会保障審議会医療部会でも、新専門医制度を議論したが、「延期」などの決定はせず、同機構と学会の検討に委ねるとされた。

 2017年度からの専門医養成をいかなる形で行うか、その検討のボールは基本診療領域の各学会に投げられたことになる。ただし、新たに基本診療領域に加わる予定の総合診療専門医については、「日本専門医機構が養成を行う」(同機構理事長の池田康夫氏)。

 各学会は、新しい専門研修プログラムを用いるか、従来通りの方針で専門医養成を行うか、日本専門医機構が準備している専攻医登録システムを利用するか否かなどの判断を迫られる。学会によって、態度が異なり、従来通りの方法でやる学会もあれば、同機構と協同しながら新専門医制度の「試行」と言えるような実施を予定している学会もある
(略)
 地域医療への影響が排除できるかという問題も残る。新専門医制度については、都市部、あるいは大学病院をはじめとする大病院に専攻医が集中する懸念が呈せられ、専攻医の募集定員に上限を設けることも検討された。しかし、専門研修プログラム研修施設評価・認定部門委員会の委員長を務める四宮謙一氏によると、「学会に委ねる形になるので、定員調整する権限は我々にはない」という。副理事長の小西郁生氏も、「ある程度のところまで調整してきたので、後は学会に任せることでいいのではないか」とコメント。
(略)
 2017年度からの専門医養成の在り方は、各学会に委ねられたわけだが、池田理事長は、「各学会が真摯に専門研修プログラムを作ってきた。これからの若い医師をどのように育てるのか、学会が果たす役割は大きい。学会独自で見識に則って運営してもらいたい」と述べ、機構が専攻医登録システムを構築中で、6月中には完成予定であることから、「機構はプラットフォームを用意しているので、できれば利用してほしい」と求めた。

  合同委員会では、各基幹病院は、専門医取得を目指す医師向けの見学会や説明会を開催したくても、できない状況にあるとし、「学会に委ねるのであれば、こうしたことは全て解禁してもらいたい」と求める声も上がった。小西副理事長は、例えば7月1日など、各学会に任せるのではなく、専門研修プログラムの公表の解禁時期くらいは合わせてもいいのではないかと答えた。

この専門医問題、これまでにも各方面から先送りを求める声が多数出ていたわけですが、実際に先送りとなってみると各学会ではすでに準備も進めていたことだしと迷惑顔の様子もあって、まあしかし何かを変えるにしても変えないにしてもこういう問題はそうすんなりとは行かないのは当然ではあるのでしょうね。
そもそも現行の専門医制度と言うものの位置づけもはっきりせずで、専門医を取ったから出来る医療の範囲が拡がるだとか、診療報酬に色がつくと言うわけでもなく、今までであれば純粋に名誉的称号と言うのでしょうか、医師個人の向学心は満足されるにしてもそれによって具体的なメリットがあるわけではなかったと言えます。
それでも専門医を大勢揃えれば認定施設として認められ、その結果専門医資格を求める若手医師が集まりやすいと言った副次的効果はあったと言えますが、いざ裁判になれば専門医資格を持っている方が厳しく責任を追及されることになるのではないか等々の懸念もあって、資格としての位置づけは個人個人の判断に委ねられていたとも言えますよね。

新しい専門医制度がそもそも何故導入されるようになったのかですが、一つには学会毎にバラバラだった認定基準を統一して質的な担保を行うと言う名目があり、それによって国民にも専門医制度の何たるかが理解され患者の受診先探しも容易になると言うことなんですが、しかしそれが医師個人にとってどんなメリットがあるのかと言うことがさっぱり判らないのは相変わらずです。
そして新たな専門医資格は取得はもちろん維持するのも大変だと言い、実質的には基幹病院で日常的に専門的な診療を行わない限りは取得も維持も出来ないと言いますから、要するに公的な資格と言う餌によって医師を管理するのには非常に有効な道具となる制度設計であり、当然ながら厚労省も医師配置や病院再編などに利用する気満々ではあるのでしょう。
当然ながらこうした新専門医制度の波に乗れない市中の中小病院や開業医にとっては下手をすれば死活問題にもなりかねない話なんですが、いずれ新専門医制度が稼働した段階でこれらの施設から医師の大量移動なども起こってくるのかどうか、今のところ専門医取得に対する診療報酬上の優遇なりがないところを見ると案外当面のところは何ら変化がないのかも知れませんね。

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コメント

学会認定のままでいけない理由がよくわからないんですが
まともな学会のまともな資格かどうかだけ第三者機関が審査すればいいのでは?

投稿: | 2016年6月14日 (火) 08時05分

>学会認定のままでいけない理由がよくわからないんですが

まあ本音は別の点にあるということですね。
情けないことですが、この話を進めている学会の重鎮たちは、自分だけが被害に合わなければいいと思っている人が多いみたいです。
各学会はちゃんと学会員にアンケートを取って欲しい。

投稿: ふぉれすと | 2016年6月14日 (火) 11時15分

国が医師管理を強化する上でこうした制度に熱心なのは判るのですが、公的資格に準じて扱うなら取得に伴うメリットも相応に用意すべきかとは思います。

投稿: 管理人nobu | 2016年6月14日 (火) 12時23分

アメリカ留学経験のある年寄り医師たちがアメリカの専門医制度を盲信して、暴走したのが新専門医制度。
アメリカ留学経験のある年寄り医師たちが暴走して、アメリカでは1970年代に失敗と認定されて廃止になったシステムを日本に導入したのが初期研修の臨床研修制度。

アメリカ帰りの医師たちにとって、外国とはアメリカ1国だけ。
日本はOECD加盟の先進国であるが、アメリカ留学経験のある年寄り医師たちはアメリカ以外の加盟国の存在を知らないらしい。

投稿: physician | 2016年6月15日 (水) 18時12分

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